魔法少女リリカルなのは~よくある転生記~   作:春夏冬 秋人

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第十七話 その目誰の目?~俺、・・・・・・・・・~

「今日限りでもう此処には来ません」

 時空管理局が地球(ここ)にやってきて1週間、今の今まで言えなかったことをついに私は言った。

 本当は言いたくなかった・・・。でもこれ以上此処にいると迷惑になる・・・いつまでも管理局の目を誤魔化せるとは思えない。

「・・・条件がある」

「条件?」

 夕食を食べ終えいつもなら一息入れてとても心地のいい時間、でも今この時はとても重苦しく息の詰まる時間。そう思ってるのは私だけかも知れないけど・・・、ジンはいつもどおりだし。

 私が言えた事じゃないけど・・・もうちょっと表情変わったりしないのかな?

「俺ん家に来なくても飯をちゃんと食うこと、それならかまわねーよ」

「・・・それだけ?」

「もともと飯ちゃんと食わせるために家に呼んでんだ、おまえが自分でちゃんと飯を食うなら止める理由も呼ぶ理由もねぇよ」

 ・・・そう・・・だよね。

「またまた素直じゃないんだから~」

「いやいや、俺ほど素直なやつはいねーよ?」

「嘘吐きがなに言ってるんだい、まったく」

 アルフはそう言ってジンに絡み付いてるけど(もうちょっと離れた方がいいと思う。酔っ払った時のリニスみたい)私はそう思わない。あ、いや、ジンが素直とかそっちじゃなくて・・・理由の方、だってジンには関係が無い。

 

 

 

 私とジンの間には関係が無い。

 

 

 だからジンは引き止めない、もともと私とジンの間にある繋がりは『ご飯をちゃんと食べる』ということ。・・・今気づいたけどすごい子供っぽい理由、いや私子供だけど・・・あらためて考えると恥ずかしい・・・。

 そ、それはさておき。

 これがあの白い子だったらジンは引き止めてたかもしれない・・・、だってあの子とジンの間には『友達』っていう関係があるから。

 私みたいに無関係じゃないから・・・。

「で?ちゃんと食えるの?」

「・・・・・・」

 これに頷いたらジンと私の間には『繋がり』がなくなる、関係の無い私にはジンに会いに行く理由が無くなる。

 失いたくない。

 まだいっしょに居たい。

 明日もご飯食べたい。

 ご飯がおいしい(たのしい)なんて初めてなんだ。

 でも――それでも、だからこそ。

 

 

 

「そこまで子供じゃないよ。だから――ちゃんと食べます」

 

 

 

 私はジンとの繋がりを自分で断ち切った。

「子供だからここに居るんだと思うけど・・・。まぁいいか信じてやろう」

 新しい『繋がり』ううん、『関係』を作るために。

「ぁ・・・」

 き、緊張・・・してきた・・・!昨日家で何度も練習したのに・・・!『■■』の作り方なんて知らないから頑張って必死に考えたのに!

 心臓がバクバクとうるさい、もう少し静かにしてくれないとジンに聞こえるかもしれない・・・サンダースマッシャーで痺れさせれば止まるかな!?。

「ああそういや忘れてた、俺お前に訊きたいことがあんだよ」

「ふ、ふぇ!?」

 え?なに?訊きたいこと?・・・なんだろう?魔法関連かな?そういえば魔法の種類とか仕組みは教えたっけど使い方は教えてないからそれかな?

「えっと・・・な、なに?」

 うう・・・なんか出鼻挫かれちゃったな・・・。でも落ち着くには丁度いいかもしれない。

 

 

 

「お前誰?」

 

 

 

「・・・・・・・・・え?」

「・・・なに言ってるんだい?フェイトだろ?変なものでも食ったのかい?」

「アルフ俺はソイツ(・・・)に訊いてるんだ。

 

お前は誰で

 

お前は誰のために生きていて

 

お前は何だ?」

 私・・・?というか意味が分からない。ジンは偶に難しくてよくわからないことを言うけれど・・・これはその中でも群を抜いて意味が分からない。自己紹介なら初めて此処に来た時にしたし・・・、アルフの言うとおり私は――。

 

 

 

 ――■リ■ア。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――え?

 今・・・の・・・は?

 母・・・さん?

 なに・・・今の・・・。答えようとした瞬間ノイズのように私の頭に過ったなにか。私の一番古い記憶、一番幸せだったまだ――母さんが優しかったあの時。私が作った花飾りを受け取って微笑む母さん、私はそれがうれしくて母さんと一緒に笑いあった記憶。そして母さんは私を撫でながら――。

 

 

 

 ――■■■■。

 

 

 

 私の――。

 

 

 

 ――ア■■■。

 

 

 

 なまえを――。

 

 

 

 ――アリ■■。

 

 

 

 な――まえ――を。

 

 

 

 ――アリシ■。

 

 

 

 わ――たし――は。

 

 

 

「フェイトっ!!」

「っ!?・・・あ、アルフ?」

 あ・・・今・・・の。

「どうしたんだいフェイト!?急に青ざめて、何度呼んでも反応しないし・・・。」

 私・・・私・・・わ・・・たし?

「ジン!いったい何したんだい!!」

「俺は何もしてないだろ。ただ質問しただけだ」

「わたし・・・は・・・」

 だれ?

「でも・・・!だったらなんでこんな・・・!?」

「俺も予想外だよ」

 考えちゃいけない・・・これ以上考えちゃいけないのに・・・!思考が止まらない、ノイズが止まらない、記憶が奥から湧き出てくる。

 なんで――なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで――母さん・・・!

「とりあえず今日はもう帰った方がいいだろ。休ましてやれ」

「ああ――そうだね。フェイトっ帰るよ!」

 体が揺れる。

 地面がグラグラする。

 足元が崩れる。

 世界が――揺らぐ。

 私の最古の記憶、絶対の存在理由(アイデンティティ)・・・それが信用できない。

 あの時母さんの笑顔を見ていたのは私の『目』なの?母さんの『目』に映ったその『目』は一体――

 

 

 

 ――だれの『目』?

 

 

 

「なぁフェイト・テスタロッサ」

「ぁ・・・・・・」

 いままで揺らいでいた世界が輪郭を取り戻し、目の前にはジンの顔がある。いつもと変わらない無表情で私を見ている。

「答えはまた会った時聞かしてくれ。んじゃ・・・またな(・・・)

「あ・・・!」 

 そう言ってジンはドアを閉めた。

「大丈夫かいフェイト?」

 アルフの声が頭上から聞こえる。

 ・・・私アルフに抱きかかえられて・・・。

「気にすることないよ」

 ・・・気にしちゃダメだって分ってるけど。

「ねぇ・・・アルフ」

 でも訊かずにはいられない。

「・・・なんだい?」

「・・・私は――だれ?」

 アルフの顔が悲痛に歪んだ。そしてその向こう側に・・・ああ、こんな時でも、この世界の月は綺麗なんだ。

 三日月を見ながら私の意識は沈んでいった・・・。

 

 

 

 

‡  ‡

 

 

 

「ああー・・・予想以上、つか想定外つうか・・・」

 テスタロッサ達を玄関まで見送ったあと俺はソファにだらしなくねっころがっている。蛍光灯の明かりが地味にうっとうしい、でも電気を消しに立つのもダルイ・・・仕方なしに腕で目を覆い光をシャットアウト。視界は程よい闇に覆われる。思考に埋没するにはちょうどいい。

 もともとテスタロッサに――というかテスタロッサの『家庭』に――何か問題があるのは予想できていた。強迫観念のように『母さん』のために動いてるし、ところどころに虐待らしき痕。これでなにも問題ないわけがない。

 だから『人形』か『人間』聞きたかっただけなんだけどな『おまえは誰のために生きてるんだ』ってのが本命の質問だったんだが・・・、あの反応を見るに問題はどうやらもっと別のところにあるらしいな、根っこを勘違いしてたっぽい。・・・しかも俺の所為で傷が開いちゃったっつーか臭いものの蓋を開けちゃったつーか・・・。

 まぁそれは俺が考えてもしゃーないか。自分で助かるしかない。

 人に人は救えない。

 ただ勝手に助かるだけ。

 つーか関係ない俺が助けられるわけないし、助ける気もないし。

 でもまぁ・・・らしくないことしたなぁ・・・。

「またな・・・か」

 繋がりが切れたのに自分から繋がりを作ったりしてその挙句、また(・・)・・・なんて俺らしくもない。俺は一人でも生きてける人間のはずなんだが・・・。

「生きてきたんだがなー」

 関係ない・・・か・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まったくめんどくさいなー。

 人生ってやつは。

 だからやめられないんじゃないか。

 一度『終わった』くせして。




さてさて第十七話でございます。

さて刃がした質問貴方は、答えられますでしょうか?
貴方は誰で
貴方は誰のために生きていて
貴方は何なのか
この答えをしっかりと持っていれば作者はいいと思います。勉強できなくたって運動できなくたってイケメンで無くても大丈夫だと思います。
だって『自分』の答えを持っているじゃないですか。『自分』でない奴ほど脆い奴はいませんよ。








まぁ戯言ですけれど。
感想意見その他もろもろお待ちしております。書いてくれたら狂喜乱舞するよ!!!!
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