また、興味があれば現在連載中のゼンゼロとゼッツのクロスオーバー小説『ゼンレスゾーンゼロ 〜ホロウ彷徨うエージェント〜』も読んでただけると幸いです。
それでは、どうぞご覧ください。
「撃て!撃ち続けろ!!」
『GyAAAAAAAAAA!!』
ここは零号ホロウ……この世界に存在する超大型原生ホロウであり、11年前に突如として活性化したことで旧都陥落を引き起こし、旧エリー都を飲み込み多くの犠牲者を出したまさに辺獄と呼ばれるに相応しい場所だ。このホロウでは現在、防衛軍によるエーテリアスの掃討作戦が行われていたが、危険度の高いエーテリアスが複数体出現したことにより、軍は劣勢へ追いこまれていた。
「し、至急、応援を――――」
『GyAAAAAAAAAA!!』
「うわぁあああああああ!?」
次々と戦闘不能にさせられていく軍人たちに、この隊を率いる隊長は死を覚悟していた。そして、1体のエーテリアスが隊長に襲いかかろうとした……その時、
『GyAAAAAAAAAA!!』
『GyA!?』
「なっ!?」
突如、軍人たちの背後に裂け目が現れ、そこから紫の蛇龍が出現したのだ。現れた紫の蛇龍は、瞬く間に隊長を襲おうとしていたエーテリアスを含め、その群れを一掃してしまった。
「な、何だあれは……?」
「エーテリアス、なのか……?」
エーテリアスを一掃した蛇龍を、軍人たちは困惑した様子で見つめていた。さらに続けて……
「……」
蛇龍が出てきた裂け目から、黒いフード付きのロングコートを羽織り、その腰の後ろに暗い紫色の大剣を下げた謎の人物が現れたのだ。その人物の顔は、フードを深く被っているせいで見ることはできないようになっていた。謎の人物は蛇龍に近づくと、その働きを労るようにその頭を撫でた。頭を撫でられた蛇龍は、どこか気持ちよさそうにしているように見えた。
軍人たちは、裂け目から現れかつ紫の蛇龍を使役しているであろう謎の人物に目を向けつつ、警戒していたのだが……
『『GyAAAAAAAAAA!!』』
そこに、先ほどの音を聞きつけたのか、上級エーテリアス――――デュラハンとタナトスが同時に現れたのだ。怯えてしまっている軍人たちもいる中、それを見た謎の人物は蛇龍を裂け目の中に帰らせると……
「パニッシュ!」
マゼンタのカプセルのようなもの――――パニッシュカプセムを取り出し、腰の後ろに下げていた剣――――ブレイカムドォーンに装填した。それから、ブレイカムドォーンを右肩に担ぎ、装填したカプセムを左の親指で回転させた。
「フェイス・ユア・シンズ!フェイス・ユア・シンズ!」
そして、ブレイカムドォーンをカプセムが装填されている方を正面にして構えると……
「……変身」
そう言いながら、双剣状態へと分離させた。
「ドォーン・ドォーン・ドォーン!」
「エーテリアス・ライダー!」
すると、先ほどの紫の蛇龍が姿を現し、謎の人物の周囲を飛び回り始める。謎の人物の体が黒と紫が混ざったモヤに包まれたが、それが晴れて現れた黒の戦闘用スーツに身を包んだ謎の人物に蛇龍が喰らいつくようにして頭上から突っ込んだのだ。さらに、その時に飛び散った血のような液体が体に纏わりつき、それを固定するように胸に拘束具のようなアーマーが装着されると……
「パニッシュ!」
黒い角を生やし、身体に紫のラインが入った姿をした戦士――――仮面ライダードォーンへと、変身を遂げたのだ。
「何だ、あれ……!?」
「姿が変わった……!?」
軍人たちは、初めて見るドォーンの姿に驚愕していたが……
「っ!」
『『GyA!?』』
ドォーンは目にも止まらぬ速さでデュラハンとタナトスに接近すると、無数の斬撃を浴びせていく。それによって2体のエーテリアスを吹き飛ばし、同時に致命傷を負わせたのだ。それでもなお生きていたデュラハンとタナトスは、反撃のためにドォーンへ急接近して攻撃を食らわせようとしたが……
「っ!」
ドォーンはそれが見えていたかのように避けると、再び斬撃を食らわせて2体とも地面に頭から叩きつけた後で蹴り飛ばしてしまう。それからドォーンは、ブレイカムドォーンを大剣状態に戻すと、装填したカプセルを回転させた後で再び分離させて双剣状態にし……
「……消えろ」
「ドォーン・パニッシュエッジ!」
「ゲット・ロスト!」
コアを狙って斬撃を浴びせ、同時にデュラハンとタナトスを撃破したのだった。ドォーンはその2体を撃破した後、おもむろに手を掲げると……
「あいつ、何してるんだ……?」
「エーテルを、吸い取っている……?」
撃破した場所に残っていたエーテルを自身の体内へと吸収してしまったのだ。その常軌を逸した光景の数々に、軍人たちは呆然としていた。すると……
『オボルス小隊現着!』
「助けに来たであります!」
そこにオブシディアン大隊に所属するオボルス小隊が到着した。そして、小隊の隊員たちが軍人たちを退避させている間……
『おい、お前がこいつらを助けてくれたのか?』
「……」
「あ、あのぉ……?」
隊長である鬼火とその銃手であるオルペウスが、ドォーンに声をかけたのだが……
「うわっ!?」
『おい!待て!』
ドォーンは地面に斬撃を飛ばして砂煙を起こすと、一瞬のうちにその姿を眩ませてしまった。
「ど、どこに行ったでありますか……?」
『あの一瞬で……トリガー!』
鬼火は、離れたところで不測の事態が起きた時に敵を撃ち抜けるように待機していた狙撃手のトリガーに、ドォーンがどちらの方向に行ったかを探らせたが……
『っ……ダメです。気配も音も、もうありません』
既にドォーンは、索敵範囲から離脱した後だった……。
◇
ドォーンが軍人たちの前を後にしたその数秒後、零号ホロウとは別のホロウにある廃墟の中に突如として裂け目が出現した。そこから出てきたのは、先ほどまで零号ホロウにいたはずのドォーンで、この一瞬のうちに何らかの方法でここまで移動してきたようだ。
「……」
ドォーンはブレイカムドォーンに装填したカプセムを外した。そうして変身を解除した後、謎の人物は被っていたロングコートのフードを外した。そこには、長い紫がかった黒髪を低い位置でポニーテールにした中性的な容姿をした青年が立っていたのだ。
「手がかりはなし、か……」
青年はそう呟きながら、近くにある瓦礫の上へと腰を下ろす。そんな風に休憩している青年だが、ここはホロウの真っ只中――――すぐさま青年に向かい、エーテリアスたちが襲い掛かるが……
「邪魔」
『!?』
青年は座ったままブレイカムドォーンを振るうと、そのままエーテリアスたちのコアを斬り裂いて消滅させてしまったのだ。その後で青年は、零号ホロウで軍人たちに見せた時と同じように、その場に残ったエーテルを自身の身体へと吸収した。すると……
『GyA……!』
エーテルを取り込んだせいか、青年の内にいる蛇龍のエーテリアスが唸り声を上げる。それからブレイカムドォーンを腰の後ろに仕舞った青年は、手を掲げて裂け目を出現させると、この場から消えてしまうのだった。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説では、ドォーンに変身するオリジナルキャラクターが主人公となります。時系列に関しては、後々明かしていきます。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。