午後の阿佐野店。
休日ということもあり、店内は多くのお客様で賑わっていた。
浜谷はクレーンコーナーで景品の手直しをしている。
そこへ細井がやって来た。
「浜谷くん。」
「はい。」
「イベント行ける?」
「イベント行きます。」
「よろしく!」
浜谷はそのままイベントコーナーへ向かった。
しばらくして。
今度は古坂が浜谷を呼ぶ。
「浜谷くん。」
「はい。」
「カウンター行ける?」
「カウンター行きます。」
「助かる!」
浜谷は笑顔でカウンターへ向かう。
さらに。
茂田がクレーンゲームを見ながら声を掛けた。
「琉くん。」
「はい。」
「景品手直しお願い。」
「景品手直しします。」
「……。」
茂田は首をかしげる。
その様子を見ていた高村が声を掛ける。
「浜谷くん。」
「はい。」
「メダルゲーム見てもらえる?」
「メダルゲーム見ます。」
「いや。」
高村は思わず吹き出す。
「『見ます』じゃないよ!」
浜谷はきょとん。
「え?」
そこへ矢水もやって来る。
「浜谷さん。」
「はい。」
「この景品重いですか?」
「この景品重いですよ。」
矢水は口元を押さえて笑いをこらえる。
さらに近くで景品を並べていた大澤が、小さく一言。
「……浜谷くん。」
「はい。」
「ドライバー。」
「ドライバー。」
大澤は無言で肩を震わせた。
その瞬間。
細井が耐えきれず吹き出した。
「ちょっと待って!」
浜谷はきょとんとする。
「え?」
「浜谷くんさ。」
「今日ずーっとオウム返ししてる!」
古坂も笑い始める。
「本当だ。」
「イベント行ける?」
「イベント行きます。」
「カウンター行ける?」
「カウンター行きます。」
「景品手直しお願い。」
「景品手直しします。」
「メダルゲーム見てもらえる?」
「メダルゲーム見ます。」
「全部そのまま返してる!」
浜谷は少し考え込む。
「……。」
「あ。」
「本当ですね。」
茂田は大笑いする。
「完全にオウムニダ!」
浜谷は照れ笑いを浮かべた。
「返事してるつもりだったんですけど……。」
細井はニヤニヤしながら言う。
「今日オウム返ししてました!」
浜谷は反射的に、
「僕、今日オウム返ししてました!?」
全員。
「そこも返すの!?」
浜谷はまた反射的に、
「そこも返すの!?」
バックヤードは大爆笑。
浜谷もようやく自分で笑ってしまう。
「またやっちゃいました。」
茂田は笑いながら浜谷の肩を軽く叩いた。
「今日から琉くんは。」
少し間を置いて。
「オウムニダ。」
「それだけは勘弁してください!」
今日も阿佐野店には、スタッフたちの笑い声が響いていた。