休日。
仕事終わり。
阿佐野店メンバーは、近くのコンビニへ立ち寄っていた。
今日発売されたのは――
信濃路モンスターくじ。
「ついに今日ニダ!」
茂田は朝からこの日を楽しみにしていた。
「狙いはもちろん。」
「アチラノオク!」
浜谷が笑う。
「D賞のぬいぐるみですね。」
「絶対当てるニダ!」
樋口も目を輝かせる。
「私も引こうかなぁ……。」
「ナメトンノカワレのフィギュア欲しいです。」
細井も笑う。
「私はカァーッ!」
浜谷も負けじと言う。
「僕はウチバです。」
古坂は少し考えてから笑う。
「私はこの中だったら、ミョーチョージュクかな。」
店員が声を掛ける。
「何回引かれますか?」
茂田は迷わず答えた。
「とりあえず五回ニダ!」
店員がくじ箱を差し出す。
茂田は一枚目を引く。
ペリッ。
「A賞!」
「ナメトンノカワレフィギュアです!」
「違うニダー!」
茂田は頭を抱える。
しかし次の瞬間。
樋口を見る。
「樋口ちゃん。」
「はい!」
「ナメトンノカワレ好きだったニダ?」
「はい!」
「大好きです!」
茂田はフィギュアを差し出した。
「これ、あげるニダ。」
「えっ!?」
樋口は目を丸くする。
「いいんですか!?」
「もちろんニダ。」
樋口は両手で大事そうに受け取る。
「ありがとうございます!!」
「ナメトンノカワレだ!」
「やったぁ!」
推しを手にした樋口は大喜びだった。
二枚目。
ペリッ。
「B賞!」
「ウチバのぬいぐるみです!」
「また違うニダー!」
茂田は浜谷を見る。
「琉くん。」
「はい。」
「ウチバ好きだったニダ?」
「はい!」
「これ、あげるニダ。」
「ありがとうございます!」
浜谷は嬉しそうに受け取る。
「大切にします。」
三枚目。
ペリッ。
「C賞!」
「カァーッのぬいぐるみです!」
細井が思わず声を上げる。
「えっ!」
茂田は笑う。
「細井ちゃん、カァーッ好きだったニダ?」
「大好き!」
「持っていくニダ。」
「やったー!」
細井はぬいぐるみを抱きしめた。
四枚目。
ペリッ。
「E賞!」
「ミョーチョージュクのマグカップです!」
古坂が笑う。
「可愛い。」
茂田はマグカップを差し出す。
「冨美子、これ使うニダ。」
「ありがと!」
古坂も嬉しそうに受け取った。
みんなが推しグッズを手にして笑顔になる。
しかし。
茂田だけは肩を落としていた。
「なんで私だけ……。」
「アチラノオクが出ないニダ。」
それでも茂田は諦めない。
「もう一回ニダ!」
ペリッ。
ハズレ。
「もう一回!」
ペリッ。
また違う。
「もう一回ニダ!」
何度引いても。
D賞だけが出ない。
店員が心配そうに声を掛ける。
「もうやめた方がいいんじゃないですか?」
茂田は首を横に振る。
「諦めたらダメニダ!」
「今日は絶対アチラノオクを迎えるから!」
その姿を見ていた浜谷が静かに言った。
「茂田さん。」
「はい?」
「最後。」
「僕に引かせてください。」
「琉くん?」
浜谷はくじを一枚手に取る。
「絶対当てます。」
「お願いするニダ!」
みんなが固唾をのんで見守る。
浜谷はゆっくりとくじを開いた。
ペリッ。
店員が紙を見る。
数秒の沈黙。
そして――
「D賞です!」
「アチラノオクのぬいぐるみ、おめでとうございます!」
「やったぁぁぁぁ!!」
茂田は思わず飛び跳ねた。
「アチラノオクだニダー!」
ぬいぐるみを両手で抱きしめる。
「やっと会えたニダ……。」
その姿を見た浜谷たちも笑顔になる。
「良かったですね。」
「ありがとうニダ!」
茂田は嬉しそうにアチラノオクを見つめる。
「今日は一緒に寝るニダ。」
その一言に、全員が吹き出した。
コンビニには、温かな笑い声が響いていた。