教育実習が始まって数日。
慣れない授業づくりと教材研究に追われる毎日。
その夜、浜谷は疲れ切ったまま布団へ入った。
「明日も頑張らないとな……。」
そうつぶやくと、すぐに深い眠りへ落ちていった。
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翌朝。
「おはようございます!」
浜谷はいつものように出勤した。
しかし、店の前で思わず足を止める。
「……え?」
看板には大きくこう書かれていた。
『ゲームセンター ファンステージ 原町中央・阿佐野合同店』
「合同店……?」
浜谷は首をかしげながら店内へ入る。
すると——
「おはようございまーす!」
茂田の元気な声が響く。
「おぅ。」
山神もいる。
「石村、向かいまーす!」
石村もいる。
「オハヨウゴザイマァス。」
日村までいる。
「よろしく頼む〜!」
高崎。
「藤屋、お先、失礼します。」
まだ出勤したばかりなのに、藤屋はいつもの口癖。
「相馬です、おはよう。」
相馬も笑顔だ。
その隣には——
「浜谷くん、おはよう。」
高村。
「浜谷さん!」
矢水。
「おはようございます。」
大澤。
「浜谷くん!」
樋口。
「琉くん!」
古坂。
さらに細井までいた。
「えぇぇぇぇ!?」
浜谷は思わず叫ぶ。
「なんで全員いるんですか!?」
事務所は大爆笑だった。
⸻
茂田が胸を張る。
「今日から合同店ニダ!」
石村も腕を組む。
「人数、多すぎじゃない?」
「休憩室入らねぇぞ。」
山神が笑う。
「おぅ。」
「賑やかでいいべ。」
その頃。
店内アナウンスが流れる。
『本日はスタッフ総勢十五名で営業しております。』
浜谷は苦笑い。
「いや、多すぎますよ……。」
⸻
営業開始。
すると茂田が叫ぶ。
「琉くん!」
「クレーンお願い!」
「はい!」
走り出そうとした瞬間。
「浜谷くん!」
石村が呼ぶ。
「メダルもお願い!」
「えっ!?」
さらに。
「浜谷さん!」
矢水。
「イベントのお客様です!」
「浜谷くん!」
樋口。
「景品補充お願いします!」
「浜谷さん。」
大澤。
「メンテナンスもお願いします。」
「琉くん!」
古坂。
「レジお願い!」
次から次へとインカムが鳴る。
「無理ですーーー!!」
浜谷は店内を全力で走り回る。
⸻
その様子を見た日村が一言。
「……。」
「アリガトゴザイマス。」
石村は笑いながら言う。
「ヒム、それ違うだろ。」
高崎は腹を抱えて笑う。
「浜谷くん、人気者だねぇ!」
茂田まで笑い始める。
「琉くん、全部お願いニダ!」
「だから無理ですって!」
⸻
そんな中——
突然、店内のすべてのメダルゲームが一斉にエラー。
ピーピーピーピー!!
クレーンゲームも全部停止。
「えぇぇぇぇぇ!?」
浜谷は頭を抱える。
「こんなの一人じゃ無理ですよ!」
その瞬間。
全員が一斉に浜谷を見る。
「浜谷くん。」
「頼んだ。」
「浜谷さん。」
「お願いします。」
「琉くん。」
「ファイト!」
浜谷は叫んだ。
「誰か手伝ってくださいーーー!!」
⸻
「……はっ!」
浜谷は勢いよく目を覚ました。
時計を見る。
朝六時。
「あ、夢か……。」
胸をなで下ろす。
「合同店なんて、めちゃくちゃだったな……。」
そう笑いながら支度を始める浜谷。
その日も教育実習へ向かうのだった。