ようこそ!ゲームセンター『ファンステージ』へ!   作:君脇玲

72 / 92
愉快な2人

阿佐野店での応援勤務もすっかり板についてきた浜谷。

 

その中でもよく話すのが、細井だった。

 

カウンター業務の合間。

 

二人は景品補充を待ちながら他愛もない話をしていた。

 

「そういえば浜谷くん、この前休みの日何してたの?」

 

「なーんもしてません。」

 

「えー、もったいない!」

 

「細井さんは?」

 

「パチンコ!」

 

「さすがです。」

 

そんな何気ない会話が増え、浜谷も以前ほどかしこまらなくなっていた。

 

「でも細井さん、また負けたんでしょ?」

 

「失礼だなー!」

 

細井は笑いながら浜谷の肩を軽く叩く。

 

「そんな冗談ばかり言ってたら殴るよ!」

 

浜谷も笑い返した。

 

「一発だけですよ!」

 

細井は腕まくりをする真似をして言う。

 

「大丈夫、一発で仕留めるから!」

 

「怖っ!」

 

二人は顔を見合わせ、大笑いした。

 

「わはははは!」

 

その様子を見ていた樋口が笑う。

 

「今日も仲良しだねぇ。」

 

高村もうなずく。

 

「この二人、話し始めると止まらないんだから。」

 

矢水も笑いながら加わる。

 

「原町中央店にいた頃からこんな感じだったんですよね?」

 

細井が得意げに答える。

 

「そうです!」

 

「浜谷くん、最初はすっごく真面目だったんですけど!」

 

「今はちゃんと冗談も返してくれるようになった!」

 

浜谷は苦笑いする。

 

「細井さんが冗談ばっかり言うからですよ。」

 

「えー? 私のせい?」

 

「半分くらいは。」

 

「半分なんだ!」

 

また二人は笑い合う。

 

その様子を見ていた樋口が小さくつぶやいた。

 

「やっぱり、いいコンビだね。」

 

その日の午後。

 

浜谷はクレーンゲームの内部を開け、センサーの調整をしていた。

 

「うーん……。」

 

配線を確認しながら慎重に作業を進める。

 

すると後ろからひょこっと細井が顔を出した。

 

「浜谷くん!」

 

「なーにしてんの?」

 

「修理ですよ。」

 

「へぇ〜。」

 

興味津々に中をのぞき込む細井。

 

「すごいね。」

 

「こんな中身になってるんだ。」

 

「意外と複雑なんですよ。」

 

「ふーん。」

 

数秒眺めていた細井は、突然言った。

 

「早く終わらせて!」

 

浜谷は思わず顔を上げる。

 

「なんでそんなこと言うんですか!」

 

「だって暇なんだもん!」

 

「正直!」

 

「早く終わったら喋れるじゃん!」

 

その一言に浜谷は思わず笑ってしまう。

 

「もう少し待ってください。」

 

「はーい。」

 

細井は素直に返事をすると、近くの景品を整え始めた。

 

浜谷は再び工具を手に取る。

 

(こういう何気ない時間も悪くないな。)

 

以前は緊張していた阿佐野店。

 

今では自然と笑い合える仲間が増えていた。

 

修理が終わると、細井がすぐに駆け寄ってくる。

 

「終わった?」

 

「終わりました。」

 

「お疲れさま!」

 

満面の笑顔で親指を立てる細井。

 

浜谷も笑顔で応えた。

 

「ありがとうございます。」

 

そんな二人を見て、高村が小さく笑う。

 

「やっぱり、この二人はいいコンビね。」

 

樋口も優しくうなずいた。

 

「見てるこっちまで笑顔になるよ。」

 

浜谷と細井は顔を見合わせ、少し照れくさそうに笑った。

 

阿佐野店での毎日は、今日も笑い声とともに過ぎていくのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。