一夏、織斑捨てたってよ   作:ダメオ

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今回も私の趣味が
良い意味でも悪い意味でも
ラーメン二郎です

どうかチラ見してやって下さい


鈴、二度目の躍進だってよ

凰鈴音はあるホテルの廊下を歩いていた。そこに宿泊している二人の人物を『殺害』という依頼を受け、禎影の命でここにやって来たのだ。

 

今回のりんにゃんの服装は一言で表すならば『戦うチャイナ娘』である。

 

ノースリーブで両腕と腋を、両側に深いスリットで生足を、そして背面は肩甲骨より下から腰辺りまで大きく露出した黄龍の刺繍入りの情熱的赤色のチャイナドレス。これは鈴のボディラインに極限までに合わせて作られたものであり、鈴の慎ましい胸部の膨らみ、か細い腹部と臍の窪み、そして小ぶりの臀部とその割れ目まで視認出来る程。

 

そして爪先とヒールが鋭い鋼鉄で覆われている黒いハイヒール。爪先は勿論、このヒールで叩かれるものなら確実に流血沙汰になること請け合いだ。余談だが、踵骨に沿って足首に巻かれる黒いベルトが実にオシャレ。

 

そして髪型を某美少女戦士と同じダブルシニヨン&ツインテールにしてチャイナの御約束であるシニヨンキャップを装着。更にりんにゃんを象徴するお約束の猫耳、猫しっぽ、白いファントムマスクも装着。

 

鈴の持つ『常人とは異なる官能的魅力』を非常に引き出している非常に扇情的な衣装であり、りんにゃんが初見でお気に入りとなった。

 

それを着て歩いていたコードネームベルキャットは歩みを止める。ある一室……そこに、その二人が泊まっている。鈴は扉を蹴破り、部屋の奥に入る。しかし、そこには誰もいない。それを確認した鈴が部屋から出ると、視線と気配を感じた。廊下の奥に二人の者がいた。その二人は、奥にある階段を上がっていった。鈴はそれを追いかけ、廊下の奥まで走り、廊下奥にある階段を上がって屋上にやって来る。鈴は一呼吸置いてから扉を開く。その先には、標的の二人がいた。

 

 

「(黒づくめの格好……コイツ等ね)」

 

 

鈴は二人の人物を見つめている。

 

黒づくめの服装でフードを深く被っている為顔が見えず、身体的特徴が特に無く性別も分からない。片方は鈴より少し身長が高く、もう片方は鈴とほぼ同等。

 

身長が高い方は両手の黒いレザーグローブを整え、同等の方は左手に持っている杖に右手を添える。

 

 

「(……ハナからヤル気ってワケね。ま、分かりやすくていいわ)」

 

 

鈴もそれに応えるように身構え、自身から接近する。その刹那、斬撃が襲い掛かるが鈴はそれに反応し、すぐさま脚を上げてヒールで防ぐ。

 

 

「ッ……!」

 

「まるで座頭市ね……並の奴なら終わってたわ」

 

 

鈴は鋼鉄のヒールで受け止めた仕込み杖の刃を見つめながら言う。そして、脚を素早く振り上げて刃にヒールをぶつけ、仕込み杖を弾き飛ばす。

 

 

「ほいっと!」

 

 

それから背後に殺気を感じた鈴は脚を振り下ろしながら軸足を直立させたまま腰を曲げ、お辞儀をするように上体を下げる。振り下ろしたままの勢いがあるヒールはコンクリートの床を抉り、そのまま鈴の後ろの殺気目掛けてヒール付きのトラースキックが繰り出される。この時にヒールがコンクリートの床を抉ったことから鈴の脚力とヒールの頑強さ、そして食らった際のダメージが想像出来るだろう。

 

 

「!」

 

 

その殺気を放った少し身長が高い方の人物は上半身を反らし、顎を抉りに来たヒールを回避しながらバック転で鈴との間合を離す。しかし、避けきれなかったかフードが縦に斬り裂かれ、その人物の顔が露出する。

 

 

「ウ、ウソ……マジ?」

 

 

鈴は態勢を整えてその人物の顔を見て驚愕する。

 

その人物は女。その顔は、幼いが織斑千冬そのものだった。

 

 

「(あたしくらいの年頃って感じ……生き別れの妹の線は無いとは言い切れないけど、クローンの方がまだ現実的ね)」

 

 

鈴は思考しながらも自身の前後にいる謎の人物を交互に一瞥する。

 

 

「……下がってて。私が倒す」

 

 

前方にいる千冬似の女が言うと、後方にいる謎の人物は瞬速で姿を消した。それを確認した鈴は千冬似の女に集中する。

 

 

「(まずはコイツから、倒すッ!)

せぇい!」

 

 

鈴は駆け、千冬似の女に右上段蹴りを見舞う。側頭部目掛けて飛来する鋼鉄の爪先を千冬似の女はダッキングとバックステップで回避してから右サイドキックで反撃する。鈴は片脚立ちのまま右膝を曲げて素早く伸ばし、女のサイドキックを相殺する。鈴のヒールと女のブーツの靴底が真っ向からぶつかり合い、金属音を響かせてから互いに弾き合う。どうやら女のブーツも何らかの加工を施してあるようだ。

 

 

「おりゃあッ!!」

 

「ハァッ!!」

 

 

態勢を立て直した二人は同時に右脚で蹴りを放つ。互いに脛をぶつけ合い相殺しながらも再び蹴り、何度も何度も蹴撃を繰り出す。

 

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃあッ!!」

 

「ハァァァァァーッ!!」

 

 

やがて二人の脚が無数に見える程にスピードが上がり、ハイヒールとブーツがぶつかり合う金属音、脚と脚がぶつかり合う肉音を連続で響かせる。そこから鈴と女は同じタイミングで跳び、互いにドロップキックをぶつけ合い、宙を後転しながら後方へと跳んで互いに間合を離す。

 

 

「アンタ……なかなかやるじゃない」

 

「……お前も、なァッ!!」

 

「!!」

 

 

千冬似の女が叫ぶと同時に鈴の前に現れ、右アッパーを見舞う。その素早さに思わず面食らうも辛うじて上体を後ろに反らし、直撃を避ける鈴だが、その凄まじい拳圧がファントムマスクを触れずして割る。しかし鈴は動きを止めず上体を反らしたままの勢いで女の顎目掛けて右脚を振り上げて鋼鉄のトーキックを見舞うが女は後方へスウェーして回避する。

 

 

「そこぉッ!!」

 

 

しかし、鈴はそれを待っていたと言わんばかりに後方へスウェーしている女の胸元目掛けて振り上げた右脚を振り下ろす。

 

 

「っ!」

 

 

鋼鉄のヒールが迫る中女は右脚を地につけたまま右膝を90度曲げ、態勢を維持、更にその態勢のまま左脚を振り上げて鈴の右脚を受け止める。

 

 

「(ワァオ……これを防ぐなんて)」

 

 

鈴は驚愕する。女が地につけているのは右脚一本のみ。その上膝を90度曲げた状態のまま上体を地面と平行にしながら態勢を維持している。更にその態勢のまま鈴の踵落としを左脚で受け止めた。分かりやすく言えば、有名な某アクション映画の名シーンである『仰け反りながらの弾丸回避』を片脚でやっているのだ。鈴は右脚を振り上げ、その勢いでバック転して間合を離す。女はすかさず曲げていた右脚を伸ばして身体を起こし、その場に両の足で立つ。それと同時に態勢を整え終わった鈴が跳びかかり、空中で無数の蹴りを見舞う。女はそれらを避け、防ぎ、流しながら後ろに下がる。そして、身体の中心へと繰り出された鈴の左脚を女は両手で受け止める。鈴は笑みを浮かべ、右脚で地を蹴って掴まれた左脚を軸にし、女の側頭部目掛けて延髄斬りの要領で蹴りを放つ。

 

 

「ッ!」

 

 

女は鈴の左脚を掴んだまま身を屈めて避ける。

 

 

「オォラァッ!!」

 

 

だが凰鈴音は止まらなかった。鈴は空振りした右脚で更に地を蹴り、巻き戻るような形でヒールを繰り出す。

 

 

「ッ!!」

 

 

この二段目を予想してなかった女は側頭部に飛来する鋼鉄のヒールに対して再び咄嗟に身を屈めて回避する。ヒールに気を取られ、手の力が抜けた女。鈴はそのまま宙で回りなから掴まれていた左脚を曲げ、上体を屈めていた女の顔面に鋼鉄のヒールを叩き込んだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーオォォォォッ!!」

 

「(ウッソォ!?)

うにゃああぁあッ!!」

 

 

ホテルの屋上に女と鈴の声が響く。そして、鈴は吹き飛んで地面を転がる。猫耳と猫しっぽが外れながらもすぐに態勢を立て直し、立っている女を見つめる。

 

 

「そんな防ぎ方があるなんて……完ッ全に予想外だったわ」

 

 

鈴はそう言いながら先程決定打になる『筈だった』蹴りを放った自身の左足を見つめ、千冬似の女は口を拭う。

 

千冬似の女はあの三段目の蹴りで見舞われた鋼鉄のヒールを『歯で噛んで』受け止め、そのままその場で回って鈴を振り回してぶん投げたのだ。これぞ真剣白『歯』取りである。

 

 

「そんなことされちゃ、もう本気出すしかないわね」

 

 

鈴は足首のベルトを解いてハイヒールを脱ぎ捨て、どこからか取り出したスニーカーに足を入れて爪先で地面をトントンと叩いて履く。

 

 

「本当はコレで倒したかったんだけどなぁ……お気に入りだったし」

 

 

鈴はハイヒールを手に持って見つめながら言う。その間に千冬似の女は鈴目掛けて走り出す。それを見た鈴はすぐ様持っているハイヒールを投げる。そのハイヒールは女の顔面に迫り、視界を覆うが右手で敢え無く弾かれる。

 

 

 

 

 

そして、女の視界から鈴は消えた。ハイヒールが視界を覆った瞬間に女の視界から逃れたのだ。

 

 

「(速い……!)」

 

「ーーー余所見してんじゃないわよ!」

 

 

背後から声が響くと同時に女は右に素早くワンステップ動く。女がいた位置を鈴が飛び足刀蹴りで通り過ぎていく。女はそれを追いかけるように走り、着地した鈴の背後から殴りかかるが、拳は空を切る。

 

 

「がっ、あぁ!?」

 

 

それと同時に女の鳩尾に痛みが走る。そこには、鈴の蹴りが刺さっていた。鈴はそこから両手を地につけて倒立し、両足で女を持ち上げながら勢い良く膝を曲げて投げ飛ばす。更に、鈴は両手の力のみで跳躍して空中で態勢を整えてから女目掛けてヒーローキックを繰り出す。

 

 

「甘いッ!」

 

 

だが、女は態勢を整えて鈴のヒーローキックを真正面から両手で掴み、そこからそのまま鈴を振り下ろして叩きつける。

 

 

「ぐッ、うぅっ!!」

 

 

鈴は咄嗟に頭を庇い、背中からコンクリートの地に叩きつけられる。

 

 

「ハァァアァアアッ!!」

 

「あぐぁあっ!!」

 

 

女は鈴の脚を離さず、身体を捻りながら鈴を振り回して再び叩きつける。その勢いでコンクリートにヒビが入り、鈴の意識も一瞬だが吹き飛ぶ。女は掴んでいた脚を離し、鈴に跳びかかってマウントポジションをとり、そこから鈴の顔面に両の拳を見舞っていくが鈴は両腕で防ぐ。

 

 

「いい加減……食らえッ!!」

 

 

女は右の拳を振り被り、鈴の腕諸共顔面を砕かん勢いで右拳を放つ。その渾身の拳はコンクリートの床は勿論、ISの絶対防御をも貫通して装甲を直接粉砕する程。

 

 

「当たらなきゃ意味ないわよ……おバカさんッ!」

 

 

だが、振り被ってから放つ拳なんて凰鈴音にとっては『どうぞ避けてください』と言っているようなもの。鈴は頭を左に逸らして渾身の一撃を避ける。その右拳は床に突き刺さり、隙を晒すこととなった。鈴は女の肋骨の隙間に右手刀を突き刺す。肉は裂けずとも、その痛みは想像を絶する。

 

 

「がっ、あ゙ぁぐぅあぁッ!!」

 

 

女は苦痛に顔を歪めて声を張り上げ、その痛みから逃れようと右腕を抜きながら立ち上がる。鈴はすぐに立ちあがり、痛みでふらついている女と間合を詰める。女は左手で脇腹を抑えながら迎え撃つように右ストレートを繰り出すが鈴はそれを両手で受け止め、正面から組み付く。そこから勢い良く跳びつき、片脚を女の脇の下、もう片脚を首を刈るように振り上げ、ぶら下がるように自身の体重で相手の体を『くの字』状にし、勢いを利用して回転、腕ひしぎ十字固めを極める。

 

 

「ぐぅ……ッ!!」

 

「せめてあの馬鹿力は出せないようにしてやるわッ!!」

 

 

女は肘関節が可動域を越えて伸ばされる痛みに顔を歪める。鈴は自身の背中に遺る激痛に耐えながら両脚に力を込め、女の頭部と腕を締め上げるように極めながら力を加える。このままだと女の靭帯は断裂するだろう。だが、女はそうなる前に両膝を曲げて両足を地につけ、そこから膝の力のみで起き上がる。鈴が右腕に十字固めを極めているにも関わらず、だ。

 

 

「(ウソ……!?なんつー馬鹿力よ!!?)」

 

「オォォォッ!らぁぁああああッ!!」

 

 

女は右腕に引っ付いている鈴を地に叩きつける。再びコンクリートが砕ける衝撃で叩きつけられた鈴は極めが解けた上に弾んで宙を舞う。

 

 

「食らえぇぇえぇえぇッ!!」

 

 

女は思い切り溜め、宙を舞う鈴に渾身の右アッパーを繰り出す!

 

 

 

 

 

だが、鈴はまだ動けた。その右拳を両掌で防ぎ、アッパーの勢いに身を乗せて更に跳ぶ。そのまま降下し、女の顔面に両足を叩き込む!女は吹き飛び、鈴は宙を後転してその場に着地する。

 

 

「ハァ……ハァ……ッ!」

 

 

鈴はその場に膝をつき、全身に走る激痛に顔を歪める。あの馬鹿力で三度も叩きつけられた鈴の身体は、かなりのダメージを負っていた。女も上体を起こし、苦痛に顔を歪めながら鈴を見つめる。ダメージは少ないものの、一撃一撃の鋭さによって女の身体は痛みを訴えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー最近の少女は凄いものだな」

 

「そうだな。ハンパねぇ」

 

 

そして、その状況に乱入した声。この場に響く端正な美声と乱暴ながらも魅力的なハイバリトンボイス。

 

そして鈴と女の間に碧埜禎影、駁羅尋稀、そして先程もう一人いた謎の人物が現れた。

 

 

「マドカがここまで手こずるなんてお前の助手お見事じゃねぇか。完全に禎影二号だったぞ」

 

「マドカこそ完全に尋稀二号だったじゃないか。白『歯』取りとかぶん回しとか」

 

「よ、禎影さん!?なんでここに!?ていうか、そこの一人はさっきの座頭市!?そしてその人誰ですか!!?」

 

 

すっかり混乱しているりんにゃんは一気に禎影に問い詰める。

 

 

「りんにゃん。つまりはこういうことだ」

 

 

禎影ともう一人の謎の人物はある看板を取り出した。

 

謎の人物の看板には『ドッキリ大成功!』と。

 

禎影の看板には『合格!』と書かれていた。

 

 

「ちょ、えっ、えぇ〜っ!!?」

 

「理解したか?」

 

「あぁー……えっと……つまり、あたしは最初っからこの……千冬さんに似た人とバトるのが決まってたと?腕試しの為に」

 

「流石は我がフェイバリットメイド。物分かりが良過ぎる。最高だ。それで、そろそろ二人のバトルが死合に発展しそうだったからこうして止めに入った訳だ」

 

「そうですか……まあ、合格らしいんでいいですけどね」

 

 

そう言って鈴はその場で胡座をかく。余談だが、筆者は鈴に一番似合う座り方は胡座だと思っていることをここに記しておく。そこに、立ち上がった千冬似の女と謎の人物が歩み寄り、鈴は千冬似の女を見つめる。

 

 

「手合わせどうも。あたしは凰鈴音。アンタは?」

 

「私は駁羅マドカ。見た目から分かるだろうけど……色々訳あり」

 

「マドカね……よろしく。あたしのことも呼び捨てでいいわよ」

 

「なら、りんにゃんって呼ぶ」

 

「……まあ、別にいいわよ。それで、アンタは?」

 

 

鈴は溜め息混じりに苦笑しながら言い、謎の人物に問いかける。謎の人物はフードを脱ぐ。その素顔は、長い銀髪と精巧な人形のように美しい目を閉じた少女。駁羅クロエだった。

 

 

「駁羅クロエと申します。血は繋がってませんがマドカ姉様の妹です。以後お見知り置きを」

 

「よろしく、クロエ」

 

「はい、りんにゃん様」

 

「なんで誰も彼もりんにゃんって呼ぶのよ……」

 

「語呂が良いからな。流石は我がフェイバリットメイド。語呂の良さまで天下一品だ」

 

「……それはどーも」

 

 

クロエとも挨拶を交わし、禎影に褒められたりんにゃんは頬を赤く染めながら小声で言う。それからダメージが癒えたのか立ち上がり、鈴は今自分が最も気になっている男……尋稀に歩み寄る。尋稀から感じられる禎影よりも強い力、そして駁羅一夏の源流とも言える雰囲気に惹かれたのだ。

 

 

「あなたが……駁羅さん、ですか?」

 

「おう。俺が駁羅尋稀だ。お前の主のダチ兼上司。マドカとクロエ、そして一夏の親やってる。お前は……凰鈴音だよな。元中国の代表候補生」

 

「はい、そうです……。あの……一夏は、元気にしてますか?」

 

「毎日有り余ってるくらいだ。それと、一夏から話は伺っている。『本気で殴り合いたい最高の宿敵(予定)』って言ってたぞ」

 

 

尋稀の言葉を聞いて鈴は自然と笑みを浮かべた。そして、今まで以上に滾った。

 

 

「お前なら、きっと一夏と本気で殴り合えるようになる。もっともっと強く、鋭くなれよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

鈴は尋稀に一礼する。

 

鈴はマドカとの闘いで更に躍進出来た。彼女が一夏と再会し、殴り会える日もそう遠くはないだろう。

 

凰鈴音の躍進はきっとまだまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ(本命)

 

尋稀と会話してから、鈴の隣に禎影がやって来る。

 

 

「りんにゃん。そろそろ俺以外からの評価も欲しいんじゃないか?」

 

「っ!と、というと?」

 

「尋稀も結構ヲタ臭いヤツだ。ここは一つ、尋稀に見てもらえ」

 

 

そう言って禎影は鈴が投げ捨てたハイヒールと新たな猫耳猫しっぽを渡す。鈴は意を決したようにスニーカーからハイヒールに履き替え、猫耳猫しっぽを装着する。

 

 

「あ、あのぉ!駁羅さんっ!この格好、どう思いますっ!?」

 

 

鈴は尋稀の下に歩み寄りながら尋稀を見つめる。完全にコスプレイヤー特有の何かが芽生えているりんにゃんであった。

 

 

「可愛いな。そこまでの露出のチャイナ服を着こなせるのは一流のレイヤーでもなかなかいねぇ。それに、ここまで猫耳が似合う子も珍しいな」

 

「あっ、ありがとニャン!」

 

 

尋稀からも可愛いと言われたりんにゃんは頬を赤らめながらも可愛らしく笑顔を浮かべて片足立ちでポーズをキメながら言う。

 

 

「……いいじゃあねぇか」

 

 

尋稀、笑みを浮かべる。禎影はさりげなくサムズアップしていた。しかし、そのりんにゃんと尋稀の様子を嫉妬の眼差しで見ているマドカとクロエがいた。

 

 

「!」

 

 

その時、クロエはある物を発見し、動き出した。

 

 

「ーーーお父様!」

 

「ん?クロエ、どうした?」

 

 

鈴の背後から声をかけ、振り向く鈴と見つめる尋稀。

 

そこには、猫耳猫しっぽを装着したクロエが立っていた。鈴がマドカに白歯取りされてぶん投げられた時に外れたものを拝借したのだ。

 

 

「クロエを『にゃでにゃで(撫で撫で)』して欲しいニャ〜!」

 

 

クロエは笑顔で渾身の猫ポーズをキメながら言う。その瞬間、禎影は尋稀の背後に移動し、どこからかカメラを取り出し、シャッターを切る。尋稀は光速でクロエの前に膝をつき、頭と喉元を撫でる。

 

 

「ニャア〜!」

 

 

クロエ、御満悦中。

 

 

「(猫キャラだなんて……見せつけてくれるわね!このりんにゃんの前で!)」

 

 

その隣で悔しそうにしているりんにゃん。それを見ていたマドカは禎影の下に行く。

 

 

「……禎影さん」

 

 

マドカは涙目になりながらシャッターを切る禎影に声をかける。禎影はマドカを見つめる。

 

お父さんに撫で撫でしてもらいたい……。

 

その一念を感じ取った禎影は『あるモノ』を取り出し、マドカに渡す。

 

 

「コ、コレ……!」

 

「マドカならコレが良い。特に、尋稀相手には猫よりコレが効果抜群だ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

マドカはそれを装着し、尋稀の下に行った。禎影はそれを見届けてからカメラを構える。

 

 

「ーーーお父さん!」

 

 

マドカの声を聞いた尋稀とクロエと鈴は声の方を見る。

 

そこには、犬耳犬しっぽ、そして少し緩めの首輪を装着したマドカが立っていた。マドカは尋稀の下に歩み、顔を赤らめながらその場に正座のような形で、両足の間にお尻を落として座る。俗に『女の子座り』、『ぺたん座り』と呼ばれる座り方である。

 

 

「今日、すごくがんばったよ?だから……、マドカを褒めてほしいわんっ!」

 

 

マドカは顔を赤らめながら涙目のまま、上目遣いで言った。禎影は先程とは比較にならないスピードでシャッターを切り、尋稀はマドカを抱き寄せ、撫でくりまわした。

 

 

「わ、わふぅ……」

 

 

マドカは笑顔で撫でくりまわされるがままに撫でくりまわされた。

 

 

「(犬耳だなんて……!)」

 

「(クソッ!ここでまさかのわんこが来るなんて!)」

 

Marvelous!!(素晴らしい!!)

 

 

りんにゃんとクロにゃんがまどわんを嫉妬の眼差しで見つめる中、禎影の声とシャッター音が響いたのだった。

 

マドカ、逆転勝ちだってよ。




個人的にマドカは犬で
クロエは猫だと思っています
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