ようこそ!ゲームセンター『ファンステージ』へ!   作:君脇玲

34 / 222
お盆お疲れ様焼肉会

細井の異動から2週間。

 

閉店後。

 

「おつかれさまぁ〜ず!」

 

茂田が事務所へ入ってくるなり、大きな声を上げた。

 

「みんなー!」

 

「遅れたけど、今日はお盆お疲れさま会やるよー!」

 

「焼肉ー!」

 

「やったー!」

 

大沼が思わず拍手する。

 

高崎も笑顔になる。

 

「お肉だー!」

 

山神は静かに一言。

 

「おぅ。」

 

日村もインカムを外しながら、

 

「アリガトゴザイマス。」

 

と小さくつぶやいた。

 

参加メンバーは九人。

 

茂田、山神、高崎、浜谷、日村、大沼、武藤、相馬、そして大倉。

 

仕事を終えた九人は近くの焼肉店へ向かった。

 

⸻

 

「かんぱーい!」

 

ジョッキとグラスが一斉にぶつかる。

 

「お盆営業、お疲れさまでした!」

 

店内に笑い声が響く。

 

茂田はさっそく肉を焼き始める。

 

「いっぱい食べるニダ!」

 

「しげちゃん、それまだ生!」

 

高崎が笑いながらツッコむ。

 

「えへへ。」

 

武藤も笑う。

 

「相変わらずだねぇ。」

 

⸻

 

「琉くん。」

 

相馬が浜谷へ声をかける。

 

「今年のお盆、本当に頑張ってたね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「去年とは全然違った。」

 

武藤もうなずく。

 

「動きに余裕があったもん。」

 

浜谷は照れくさそうに笑った。

 

「去年は本当に必死だったので……。」

 

「今年は少しだけ周りが見えた気がします。」

 

相馬は優しく笑う。

 

「それが成長だよ。」

 

⸻

 

向かいの席では、高崎と山神が肉を焼いている。

 

「山神さん!」

 

「それ焦げる!」

 

「おぅ。」

 

返事だけは落ち着いているが、肉はしっかり焼きすぎだった。

 

「もう真っ黒じゃん!」

 

高崎が笑う。

 

山神も少しだけ笑った。

 

「おぅ。」

 

その様子を見て全員が吹き出した。

 

⸻

 

日村は静かに肉を焼いていた。

 

浜谷が隣へ座る。

 

「日村さん。」

 

「メンテ、本当にお疲れさまでした。」

 

日村は少し照れながら答える。

 

「アリガトゴザイマス。」

 

「お盆は修理、多かったです。」

 

「でも。」

 

「みんな動いてくれたので助かりました。」

 

浜谷はうれしそうに笑った。

 

「こちらこそです。」

 

⸻

 

その頃。

 

茂田は大倉の隣へ座っていた。

 

「先生!」

 

「今年どうでした?」

 

大倉はコップを置いて笑う。

 

「去年のお盆より安心して見ていられたよ。」

 

「特に琉くん。」

 

突然名前を呼ばれ、浜谷は姿勢を正す。

 

「はい!」

 

「去年は指示を待つ場面が多かった。」

 

「でも今年は、自分から動けていた。」

 

「それが一番良かった。」

 

浜谷は少し照れながら頭を下げた。

 

「ありがとうございます。」

 

「でも、それは皆さんのおかげです。」

 

石村や藤屋、相馬、高崎、山神、日村……。

 

今まで教えてくれた先輩たちの顔が浮かぶ。

 

「まだまだ勉強中です。」

 

大倉は満足そうにうなずいた。

 

「その気持ちを忘れなければ大丈夫だ。」

 

⸻

 

食事も終盤。

 

茂田が立ち上がる。

 

「みんな!」

 

「本当にお疲れさまでした!」

 

「今年も無事にお盆を乗り切れたのは、みんなのおかげ!」

 

「シーユーアゲイン!」

 

「かんぱーい!」

 

最後にもう一度、全員でグラスを合わせた。

 

焼肉の香りと笑い声に包まれた時間。

 

忙しい毎日だからこそ、仲間と過ごす何気ないひとときが、何よりのご褒美だった。

 

浜谷はそんな仲間たちを見渡しながら、小さく笑う。

 

(この店で働けて、本当に良かった。)

 

そう思えた夜だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。