1月中旬。
クリスマス・年末年始も終わり、店内は少しだけ落ち着きを取り戻していた。
浜谷は景品倉庫で新しい景品の入荷作業をしていた。
段ボールを開け、景品を棚へ並べていると、倉庫のドアが開く。
「琉くーん。」
「おつかれさまぁ〜ず。」
茂田だった。
「お疲れさまです。」
茂田も一緒に景品を運び始める。
しばらく無言で作業をしていると、茂田がぽつりと話し始めた。
「木乃香ちゃんさ。」
「なんか冨美子に似てない?」
浜谷は少し考えてから笑う。
「あぁ、分かります。」
「雰囲気ありますよね。」
「真面目だし。」
茂田もうなずく。
「このまま長く続けてくれたらいいなぁ。」
浜谷は冗談交じりに言う。
「でも古坂さんに似てたら、阿佐野店に行っちゃうかもしれませんよ。」
「あははは!」
茂田は大笑いした。
「確かに!」
「細井ちゃんもそうだったしね!」
二人は顔を見合わせて笑う。
少し間を置いて、茂田が浜谷を見る。
「そういえばさ。」
「琉くん。」
「阿佐野店って気になる?」
浜谷は少し驚いた。
「え?」
「気になります。」
「古坂さんもいますし、細井さんもいますし。」
「どんなお店なんだろうって。」
茂田はニヤリと笑う。
「私も兼任店長だから、向こうにも結構いるんだけどね。」
「そうですよね。」
「たまに阿佐野店の日は、原町がちょっと静かに感じます。」
「でしょ?」
「阿佐野も面白いよ。」
茂田は段ボールを畳みながら何気なく続けた。
「実はさ。」
「来月、人が足りない日があるんだよね。」
「え?」
「行ってみる?」
浜谷の動きが止まる。
「……え?」
「異動ですか?」
茂田は吹き出した。
「あははは!」
「違う違う!」
「そんな急に異動しないって!応援ニダ!」
浜谷は胸をなで下ろす。
「びっくりしました……。」
「一日だけの応援。」
「冨美子も細井ちゃんも、琉くんに会いたがってるし。」
その言葉を聞き、浜谷の表情が少し明るくなった。
「お二人とも元気なんですか?」
「元気元気。」
「相変わらず頑張ってるよ。」
浜谷は少し安心したように笑う。
久しぶりに二人へ会える。
それだけでも少し楽しみだった。
「どう?」
「行ってみる?」
浜谷は少し考えたあと、大きくうなずく。
「お願いします。」
「僕、行ってみたいです。」
茂田は満足そうに笑った。
「よし、決まり!」
「向こうのみんなにも伝えとくね。」
「はい!」
景品を棚へ戻しながら、浜谷は胸の高鳴りを感じていた。
原町中央店しか知らない自分。
初めて働く別の店舗。
久しぶりに会う古坂と細井。
そして、まだ会ったことのない阿佐野店のスタッフたち。
浜谷の新しい一日が始まろうとしていた。