細井が原町中央店へ入社して一週間。
まだ覚えることは山ほどある。
それでも毎日、誰よりも早くメモ帳を開き、一つひとつ仕事を覚えていた。
朝礼。
「おつかれさまぁ〜ず!」
茂田の元気な声が事務所に響く。
「今日は細井ちゃん、イベントを中心にお願いね!」
「はい!」
細井は元気よく返事をした。
その姿を見て、高崎が笑う。
「返事がいいねぇ。」
武藤もうなずく。
「じゃあ今日は一人でやってみようか。」
「もちろん分からなくなったら聞いてね。」
「お願いします!」
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営業が始まる。
細井はイベントコーナーで景品を補充していた。
「これで見やすいかな……。」
少し離れて確認し、また並べ直す。
その様子を見た相馬が微笑んだ。
「細井ちゃん。」
「はい!」
「すごく丁寧だね。」
「ありがとうございます。」
「でも、お客様が待ってるときは少しスピードも意識してみよう。」
「はい!」
細井はすぐにメモを取る。
「本当に真面目だねぇ。」
相馬は優しく笑った。
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その頃。
浜谷はクレーンゲームを巡回していた。
遠くで一生懸命働く細井を見る。
(頑張ってるな。)
去年の今頃は、自分も毎日失敗ばかりだった。
景品補充も接客も分からず、そのたびに先輩たちに助けてもらった。
今では、自分にも後輩がいる。
少しだけ、不思議な気持ちだった。
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昼頃。
「すみません!」
細井はお客様に呼ばれた。
「景品が取れないんですけど……。」
「はい!」
細井はクレーンを確認する。
しかし、どう対応するべきか迷ってしまった。
そこへ浜谷がやって来る。
「細井さん。」
「一緒に確認しましょう。」
「はい。」
二人で景品の位置を見る。
「これはアシスト対応ですね。」
浜谷はルール通りに景品の位置を調整した。
「これで大丈夫です。」
お客様は笑顔で戻っていく。
「ありがとうございました。」
細井はほっと息をついた。
「ありがとう、浜谷くん。」
浜谷は少し照れながら笑う。
「僕も最初は何も分かりませんでした。」
「困ったらいつでも呼んでください。」
「うん!」
年齢は細井の方が上。
職場では浜谷の方が先輩。
二人らしい距離感は、少しずつ自然なものになっていた。
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午後。
「細井ちゃん。」
石村が声をかける。
「この景品、並べてみようか。」
「はい!」
石村は景品の向きや高さを少し変える。
「同じ景品でも、置き方一つで取りたくなるんだ。」
「なるほど……。」
細井は感心したように何度もうなずいた。
「細井ちゃんは覚えるのが早いな。」
「ありがとうございます!」
そのやり取りを見ていた高崎が笑う。
「石村氏、褒めるの珍しい!」
「そんなことない。」
石村は少し照れくさそうに笑った。
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閉店後。
「お疲れさまでした!」
細井が深く頭を下げる。
茂田が笑顔で近付いた。
「細井ちゃん!」
「今日すごく頑張ってたね!」
「ありがとうございます!」
武藤もうなずく。
「最初は失敗して当たり前。」
「でも細井ちゃんはちゃんと聞けるから大丈夫。」
相馬も優しく続ける。
「焦らず一歩ずつ覚えていこうね。」
「はい!」
山神が静かに口を開く。
「おぅ。」
その一言に、事務所のみんなが笑った。
浜谷も笑顔で細井を見る。
「細井さん。」
「これからも一緒に頑張りましょう。」
細井も笑顔で答える。
「うん!」
「よろしくね、浜谷くん。」
新しい仲間が加わり、一週間。
原町中央店にはまた一つ、新しい日常が増えていくのだった。