翌日。
浜谷は少し早めに出勤していた。
「おはようございます!」
事務所へ入ると、
「おつかれさまぁ〜ず♪」
茂田がいつもの笑顔で迎える。
「おはようニダ!」
石村も書類を整理しながら顔を上げる。
「おはよう。」
山神。
「おぅ。」
日村。
「了解です。」
浜谷も少しずつ緊張がほぐれてきていた。
⸻
着替えを終えると、高崎が小さな機械を手渡した。
「浜谷くん、今日はこれを付けてもらうよ〜。」
浜谷は機械を見つめる。
「これが……インカムですか。」
「そうそう。よろしく頼む〜。」
「最初は聞いてるだけで大丈夫だから。」
浜谷はイヤホンを耳につける。
すると突然、
『石村、向かいまーす。』
耳元から声が聞こえた。
「うわっ!」
思わず肩を震わせる。
その様子を見て石村が笑う。
「最初はみんなそうなるよ。」
⸻
店が開店する。
『お客様ご来店でーす。』
インカムから声が流れる。
しばらくすると、
『クレーン一件お願いしまーす。』
『メダル対応お願いしまーす。』
『景品補充お願いしまーす。』
『イベント五分前でーす。』
次々と飛び交うインカム。
浜谷は必死に内容を聞き取る。
(みんなこんなに連携して仕事をしてるんだ……。)
⸻
昼前。
茂田が浜谷を呼ぶ。
「浜谷くん!」
「今日はイベントもあるニダ!」
「イベントですか?」
店内中央には特設コーナーが設けられ、少しずつ親子連れが集まってくる。
茂田はマイクを握ると、一気に明るい声を響かせた。
「みなさーん!ファンステージ原町中央店へようこそー!」
店内中に笑顔が広がる。
浜谷も景品を持ちながら子どもたちを迎えた。
「こんにちは!」
最初はぎこちなかった。
それでも、
「ありがとう!」
「また来るね!」
子どもたちの笑顔を見るたびに、自然と緊張がほぐれていく。
(ゲームセンターって、遊ぶ場所だけじゃないんだ。)
(人を笑顔にする場所なんだ。)
そんなことを思いながら、浜谷も笑顔で景品を手渡した。
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イベント終了後。
大沼が笑顔で親指を立てる。
「大沼、大丈夫です!」
「子どもたち、すごく楽しそうでした!」
高崎も頷く。
「浜谷くん、初めてにしてはよかったよ〜。」
相馬が優しく微笑む。
「笑顔が良かったね。」
「ありがとうございます!」
浜谷は少し照れながら頭を下げた。
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閉店後。
静かになった事務所。
茂田が浜谷へ声を掛ける。
「初インカム、どうだったニダ?」
「最初はびっくりしました。」
「でも、みんながインカムで連携している理由が少し分かった気がします。」
石村が笑う。
「慣れれば自然と話せるようになるよ。」
山神。
「おぅ。」
日村。
「了解です。」
浜谷は今日一日を振り返る。
昨日は緊張でいっぱいだった。
だけど今日は少しだけ、この職場の一員になれた気がした。
ゲーム機の電子音が静かに止まり、店内の照明がゆっくりと落ちていく。
浜谷のゲームセンター「ファンステージ」での毎日は、まだ始まったばかりだった。
こんにちは。君脇です。
この話は大学時代にバイトしたゲームセンターをモデルに書きました。
時々実話。時々フィクション。
私の青春です。ぜひこれからも読んでください。