午後の阿佐野店。
トラックから新しい景品が運び込まれてきた。
浜谷は段ボールを開ける。
「うわっ!」
思わず声が出た。
中に入っていたのは――
リアルなマシンガンの模型。
「すごい……。」
「知らずに見たら本物だと思いますよ。」
古坂も覗き込む。
「最近の景品ってよくできてるよね。」
「ですね。」
「細かいところまでリアルです。」
茂田も笑う。
「もちろん模型ニダ。」
「でもディスプレイしたら目立ちそうニダ。」
景品を倉庫へ運び、ディスプレイの準備が始まる。
浜谷はお客様の対応で売り場に戻る。
対応を終え、必要な備品を取りに、一人で倉庫へ入った。
「えーっと……。」
棚を探していると。
ガチャッ。
倉庫の奥から、一人の黒ずくめの人物がゆっくり現れた。
黒いスーツ。
黒いネクタイ。
黒いサングラス。
そして手には――
さっきのマシンガン。
「えっ……。」
浜谷は思わず後ずさる。
「だ、誰ですか……?」
黒ずくめの人物はゆっくりとマシンガンを構えた。
「……琉くん。」
聞き覚えのある声。
「はい……?」
「君は。」
少し間を置く。
「秘密を知りすぎたようだ。」
さらに一歩近付く。
「ここでいなくなってもらう。」
浜谷は真っ青になる。
「えぇぇぇぇぇっ!?」
思わず両手を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「僕、何も見てません!」
「何も知りません!」
数秒の沈黙。
黒ずくめの人物はゆっくりサングラスを外した。
「……ぷっ。」
「あははは!」
「古坂さん!?」
古坂は笑いながら肩を震わせる。
「ごめん、ごめん!」
「せっかくだから、ちょっと遊んでみた。」
浜谷はその場にしゃがみ込む。
「びっくりしたぁ……。」
「心臓止まるかと思いました。」
そこへ様子を見に来た茂田。
「何してるニダ?」
古坂は笑いながら模型を見せる。
「ちょっと遊んでました。」
茂田も苦笑いする。
「琉くん。」
「本気で信じてたニダ?」
浜谷は苦笑いしながら頷いた。
「だって、あまりにもリアルだったので……。」
古坂は箱を開け、中から専用スタンドを取り出す。
「これね。」
「景品として使うんじゃなくて。」
「ディスプレイ用なんだ。」
「なるほど。」
浜谷は安心したように笑った。
「だから箱から出すんですね。」
数分後。
クレーンゲームの中には、迫力満点のマシンガン模型が飾られた。
お客様も足を止める。
「すごい!」
「本物みたい!」
その様子を見た浜谷は思わず笑う。
「やっぱりびっくりしますよね。」
古坂はニヤリと笑う。
「琉くんほどじゃないけどね。」
「それは言わないでください!」
店内には、今日も笑い声が響いていた。