ようこそ!ゲームセンター『ファンステージ』へ!   作:君脇玲

109 / 116
マシンガンをぶっ放せ!

午後の阿佐野店。

 

トラックから新しい景品が運び込まれてきた。

 

浜谷は段ボールを開ける。

 

「うわっ!」

 

思わず声が出た。

 

中に入っていたのは――

 

リアルなマシンガンの模型。

 

「すごい……。」

 

「知らずに見たら本物だと思いますよ。」

 

古坂も覗き込む。

 

「最近の景品ってよくできてるよね。」

 

「ですね。」

 

「細かいところまでリアルです。」

 

茂田も笑う。

 

「もちろん模型ニダ。」

 

「でもディスプレイしたら目立ちそうニダ。」

 

景品を倉庫へ運び、ディスプレイの準備が始まる。

 

浜谷はお客様の対応で売り場に戻る。

 

対応を終え、必要な備品を取りに、一人で倉庫へ入った。

 

「えーっと……。」

 

棚を探していると。

 

ガチャッ。

 

倉庫の奥から、一人の黒ずくめの人物がゆっくり現れた。

 

黒いスーツ。

 

黒いネクタイ。

 

黒いサングラス。

 

そして手には――

 

さっきのマシンガン。

 

「えっ……。」

 

浜谷は思わず後ずさる。

 

「だ、誰ですか……?」

 

黒ずくめの人物はゆっくりとマシンガンを構えた。

 

「……琉くん。」

 

聞き覚えのある声。

 

「はい……?」

 

「君は。」

 

少し間を置く。

 

「秘密を知りすぎたようだ。」

 

さらに一歩近付く。

 

「ここでいなくなってもらう。」

 

浜谷は真っ青になる。

 

「えぇぇぇぇぇっ!?」

 

思わず両手を上げる。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

「僕、何も見てません!」

 

「何も知りません!」

 

数秒の沈黙。

 

黒ずくめの人物はゆっくりサングラスを外した。

 

「……ぷっ。」

 

「あははは!」

 

「古坂さん!?」

 

古坂は笑いながら肩を震わせる。

 

「ごめん、ごめん!」

 

「せっかくだから、ちょっと遊んでみた。」

 

浜谷はその場にしゃがみ込む。

 

「びっくりしたぁ……。」

 

「心臓止まるかと思いました。」

 

そこへ様子を見に来た茂田。

 

「何してるニダ?」

 

古坂は笑いながら模型を見せる。

 

「ちょっと遊んでました。」

 

茂田も苦笑いする。

 

「琉くん。」

 

「本気で信じてたニダ?」

 

浜谷は苦笑いしながら頷いた。

 

「だって、あまりにもリアルだったので……。」

 

古坂は箱を開け、中から専用スタンドを取り出す。

 

「これね。」

 

「景品として使うんじゃなくて。」

 

「ディスプレイ用なんだ。」

 

「なるほど。」

 

浜谷は安心したように笑った。

 

「だから箱から出すんですね。」

 

数分後。

 

クレーンゲームの中には、迫力満点のマシンガン模型が飾られた。

 

お客様も足を止める。

 

「すごい!」

 

「本物みたい!」

 

その様子を見た浜谷は思わず笑う。

 

「やっぱりびっくりしますよね。」

 

古坂はニヤリと笑う。

 

「琉くんほどじゃないけどね。」

 

「それは言わないでください!」

 

店内には、今日も笑い声が響いていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。