さて時間は進んでさらに4年、私立聖祥大附属小学校で3年生やってます。
ここがアニメの世界、それもリリカルでマジカルな世界だと知ったあの日から俺は必死に前世で観た原作を思い出そうとがんばった・・・だが無理だった。
そこまで好きだったわけでなく暇つぶしに観た程度だったので細部がまったく思い出せない・・・。というか一期でジュエルなんたらを集めてフェイトと戦って、二期が闇の書?をなんかいろんな人がフルボッコにして、三期が頭を冷やすぐらいしか憶えてない・・・。
だからそうそうに俺は諦めて(開き直ったとも言う)原作なんて忘れることにした。
ろくに憶えてない記憶にたよる意味も無いし、そもそもあてになるとは思えない。
そして四年後、つまり現在――。
「刃くんいっしょにご飯食べよ!」
主人公(なのは)と同じクラスにいます。
――どうしてこうなった?
いや、この学校に入学したからなんだろうけど・・・、近いからってテキトーに決めるんじゃなかったな・・・。
まぁ、もうどうにもならないししょうがないから諦めよう。
目下今問題なのは、高町グループ(計3人)からわりとしょっちゅう今のようにお昼に誘われたり、帰るのに誘われたりすることだ。
まぁ大抵断るんだけど、断るとグループメンバーの一人のアリサ・バニングスという金髪のお嬢様から睨まれるし絡まれる。ちなみに誘いに乗っても絡まれる。
というか女子のなかに男一人とかいじめだと思う・・・、それに転生してるから精神年齢はコイツらよりも高い、だからぶっちゃけうっとうしいだけ。
・・・まぁコイツらは他の連中に比べると精神年齢高い方だからまだマシだけど。
「断る」
そういう理由から俺は読んでいるラノベに目を向けたまま答える。
「あぅ・・・」
「ちょっと、誘ってるんだから断るにしてもせめてこっち向きなさいよ!!」
・・・まぁたしかにめんどくさいからって今のは態度が悪かったな。
栞を挟み本を置いて高町達のほうを見る。
当たり前だがそこには白い制服を来た高町、バニングス、そしてグループ最後の一人、夜のような黒に近い紫色の髪に白いカチューシャをした少女月村すずかがいた。実にカラフルな頭だ・・・ここって日本だよな?
そして一同を見回し。
「断る」
「却下よ」
解せぬ。
ちゃんとそっち向いて断ったぞ?
「毎日誘われてんだからいいかげん諦めなさい」
「それに一人で食べるより一緒に食べた方がおいしいよ?」
「月村、それは人による。俺の場合一人で食べようとおまえらと食べようとべつに味は変わらない」
バニングスはあえてスルー、諦めたらそこで試合終了という名言を知らないのか!?とか絶対に言わない。
「「刃くん・・・」」
「なんですって?」
悲しそうな顔をする美少女が二人、修羅が一人。
・・・俺は返答を間違えたようだ、周りの目も痛いような気がする。
しかたない・・・・・・逃げるか。
「まぁそんなわけで今日は気分じゃないから。・・・んじゃな!」
そう言って俺は教室から飛び出した。
背後から「ちょっと!待ちなさい!!」と修羅の怒号が聞こえてくるような気がするけど気にしない、・・・だって後が怖いから。
今日の放課後は逃げられないな・・・。
んで放課後。
「逃がさないわよ!」
「一緒に帰ろ!」
「刃く――あうっ」
ホームルーム終了直後に囲まれた。
・・・約一名こけてるけど。相変わらず高町は運動神経が切れてるらしい・・・こんなのが主人公で大丈夫か?
「ほれ」
「あ、ありがとぅ・・・」
目の前で倒れながらパンツを自分の後ろの連中に大公開してる高町に手を貸し立たせてやると、転んだのが恥ずかしいのか少し顔を赤くしながらお礼を言ってくる。ちなみに自分が後ろの連中に大公開していることには気づいていない(ドジだから)
パンツを見た連中の――主に男子――は秘境を感動すると同時に自分の悲境に泣いた。
とりあえず修羅――バニングスの制裁はやりすぎだと思う。
ちなみに俺は見ていない。だからその拳を俺には撃たないでください。
帰り道。
公園の中を歩いていると警察が船着場を封鎖しているのが見えた。
「なにかあったのかな・・・?」
「ちょっと見にいってみる?」
「え、でも危ないんじゃ・・・」
「大丈夫よ、いざとなったらこいつを盾にして逃げるから」
「おい・・・」
「・・・そうだね!」
「月村っ!?」
「にゃははは・・・」
俺はいつかこいつらに殺されるんじゃないだろうか・・・。
それにしても・・・今日見たあの変な夢もここじゃなかったか?変な偶然も在るもんだな・・・。
「ひどい・・・」
「うん・・・・」
「・・・・・・」
たしかに軒並みボートは壊れていて、地面もところどころわずかに抉れてる・・・夢で見たとおりに・・・。
偶然だよな?
「こら君たち!」
「「「「っ!?」」」」
野次馬をしていた俺達を叱るように声が飛んできた。
振り返るとそこにはお巡りさん・・・。
テープは超えてないから、軽い注意と話を訊かれるだけで済むかな。
「そこから先は立ち入り禁止だよ」
「あぅ・・・すいません」
「すみません。あの――」
「あの・・・ここで何があったんですか?」
月村とバニングスが謝り高町が何があったのかを訊ねる。
・・・高町がこういう行動に出るのはめずらしい、こういう事を訊くのは大抵バニングスの役割だ・・・、現に今もおそらく訊こうとしたのを高町に遮られた。
「・・・たぶんイタズラだと思うよ。・・・君たち聖祥小学校の子だよね?なにか知らないかい?」
「・・・・・・」
「・・・いえ、知りません」
黙ってしまった高町に代わり俺が答える。
「そうか・・・。じゃあもう君たちは行きなさい、危なくないとは思うが一応何かあるかもしれないからね」
そう言ってお巡りさんはテープを超えて奥に行ってしまった。
「・・・行くぞ」
「あ、ちょっと待ちなさいよ!」
「ま、待ってー」
「・・・・・・」
高町以外のやつらは慌てて先に歩き出した俺のあとを追ってくる。
「なのはー!置いてくわよー!」
「――にゃ!?待ってー!置いてかないでー!」
バニングスの声でようやく再起動した高町も慌てて走ってくる。
しかし・・・もしかしたら高町も俺と同じ夢を見たのかもな、どうにも様子がおかしいし、これが原作がらみのイベントなら高町が関係していてもおかしくない。
「あうっ!」
あ、転んだ。
「ここよここ!ここを通ると塾への近道なんだー、ちょっと道悪いけどね」
「そうなの?」
そう言って薄暗いわき道を指をさすバニングスと道をみて不安そうな声を出す月村。
「じゃあここまでだな、また明日学校で――ぐえ」
「――ちょおっっと、待ちなさい」
俺は塾には通っていないのでさっさと帰ろうとしたら襟首引っ張られて止められた・・・ぐるちい。
俺は犬猫じゃあねーぞ。
「そうね、あんたよりも犬の方が賢いわ」
「・・・刃くんより猫の方がかわいいよ」
・・・なんだろう、この言い表せ無い気持ち、どうしたらいい?
「笑えばいいと思うな」
「泣けばいいんじゃない?」
ひでぇ・・・こいつらひでぇよ。
「ほら行くわよ」
引っ張られながら連行される俺、ドナドナのBGMが脳内に流れ出す。
「にゃははは・・・」
何かを誤魔化すように苦笑――というか鳴く?――する高町もあとに続く。
『――たすけて』
「!?」
「・・・」
突然に聞こえてきた声に高町が反応して立ち止まる。
俺も一応あたりを警戒する。
「なのは?」
いきなり立ち止まったなのはに不思議そうに声を掛けるバニングス。
「・・・今なにか聞こえなかった?」
「なにか・・・?」
「なんか声みたいな」
「べつに・・・」
「・・・聞こえなかった、かな・・・」
顔を見合わせながら答えるバニングスと月村。
アンタは?とバニングスに目で聞かれるが、さぁ?と首を傾げて嘯いた。
これが原作だろうがそうじゃなかろうがなんとなくめんどくさそうな臭いがする・・・なので関わりたくない。
「気のせいじゃないか?」
『――たすけて!』
「!?」
俺の嘘を嘲うかのようにさっきよりハッキリ聞こえた声に反応して高町は走り出す。
「なのは!?」
「なのはちゃん!?」
「ちっ!」
驚いてる二人を尻目に俺は高町を追って走り出す。
運動神経の悪い高町に追いつくとそこには傷ついたフェレット?鼬?がいた。首には紅い宝石のようなものを着けているため、おそらく何処かのペットだと思う。
「刃くん・・・どうしよう?」
「・・・とりあえず、動物病院だな」
「ちょっと二人とも!いきなり走り出さないでよ!!」
「ちょっとまって、アリサちゃん・・・!」
「え・・・?動物?」
遅れてやってきた二人もフェレット?に気づく。
「ちょうどいい。おまえらこの辺に動物病院が何処に在るか知らねーか?」
「えっとあっとっ!このへんだと・・・!」
「まって今お家に電話してみる・・・!」
しかし・・・なぞの声に導かれた先に傷ついた小動物に、紅い宝石らしきもの・・・フラグだよなぁ・・・。
魔法少女リリカルなのは、はじまります――てか?