細井の異動から2週間。
閉店後。
「おつかれさまぁ〜ず!」
茂田が事務所へ入ってくるなり、大きな声を上げた。
「みんなー!」
「遅れたけど、今日はお盆お疲れさま会やるよー!」
「焼肉ー!」
「やったー!」
大沼が思わず拍手する。
高崎も笑顔になる。
「お肉だー!」
山神は静かに一言。
「おぅ。」
日村もインカムを外しながら、
「アリガトゴザイマス。」
と小さくつぶやいた。
参加メンバーは九人。
茂田、山神、高崎、浜谷、日村、大沼、武藤、相馬、そして大倉。
仕事を終えた九人は近くの焼肉店へ向かった。
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「かんぱーい!」
ジョッキとグラスが一斉にぶつかる。
「お盆営業、お疲れさまでした!」
店内に笑い声が響く。
茂田はさっそく肉を焼き始める。
「いっぱい食べるニダ!」
「しげちゃん、それまだ生!」
高崎が笑いながらツッコむ。
「えへへ。」
武藤も笑う。
「相変わらずだねぇ。」
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「琉くん。」
相馬が浜谷へ声をかける。
「今年のお盆、本当に頑張ってたね。」
「ありがとうございます。」
「去年とは全然違った。」
武藤もうなずく。
「動きに余裕があったもん。」
浜谷は照れくさそうに笑った。
「去年は本当に必死だったので……。」
「今年は少しだけ周りが見えた気がします。」
相馬は優しく笑う。
「それが成長だよ。」
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向かいの席では、高崎と山神が肉を焼いている。
「山神さん!」
「それ焦げる!」
「おぅ。」
返事だけは落ち着いているが、肉はしっかり焼きすぎだった。
「もう真っ黒じゃん!」
高崎が笑う。
山神も少しだけ笑った。
「おぅ。」
その様子を見て全員が吹き出した。
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日村は静かに肉を焼いていた。
浜谷が隣へ座る。
「日村さん。」
「メンテ、本当にお疲れさまでした。」
日村は少し照れながら答える。
「アリガトゴザイマス。」
「お盆は修理、多かったです。」
「でも。」
「みんな動いてくれたので助かりました。」
浜谷はうれしそうに笑った。
「こちらこそです。」
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その頃。
茂田は大倉の隣へ座っていた。
「先生!」
「今年どうでした?」
大倉はコップを置いて笑う。
「去年のお盆より安心して見ていられたよ。」
「特に琉くん。」
突然名前を呼ばれ、浜谷は姿勢を正す。
「はい!」
「去年は指示を待つ場面が多かった。」
「でも今年は、自分から動けていた。」
「それが一番良かった。」
浜谷は少し照れながら頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「でも、それは皆さんのおかげです。」
石村や藤屋、相馬、高崎、山神、日村……。
今まで教えてくれた先輩たちの顔が浮かぶ。
「まだまだ勉強中です。」
大倉は満足そうにうなずいた。
「その気持ちを忘れなければ大丈夫だ。」
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食事も終盤。
茂田が立ち上がる。
「みんな!」
「本当にお疲れさまでした!」
「今年も無事にお盆を乗り切れたのは、みんなのおかげ!」
「シーユーアゲイン!」
「かんぱーい!」
最後にもう一度、全員でグラスを合わせた。
焼肉の香りと笑い声に包まれた時間。
忙しい毎日だからこそ、仲間と過ごす何気ないひとときが、何よりのご褒美だった。
浜谷はそんな仲間たちを見渡しながら、小さく笑う。
(この店で働けて、本当に良かった。)
そう思えた夜だった。