――この街には。
毎日、多くの笑顔が集まる場所がある。
ゲームセンター。
しかし、その裏では数々の”事件”が起きている。
景品が取れない。
メダルが詰まる。
クレーンゲームが止まる。
その最前線で戦う者たちがいる。
これはその者たちの戦いの物語――。
⸻
午前9時50分。
ファンステージ阿佐野店。
一人の男が店へ入っていく。
浜谷、21歳。
大学へ通いながらゲームセンターで働くスタッフ。
現在、メンテナンス担当として修行中。
今日も現場へ向かう。
「おはようございます。」
「おはよう。」
先に出勤していた細井が迎える。
「今日は平和だといいね。」
「そうですね。」
しかし――。
その願いは、わずか十分で崩れる。
『浜谷くん。』
インカムが鳴る。
古坂だ。
『クレーンゲーム、一台止まっちゃった。』
「了解です。」
浜谷は現場へ急ぐ。
故障したのは人気景品機。
休日ということもあり、多くのお客様が見守る。
扉を開ける。
原因確認。
エラーコード確認。
リセット。
正常復帰。
「お待たせしました。」
遊べるようになった筐体を見て、お客様は再び笑顔になる。
しかし。
休む暇はない。
『浜谷くん。』
今度は大澤。
『メダルゲーム、詰まりました。』
「了解です!」
浜谷は工具箱を持ち、メダルコーナーへ走る。
メダルを取り除き、詰まりを解消。
動作確認。
「復旧しました。」
また一つ、“事件”が解決した。
だが。
次の通報が入る。
『浜谷くん。』
『景品補充お願い。』
今度は樋口からだった。
「了解です。」
倉庫から景品を運び、補充を行う。
店内を歩けば、
「すみません。」
「景品が寄りません。」
「取り方教えてください。」
次々と声が掛かる。
浜谷は一人ひとり丁寧に対応する。
ゲームセンターにあるのは機械だけではない。
人と人との会話も、この仕事の大切な一部だ。
午後3時。
ようやく一息ついた、その時。
細井が近づいてくる。
「浜谷くん。」
「はい?」
「休憩。」
「了解です。」
バックヤードで椅子に座る浜谷。
麦茶を一口飲み、小さく息をつく。
「疲れた?」
細井が笑う。
「ちょっとだけです。」
「でも。」
「嫌じゃないです。」
その言葉に細井は笑顔でうなずいた。
「立派になったね。」
午後5時。
営業はまだ続く。
店内では子どもたちの笑い声。
景品を取って喜ぶ家族。
友人同士で盛り上がる学生たち。
その笑顔を支えるため、今日もスタッフたちは店内を走り続ける。
――ゲームセンター。
そこは遊ぶ場所であると同時に、スタッフたちにとっては毎日が本番の現場でもある。
エラー。
接客。
補充。
清掃。
どれ一つ欠けても、お客様は安心して遊べない。
だから彼らは今日も現場へ向かう。
笑顔を守るために。
そして明日もまた、新たな”事件”を解決するために――。
「ハマとホソ〜ゲームセンター24時〜」
次の現場へ、出動。
細井さんの元ネタになった人との悪ノリで刑事密着番組風に勤務した1日のお話です!
実際には8時間しか勤務してないですが、24時にしてみました!