一月下旬。
浜谷にとって、初めての阿佐野店への応援の日がやってきた。
朝。
原町中央店ではなく、見慣れない阿佐野店の駐車場に立つ。
「……緊張するな。」
そうつぶやきながら自動ドアをくぐる。
「おはようございます!」
店内へ入ると、聞き慣れた声が飛んできた。
「おっ!」
「琉くん!」
茂田だった。
今日は阿佐野店の店長として勤務している。
「おはよう!」
「ちゃんと来れたね!」
「はい!」
「ちょっとだけ道に迷いました。」
「やっぱり。」
茂田は笑った。
「まぁ、とりあえず。」
「阿佐野店へようこそ!」
⸻
事務所へ入ると、そこには懐かしい顔があった。
「浜谷くん!」
「お久しぶり!」
古坂だった。
「ご無沙汰してます!」
さらに、
「浜谷くん!」
細井も笑顔で手を振る。
「お久しぶりです!」
久しぶりの再会に自然と笑顔になる。
「二人とも元気そうですね。」
「元気元気!」
「阿佐野にも慣れたよ。」
茂田はその様子を見て満足そうに笑う。
「やっぱり知ってる人がいると安心するでしょ?」
「はい。」
「かなり安心しました。」
⸻
「じゃあ紹介するね。」
茂田の一声でスタッフが集まる。
「今日、原町中央店から応援に来てくれた浜谷琉くん!」
浜谷は頭を下げる。
「よろしくお願いします!」
高村、矢水、樋口、大澤もそれぞれ自己紹介する。
全員が笑顔で迎えてくれた。
自己紹介が終わったあと、浜谷はふと気付く。
「あれ……。」
「どうしたの?」
茂田が尋ねる。
「阿佐野店って……。」
「僕以外、みんな女性なんですね。」
その瞬間、事務所が笑いに包まれた。
「あ、今気付いた?」
と矢水。
古坂も笑う。
「そうなの。」
「女ばっかりのお店。」
茂田もうなずく。
「だから琉くんが来るって聞いた時、みんな『男の子来るんだ!』って話してたんだよ。」
浜谷は少し照れながら笑った。
「なんか緊張しますね。」
「そのうち慣れるよ。」
高村が優しく微笑んだ。
⸻
開店後。
仕事自体は原町中央店と大きく変わらない。
しかし、景品補充へ向かい倉庫へ入った瞬間、浜谷は思わず声を漏らした。
「えっ。」
「倉庫、小さい!」
古坂が笑う。
「でしょ?」
「原町中央店の半分くらいしかないから。」
「だから置き方も工夫してるんだよ。」
浜谷は棚を見渡す。
限られたスペースに景品がきれいに整理されている。
「すごい……。」
「これなら場所もすぐ覚えられそうですね。」
「その代わり、すぐいっぱいになるけどね。」
細井が苦笑いする。
「確かに。」
原町中央店とは違う。
同じ会社でも、店によってこんなに特徴が違うのか。
浜谷は新鮮な気持ちで倉庫を見回した。
新しい仲間。
新しい環境。
そして、女性だけの阿佐野店。
浜谷の新しい一日は、まだ始まったばかりだった。