今回も前回に引き続き、初代虚狩りのキャラが登場していきます。
それでは、どうぞご覧ください。
「さぁジークよ、修行の時間だ」
「え、えっと……?」
ある日のこと、いつものように制御訓練をしているジークのもとに、突然ある人物が現れた。その人物とは星見家の三代目当主であり、今日はジークに修行をつけにきたという……。
「ジーク、この人は星見の当主様だよ?」
「えっと……ジーク、です」
ジークは少しばかり困惑しながらも、しっかりと当主に挨拶をした。
「お前のことはサンブリンガーから聞いている……早速だが、始めるとしよう」
「当主さまー、ジークには手加減してあげてよ?」
「……うむ、無論だ」
「その間は何!?まさか本気でやろうとしてた!?絶っっっっ対に加減してよ!?」
レミエールにそう釘を刺された当主は、ジークから少し離れた位置に移動すると自身の得物である刀を構えた。それに対し、ジークも武器を双剣に分離させて構えた。
「ジークも無茶しないでよ?」
「分かってるよ」
そして……
「さぁ、どこからでもかかってこい」
「……行きます――――」
「っ!?」
ジークは一言そう言うと、当主の予想を超えるスピードで接近していったのだ。これには見守っていたレミエールたちも、驚きを隠せずにいた。
「速い……!」
「ジーク、いつの間にあんなの……」
「おそらくエーテリアスの力を使い、身体強化を施しているのだろう」
そんなことを話しているうちにも、ジークと当主は次々と剣を打ち合っていく。当主も本気ではないものの、それなりには力を出している……しかし、ジークはそれに食らいつく―――――否、エーテリアスの力の影響なのか、超えるほどのスピードで剣を振るっていた。それが予想外だったのか……
「ふっ!!」
「っ!?」
当主は思わず少し強めに刀を振るった。それによってジークは剣で防御しながら後ろに弾かれるように下がり、当主も距離をとって刀を構え直した。すると……
「――――来い」
『GyAAAAAAAAAA!!』
ジークは蛇龍のエーテリアスを自身の背後に2体召喚し、双剣を構えて当主の方を見据えた。それから2人は、お互い目掛けて走り出していき……
「ふっ!」
「しっ!」
ジークは召喚したエーテリアスと共に攻撃を仕掛け、当主も連続で迫りくる攻撃を捌いていた。すると、2体の蛇龍が急に当主のことを閉じ込めるようにして周りを回り始めたのだ。
「目眩ましのつもりか――――はぁっ!」
それを当主は一瞬で斬り伏せ、エーテリアスたちはその時点で姿を消した……が、
「っ!」
当主の目の前からジークの姿がいつの間にか消えていたのだ。
(ジークがいない……どこに――――っ!)
「上か!」
ジークはエーテリアスたちが当主を閉じ込めている間に身体強化をして上へと飛び上がり、空中でもう1体召喚した蛇龍のエーテリアスを足場にして蹴ることで急降下してきていた。当主がそれに気付いた時には、既にジークは双剣を構えて急接近してきており――――
「はぁっ!!」
「やぁっ!!」
2人は同時に、互いへその刃を突きつけた……。
『……』
それから少しの間、辺りには沈黙が流れ……
「これまで、だな」
「!」
当主の言葉と同時に、ジークも武器を収めた。当主も本気でやるつもりはなかったようだが、少しばかり力を入れており、この手合わせは引き分けとなった。
「よき修行になった。また、頼んでもいいか?」
「はい、もちろん」
2人がそう言い、互いに握手を交わしていると……
「ジーク!」
「!」
「いつの間にあんな戦えるようになってたの?私、驚いちゃったよ!」
レミエールがジークの後ろから、そう言いながら抱きついてきていた。
「ま、まぁね……あれだけ戦えるとは自分でも思わなかったけど……」
「またまた謙遜しちゃって〜」
「ちょ、レミ姉くっつき過ぎ……!」
そんな2人の様子を見ながら……
「これだけ戦えるなら、もう大丈夫ですね」
「……?」
「!あぁ……そういうことね」
ベリオラはそう言いながら、ジークへと近づいていく。その言葉に続くように、レミエールもジークの前に立った。ジークは何のことか分からず首を傾げていたが……
「ジークフリード・ダン――――あなたを『杖の軍』の正式な特別兵として認めます」
「!」
「今までは一応、訓練兵っていう立ち位置だったけど、これからは正規兵としてよろしくね?あっ、もちろん行動は私と一緒だから安心してね!」
「レミ、そろそろ弟離れをした方が……まぁ、言っても無駄でしょうけど」
何と2人から、ジークが正式に杖の軍の特別兵となることが伝えられたのだ。それを聞いたジークは驚いた表情をし、レミエールは相変わらずのブラコンっぷりを見せていた……そんなレミエールの言葉に、ベリオラは思わず苦笑いを浮べていたが……。
「ならば、我らは先輩としてジークを祝わねばな」
「そうだな、これも修行だ」
サンブリンガーと当主がそう言うと……
「よし、なら今日はパーッとやるか!」
「うわどっから出てきたの!?」
「え、今『うわ』って言った?」
いつの間にか調査から戻ってきていたジョイアスも、同調するようにそう口にしたのだ……レミエールは急に現れたジョイアスに対し、何故か引くような反応をしていたが……。
「い、いいの……?」
ジークは今までの生い立ちもあり、こういうことをされるのに慣れていないみたいだったが……
「こういうのは素直に受け取っとくのが1番!」
「それにジークは私たちの後輩なのですから」
「さぁ、そうと決まれば早く行くよ?」
「わ、分かったから押さないでってば――――」
こうしてジークは虚狩りたちに、自身が杖の軍の特別兵となったお祝いをされるのだった……ちなみにジョイアスは当然の如く二日酔いになった……。
◇
時は戻って現代、再開されたホロウ・ザ・ヒーローでリンとシーシィアは同じく大会に参加していた新エリー都郊外の走り屋『カリュドーンの子』のルーシーとライトと共に、賞品であるフリンツ合金製の音動機と『ブラックウルフ』ロームルの行方を追っていた。
詳細は割愛するが、ロームルはこの大会で数々の問題行為を起こしており、リンたちが求める音動機も奪ったとされている……そうしてロームルのことを追って、アジトらしき場所に辿り着いた……が、
「!こ、これは……」
「おいおいマジか……」
そこには既にロームルの手下らしき集団が所々に倒れ伏しており、先に来た何者かにやられた様子だった……。
「う、うぅ……」
「!まだ気絶してないのがいるよ!」
だがその中に、まだ気を失っていない手下がいたらしく……
「ちょっとよろしくて?」
「ひ、ひぃ!?」
「これは、誰にやられたんですの?」
ルーシーはその手下に、目の前の状況について訊いた。
「く、黒い奴だ……」
「黒い奴……?」
「やっぱり、ラミルもここに……?ねぇ、その黒い奴って髪はピンク色の女の人だった?」
リンはそれがラミルだと思ったのか、そう尋ねるも……
「い、いや……フードを被ってて顔はよく見えなかったが――――あっ、そういやそいつ、剣を持ってたぞ!」
「フード?それに剣……って、もしかして……!」
「店長?」
「何か心当たりが?」
ビリーとルーシーがそう訊いたが……
「ジーク、なの……?」
リンはその正体を察している様子で、数日前に会った青年であるジークの名前を呟いていた……。
◇
リンたちがロームルのアジトに到着する少し前……
「だ、誰だお前は――――ぎゃあ!?」
「こ、この――――ぐはっ!?」
「……」
黒いロングコートのフードを被り、大剣型と双剣型に合体・分離する武器のブレイカムドォーンを持ったジークが次々とロームルの手下たちを戦闘不能にしていっていた。
「さて……ここか――――」
そして……
「ふっ!」
ロームルのいるであろう所の扉を蹴り飛ばしたのだ。
「……?お前は誰だ?あの連中とは違うみたいだが……」
ロームルは初対面のジークを見て、そう口にしたが……
「そんなこと気にしなくていいよ――――」
「パニッシュ!」
「君はここで退場するんだから」
それを余所に、ジークはブレイカムドォーンにパニッシュカプセムをセットし、左手の親指で回転させ……
「フェイス・ユア・シンズ!フェイス・ユア・シンズ!」
「……変身」
「ドォーン・ドォーン・ドォーン!」
「エーテリアス・ライダー!」
「パニッシュ!」
仮面ライダードォーンへと変身を遂げたのだ。
「退場だと……?誰だか知らねぇが――――その言葉、そのまま返してやるよ!」
ロームルは双剣のような武器を構え、ドォーンのことを仕留めようと迫るが……
「なっ!?」
「遅いよ」
ドォーンはその攻撃を常軌を逸したスピードで躱すと、流れるように武器を狙って剣を振るった。それによって、ロームルの武器は根元から折れ……
「ふっ!」
「ぐあっ!?」
そのまま壁に向かって蹴り飛ばされいった。それと同時に、ロームルの懐からフリンツ合金製の音動機が地面に落ち、ドォーンの足元に転がっていく。
「これは……」
ドォーンがそれを拾い上げると……
「!返せ……!それは俺の――――」
「少なくとも君のものじゃないでしょ……じゃあ――――少し寝ててよ」
「!!?」
剣の柄を打ち付け、ロームルのことを気絶させてしまったのだ。
「この強さなら、わざわざ姿変える必要なかったかな……」
そこに……
「着いた――――って、えぇ!?」
「ろ、ロームルが……の、伸びてる……?」
一足遅れてリンたちが到着したが、ロームルが既にやられている光景に困惑している様子だった。そして、リンはドォーンに目を向けると……
「えっと……ジーク、だよね……?」
「!」
武器から判断したのか、正体がジークであることを察した。そして……
「……」
「!やっぱり……!」
ドォーンはブレイカムドォーンからパニッシュカプセムを外し、その素顔を見せたのだ。すると……
「あ、あのさ……その音動機……」
「……これ?」
「!そうなんだけどさ……それ、私たちに譲ってもらえないかなって――――もちろん、ここで起きたことは私たちだけの秘密ってことにするし、ジークのことも言わないから!」
リンはジークの持っているフリンツ合金製の音動機を譲ってもらえないかと、交渉を持ちかけてきたのだ。すると……
「はい」
『!』
ジークは迷う間もなく音動機を差し出してきた。
「えっ?い、いいの?」
「何か事情があるんでしょ?それに、これは僕の目的には関係なさそうだし」
「目的……?」
「いや、こっちの話――――それよりも……いらないの?」
「!あ、ありがとう!」
リンはお礼を言いながら、フリンツ合金製の音動機を受け取ろうと手を伸ばし――――
「はい、ストップだよ」
「……!?」
その動きを止めてしまっていた。それはリンだけでなく、倒れ伏しているロームルやリンの仲間たちも例外ではなかった。動きを止められている全員には光を放つ羽根がついており、その光景を見たジークは……
(この羽根……それに、この声は――――)
「捕まえた」
「っ……!」
すぐさまこの場から離れようとしたが、いつの間にか誰かに後ろから抱きしめられていた。その誰かと言うのが……
「久し振り……ジーク……!」
「レミ、姉……」
ジークの義姉にして、初代虚狩りの1人であるレミエール・ダンその人だったのだ……。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回で、ジークとレミエールが再会することになりました。果たして、再会した2人は何を話すことになるのか……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。