阿佐野店での応援勤務もすっかり板についてきた浜谷。
その中でもよく話すのが、細井だった。
カウンター業務の合間。
二人は景品補充を待ちながら他愛もない話をしていた。
「そういえば浜谷くん、この前休みの日何してたの?」
「なーんもしてません。」
「えー、もったいない!」
「細井さんは?」
「パチンコ!」
「さすがです。」
そんな何気ない会話が増え、浜谷も以前ほどかしこまらなくなっていた。
「でも細井さん、また負けたんでしょ?」
「失礼だなー!」
細井は笑いながら浜谷の肩を軽く叩く。
「そんな冗談ばかり言ってたら殴るよ!」
浜谷も笑い返した。
「一発だけですよ!」
細井は腕まくりをする真似をして言う。
「大丈夫、一発で仕留めるから!」
「怖っ!」
二人は顔を見合わせ、大笑いした。
「わはははは!」
その様子を見ていた樋口が笑う。
「今日も仲良しだねぇ。」
高村もうなずく。
「この二人、話し始めると止まらないんだから。」
矢水も笑いながら加わる。
「原町中央店にいた頃からこんな感じだったんですよね?」
細井が得意げに答える。
「そうです!」
「浜谷くん、最初はすっごく真面目だったんですけど!」
「今はちゃんと冗談も返してくれるようになった!」
浜谷は苦笑いする。
「細井さんが冗談ばっかり言うからですよ。」
「えー? 私のせい?」
「半分くらいは。」
「半分なんだ!」
また二人は笑い合う。
その様子を見ていた樋口が小さくつぶやいた。
「やっぱり、いいコンビだね。」
その日の午後。
浜谷はクレーンゲームの内部を開け、センサーの調整をしていた。
「うーん……。」
配線を確認しながら慎重に作業を進める。
すると後ろからひょこっと細井が顔を出した。
「浜谷くん!」
「なーにしてんの?」
「修理ですよ。」
「へぇ〜。」
興味津々に中をのぞき込む細井。
「すごいね。」
「こんな中身になってるんだ。」
「意外と複雑なんですよ。」
「ふーん。」
数秒眺めていた細井は、突然言った。
「早く終わらせて!」
浜谷は思わず顔を上げる。
「なんでそんなこと言うんですか!」
「だって暇なんだもん!」
「正直!」
「早く終わったら喋れるじゃん!」
その一言に浜谷は思わず笑ってしまう。
「もう少し待ってください。」
「はーい。」
細井は素直に返事をすると、近くの景品を整え始めた。
浜谷は再び工具を手に取る。
(こういう何気ない時間も悪くないな。)
以前は緊張していた阿佐野店。
今では自然と笑い合える仲間が増えていた。
修理が終わると、細井がすぐに駆け寄ってくる。
「終わった?」
「終わりました。」
「お疲れさま!」
満面の笑顔で親指を立てる細井。
浜谷も笑顔で応えた。
「ありがとうございます。」
そんな二人を見て、高村が小さく笑う。
「やっぱり、この二人はいいコンビね。」
樋口も優しくうなずいた。
「見てるこっちまで笑顔になるよ。」
浜谷と細井は顔を見合わせ、少し照れくさそうに笑った。
阿佐野店での毎日は、今日も笑い声とともに過ぎていくのだった。