アイズさんの脳を年上お兄さんでこんがり焼こう!   作:脳でバーベキュー

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なんか絶望的な展開というか曇らせの展開をつくろうとしたらすっごく暗くなっちゃった☆ごめんね


リュー・リオンの贖罪

リュー・リオンにとってレオ・ローヴェルとはどういう存在だったかと問われたら、ライバルと答えるのが妥当であろう。もっとも、ライバルとして意識していたのはレオの方だけなのだが。

 

さて、ここで思い出していただきたい。レオとその姉アリーゼの兄弟仲は非常に悪い。表面上は仲の良い、いや、実際お互いに想い合っていたわけだが、レオは姉の才能への嫉妬、アリーゼはその裏表のない性格も相まって、二人の関係はこじれにこじれていた。要するに、レオにとって姉は眩しすぎたのである。

 

そんな中、一種の崇拝までしている姉のお気に入りがファミリアに入ってきたらどう思うか。それは言わずもがな、嫌悪と嫉妬である。一般的に見て好青年であるレオとて人間なのだ。そのような感情を抱いていても責められないだろう。ただ、ここはレオの魅力というべきか、その気持ちを表には出さず、表面上はリューとうまくやっていたのだ。

 

では、リュー・リオンから見てレオ・ローヴェルはどう映っていたのか。

 

リューが最初にレオを見たとき、彼女は彼の違和感に気が付いた。

 

その違和感の正体というのは、つまり姉への異常なまでの執着。もちろん、ストーカーなどといった意味の執着ではなく、彼の行動原理、願望、趣味嗜好までもが、すべて姉への反抗心からできていたのだ。

 

おそらく、これらのことはレオ自身も自覚していないのだろう。しかし心の奥底、その根底ではレオは姉に囚われていた。

 

……ただ、それ以外の面で彼は優秀で紳士というほかなく、エルフであるリューから見ても彼の行動は模範的な好青年だった。何より、レオが彼女より年下であったことで、リューはよくレオを可愛がっていた。

 

そう、リューは驕っていたのだ。

 

自分が彼の道を先導し、助けるのだと。

 

あの時までは

 

周りに広がるのは仲間の死体。そのほとんどが目の前の化け物によってなされたというのだから恐ろしい。

 

私に最後の一撃を託し、化け物へと足を進めた仲間たちも、ほとんどが死んだ。

 

私はまだ動けずにいる。

 

横から声が聞こえる。

 

とても若い声だ。いつもの紳士的な彼から発せられるとは思えない剣幕で、私に向かって叫んでいる。

 

溢れ出る嗚咽を押さえながら前を向いた瞬間だった。

 

目の前に緑が現れた。

 

緑?

 

……そう、視界いっぱいを埋め尽くす緑。

 

いや、緑じゃない。

 

これは化け物の爪だ。

 

気づいた時にはもう遅かった。

 

腹を貫かれた、アリーゼが必死に魔法を唱え、化け物の装甲殻を攻撃している。

 

だが、化け物はそれを気にも留めず、私にその大きく鋭い爪を振りかざした。

 

次の瞬間、感じたのは暖かさだった。

 

温もり。

 

まるで人に抱かれている……ような?

 

「っ!!」

 

目を開けると、そこには変わらず緑の爪があった。

 

ただ、その爪は何かに埋もれていて、先から血が滴っている。

 

ゆっくりと顔を上げると、そこにはいつもと変わらない顔で微笑んでいる彼がいた。

 

彼は、腹を貫かれる形でリューを『絶望』から守っていたのだ。

 

「え、? レ、オ……どうして?」

 

「・・・どうして? 僕にもわかりませんよ。」

 

彼は決心したように口を開いた。

 

「僕は本当はね、最初はあなたのことが大嫌いだったんですよ」

 

「え?」

 

彼の口から血が零れ落ちる。

 

「姉さんは昔からあなたのことばかり褒める。」

 

「『リューはすごい』『リューなら大丈夫』って。」

 

「……正直、悔しかった。」

 

「だから、あなたに勝って、追い越して、姉さんに認めてほしかった。」

 

血を吐きながらも、彼は笑っていた。

 

「でも。」

 

「同時に尊敬もしていました。あなたは本当に誠実で、まっすぐで、優しい。」

 

「だから、これはあなたへの『呪い』です。」

 

「生きてください。自分らしく、仲間の分まで。僕たちに『ここで死んでよかった』と思わせるくらい人生を謳歌してください。それはきっと辛いことでしょう。でも、あなたならできる。僕のライバルですからね。」

 

そう言って笑った彼の顔が、ゆっくりと歪んだ。

 

「……なんて。」

 

笑みが消える。

 

「そんなこと、本気で思うわけないじゃないですか。」

 

「え……?」

 

「全部、あなたのせいですよ。」

 

「あなたが動けなかったから。」

 

「あなたが弱かったから。」

 

「僕は死んだ。」

 

一歩。

 

また一歩。

 

腹を貫かれたまま、血を流しながら彼はこちらへ歩いてくる。

 

「あなたがもっと強ければ。」

 

「あなたが僕を守ってくれていたら。」

 

「姉さんも。」

 

「みんなも。」

 

「死ななかった。」

 

私はとっさに否定した。

 

「違う……!」

 

「違いません。」

 

「あなたは約束を破った。」

 

「僕はあなたらしく生きろと言った。」

 

「なのにあなたは、他派閥への復讐を行った。そんなこと、本当に仲間たちが望んだことだと思いますか? ましてや、それがあなたらしいと?」

 

「リュー・リオン。」

 

「それがお前の正義ですか?」

 

「っ!!」

 

私は勢いよく体を起こした。

 

一番最初に目に入るのは、見慣れた自室の光景。

 

血とはほど遠い、平和なオラリオ。

 

「また……あの夢ですか。」

 

夢。

 

そう、夢なのだ。

 

夢の中の彼はひどく優しく、残酷で、私に私の罪を思い出させてくれる。

 

『全部、お前のせい。』

 

なんて、彼が言うわけないのに。

 

そんなこと、一番よくわかっている。

 

それでも――

 

リューは膝を抱え、体を震わせながら、

 

「ごめんなさい」

 

と、呪詛のように繰り返した

 

謝るあいてはもういないというのに




よかったら感想へごー!モチベあがります。・・・一応主人公は生きて・・・ます
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