初めまして!浜谷です!
3月。
春の暖かな風が吹く朝。
4月から大学二年生になる浜谷琉は、ゲームセンター「ファンステージ 原町中央店」の前に立っていた。
「……よし。」
深呼吸を一つ。
自動ドアが開き、店内からゲーム機の電子音が聞こえてくる。
浜谷はゆっくりと店内へ足を踏み入れた。
そのまま、カウンターに向かう。
「お、おはようございます! 今日からお世話になる浜谷です! よろしくお願いします!」
白髪混じりの細身の男性スタッフに声を掛ける。
そのスタッフは笑いながら、
「今日からよろしくね。」
続けてインカムで、
「新人の子来ましたよー。」
そのまま事務所へ案内される。
すると、事務所の奥から明るい声が響く。
「おつかれさまぁ〜ず♪」
金髪の女性が笑顔で現れた。
店長・茂田千歌だった。
「浜谷くんだね!」
「よろしくニダ!」
浜谷は慌てて頭を下げる。
「浜谷琉です!」
「よろしくお願いします!」
その様子を見て茂田は笑う。
「そんなに緊張しなくて大丈夫。」
「みんな優しいから安心して!」
すると先ほどの男性スタッフが歩いてくる。
「石村です。」
副店長の石村正和だった。
「今日はいろいろ教えるから、一緒に頑張ろう。」
「よろしくお願いします!」
さらに、メダルコーナーから一人のベテランスタッフが歩いてくる。
「おぅ。」
山神冠。
その一言だけだった。
「よ、よろしくお願いします!」
「おぅ。」
浜谷は思わず小さく笑ってしまう。
(『おぅ』だけなんだ……。)
その隣では、一人の男性がゲーム機を開けて修理をしていた。
日村真也。
「了解です。」
修理の手を止めることなく軽く会釈する。
「よろしくお願いします!」
「アリガトゴザイマス。」
浜谷は心の中で思った。
(みんな全然タイプが違う……。)
その後も、
「よろしく頼む〜!」
と笑顔で迎えてくれた高崎。
「浜谷くん、よろしくね。」
と優しく声を掛ける相馬。
「大野です。よろしくお願いします。」
と穏やかに微笑む大野。
「藤屋です。」
と控えめに挨拶する藤屋。
「武藤です、よろしく!!」
と優しそうな武藤。
「大沼です!」
と元気いっぱいの大沼。
個性豊かなスタッフたちと次々に顔を合わせていった。
全員への挨拶が終わると、茂田が浜谷を店内へ案内する。
「ここがクレーンコーナー。」
「こっちがメダルコーナー。」
「イベントもいろいろやるよ。」
浜谷は目を輝かせながら店内を見渡す。
子どもたちの笑顔。
景品を取って喜ぶお客様。
ゲームセンターならではの賑やかな音。
(ここで働くんだ。)
自然と胸が高鳴る。
店内を歩いていると、茂田がふと思い出したように口を開く。
「あっ、そういえば。」
「学生アルバイトは浜谷くんだけじゃないんだ。」
浜谷は少し驚く。
「そうなんですか?」
石村が笑顔で続ける。
「大学四年生の先輩が一人いるよ。」
「今日はシフトじゃないけどね。」
茂田も笑う。
「そのうち会えると思うよ。」
「すごく優しい先輩だから。」
浜谷は少し安心したようにうなずく。
「楽しみです。」
その時。
茂田が浜谷の肩を軽く叩いた。
「浜谷くん。」
「今日からファンステージの仲間。」
「分からないことは何でも聞いて。」
浜谷は大きくうなずく。
「はい!」
「精一杯頑張ります!」
ゲーム機の電子音が店内に響く。
こうして一人の大学生と、個性豊かなスタッフたちとの物語が始まった。