ようこそ!ゲームセンター『ファンステージ』へ!   作:君脇玲

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灯台下暗HE

ある日の阿佐野店。

 

メダルゲームコーナー。

 

「ピーッ!」

 

一台のメダルゲームがエラーを起こす。

 

浜谷が工具箱を持って駆け寄る。

 

「よし。」

 

「見てみるか。」

 

エラーコードを確認する。

 

原因はホッパー周辺らしい。

 

浜谷は筐体を開ける。

 

「うわぁ……。」

 

「これだいぶ分解しないといけないぞ。」

 

思わず苦笑いする。

 

その時。

 

浜谷は、原町中央店での日村との会話を思い出した。

 

――

 

日村が工具を片付けながら話していた。

 

「浜谷くん。」

 

「なるべく分解せずに直す。」

 

「それが店舗メンテナンス担当の仕事だからね。」

 

「どうしてもたくさん分解しないといけない時は、無理しなくていい。」

 

「そういう時は生田さんに任せればいい。」

 

「修理するために分解して、復旧できなかったら、元も子もないから。」

浜谷は頷いていた。

 

「分かりました。」

 

――

 

浜谷は目の前の筐体を見つめる。

 

「でも……。」

 

「ここを外せば。」

 

「ホッパーは出せる。」

 

「ホッパーさえ取り外せば原因がわかるはず。」

 

「必ず直す!」

 

意を決して作業を始める。

 

一本。

 

また一本。

 

慎重にネジを外していく。

 

ホッパーを取り外すと。

 

「……あ。」

 

メダルが一枚、内部ディスクに噛み込んでいた。

 

「原因これか!」

 

噛み込んだメダルを取り除く。

 

「よし!」

 

あとは元通りに組み直すだけ。

 

浜谷は一つひとつ確認しながらネジを締めていく。

 

しかし。

 

「……あれ?」

 

浜谷の手が止まる。

 

「一本足りない。」

 

ホッパーから伸びるレールを固定するネジが一本ない。

 

「えっ。」

 

筐体の下を見る。

 

床を見る。

 

ポケットを見る。

 

「やばいやばい!まずいやんけ!」

 

「ない!」

 

焦る浜谷。

 

そこへ茂田と大澤も駆けつける。

 

「どうしたニダ?」

 

「ネジが一本……。」

 

三人で床を探す。

 

工具の隙間。

 

筐体の下。

 

周囲を見回す。

 

それでも見つからない。

 

浜谷は深呼吸し、もう一度工具箱を開ける。

 

すると。

 

「あっ!」

 

工具箱の端に、小さなネジが転がっていた。

 

「ここにいたのか!」

 

浜谷は思わず笑う。

 

ネジを締め直し、電源を入れる。

 

エラー解除。

 

画面が正常に動き出した。

 

「直った!」

 

浜谷は大きく息を吐く。

 

その様子を見ていた大澤が笑いながら茂田に言う。

 

「彼。」

 

「なかなかやりますよ。」

 

「でも。」

 

「灯台下暗しなところがありますね。」

 

茂田はニヤリと笑う。

 

「灯台下暗HEだニダ!」

 

浜谷は苦笑い。

 

「うまいこと言わないでください!。」

 

三人は顔を見合わせて笑った。

 

今日も阿佐野店では、一つのエラーと、一つの笑いが無事に解決したのだった。

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