「・・・あれ?また知らないうちにここに・・・・どうして?」
リュール達と出会う一ヶ月前、ヴェイルは知らないうちにまた先ほどまでとは違うところを彷徨っていた。
さっきまでソルムの砂漠にいたはずなのに、今度はフィレネのフルルの港だ。
でもヴェイルは大して気にしていなかった。彼女にとってはここから眺める海が好きだったから。
ちょうどまだ所持金も持っていたので少し食料を買って、またいるはずである『姉』を探しに行こう。そう思っていたその時。
グゥゥゥ・・・・・
と、どこからか腹の音がした。ちょうど港のはずれにある草原から、その音は聞こえた。
「なんだろう・・・?」
少し興味を持ったヴェイルはその場所に向かってみたのだった。
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草原にはフィレネらしいさまざまな花が咲いていた。海も綺麗だけど、この花畑も素晴らしい。知らなかった絶景スポットに巡り会えて少し嬉しかったヴェイルだが、その一部が異様にピンクに染まっていることに気がついた。
いや、ピンクの色をした何かの物体だ。そしてまた、
グゥゥゥゥ・・・・・・
っと、先ほどの音が聞こえる。どうやらあのピンクの物体が原因らしい。
ヴェイルは思い切って駆け寄ってみた。するとそこには・・・・・
「お、お腹が減った・・・・・・誰か食べ物・・・・・」
何か丸くて可愛い生物がぺたんと平になってお腹を空かせていた。
「あ、あの・・・・よかったら食べる・・・・?」
ヴェイルはさっき買ったパンを差し出す。
その途端、そのピンクの生物は目を輝かせた。
「いいの!?本当に!?やった!ありがとう!!!」
そして平な状態からいきなり球体に膨らむと、一瞬でパンがその生物の口に消えていった。
その容姿を見たヴェイルは次に果物も差し出す。
「よかったらこっちも食べる?私甘いものが苦手で・・・・」
「そうなの!?これ結構美味しいのになぁ・・・・じゃあお言葉に甘えて!!」
瞬く間にその果実も消えていった。
「食べ物食べたら元気いっぱいになった!改めてありがとう!僕、『カービィ』って言うんだ!」
「私はヴェイル」
「ヴェイルかぁ・・・・なんだかいい響きだね」
そんな会話から始まって、二人の話はどんどん弾んでいく。
「そういえばどうしてヴェイルはここにいるの?」
「・・・知らない。お姉ちゃんを探していて気がついたらここにいたの。最近こんなことが頻繁に起こっててなんだか怖くて・・・・」
「ヴェイルの方はまだいいよ。僕なんかたまに寝相が悪くなってたまに起きたら海の中で寝てたり『街中で音痴な歌を歌うな!』って怒鳴られたことがあって・・・」
「それって結構重症な夢遊病じゃない・・・?大丈夫?」
「うん!僕結構泳ぐのとか好きだから」
(マイペースでポジティブな子だなぁ・・・・)
「そういえばヴェイルのお姉ちゃんってどんな子なの?」
するとヴェイルは大事にしまってある姉の『竜石』をカービィに見せる。
「わぁ、綺麗・・・・」
「私のお姉ちゃんのものなんだ。最後に会った時の別れ際にくれたんだよ」
「ヴェイルがこんなにいい人ならよっぽどいい人なんだろうなぁ・・・・」
「・・・でも、パパは悪い人なんだよね」
「そうなの?」
興味津々に話を前のめりで聞くカービィ。
「パパはね、会いたい人がいるんだって。そのためにずっと昔にこの世界を滅ぼしかけたみたいなんだけど・・・・・私、パパを止めてあげれなかったの。それを止めたのが、私のお姉ちゃん」
「ずっと昔・・・?ヴェイルって結構長生きなんだねぇ・・・でも、会いたい人のために自分の願いのために他の人の夢奪っちゃうなんてちょっとサイテーだよね。まるで悪夢の王みたい」
「・・・・・カービィは私の話疑わないの?」
「うん。だって真面目に話しているんだもん。絶対本当のことって信じてる」
「そっか・・・・」
この時、ヴェイルは心の中で温かいものを感じていた。
「ねぇねぇ、その冒険、僕も一緒に連れてってよ!ちょうど次どこいくか決めてたとこなんだ!」
「いいの?危ないかもよ?」
「いいのいいの!僕も結構強いから!」
半信半疑だったヴェイルだが、いざとなると本当に強かったカービィ。
時折なぜかはぐれてしまっては出会ってまた一緒に冒険をする。
そんなことが彼女達には当たり前のようだった。
・・・・そして、その一ヶ月後。物語は大きく動き始める。
第一話に続く
次回からは本編に戻ります。