「らしくないわね、神竜様。私を助けてくれた時の勇敢なあなたは、どこへ消えてしまったのかしら?」
リュールの窮地を救ったのは、ブロディアで脱獄して行方不明だったアイビー王女とその臣下であるカゲツとゼルコバだった。
「・・・・これを、あなたに私に来たの」
「・・・!!紋章士の指輪!?どうして!?」
アイビーは何も語らなかったが、その表情から何か辛いことがあったことを、リュールは察した。
「・・・・・わかりました。でも、この指輪・・・・ハイアシンス王の形見はアイビー王女に託します!!」
「私に・・・!?敵国の人間なのに!?」
「チッ、予定が狂いました!早くあの2つの指輪を奪いなさい!」
予定が狂ったヴェイルは、四狗に新たな命令を下す。
・・・がその時、新たな天敵が『空から』やってきたのだった。
ズガァン!
リュールの持つ指輪から、もう見慣れた顔が空間に投影された。
「・・・・!?あなた達は・・・!」
『・・・・図に乗るなよ、邪竜の小娘ども!!』
『お嬢さん方、この新しいオモチャで遊んであげよう』
『あんな偉そうで計画的だったけど、お前さんらも結構甘んまいやつやのう!!』
『下等生物どもが、この我々に敵うと思ったか!!』
「なんですって!?スターウルフ!?」
「えー!?本体のあの少年がやられたんだから、消えちゃったんじゃなのぉー!?インチキー!!!」
「これは面倒なことになったぞ・・・・」
「スターウルフか・・・・・少しは俺に痛みを味合わせてもらえそうだ」
予想外の敵の登場で四狗はおろか、ヴェイルまで黙っているが驚いている。
そしてこちらも驚くリュール一向だが、空から暗雲を突っ切って現れたのは、前回までの機体とは全く違う、新型の機体。投影された彼らの顔をよく見ると、ところどころウルフ以外は改造手術されたように体の一部分がサイボーグ化しているみたいだ。
『野郎ども!俺は少しの間地上で小娘と話をしてくる。テメェらはそこの雑魚どもと楽しく遊んでいてやれ!!』
彼らが乗ってきた新型の機体「ウルフェンⅡ」は全機散開して四狗とヴェイルを各自攻撃し始めた。どうやらヴェイル四狗も機体の性能に追いつけていないらしい。
「こざかしい真似を・・・!!」
一方でそのうちの一機はリュールの近くに着陸した。コクピットからウルフが飛び降りる。
「ウルフ・・・・これはなんの真似です?」
「勘違いするな、小娘。俺はお前のお袋に強制的に作られた恩を返しにきただけだ」
「・・・・母さんが作った恩?」
「そうだ、ブロディアで助けてもらったのでな。そうしたらあの神竜王め、助ける代わりにお前らの旅に同行してお前を助けろと要求してきたのだ」
リュールは思い返す。ブロディアでの戦いでスターウルフの死体がなかったのは、そういうことだったのかと。もっとも、ウルフも至る所に絆創膏が貼られているため、タダでは済まなかったらしいが。
(母さん、あなたも中々の策士ですね・・・)
少し複雑な思いを抱いたリュールだった。
「教会の件はさっき調べてきた。あの口がうまい神竜王め、勝手に死にやがって・・・そういえば、スターフォックスの姿がみあたらねぇな?どうした?」
「・・・・ヴェイルによって攫われました」
「・・・・・けっ、わかったよ。どうやらあいつら、俺たちの憎っくき目標にもなっちまったらしい・・・・」
「・・・・ウルフ」
アイビーがウルフに話しかける。
「これはこれはアイビー王女じゃねぇか。無事だったとはな」
「今、見ての通りピンチなの。報酬は後でいくらでも払うから、今は」
「助けて欲しいのか?いいぜ。でも今回はあいつらに俺たちの獲物であるフォックスをとられた分もあってどの道ぶっ飛ばす予定だったから、今回は無償で請け負ってやる」
「・・・・ありがとう」
そしてウルフェンⅡに乗り込んで、リュールに一言。
「おい小娘。クヨクヨするな。お前が、このチームのリーダーなんだろ?シャキッとしねぇと、みっともねぇぜ?
・・・・・それどころか、フォックスとお前さんのお袋にも笑われるぞ」
「・・・!!」
リュールはハッとした表情をした。何かを思い出したように。
(・・・・・まだまだですね。さっき約束したのに・・・・)
そしてみんなに向かって指示を出す、『いつものリュール』に戻る。
「皆さん!スターウルフが敵を引きつけてくれています!私たちは、逃げることを最優先に考えましょう!」
続く
ウルフはリュールのことを小娘呼びします。あと、少しかっこいい。