一夏、織斑捨てたってよ   作:ダメオ

23 / 30
皆様、お久し振りです

スランプに入ったのか
番外編のネタが浮かばず
りんにゃん編が
まともに書けなくなりましたが、
某所である話を見た瞬間に
天啓が舞い降り、
個人的に書きたかったので
書きました

先に言わせて頂きます。
皆様、誠に申し訳ございません。

今回は非常にお下劣な下ネタ要素と
ホモ要素があります。
そういうのが嫌いな方は
他の皆様の作品を読んだ方が
とても建設的です


一夏、ストーカーを追うってよ

臨海学校から数日後の休み、一夏は親友の弾に呼ばれて五反田食堂の弾の部屋にやって来た。

 

 

「いやぁ、まさか一夏がIS学園に行くとは思わなかったぜ。……女の子のレベルはどうよ?」

 

「かなりハイレベルだぜ?弾が入学するならファールカップは必須だな。名付けてファール五反田」

 

「うるせいよ!」

 

 

二人は楽しげに雑談しているが一夏は気付いていた。弾の表情が少し暗い。

 

 

「弾。今日呼んだのって、なんか相談事とかあったからか?」

 

「おっ、さすがは親友。分かっちまうか」

 

「ナメんな親友。で、なんだ?話してみろよ」

 

「実はさ……、蘭がストーカーにあってるみたいなんだ」

 

「蘭が?……まあ、蘭程の女ならストーカーにあうっちゃあうだろうなぁ……詳しく話してみろよ?」

 

 

弾の話によると、蘭は登下校時に妙な視線を感じるようになったらしい。最初は気のせいだと思っていたのだが、ストーカーがいよいよ行動に出た。蘭が友達の話で聞いた少し遠いショップに行き、帰ろうとしたところ、蘭の自転車をじっと見ている不審な男が一人いた。気になった蘭はそれを陰から見ていると、その男が自転車の周りをグルグルと回り出した。それをよく見てみると、男は自転車の周りを回りながら蘭の自転車に唾を吐きかけていたとのこと。これには蘭、超ドン引きしたらしくすぐに店内に逃げ込んで弾に電話。弾が駆け付けた時にはすでに男の姿は消えていた。その足で警察に向かったのだが、この女尊男卑の世の中でも警察はストーカー相手にはあまり頼りになりそうな感じではなかったとのことだ。

 

 

「……なかなかハードじゃないか」

 

「だろ?蘭も痴漢くらいならぶっ飛ばして警察に突き出せるんだけどなぁ。今回は流石にキモ過ぎて無理だとさ。今のところはこの程度の被害かもしれないけどよ、ストーカーって一気に殺人までいくことあるだろ?」

 

「確かによく聞く。で、俺の出番って訳か。具体的にどうすんだ?」

 

「俺達でとっ捕まえてやろうぜ!」

 

「少年探偵団か」

 

「しょうがねぇだろ?警察は頼りにならないんだから自衛以外に手はないだろ。しかもストーカーって周りの人間にも危害加えたりするって話だぜ?俺とか母さん、はたまた爺ちゃん狙って食堂にダンプで『イイ音聞かせろやぁ!』って突っ込まれでもしたら嫌だろ?」

 

 

一夏はそれを聞いて思った。確かに、放っておくよりは最善の手だと。ならばやるしかない。

 

 

「そうだな……よし!俺にいい考えがある!離れのファミレスで限定メニュー食いがてら作戦会議しようぜ!」

 

 

一夏はそう言い、携帯を取り出した。変態に対応出来るのは、変態である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーおまたせ〜!」

 

 

そして離れのファミレス。一夏は徒歩、弾は自転車でやって来て限定メニューの『いちごチョコパフェスーパーデラックス』を食いながら待っていると、茶髪で細く鋭い三白眼が特徴的なイケメンがやって来た。

 

そう、駁羅家が誇る変態デッド・ウォルノックスである!

 

 

「デッドさん、お疲れ様ッス!」

 

「よっ、弾くん!んで、ストーカーの話だよね?許せんよなぁ!」

 

 

デッドはそう言いながら弾の隣に座り、さも当たり前のように弾の股間部にタッチする。この男、バイセクシャルであり好みの同性(オトコ)のタイプが五反田弾。その為弾は正直デッドが苦手だ。股間タッチしてくるし。だが、非常に頼れる兄貴分として尊敬出来るから嫌いにはなれないらしい。

 

 

「とっ捕まえてヒィヒィ言わせてやろうぜぇ!オォイ!」

 

 

デッドはボルテージアゲアゲ状態で言う。今の時点で犯人とっ捕まえて『あんなことやこんなこと』する気マンマンである。

 

 

「そうッスよね!ストーカーなんて最低ッスよ!」

 

「んだんだ!男ならガツンとぶち込みに来いってんだ!」

 

「(それもどうかと思うけどな)

とりあえず、さっき話したストーカーの詳細をデッドに教えてくれ」

 

 

内心ツッコミつつも言う一夏の言葉を聞いて弾は先程一夏に話したストーカーのことをデッドに伝える。元々正義感溢れる熱血漢の上に蘭が好きなデッド、この話を聞いて更にボルテージを高くする。

 

 

「ストーカーめぇ……蘭ちゃんの自転車に唾引っ掛けるとはぁ……!頭高過ぎっしょ!絶対フィストの刑に処す!」

 

 

デッドは訳の『解りたくない』ことを言い放つ。

 

 

「それで?そのストーカー野郎の手がかりはあるの?」

 

「いや、ない」

 

「なら蘭の自転車を餌に使って張り込みとかどうだ?」

 

 

弾のアイデアに一夏とデッドは賛成した。それで相手の行動パターンが解った所でデッドに応援を頼み、とっ捕まえてもらうという作戦に決定。

 

 

「じゃあ、今日の所はこれで失礼するよ。んじゃ、バイビ〜」

 

 

デッドはそう言い、テーブルに大一枚(一万円札)置いてファミレスから出て行った。太っ腹である。

 

 

「俺等もそろそろ行くか」

 

「そうだな。ストーカーの件は明日ってことで、今日は遊ぼうぜ」

 

 

二人は会計を済ませ、ファミレスか

出た。そして、弾が自分の自転車に乗る。

 

 

「ーーーうおぉ!?」

 

「どした?」

 

 

突如声を出した弾。一夏は弾の方を見ると、弾は自分の右手とハンドルを交互に見つめている。

 

 

 

 

 

ハンドルには、白くてドロッとした液体が付着していた。弾の顔色が見る見る内に青ざめていく。つまりは、そういうことだ。

 

 

「ちょ、これ、おまっ、だぁっ、どわぁぁあぁあっ!!」

 

 

弾は叫び、自転車から転ぶように降りて一目散にファミレスへと走っていった。目指すは洗面所。一人残った一夏はその液体を見つめ、離れた位置から臭いを嗅ぐ。

 

 

「イカ臭ぇ……モノホンのザ○○ンだな」

 

 

一夏は冷静にその白い液体の正体を見破った。これも、駁羅家の教育の賜物である。

 

 

「まさかいきなり恐怖の白ジャムテロとは……ストーカーめ。やってくれるな」

 

 

一夏は冷静に言う。それから数分後、弾が戻ってきた。相変わらず顔は青ざめており、手に至っては風呂上がりのようにシワが出来ていた。もう無茶苦茶に洗ったことを物語っている。

 

 

「ストーカーの野郎……マジかよ…………」

 

「奴さん、既に弾の自転車の足取り掴んでるとは……こりゃあもう、出方を探る暇とかないな」

 

「ああ!もう速攻ケリ着けようぜ!」

 

 

二人は作戦を変更することにし、本日はこの場で解散した。余談だが、弾は自転車に乗らずに担いで帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、作戦は決行された。

 

蘭が行ったショップに餌として蘭の自転車を置く。ここまでは当初の作戦通りだが、今回は早期決着の為に陰に一夏達が隠れ、ストーカーが自転車に近付いたらとっ捕まえるというかなり大雑把な作戦となった。そして現在、一夏とデッドは五反田兄妹より先にショップに来ていた。

 

 

「この作戦、若干……いや、大分不安なんだけど」

 

「ダイジョブだよいっちゃん君!春先に現れる系のオカシイ野郎にはこれで上等だよ!」

 

「今夏なんだけど。ストーカーだからってナメすぎじゃない?」

 

「だーいじょーぶだーってー!ストーカーなんてチンカス野郎なんざこの程度でイージーファイトだってー!まーかしときなってー!」

 

 

デッドは自信満々に笑顔で言い、自転車置き場の近場に隠れていった。一夏は溜め息をついてから自転車とデッドが見渡せる位置に隠れた。それから数分待っていると、蘭と弾がやって来てショップに入っていく。それから更に数分。一夏は辺りを見渡す。

 

 

「不審者は……デッドと俺くらいだな」

 

 

一夏は溜め息混じりに呟く。そこに、弾と蘭がやって来た。

 

 

「不審者いたか?」

 

「俺とデッド以外いない」

 

 

そこからは三人で弾が買ってきたアイスを食べながら見張りを続ける。ちなみに、デッドは『この暑さがオレを奮い立たせる』為いらないらしい。

 

 

「……あっ!」

 

 

数十分後に蘭が声を出す。蘭の自転車に近付く輩が現れたのだ。

 

 

「蘭、アイツか?」

 

「多分そうだと思う……」

 

 

蘭は心底嫌そうな表情で不審者を見ている。男は蘭の自転車を舐め回すように見つめており、自転車に手を伸ばした。

 

 

「ーーーOh coraaaaaaaa!!」

 

 

その瞬間にデッド(不審者A)(不審者B)に向かって走り出していった。逃げていく男と追いかけるデッド。それを見た一夏達もすぐにその後を追った。

 

 

「ひぃっ、ひぃ!」

 

 

必死に逃げる男。なかなかの駿足だが、相手が悪かった。

 

戦いの日々を送っているスーパー変態からそこらの貧弱なKID(ボウヤ)が逃げ切れるわけがない。

 

 

「オルァ!」

 

 

男目掛けて飛びかかるデッド。その手は男のパンツを掴んだ。

 

 

「ソゥオラァ!!」

 

 

そのままパンツと下着を下ろし、男はケツ丸出しの状態でうつ伏せに倒れる。さすがデッド!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる!憧れるゥ!

 

 

「テッメコラァ!」

 

 

すぱんっ!と一発。

 

 

「テメーオラァ!」

 

 

すぱーんっ!と二発。デッドは露出している男のおしりに平手打ちをお見舞いし、快音を響かせる。昼間っから野郎同士のおしりぺんぺん。実に馬鹿馬鹿しい光景である。

 

 

「流石デッド。パンツ狩りをやらせたら天下一品だな」

 

「うわぁ、真っ昼間から野郎が野郎を鞭打で制裁してる。ケツを」

 

「あわわわ……!」

 

 

そこに三人が追いつく。一夏と弾は思い思いに口を開き、蘭は目を隠しているが指の隙間からデッドのお仕置きの光景をまじまじと見ていた。

 

 

「違うんですぅ!違うんですぅ〜!!」

 

「なにが違うのよ!変態!」

 

「現行犯なのに無実主張とは、いい度胸してんなコイツ」

 

 

叫ぶ男を見つめながら五反田兄妹は言う。

 

 

「ハァハァ……オゥ兄ちゃん!ええケツしとるのぉ〜!!」

 

 

デッドのボルテージは更に上がり、男のおしりに鞭打の制裁を加え続ける。もうお仕置きというよりプレイである。

 

 

「そろそろやめて話を聞こうぜ」

 

 

一夏が予め用意していた縄をデッドに投げながら言う。デッドはそれをキャッチし、男を縛り上げる。男は縛られている間も『違うんです』の一点張りだった。

 

 

「……なぁ、一夏。ふと思ったんだけどさ。コイツデカくね?」

 

「ああ、デカいな。2m級巨人。ストーカーするから奇行種だな」

 

 

そのストーカーは2mの高身長に筋肉質なガチムチナイスバディ、そして強面。いかにもプロレスラーですといった風貌だった。そんなプロレスラーが、亀甲縛りされて路上に正座で座らされている。親が見たら自殺モンである。

 

 

「よし、警察に連絡するか」

 

「セイセイセイ!いっちゃん君よ、コイツを警察に渡したってせいぜい厳重注意が関の山。こんなことしでかさないように、キッチリカタにハメてやらないと」

 

 

デッドは携帯を取り出す一夏を制止し、ヤクザみたいなことを言う。一夏はそれに納得した様子で携帯を仕舞う。デッドはそれを見届けてから男の胸倉を掴む。

 

 

「オゥ兄ちゃん!今からお前の家に乗り込むぞ!案内せいやオラ!」

 

「はっ、はいぃ!」

 

 

デッドはそう言い、男を立たせた。

 

 

「蘭。後は俺等に任せて先に帰っていいぞ」

 

「う、うん……お兄、一夏さん、無理はしないでね」

 

「おう、お疲れ」

 

 

一夏と弾とデッドは男の家に向かった。そして、その場に一人残った蘭。

 

 

「……アイツ、だったかな?」

 

 

蘭は一人呟いてからその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏一行はストーカーの家の前にやって来た。普通の一軒家である。

 

 

「お前一人で住んでるのか?」

 

「いえ……」

 

「ま、いいや。ホラ、入ろうぜ」

 

 

デッドを先頭に男の家に乗り込む。家族は留守とのこと。その中でデッドは男を引き連れ、リビングで正座させる。

 

 

「(……アレ?コイツどっかで見たことあるぞ?)」

 

 

弾は正座している男を見つめ、考える。自身の記憶を探っている傍ら、デッドは男に詰め寄った。

 

 

「キサマァ!自分がナニやらかしたのか分かってんだろうなぁ!?アァ!?」

 

 

デッドの威嚇で男はすっかり怯え切っている。

 

 

「蘭ちゃんつけ回しーのビビらせーのトツギーノして!お前それでも♂か!?タマついてんのかァー!?」

 

「違うんですぅ〜!!違うんですぅ〜ッ!!」

 

 

デッドは叫び、必死に訴える男の股間部を握り締める。

 

俗に言うおしおき(意味深)である。

 

 

「なぁにが違うんだよオイ!オラァァァァ!!YO!」

 

「あひいぃぃぃぃ!!」

 

 

怒りのあまり虐待お兄さんと化したデッドのハンドにパワーがこもり、男のゴールデンボールが握り絞められる。

 

 

「まあまあデッド。少し落ち着こうぜ」

 

「そうッスよ。話進まないッス」

 

 

興奮しているデッドを宥める二人。一夏にバトンタッチされ、尋問が始まる。

 

 

「アンタは弾の妹の蘭をつけ回した。これは間違いないな?」

 

「はい……でも、違うんですぅ……」

 

「(どっちだよ!)

……アンタさ、さっきっから違う違うって言ってるけどさ。一体なにが違うのよ?」

 

「すみませぇん……でも違うんです……」

 

 

男は土下座する。亀甲縛りをされた状態で。

 

 

「別にさ、俺達はアンタを殺しに来た訳じゃないんだからさ。とりあえず話してくれ」

 

「分かりました……お話ししますから、縄を解いてもらえないでしょうか?」

 

 

弾の言葉に男は言う。一同は顔を見合わせる。この場にはISをも生身で破壊可能の男が二人いる。なら、もしもの時は対応可能だろうということで、縄を解くことに決定した。

 

 

「ちょっとでも変な動きしたらパイ○○ットしてやるからな」

 

「うぅ……はいぃ」

 

 

デッドに凄まれ、泣きそうになる男。その後ろに回って弾が縄を解く。

 

 

 

 

 

ーーーその瞬間、男は自由になったと同時に走り出し、部屋の奥に消えた。

 

 

「ハイ○○プカット待ったなしぃーッ!!待てコラァ!!」

 

 

すぐさま追いかかるデッド。

 

 

「テメェコーーーファッ!?ちょ、なんだキサムァ……?」

 

 

奥の部屋にて、困惑した感じの声が聞こえる。一夏と弾は顔を見合わせる。すると、デッド達三人が戻ってきた。

 

 

 

 

 

「アレ?一人増えてね?分身の術か?影分身の術か?それとも……朧分身の術か?」

 

 

一夏が口を開く。そう、そこにはデッドとストーカー、そしてそのストーカーによく似た男がいた。

 

 

「ナニコレ珍百景」

 

「弟です……」

 

 

弾の言葉に男が返す。一同、沈黙。どういう意味で弟が出てきたのかさっぱり分からない。

 

 

「(……弟もデケェな)」

 

 

無言で見つめる一夏。双子なだけあって体型と顔立ちはかなり似ている。そして、その弟は周りを見回した後にリビングの中心に正座する。

 

 

「つけ回したりしてすみませんでしたぁ!!」

 

「お前もか!!」

 

 

土下座した弟に思わずツッコミを入れる一夏。最早ツッコミを入れずにはいられないだろう。

 

 

「……あっ!」

 

「どうした、弾」

 

「いや俺さ、コイツ等にどっかで見たことあるなぁって考えてたんだけどよぉ。思い出したわ。この二人一月前にウチに客として来てた」

 

「あっ、そうです!その時に!」

 

 

ストーカー兄は笑顔を浮かべて言う。つまり、その時に蘭に目をつけたということだ。

 

 

「じゃあ、お兄さんがさっきっから違う違う言ってたのは『一人』じゃなくて『二人』でストーキングしたと」

 

「そうですそうです!」

 

 

我が意を得たりといった風に満面の笑みを浮かべて頷くストーカー兄。

 

 

「尚更タチ悪ぃじゃねぇか!」

 

 

ストーカー兄の頭をひっぱたく一夏。一夏、思わず手が出ちまったってよ。いやはや全くその通りである。その為デッドがおしおき(意味深)を弟の方にもキメ、ストーキングブラザーズを並べて正座させる。

 

 

「つまりだ。アンタ等は二人で弾達にストーカー行為をしたと」

 

「その通りです……すみません」

 

「好きになったけどどうすりゃいいか分からずつけ回したと」

 

「はい……すみませぇん……」

 

「そして勢い余って自転車に唾かけたり、嫌がらせに○○メンぶっかけたわけだ」

 

「あ、それは逆です」

 

 

場に、沈黙が訪れる。一体なにが逆なのだろうと、一夏は考える。だが、答えは出てこない。

 

 

「……逆って、なにがよ?」

 

「唾をかけたのは嫌がらせですけど、ぶっかけしちゃったのは、そのぉ、気持ちを抑えられなくて……」

 

 

ストーカー兄は恥ずかしそうに言う。この男、つけ回しているのに対象の自転車を間違えている。一夏はそう考えて見つめていると、後ろで弾は笑い出した。

 

 

「ははははは!オイオイ、アンタ等!俺と蘭の自転車間違えてるよ!俺のにぶっかけてどうすんのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーいえ、間違えてません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーカー兄は、ハッキリと言った。そう、彼等はぶっかけの対象を間違えていないと言った。

 

つまり、それが意味するのは……。

 

 

「……つまり、その話を整理するとだ。アンタ等は好きな人の自転車にぶっかけてぇ、その好きな人に近い存在である人の自転車に、ツバかけたってこと?」

 

「はい」

 

「それでぶっかけたのが弾の自転車で、ツバかけたのが蘭の自転車」

 

「はい!」

 

「そ、それでぇ……対象が、間違ってないってことぁ……アンタ等がストーキングしてたのは……!」

 

「……はい」

 

 

恋する乙女のように頬を少し赤く染め、ストーカー兄は頷いて弾を見つめる。

 

 

 

 

 

「……ずっと、見てました」

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた弾はFreezeした。一夏は尻を引き締め、一歩分バックした。

 

ストーカーブラザーズは、まさかのホモブラザーズだった。まさかの展開である。

 

 

「……お前等、双子でモーホーなん?」

 

「はい!」

 

「違います!僕はバイ(両刃)です!」

 

 

デッドの問いかけに対して今まで黙っていたストーカー弟が言う。そこまで強調する程大事なこととは思えない。

 

 

「つまり……アンタ等は弾に気があって、その弾が大切にしてる妹の蘭に嫉妬して、嫌がらせしたと」

 

「はい……」

 

「そうなりますね……でも、バイの僕は蘭さんも可愛いと思います!」

 

 

ストーカーブラザーズの返答、特に弟の言葉を聞いた一夏は頭を抱えた。

 

 

「(普通のストーカーより酷ぇ……ホモのストーカーのとばっちりとか蘭が不憫過ぎるわ!!)」

 

「お店に行って、弾さんを見てその……一目惚れっていうやつを、ね。フフ……」

 

 

ストーカー兄は気持ち悪い告白をする。それによって一夏と弾のSAN値が削られていく。

 

 

「僕はぶっちゃけ兄妹揃ってスゴく好みの体型だなぁって、思ったり。フフッ」

 

「こんな感じで弟も同じ気持ちだったので、じゃあ『ヤッちゃおうか』ということになりまして……」

 

「それで、どっちかと肉体的な関係とかなれたらなぁと!」

 

 

ストーカーブラザーズの発言、特に弟の正直過ぎるゲス発言は、デッドに火を着けた。

 

 

「ナルホド……お兄さんは弾くんと付き合いたかったと……」

 

「はい!」

 

「そして、弟くんも弾くんと、あわよくば蘭ちゃんともなんとかなりたかったと……」

 

「つまり……蘭ちゃんは完全にとばっちりってワケだね?」

 

 

デッドの言葉にホモブラザーズは顔を見合わせ、笑顔で頷く。

 

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D I E !!(ダーイ!!)

 

 

デッドの気力限界突破状態で(2.5倍)のドロップキックがホモブラザーズの顔面にぶち込まれた。正座のまま後ろにのけぞる様は礼拝中の巡礼者を彷彿とさせる。

 

 

「テメェ等あんまナメてんじゃねぇぞゴルァ!!!!」

 

 

あまりの馬鹿馬鹿しさにブチギレたデッド。確かに、こんな理由では身の危険を感じていた蘭があまりにもあんまりである。

 

 

「貴様等にはフィストの刑すらなまぬるい!!」

 

 

デッドは一体なにをするつもりなのだろうか。何故パンツを脱ぐのか。実に解りたくない。

 

 

「後はオレに任せて、二人は先に帰ってろ!!」

 

「アッハイ」

 

 

一夏は今のデッドの危険性を直感し、怯えている弾を連れてホモブラザーズの家から脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は近くのコンビニに避難し、黙々とアイスを食べていた。その気まずさの中、一夏が口を開く。

 

 

「……弾。良かったな、モテモテじゃん」

 

「ふっざけんなお前!全ッ然嬉しくねぇよ!どうせなら美少女姉妹とToLOVE(トラブ)りてぇよ!本当に只のTrouble(トラブル)じゃねぇかよ!俺が求めてるのは『い○ご100%』なんだよ!『戸○呂100%』とか求めてねぇんだよ!!」

 

「ハハハ!絶好調だなァ弾!」

 

 

弾の台詞に思わず笑う一夏。だが、次に弾が言った一言で笑顔は消えた。

 

 

「……蘭になんて言えばいいんだ」

 

「あ、あぁー……まあ、アレだ。デッドがナシつけたってことにすりゃいいだろ」

 

 

一夏がそう言うと、一夏の携帯が鳴り響く。すぐさま携帯を取り出し、画面を見る。画面に親父の二文字があったのを確認した一夏は電話に出る。

 

 

『よぉ、一夏』

 

「なんかあったの?」

 

『仕事が入ったのにデッドの野郎が応答無ぇんだよ。なんでか知ってるか?』

 

「……まあ、知ってると言えば知ってる。呼んでこようか?」

 

『頼むわ』

 

「はいよ」

 

 

一夏は通話を終え、携帯を仕舞って立ち上がる。

 

 

「なんかあったのか?」

 

「親父達に仕事が入ったのにデッドと連絡が取れないんだとさ」

 

「……まあ、今頃取り込み中だからな」

 

「取り込み中というか、ブチ込み中というか……俺はあそこに戻るけど弾はどうする?」

 

「……俺も行くわ。なんか……一人で帰るのは怖い」

 

 

弾は言い、立ち上がる。二人はブチ込み中であろうホモブラザーズの魔窟に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔窟にやって来てこっそりと玄関から忍び込む二人。リビングの扉に近付くと、デッドがハッスルしている声が聞こえてきた。

 

 

「ケツを…………上に…………親指から…………綿棒を…………」

 

「……帰るか?」

 

「いや、ダメだ」

 

 

二人は早速帰宅を検討した。だが、尋稀にデッドを呼ぶと言った手前そうはいかない。

 

 

「でも今行くのは超アウトだぞ」

 

「待つしかない、か」

 

 

二人はリビングの扉の前で待つ。その間にも、二人の尻を震わせる謎のワードが扉越しに聞こえてくる。

 

 

「……今、夏なのになぁ」

 

「ああ……寒いなぁ」

 

 

二人は震えながら言う。その腕には、鳥肌が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーあっ、いっちゃん君等待ってたの?あがれば良かったのに」

 

 

数十分後、服を着たデッドがリビングから出てきて一仕事終えた親戚のおっさんのような台詞を吐く。

 

 

「いや、親父が仕事入ったから来いってよ」

 

「マジで?……あ、ホントだ!急がねぇと!」

 

 

デッドは携帯を確認し、大量に入ってる着信とメールを見てから玄関まで走り、靴を履いてドアに手をかけてから振り向く。

 

 

「あっ、あのアホ共はきっちりカタにハメてやったからもう大丈夫だと思うよ!んじゃ!」

 

「お疲れさんしたぁ」

 

 

デッドを見送った後、二人もすぐさま魔窟から出て行った。リビングの中を確認するのは豪傑級でも勇気が足りない。この日を境に、蘭の下への無言電話や視線は無くなった。

 

ストーカー騒動は解決した。

 

 

 

 

 

かのように思えたが、まさかこれからあんな目に遭うことになるとは、今の五反田弾は知る由もなかった……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。