とある午後の阿佐野店。
浜谷はメダルコーナーを巡回していた。
メダルを補充し。
エラーがないか確認する。
お客様に声を掛けられれば笑顔で対応し、再び店内を歩く。
ふとカウンターを見ると、
茂田。
古坂。
細井。
三人が楽しそうに笑いながら話していた。
「それ違うって!」
「いやいや、絶対そうニダ!」
「もう茂田さんってば!」
笑い声が店内まで聞こえてくる。
浜谷は思わず笑ってしまう。
「楽しそうですね。」
三人が浜谷に気付く。
「琉くん!」
「どうしたの?」
浜谷は三人を見ながら笑う。
「皆さん見てたら思ったんですけど。」
「まるで阿佐野娘ですね。」
一瞬静まり返る。
そして。
「何それ!」
細井が吹き出す。
古坂も笑う。
「娘って。」
茂田も大笑い。
「面白いこと言うニダ!」
浜谷は照れ笑い。
「いや、皆さん仲良くて楽しそうだったので。」
「なんか、女子高生みたいなノリだなって。」
細井は笑いながら首を振る。
「女子高生は言い過ぎ!」
古坂も苦笑い。
「でも、毎日こんな感じかもね。」
茂田は笑顔で頷く。
「賑やかな方が楽しいニダ!」
「ありがとう。」
三人はまた笑い合った。
浜谷はそのまま巡回を続ける。
クレーンコーナー。
今度は高村。
大澤。
矢水。
三人が景品補充をしながら談笑していた。
高村が笑い。
矢水が笑い。
普段は寡黙な大澤も、小さく微笑んでいる。
浜谷は近寄る。
「皆さんも。」
「阿佐野娘ですね。」
「娘……?」
三人は顔を見合わせる。
高村が大笑いする。
「もうそんな年じゃないよー!」
矢水も笑う。
「娘はちょっと無理がありますね。」
大澤も小さく笑う。
「……娘。」
その一言だけで四人とも吹き出した。
浜谷は慌てる。
「あっ、違います!」
「そういう意味じゃなくて!」
「皆さん仲が良くて。」
「お店の雰囲気が明るいなって。」
高村は嬉しそうに頷く。
「それなら嬉しい!」
矢水も微笑む。
「笑顔はお客様にも伝わりますからね。」
大澤も静かに頷く。
「……うん。」
巡回へ戻る浜谷。
店内にはスタッフの笑い声。
お客様の笑顔。
子どもたちの歓声。
全部が自然と混ざり合っている。
浜谷は心の中で思う。
(阿佐野店って。)
(みんな本当によく笑うな。)
(だからお客様も笑顔になるんだ。)
カウンターではまた茂田たちの笑い声。
クレーンコーナーでは高村たちの笑い声。
その間を歩く浜谷も、いつの間にか笑顔になっていた。
「やっぱり。」
「阿佐野店っていいお店だな。」
そのつぶやきは、誰にも聞こえなかった。
けれど、その笑顔が何よりの答えだった。
その日も阿佐野店には、陽気なスタッフとお客様の笑い声が絶えることなく響き続けていた。