一夏、織斑捨てたってよ   作:ダメオ

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一夏、蹂躙するってよ

ー駁羅家ー

 

一夏はゲームをやっている。本来なら一夏も寮住まいになる予定だったが尋稀と束の根回しで自宅登校になった。しかもどこでも玄関がある為登下校も安全で楽ちんである。

 

 

「秋彦……恐らく専用機支給されるだろうなぁ。まあ、雑魚だから適当にボコれば問題ないけど」

 

 

一夏は一人呟きながらゲームの電源を切り、ソファーに寝転がる。セシリアには関心がない様子。

 

 

「ーーーいっくーん!おっかえりー!」

 

 

そこに束が飛び込んでくる。一夏は寝転がったまま抱きついてくる束を見つめている。

 

 

「ただいま、束姉」

 

「ねぇねぇいっくん。あのクソムシ(秋彦)掃除用具()白豚(セシリア)、消しちゃっていいかな?」

 

 

束は笑顔を崩さずに言う。

 

 

「……見てたの?」

 

「いっくんの身に何かあった時の為に無銘(むめい)にカメラ仕込んでたからね〜」

 

「そういうことか……でも、いくら束姉でもアイツ等には手を出させないよ。あの二人は俺の『遊び道具』だし」

 

「じゃあ、あのメシマズは?」

 

「オルコットに関しては俺の手で叩きのめさないと気が済まない」

 

 

一夏は淡々と言いながら束を見つめる。尋稀に対する侮辱は一夏にとって堪え難い怒りを覚えるものだ。それはそれは殺してやりたい程に。

 

 

「いっくんがそういうなら……束さんは黙って見てる」

 

「よしよし、偉い偉い」

 

 

一夏はわざとらしく言いながら微笑み、束の頭を撫でる。

 

 

「えへへ〜いっくんに撫でられた〜!」

 

「……あっ、無銘から見てたってことは……俺が織斑さんと話してるのも見たってこと?」

 

「うん、見てたよ。あの時のいっくん、かなりのドSだったよ?流石の束さんもちょっとアレだと思ったよ」

 

「自分でも不思議なくらいだったよ。あの織斑千冬が泣いたのに何も感じなかったし。きっと束姉のせいに違いない」

 

「酷いよいっくん!!」

 

 

一夏と束は仲睦まじくじゃれあっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、IS学園の寮の一室にて。同室だった秋彦と箒。

 

 

「秋彦……総当たり戦、自信はあるのか?」

 

「もちろんさ。オルコットは兎も角、一夏になんて逆立ちしたって勝てる。何せ、僕には専用機が来るんだからね」

 

 

秋彦は自信ありげに言う。尚、根拠は無い模様。

 

 

「オルコットはどんな手で来るか分からないからな……箒、良かったら明日稽古をつけてくれないか?」

 

「勿論だ!秋彦の為だ、尽力しよう!」

 

 

二人はいい雰囲気になっていた。尚、ISではなく剣道の為意味は無い模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃駁羅家では、一夏とデッドがトレーニングルームで戦っていた。セシリア対策の様だ。

 

 

「ホレホレホレホレ!避けろ!避けて避けて避けまくれ!当たったら死ぬぞ!」

 

 

デッドはそう言いながら自身の武器の一つである草刈り鎌サイズの小型鎌を一夏の急所目掛けて全方位から無数に投擲し、オールレンジ攻撃をする。これの恐ろしい所は、デッドの言ってる事が『嘘偽りの無い紛う事無き事実』だと言うこと。直撃したら絶対防御貫いて死に至る。しかもデッドはこれで本気出していないのだ。

 

 

「ほっ!ふっ!はっ!うおぉッ!危ねッ!!」

 

 

一夏は死に物狂いで回避を続ける。本来生身の一夏ならデッドのお遊びレベルの攻撃は難無く回避出来る。だが、今はISを装着している。それも、生身の時の50%程にしか動けない状態だ。一夏曰く『身体が追いつかない』とのこと。

 

 

「チィッ!」

 

 

その上デッドは拳銃を撃ってくる。弾丸が右頬を掠り、それに僅かに気を取られた瞬間に身体数箇所を鎌で斬られる一夏だが、即座に動いて皮一枚で済ませる。

 

 

「ダラァシャッ!!」

 

 

そして、鎌の弾幕の僅かに薄い部分に突撃し、鎌をパリイしながら突き進んで包囲網を掻い潜り、デッドに急接近してブレードを振り下ろす。

 

 

「よし!終〜了〜!」

 

 

デッドは素手でブレードを掴み、笑顔で言う。一夏はISを解除し、その場に仰向けに倒れた。

 

 

「ハァ……ハァ……IS装着してるだけでヘルアンドヘルのスリル味わえるとは……!」

 

「ま、この地獄の特訓をクリア出来たならオシリアさんも余裕っしょ!!」

 

 

一夏は呼吸を整えながら束がちょちょいのちょいでハッキングして見せてくれたセシリアのデータを思い出し、デッドはその時に見た映像にてISスーツを着用するセシリアの臀部を思い出す。この鎌の弾幕を掻い潜れるなら、セシリアのブルー・ティアーズなんて簡単に回避出来る。

 

 

「所で……親父と狗澄兄は?」

 

「あの二人なら、今フランス行ってるよ?」

 

「フランスかぁ……なんか洋食食いたくなってきた」

 

「よっしゃ!なら今日はポトフ食おう!ポトフ!」

 

 

こうして一夏達は、ぼちぼちとセシリア対策を固めていった。そして当日月曜の放課後。いよいよ総当たり戦が行われる時が来た。第一戦はセシリア対秋彦。二人が戦っている頃一夏はセシリアがいたピットで首を鳴らしながらボーッとしていた。理由は勿論、反対のピットにて秋彦が準備を済ませ、その上箒と千冬がいるからだ。

 

 

「駁羅君、ISスーツはどうしました?」

 

 

山田先生が問いかける。今の一夏はあのソウルスチールTシャツとIS学園の制服である白いスラックス、そして革靴だった。端から見ると変なTシャツ着たチンピラに見える。

 

 

「このTシャツとスラックスと靴が俺のISスーツです。特注品でして」

 

 

実はこの服、束に無銘をプレゼントされた際に尋稀にプレゼントされた物であり、一夏がふと呟いた『ISスーツダサッ』の言葉を聞いていたとのこと。そして三十分程経った頃、試合が終わった。

 

勝者、セシリア・オルコット。

 

勝因は秋彦のIS『白式』の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)『零落白夜』の発動によって自分のシールドエネルギーを消耗したのが決め手だろう。もし斬られてたらセシリアが負けていた。

 

 

「雪片か……秋彦(バカ)には似合わねぇな」

 

 

一夏は秋彦を見つめながら一人呟いた。続いて第二戦。秋彦対一夏。秋彦は一度整備に戻ったが一夏はすかさず無銘を展開し、カタパルトから飛び出した。

 

 

「ねぇ、駁羅君のISって打鉄だよね?」

 

「でも、両肩の楯が無いよ?」

 

「ガード型の打鉄から楯取っちゃったら何も残らないんじゃないの?」

 

「ていうかISスーツすら着てないじゃん。アレでまともに動けるの?」

 

 

観客の声をガン無視して一夏は欠伸しながら待っていると、秋彦がやって来た。

 

 

「おっ、やっと来た。カッコいい専用機だなぁ」

 

「当然だ。お前とは違うんだよ。第一なんだお前のISは。楯が取り柄の量産機なのに楯が無いじゃないか。とんだ欠陥機だな」

 

「欠陥機かどうかは戦えば分かるさ。オラ、構えろ」

 

 

一夏は不敵な笑みを浮かべながらブレードを右手に持って自分の肩を叩いている。

 

 

「……すぐに沈めてやる」

 

 

秋彦は眉間に皺を寄せ、一夏を睨みながら呟いてから雪片弐型を持って構える。そして、試合開始のブザーが鳴り響くや否や秋彦は瞬時加速で間合を詰め、零落白夜を発動。その勢いのまま一夏に斬りかかる。

 

 

「貰っーーー」

 

「ーーーてねぇよバカ」

 

 

一夏は嘲笑いながら僅かに横に逸れて斬撃を回避し、土手っ腹をブレードで一閃した。

 

 

「なにぃッ!?」

 

 

当たると思った一撃を容易く回避されたこと、そして腹部に走る痛みが秋彦から思考能力を奪う。そして、次の行動に移る間も無く一夏の蹴りが背中に直撃。秋彦はアリーナの地面に叩きつけられた。

 

 

「ボーッとしちゃダメだろ」

 

 

一夏はすぐにそれを追いかけ、叩きつけられた拍子に秋彦の手から滑り落ちた雪片二式をブレードを用いて地面に押さえつける。そして、倒れている秋彦にストンピングをかます。何回も、何回も、文字通り蹂躙する。

 

 

「オラオラァどうしたんだよ!すぐ沈めるんだろ?ホラ、やってみろよ!やってみせろよ!オラオラオラァ!」

 

 

一夏は笑みを浮かべながら何回も踏みにじる。秋彦は足を掴もうとしたがその手に蹴りを叩き込まれ、敢え無く無力化されて再び踏みにじられる。そして試合開始から三分後、試合終了のブザーが鳴り響く。

 

勝者、駁羅一夏。

 

一夏の連続ストンピングによって秋彦のシールドエネルギーはすぐに底を尽きた。観客席はシン、と静まり返っている。双方のピット内も静まり返っている。

 

 

「次はオルコットだな。ホラ、敗者はとっとと失せろ。自分のピット分かるか?あっちだぞ?」

 

「ッ……覚えてろ」

 

 

秋彦は三下の捨て台詞を吐き捨ててピットに戻っていった。一夏は空を飛び、定位置にてセシリアを待つ。すると、割と早くセシリアがやって来た。

 

 

「………」

 

 

セシリアは無言のまま一夏を見据える。今のセシリアは能書きを垂れる余裕が無くなっていた。

 

そして、試合開始のブザーが鳴り響いた瞬間、レーザーライフル『スターライトmkIII』が放たれるが一夏は難無く回避する。

 

 

「出し惜しみは無しだ。どうせ負けるなら何もかも出し切ってから負けろ」

 

 

一夏は上から目線で言い放つ。

 

 

「ならば……行きなさい!ブルー・ティアーズ!」

 

 

セシリアの十八番である四機のビットが一夏を包囲する。そして、死角に入り込んでレーザーを放つが、一夏はこれも難無く回避しながら間合を離す。距離を離せば離す程長距離型であるブルー・ティアーズが有利になるのだが、一夏はビットからの攻撃とレーザーライフルを平然と避け続ける。

 

 

「(見た所武器は織斑秋彦と同様ブレード一本の筈……ですがあれだけ間合を離したということは、何か長距離用の装備も持っているのでしょうか)」

 

 

セシリアは驚く程冷静に一夏を見ていた。だが、一夏が笑みを浮かべた瞬間、ビット四機が瞬く間にブレードで切り捨てられる。そして、瞬時加速で接近する一夏。

 

 

「(かかりましたわね!)」

 

 

セシリアは残り二機のビットからミサイルを放とうとする。だが、その瞬間、セシリアのアーマーに付着しているビット目掛けて、ある物が飛来してきた。

 

 

「きゃあぁぁっ!!」

 

 

そして、『それ』はビットに直撃し、ミサイルが爆発してセシリアのシールドエネルギーを大幅に奪う。

 

 

「残念だったな。隠し球も見破られて」

 

 

セシリアは一夏の声を聞く。一夏はおよそ中距離の位置にいた。では先程の『アレ』は何だったのか。

 

 

「見りゃ分かるだろ?」

 

 

一夏は両手をブラブラとさせながら言う。その瞬間、セシリアは理解した。一夏は、瞬時加速を『接近』の為に使ったのではなく、『ブレードを高速で投擲』する為に使ったのだと。

 

 

「ムチャクチャですわ……」

 

「お褒め頂き光栄だな」

 

 

セシリアの口から漏れた言葉に返事してから、一夏は再び瞬時加速でセシリアの至近距離まで距離を詰めた。そして、拳と足を用いた乱打を叩き込んでから地面に叩きつけ、ほとんど無かったシールドエネルギーをスッカラカンにして試合終了のブザーが鳴った。

 

勝者、駁羅一夏。

 

セシリアは、早々とピットに戻っていく一夏を只見つめていた。

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