阿佐野店での初めての勤務を終えた浜谷。
閉店後。
店内には営業中の賑やかさはなく、BGMだけが静かに流れていた。
スタッフたちは後片付けをしながら、今日一日を振り返っている。
「浜谷くん。」
古坂がレジを締めながら声を掛けた。
「今日は助かったよ。」
「本当ですか?」
「うん。」
「原町にいた頃より、ずっと動けるようになったね。」
浜谷は少し照れ笑いを浮かべる。
「ありがとうございます。」
「でも、まだ阿佐野店は分からないことばかりです。」
すると細井が笑う。
「最初は私もそうだったよ。」
「阿佐野店って原町とは結構違うから。」
「慣れれば大丈夫!」
「ありがとうございます。」
その言葉に浜谷も自然と笑顔になった。
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事務所へ戻ると、高村がお茶を配っていた。
「浜谷さん、お疲れさまでした。」
「今日は本当にありがとうございました。」
「こちらこそありがとうございました。」
「皆さんのおかげで助かりました。」
矢水も笑顔で続ける。
「応援って聞いてたけど、全然そんな感じしなかったよ!」
「普通に阿佐野店のスタッフだった。」
樋口もうなずく。
「また一緒に働きたいですね。」
「ありがとうございます。」
浜谷は少し照れながら頭を下げた。
その横で、大澤が短く口を開く。
「仕事、丁寧。」
それだけだった。
けれど、その一言が浜谷には何よりもうれしかった。
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スタッフが帰る準備を始める頃。
「琉くん。」
茂田が声を掛ける。
「ちょっと景品倉庫いい?」
「はい。」
二人は昼間何度も出入りした小さな景品倉庫へ向かった。
昼間とは違い、静まり返った倉庫。
茂田は棚を見ながら話し始める。
「今日はどうだったニダ?」
「最初は緊張しました。」
「でも、皆さん優しくて。」
「すごく働きやすかったです。」
「原町とは違う雰囲気で、新鮮でした。」
茂田は満足そうにうなずく。
「それならよかった。」
少し間を空ける。
「実はね。」
「今日だけじゃなくて。」
「これからもしばらく、阿佐野店を手伝ってほしいんだ。」
浜谷は目を丸くした。
「え……。」
「一日だけじゃなかったんですか?」
「最初はそのつもりだったんだけどね。」
「今日のみんなの反応もすごく良かったし。」
「人手のことも考えて、しばらく琉くんに来てもらいたい。」
浜谷は少し黙り込む。
一日だけの応援。
そう思っていた。
まさか、このまま阿佐野店で働くことになるとは思っていなかった。
頭の中に原町中央店のみんなの顔が浮かぶ。
石村。
山神。
高崎。
藤屋。
相馬。
大沼。
川原。
一緒に働いてきた仲間たち。
少し寂しい気持ちはあった。
しかし、それ以上に新しい環境で頑張りたいという気持ちも大きくなっていた。
浜谷はゆっくりと顔を上げる。
「僕でよければ。」
「よろしくお願いします。」
茂田は安心したように笑った。
「ありがとう。」
「助かるよ。」
「私も兼任だから、向こうでもこっちでもよろしくね。」
「はい!」
二人は笑い合った。
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帰り際。
浜谷はもう一度、阿佐野店の店内を見渡した。
朝は緊張しかなかったこの場所。
たった一日で、少しだけ居場所になった気がする。
ここで、どんな仲間と出会い。
どんな経験を重ねていくのだろう。
期待を胸に、浜谷は静かに店を後にした。
こうして浜谷の新しい日々は、“応援”ではなく、阿佐野店の一員として始まるのだった。