「ヴェイル・・・あなた・・・・」
「蒼也、もう大丈夫。さぁこれを!!」
魔法具が破壊されて、黒い霧がはれたかと思えば、いつもの白いドレスを着たヴェイルが立っていた。そして、私に持っていたマルスの指輪を返してくる。
「何かいい策があるでしょ?これ以上異形兵の増援が来ないうちに早く!!」
「・・・わ、わかりました!みなさん!これから私はどうすれば・・?」
「まずはリュールの元に向かってください。でないと何もできません」
言われるがままに、私は眠っているリュールの元に駆け寄る。
(・・・やっぱり死んでいるんですよね・・・)
「次はそのエンゲージを解いてくれ。これは紋章士全員がいないと無理なんだ」
そしてそのままエンゲージを解いて、いつもの『俺』に戻る。
・・・よかった、一人称だったりも戻ってる。一生あのままはごめんだぜ・・・
それにしても・・・・ついにくるのか。あの瞬間が・・・
俺の手元から十二の指輪が浮かびだし、リュールの周りを円で囲むように飛んでいる。
(・・・・頼む、リュール・・・・・仲間と世界の運命は、お前にかかっているんだからな・・・・)
そう願っていると、
『ゴギヤァァァァァァ!!』
後ろから大量の異形兵が押し寄せてきた。まじか、まだこんなにいるとは・・・!
しかし、すでにフォックスに再び変身する体力は戻ってきている。
俺はすぐさまフォックスに変わって返り討ちに出た。
灼熱の炎を纏って敵の塊に一直線に突撃する!!
近くにいたカービィも、負けじと炎の龍を呼んでいるのが見えた。
「ファイヤー!!」
「ドラゴストーム!!」
『ファイアフォックス』と『ドラゴストーム』によって異形兵達は灰に変わっていく。しかしまだわんさか湧いてくる。
くそっ、俺とカービィだけじゃ返り打ちにしきれんぞ・・・・!
複数の異形兵がリュールと指輪の方へ走っていく。まずい、指輪を全て奪う気か!?
まずい、あの距離じゃ俺達でも、闇シンクロの紋章士でも追いつけん…!!
だが、
ズキュン!!
と、水色と紫色のレーザー弾がその異形兵達を貫く。
「・・・・へっ、助けに来てやってぜ!」
「遊びは終わりだ、異形兵ども!!」
これはこれは先ほどまでダウンしていたファルコとウルフではないですか。
やられ方は情けなかったけどさっきの登場はかっこよかったぜ。
「「顔に出てるぞ!!今お前が思っていることが!!」」
おっとしまった、とにかく今は本気で軽口言っている場合じゃない。
リュールが『こっち』に戻ってくるまで護衛しなくては。
「全く・・・一人も逃すなよ?一発で決めようぜ」
「貴様らを倒すのはこの俺様だ!!」
「あと少しだね、みんな頑張ろう!!」
______________________
(・・・本当はみんなと・・・最後まで一緒にいたかった・・・・)
暗い空間に一人、リュールは浮かんでいた。
(やっと指輪を取り戻せたのに・・・・やっとみんなで手を取り合えたのに・・・)
彼女にはまだ、無念があった。
(託された使命を・・・この手で果たしたかった・・・)
その目から、自然と涙がこぼれ落ちる。
(・・・せっかくできた友を、最後まで助けることはできなかった・・・)
友をを故郷へ帰すという日頃からの恩返しができなかったことを、後悔していた。
・・・その時。
『・・・竜の子よ・・・・力を望みますか・・・?みんなと共に最後まで戦う力を・・・』
(・・・この声は、マルス・・・?)
暗闇しかなかった空間に、光り輝くもやが現れる。そのもやは、どことなく人の形をしていた。
『もう一度、立ち上がりたいと願いますか・・・?』
その言葉に、リュールは覚悟を決めて答えた。
「・・・・戦いたい。ここで終わりたくない。この先、どれだけ辛くとも・・・世界を救うまで・・・ずっと私を支えてくれていた『大切な人』の願いを叶えるまで、戦いたいのです・・・・・そう・・・・
あなた達、『エムブレム』のように!!」
その途端、リュールの周りに全ての紋章士の指輪が現れた。
「・・・その願い、受け取りました・・・・あなたに力を授けましょう」
_______________________
「・・・!?あれは・・・!?」
・・・・やった、成功した!!
リュールが『こっち』にもだって来てくれた!!
「・・・世話かけやがって、あのバカ小娘が・・・」
「へっ、そう来なきゃ面白くねぇよな!」
「うわぁ・・・・すごい・・・」
浮かぶように立ち上がったリュールの指には今で見たことのない指輪が2つはめめられていた。
・・・何、『二つ』・・・?
その俺の疑問を消すように、リュールの身にも変化が現れた。
赤と青だった髪と目のカラーが、青一択に染まる。
「ようやくこうやって君と話すことができるね。リュール・・!」
「マルス・・・!邪竜の力から解放されたて・・・!?」
「あああ、君が神竜の力を完全に取り戻したおかげさ」
「・・・神竜の力・・・?」
「リュール!!」
俺もそのリュール達の輪に加わる。
「フォックス!その傷は・・・!!」
「全然大丈夫だ。君が戻ってきてくれたのが一番この傷によく効く薬だから!!・・・それにしても、マルス?俺の呼びかけにはどうして答えてくれなかったんだ?」
「それは・・・・・彼女を『こちら』に戻す準備をしていてね・・・・・なんだかごめん」
「・・・まぁいいか。結果オーライだったし」
(((((それでいいんかい・・・・)))))
「・・・ともかくリュール。君は今、12の指輪の力で新たな姓を受けたんだ。
・・・・13人目の紋章士・・・絆炎の紋章士『ファイアーエムブレム』として!」
「・・・マルス、違いますよ。私は『14番目』です」
リュールは俺を見る。どういうことかわからなかったマルスは、リュールと俺を見て、何かわかったらしい。
「・・・ああ、そういうことか。すまないね、君を忘れていた」
「別にいいんだよ、俺は完全な紋章士じゃないんだし」
「そうですか・・・?では私が『13番目』で蒼也が『14番目』ということで」
「だから、そこにこだわる必要なんかないって・・・」
「ダメ・・・・ですか・・・?」
うっ・・・!!!眩しすぎて反論できねぇ…
「・・・・」
「それじゃ、決まりですね。さぁ、早く残りの異形兵を片付けましょう!!」
「勝手に決めないで!?」
この後、完全復活したリュールによって残りの異形兵は瞬殺されたのだった。
続く