魔法少女リリカルなのは~よくある転生記~   作:春夏冬 秋人

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第七話 この街は平和は表向き~俺、また巻き込まれました~

「今日は一人でかえるのー!」

「ちょっとなのは!?」

「なのはちゃん!?」

 

 白熱のした死闘(ドッジボール)をやったその日。高町とバニングス達が喧嘩した・・・?

 

 

 

 いや、あれは拗ねただけだな。

 

 

 

 教室から飛び出していったなのはを追いかけるのを諦めて帰り支度している俺の席にバニングスと月村がやってきた。

「ちょっとなのは帰っちゃったじゃない!」

「知らん。『俺は悪くない』」

 俺に責任転嫁するじゃねーよ。

「括弧つけてもダメよ。だいたいあんたがすずかと正々堂々戦わないでなのはを当てたのがわるいんでしょっ!」

 あー?勝つために最大限努力するのがいけないっていうのか?

「つーかおまえらもノリノリっだっただろうが、ハイタッチまでして」

「う・・・」

「それに、止めを刺したのはアリサちゃんだったよね」

「すずかっ!?」

 月村まさかの裏切りに動揺を隠し切れないバニングス。

 その隙に月村がアイコンタクトしてきた。

「(アリサちゃんを悪者にしよう)」

「(了解)」

 最近月村が黒くなってる気がする。

「いや、でも!」

「戦力外って言ったのはおまえだろ?」

「私にチームだって言ってたのに・・・」

「うぐっ・・・」

 二人してジト目で見てやる。

「あーもう!わかったわよ!あたしが悪いんでしょう!」

「ううん、刃くんも悪かったから明日一緒に謝ってね」

 

 

 

 

 ・・・・・・ん?

 

 

 

「そうよね・・・いや、すずかもでしょう!?」

「『私は本当に悪くないもん』」

「いや、おまえだって・・・あれ?」

「・・・なにも・・・していない?」

 まさか・・・最初から、俺達二人を嵌めるために・・・?

 月村の方を見るその顔は確かに、密かに、

 

 

 

 

 

         哂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じで月村のお腹は真っ黒(肌は白いのに)だということがわかったその日。俺は何故か一緒に帰ることになった。

 いやまぁ、何故かって話してる間に月村に捕まって逃げられなかっただけだけど・・・。

「どうせなら明日じゃなくて今謝りに行かない?」

「そうね・・・。ついでに翠屋でケーキでも食べましょう!」

 月村の提案に少し考えて、同意するバニングスに俺の一言。

「肥るぞー・・・」

 どうせ自棄食いだろう?

 

 

 

「あ?」

「・・・なんでもありません」

 

 

 

 

 怖かった・・・!何も言い返せないくらいに怖かった・・・!余計なこと言うんじゃなかった・・・!。

 やっぱりいつの世も何処の世界でも『肥る』は禁句なんだな。

「もう・・・女の子にそんなこと言っちゃダメだよ?刃くんだって言われたら嫌でしょ?」

「いや、俺男・・・」

 今どき流行の男の娘じゃないぜ?黒髪で短髪だしそれに目つきも悪い・・・、でも悲しいことにイケメンじゃない。

「それに俺、何故かあんまり肥んないし」

 

 

 

「・・・え?」

「けんか売ってんの?買うわよ・・・?」

 

 

 

 

 どうやら俺は地雷を踏んだらしい・・・分ってて言ったけど。

「売ってない売ってない。つーか、金ないし甘いもん好きじゃないし、だから翠屋行きたくないから行かなくていい?」

「ダ・メ♪」

 ですよねー。だからその手はなしてください月村さん、腕がなんかミシミシいってるから・・・!?

「少し食べるくらいのお小遣いくらいあるでしょ?」

「ねーよ!てめーらと一緒にすんなブルジョアジー」

 正確にはあるけど使いたくないし気軽に使えないんだよ・・・、俺は収入がないから減ってく一方だし生活費から削ることになるからな・・・、無駄遣いは出来ないのさ。

 ・・・ゲームとかラノベとかは必要だから買うけどな!。

「しょうがないわねー。コーヒーいっぱいくらいなら奢ってあげるわよ」

「んじゃ行く」

「・・・・・・まったく現金なんだから」

 いやいや、小市民なんでしかたないんです。

 そんな会話をしながら高町の家に向かっていると。

 

 

 

 

 

 ――曲がり角向こうに黒い車が止まっていて、そこから降りて来た数人の男がいきなり殴りかかってきた。

 

 

 

 

 とっさに避け男達から距離をとる。しかしそのころにはもう状況は終っていて――男達の手には声すら上げられずに気絶させられたバニングスと月村が抱えられていた。

 ・・・素人じゃないよなぁ、この手際。

「お嬢ちゃん達を傷つけて欲しくなければ大人しく掴まれ」

「・・・・・・」

 クソっ・・・めんどくせぇ・・・。何でこんな目に遭わなきゃいけねーんだ。

 内心毒吐きながら子供のように大人しく奴らの方へ歩いていく。

「・・・いい子だ。――だから寝てろ」

 首筋に衝撃、たまらず俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 ――目を開ける、すると薄汚れた灰色が広がっていた。

 どうやらどっかの廃墟に運び込まれたらしい。四肢は当然のように縛られ満足には動けない、しかたなく目だけで周りを確認する。

 両隣には未だに気絶中のバニングスと月村。見張りは2人。

 車の中で目を覚ましたときに確認した人は8人。つまりこの廃墟には見張りを抜いて最低あと6人の敵がいることになる。

 しかもこの8人はただの誘拐犯じゃないらしい。手足の縛り方がうまい。

 左右の親指を縛りくっつけた上で手首足首を縛っている・・・。これじゃぁ抜け出せない。

 ・・・さてどうするかね・・・てまぁやることは決まってんだけど――とりあえず。

「・・・起きろ」

 

 

 

 ――ゴス!

 

 

「はぐぅっ!?!!??」

 

 

 背筋に物を言わせ頭を振り上げ鉄槌の如くバニングスの腹へと落とした。なんか女子が出しちゃいけない感じの声を上げたけど気にしない。

「ごほっ!なっ!?なん・・・げほっ!なのよ・・・・!!」

「お目覚めか眠り姫」

「あんた・・・!どういう・・・えっ!?」

 自分の腕が動かないことに驚くバニングス。きっと固定されてなかったら俺は殴られてた。

「なにこれっ!?というかここどこよっ!?」

「うるさい」

「いたいっ!?」

 再度頭突きをかまし黙らせる。

「少し黙れ・・・。状況は話してやっから」

「・・・・・・わかったわよ」

 どうやら落ち着いたらしい・・・。こいつほんとに9歳かよ、普通泣き叫んでたっておかしくねーぞ?

「俺達は今誘拐されてる、犯人の目的は不明、誘拐犯は最低8人、ここは見てのとおりどっかの廃墟」

「・・・・・・・・・」

 まぁそれでも、誘拐されたってことが突きつけられればさすがに恐怖するし不安に思うか。

「他に訊きたいことは?といっても答えられねーけど」

「・・・・・・さい」

「あ?何だって?よく聞こえない」

「ゴメンナサイって言ったのよ・・・」

「・・・・・・・・・」

 ・・・何に対して謝罪してるのかは分る。しかしそれを今此処でこの状況で言えるのかコイツは・・・。精神が早熟してるじゃすまねーぞ、大人だって誘拐、人質にされたらこんなこと言えない――いや、だからか・・・『子供』だからこそ言えるのかもな。

「私の所為で――」

 

 

 

 

 

「んじゃ――無事助かったら翠屋で何か好きなもん好きなだけ奢ってもらおうかな」

 

 

 

 

 

 お前の所為じゃない、とは言わない。だから俺は詫びの品、お礼の品、報酬なんかはもらうよ?ラノベやギャルゲの主人公のように気持ち悪いほど人間が出来てるわけではないので。

「・・・そこはふつう、おまえの所為じゃない、とか、気にすんなとか・・・、俺が助けてやるとか言うとこなんじゃないの?」

 乙女かよ・・・、乙女だった、まだ乙女で許される歳だったよコイツ。

「知らん」

「――たく・・・」

 いや、そんな呆れた風に溜め息吐くなよ・・・失礼だろ?

「いきなり頭突きかますのは失礼じゃないのかしら?」

 はっはーなんのことかな?

 というか地の文・・・ごほん!心を読むんじゃねーよ。

「わかりやすい表情をわざわざ作っといて言うセリフじゃないわよ」

「さいですか」

 

 

 

 さてそろそろ月村も起こさないとな・・・。

「言っとくけどすずかにも頭突きしたらどうなっても知らないわよ?」

「・・・・・・」

 そうなんだよな・・・最近の月村は夜のように真っ黒だからな・・・。

 

 

「――ふん!」

「あぐぅっ!?」

 

 

 でもそんなのどうでもいい。後が無いかもしれないのに後を気にしてもしょうがないだろ。

「な・・・なに・・・!?」

「・・・はぁ。おはようすずか無理かもしれないけど落ち着いて聞いて頂戴?」

「アリサちゃん・・・?え?ここどこ?・・・というかお腹が痛い・・・?」

「いい?よく聞いて・・・、私達は誘拐されたのよ・・・。ちなみにお腹はそこに居るバカが頭突きした所為よ」

 苦しみながらいい感じに混乱している月村にバニングスが現状を教える。でも俺が頭突きしたことは黙っててくれてもよかったと思うんだ。

「ゆ、誘拐!?」

「声がでかい気づかれるでしょっ!?」

 何にだよ?犯人に?捕まってる時点で気づかれるも何も無いし、とっくに起きてることには気づいてるだろ・・・何のための見張りだよ。

「ご、ごめん・・・。でも誘拐って・・・」

「・・・ごめんなさい。たぶん・・・私の所為よ」

「そんな!アリサちゃんの所為なんかじゃないよ!!・・・むしろ私の・・・」

「すずか・・・」

「アリサちゃん・・・」

 見詰め合う二人。きっと背景は百合にちまいない。

 つーかどっちも同じで変わんねーこと話てんなー。そんなくだらないこと話してる暇じゃねーだろうに・・・。あーいや、そうでもないな、捕まってる間は暇で何も出来ないんだ・・・だったら精神安定、精神防御のために三文芝居でもしてたほうが暇を潰せるな。

 

 

 

 

 でも俺は暇を潰すなら、ひつまぶしでも食べながら読書かゲームしたいので早く帰りたいんです。三文の得にもならない芝居なんて観てる暇は無い。

 

 

 

「とりあえずその話はあとで俺になんか奢るってことで置いといて。おまえらに・・・提案つか命令がある」

「・・・なによ?空気読みなさいよね・・・?」

「・・・刃くん?頭突きしといてそれはないんじゃないかな?」

「なんでおまえらそんなに余裕があんだよ・・・!」

 人質な小学生じゃねーのかよ!?

「まぁいいや・・・。これから何が起きようとも絶対に声を荒げるなよ?というか寝てろ」

「・・・何するつもり?」

「刃くん・・・?」

「何って――

 

 

 

 

       帰るんだよ」

 

 

 

 

 

 

 そう言って俺は作りだした超小型ナイフでロープを切る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてさて、それじゃあ現状を――、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺して、魅せようか」

 

 

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