ようこそ!ゲームセンター『ファンステージ』へ!   作:君脇玲

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ささやかな幸せ

昼休憩。

 

バックヤードの休憩室。

 

午前中の仕事を終えた浜谷は、椅子に座ると大きく息をついた。

 

「ふぅ……。」

 

今日は朝から忙しかった。

 

クレーンゲーム。

 

メダルゲーム。

 

イベント。

 

景品の手直し。

 

気付けば休憩時間になっていた。

 

そんな浜谷には、阿佐野店で働き始めてからできたささやかな楽しみがある。

 

それは――

 

ハンバーガー。

 

大好きなハンバーガー。

 

休憩時間になると、近くのハンバーガーショップへ買いに行くのが定番だった。

 

今日も袋を開ける。

 

「いただきます。」

 

今日は大きなチーズバーガーにかぶりつく。

 

「……うまい。」

 

思わず笑みがこぼれる。

 

そして今日はさらに少しだけ贅沢をした。

 

「ポテトもLサイズにしてみた。」

 

紙袋から取り出された山盛りのポテト。

 

浜谷は一本つまむ。

 

「最高。」

 

そんな様子を見ていた細井が笑う。

 

「今日いつもより豪華じゃん。」

 

「はい。」

 

浜谷は嬉しそうに頷く。

 

「今日はポテトもLです。」

 

「気合い入ってるね。」

 

「たまにはいいかなって。」

 

「いいじゃん。」

 

細井は笑う。

 

「頑張った日のご褒美だ。」

 

「そうなんです。」

 

浜谷はポテトを一本口へ運ぶ。

 

「やっぱり揚げたては違いますね。」

 

そこへ茂田も休憩へやって来た。

 

「何食べてるニダ?」

 

「チーズバーガーです。」

 

「また?」

 

「はい。」

 

茂田は思わず笑う。

 

「好きだねぇ。」

 

「好きです。」

 

「飽きない?」

 

「全然飽きません。」

 

浜谷は真剣な表情で答える。

 

「むしろ毎日でもいけます。」

 

「若いねぇ。」

 

茂田と細井は顔を見合わせて笑った。

 

浜谷はポテトを一本持ち上げる。

 

「しかも今日はLサイズです。」

 

「そんなに嬉しいの?」

 

細井が笑う。

 

「嬉しいです。」

 

「なんか子どもみたい。」

 

「そうかもしれません。」

 

浜谷は照れ笑いを浮かべる。

 

「でも、こういう小さな楽しみがあると午後も頑張れるんです。」

 

その一言に、茂田は優しく頷いた。

 

「それ大事ニダ。」

 

「仕事って、こういう楽しみがあるから頑張れるんニダ。」

 

「はい。」

 

浜谷は力強く頷く。

 

休憩時間はあっという間。

 

食べ終えると袋を片付ける。

 

「ごちそうさまでした。」

 

「午後も頑張ります。」

 

細井が笑顔で立ち上がる。

 

細井が笑顔で立ち上がる。

 

「よし、ハンバーガーパワー見せてもらおう。」

 

浜谷は得意げに言う。

 

「今日はチーズバーガーです!」

 

細井は一瞬きょとんとしたあと、笑いながら言う。

 

「いや、一緒でしょ。」

 

「違います。」

 

「チーズが入ってます。」

 

浜谷は真剣な表情だ。

 

細井は思わず吹き出した。

 

「細かっ!」

 

そして、いつものようにニヤリと笑う。

 

「殴るよ?」

 

浜谷もすぐに返す。

 

「一発だけですよ?」

 

「安心して。」

 

細井は拳を軽く握る。

 

「一発で仕留めるから!」

 

 

休憩室には三人の笑い声が響いた。

 

ゲームセンターの仕事は忙しい。

 

だからこそ、休憩時間のハンバーガーが、浜谷にとっては何よりのご褒美だった。

 

今日もその小さな楽しみを胸に、浜谷は午後の店内へ向かうのだった。

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