高町がいなくなって一週間。平穏ではなかったが無事に生活している。
いや、うん結果的無事だっただけでわりと命が危うい感じになったことがけどな、夜中に散歩してたらいきなりデカイ蜘蛛に襲われたし。あのときは死ぬかと思った・・・知ってる?人間大の大きさで最強の生き物は蜘蛛なんだよ?マジ洒落にならん、キモイし、解体しても時間が経ったら復活してくるし糸で逃げ場がどんどん無くなっていくし・・・たぶん今生で戦ってきた状況で一番危なかったんじゃないかな?返り血浴びながら刃物を山のように刺して頭真っ二つにした時に、テスタロッサ達が来なかったら復活した蜘蛛に食われてただろうし。
そして高町家での訓練・・・ぶっちゃけもうヤメタイ。走りこみと模擬戦が主だけどキツイ・・・。
そんな1週間今日はお昼からの登校、いつもの場所で飯食ってから教室に行こうかと思ったけど雨が降ってきたので断念。諦めて教室に行くことに・・・、というか俺傘持ってきてねーよどーすんだよ。
「というわけで傘を貸してくれるか入れてくれるかしてくれない?」
「遅刻してきていきなりなに言ってんのよあんたは!」
「あはは。刃君おそよう」
お昼を食べているバニングスと月村の席に行って訊いてみるも遭えなく撃沈。まぁわかってたけど。
「まぁ・・・別に傘くらい入れてあげてもいいけど」
「え!?いいの?」
マジですかバニングスさん?
「でも今日は私も傘持ってきてないのよ。残念だったわね?」
「・・・・・・上げて落すとか」
マジドSですね。とくにその笑顔。
「私も今日持ってきてないんだ・・・ごめんね?」
「あーうん。なんかそんな気がしてたから別にいいよ」
「え」
なんつーか流れ的にここで月村が持ってたらビックリだし空気逆に読めてないしな。
「まぁだからあたし達は車で帰るつもりだけど・・・あんたも乗せてあげよっか?」
「え?いいよなんか酔いそうだし」
そもそも俺ん家の場所しられたくないし。もともと冗談だし。
「あんたねぇ・・・家の執事の鮫島なめんじゃないわよ?あんた本当に人間?ていうくらいなんでもこなすのよ?しかもかなりうまいのよ!?ぶっちゃけたまに怖いのよ!?」
「あーたしかに・・・。鮫島さんは怖いくらいなんでもできるから、酔いやすくても大丈夫だよ?」
「とりあえずおまえらはあとでその執事に謝っとけ」
そして放課後。
授業を適当に聞き流しながら信じてもいない神様とやらに雨が止むことを祈ってみたけど、信仰が足らなかったのか雨は止まなかった。
「本当にいいの?」
「おう。高級車とか乗ったら緊張でハイウェイ飛ばしたくなるからな、だから気にせず置いてってくれよ月村」
「乗り物弱いんじゃ・・・」
「ジェットコースターとか大好物ですが?」
「車もジェットコースターもまだ乗れないでしょうが!」
それは違うぞバニングス車は乗れないんじゃなくて運転できないんだよ。
「じゃあまた明日ね。遅刻すんじゃないわよ!」
「またね刃君」
「んー」
そんな感じにバニングスたちと別れたのが二時間くらい前。ただいま5時11~3分?まぁ約10分。いまの時間になるまでずっと本読んで雨が弱くならないかなーと期待してたんだが、予想通り期待は裏切られた。どうやら神は死んだらしい・・・もったいないいつか殺してやろうと思ってたのに。
しかしそろそろ学校で粘るのも限界かなー、先公に見つかったら怒られそうだし。しゃーないとりあえず・・・走るか。
そうときまればさっそく本を鞄にしまって鞄を持って玄関へ。人の気配がほとんどいない学校の怪談もとい階段を下りる。ちなみに段数は12段・・・ベタな怪談は無いらしい、花子さんとかテケテケとかも聞かないしな。まぁ・・・吸血鬼と魔法少女は居るけれど。
くだらないことを考えながら靴を履き替え玄関へたどり着く。一歩踏み出せば外へと出れるけど雨の柵がそれを躊躇させる、禁止してないところが実に性質が悪い。
雨はもともと嫌いじゃないし、雨に濡れるのもまぁ人よりか嫌いじゃないほうだと思う。でもやっぱり心の準備が要るよなあ・・・。雨を避けながら帰れたらいいんだけど――その手があったか。全部避けるのは無理だろうけど、それでもただ濡れながら帰るよりかはよほど有意義だな。『神速』自身の知覚能力を加速し身体の制限を外して移動する技法。これなら雨を一粒一粒知覚することができるかもしれない、できなくてもけっこういい感じの修行方法なんじゃね?
そうと決まればさっそく実践。
目の前に広がる雨のカーテンを見つめ集中する。
加速加速加速、脳髄が溶け神経が焼き切れる寸前まで集中し知覚を加速させる、キーンという耳鳴りがし始め周りの景色が線になって流れていき白く白く白く――。
そこで俺は人の気配に気づいて元の世界に立ち戻る。
生徒はもう残ってるとは思えないから先生か?まったくいいところで邪魔してくれる・・・。
はぁなんか萎えた、いいやもう濡れて帰ろ。でもその前に邪魔したやつを確認してから――。
「――白?」
「あ――黒い人」
振り返るそこには昨日もあった白い少女、おそらく愛野真白という名の。
というか黒い人ってどういう意味でしょうかねぇ?私服姿はたしかに黒い服ばっかだから分るけど、今の俺は制服姿だぞ?真っ白だぞ?短パンなんだぞぉ!?・・・今でも密かにこの学校に来たことは後悔してるんだぞーォォォォ!
「えと・・・傘持ってないの?」
「・・・・・・あ、ああ。持ってない」
声掛けられたのが意外すぎて反応が遅れた。知らない人間に話しかけられるような奴じゃないと思ってたんだけどな・・・どうやらただの偏見だったらしい。
「じゃあコレ使って!」
「あ?いや、いらな――」
「じゃあね!」
ばしゃばしゃと雨の中走って行っちゃたよ・・・。
押し付けられた傘を見る。黒い傘、涼しくなるための日傘ではなく太陽光などを防ぐための傘・・・、これってアイツにとっては酸素ボンベと同じ意味合いを持つものなんじゃないの?・・・明日は朝から学校に来よう、こんなもの俺が持つには重過ぎる。
傘を広げ雨の下に躍り出る。
くるくるくるくる回る回る廻る廻る。
雨を人のように弾きながら家路につく。
関係ない。
関係ない。
関係ない。
いつまで俺はそうやって見えない振りして逃げてられるんだろう?
不屈の心。
不遇の
夜の怪物。
天賦の才。
孤独の母性。
魔的の白。
彼女たちに対して関係ない――そういつまで言ってられるだろう。
きっと今日がこの時が始まりの1。
「今日限りでもう此処には来ません」
賽は投げられた。
俺は彼女たちと――関係あるんだろうか?
関係を――作れるんだろうか?
さて第十六話です。すいません今回短いです。
雨は嫌いじゃないけれどいろいろなことを考え思い出してしまうもの、だから好きにはなれない。
人に関係することは・・・とても難しい。