「頑張ってください、ルミエル様。もう少しでリュール様たちがきます。ただ・・・今ちょっと回廊にいる兵たちに苦戦してますけどね・・・」
「・・・ちょっと待って?それじゃああなた、どこからここに入ってこれたの?」
「足場がなかったので兵の頭を足場にして飛んできましたが?」
「ちょっとあなた、それ挑発してるんじゃないの!?あの子達大丈夫かしら・・・・?」
フォックスは流石にやりすぎたと少し思った。
そして、正面の少女へと向き合う。
「あなたも私の邪魔をするのですか?」
「当たり前だ。散々荒らされまくってただでは返す気はないんでね!」
少女は軽くため息をつく。よほど早く終わらせたいらしい。
「じゃ、さっさと消えてください」
いきなり「ファイヤー」による火球を放ってくる少女に対して、
フォックスは余裕の笑みを浮かべていた。
「その判断、誤っていたことを後悔するぞ?」
腰に備え付けられている六角形の物体を軽く叩いて、正面に掲げる。
その時、物体の中心が輝き、フォックスを囲むように
6角形のバリアが生み出された。
そのバリアに火球が触れた途端、火球は軌道を変え、放った本人である少女へと飛んでいく。
「なっ、跳ね返って・・・!」
紙一重で交わす少女、しかし、手に持った魔導書は綺麗さっぱり半分が消えていた。
「なるほど、ここには反射魔法みたいなのは存在しないのか・・・」
その光景を見て、フォックスは考える。
「さっきのは・・・?」
「リフレクターですよ。相手の飛び道具の威力とスピードをアップさせて相手にお返しするんです。俺にたいていの遠距離魔法なんかは通用しませんよ」
その隙をついてフォックスは相手に急接近する。
「こざかしい!」
少女は予備の魔導書を取り出して再び攻撃してくる。
「これはさっきルミエル様を殺しかけたやつか?」
すぐさまフォックスの足元に魔法陣が展開される。
が、あちこちを俊足に動き回って近づいてくるフォックスには
地面から発動するその魔法は当たらなかった。
そしてフォックスに、懐に潜り込まれる。
「しまった・・・・」
「レディにこういうのはしたくはないが・・・しょうがない。覚悟しろよ!」
フォックスが構えをとる。
一瞬、フォックスの足先が光った。
そして、足で弧を描きながら少女を蹴り上げる。
サマーソルトキックだ。
「ぐっ!」
上に吹っ飛んだ少女に追い討ちをかけにいくフォックス。
「本当の炎ってんのを教えてやるよ!自分がやったことを後悔しろ!」
フォックスの体が真っ赤に燃え盛る炎に包まれる。
そして、気合をこめた突撃が、相手に叩き込まれる!
「ファイヤー!!」
彼自身の最高トップクラスの火力を持つ秘殺技
『ファイアフォックス』が相手に叩き込まれた!
勢いよくまた吹っ飛ばされた少女は、壁に叩きつけられる。
先ほどのファイヤーフォックスはフォックスの感情次第で威力が跳ね上がる。表情こそ出してはいなかったが、恩人を殺しかけられたのと、城をめちゃくちゃにされたために、フォックスは少なくはない怒りを抱いていた。
少女はよろよろと立ち上がる。その様子から、もう戦えないほど
弱っていることが十分にわかった。
「・・・・・ふふっ」
「何がおかしい!」
「別に・・・・ただ・・・大きな収穫が得られただけです」
その時、勢いよく扉が破壊された。
「見つけましたよ!もう好き勝手はさせません!」
入ってきたのはリュールだった。どうやら、うまく兵を退けたらしい。
「ちっ、まぁいいでしょう。今日のところは撤退します。また近いうちに・・・あなたもいただきにきましょう。」
その瞬間、少女の姿は消えていた。
すると、フォックスの右目にかけて備えられているバイザーに変化が現れた。
このバイザーには特殊な生体反応レーダーが備え付けられている。
そこに写っていた生体反応が一気に消失したのだ。
「生体反応が、一気に消えてた・・・?
イルシオンの奴らが魔法による撤退をしたのか?」
「・・・ええと、あなたは一体?」
「あ、申し訳ございません。こちらの姿は初めてでしたか?」
カッ!という一瞬の光と共にフォックスから蒼也に戻る。
「え!?蒼也だったんですか!?どいういう能力の持ち主で・・・?」
「ええと、そうですね・・・ってそうだ!そんな場合じゃない!!急いで他の人たちを呼んでくれませんか!ルミエル様が重症なんです!」
「なんですって!?」
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幸い、ルミエル様のお怪我は命に関わる物ではなかったが、
深い眠りにつかれた。
リュール様はというと、自分のせいでこうなってしまったのではないかと、部屋で考え込んでいる。下手に手を出すと、悪化しそうなので、
今は置いておいたほうがいいだろう。
「チキショウ、俺たちが早くパトロールから戻っていれば・・・!」
「でも過ぎたことはしようがない。全部取られるよりマシじゃろう」
「でも、あいつら絶対にまたくるよね?どうしよう・・・・」
その夜、俺の部屋でスターフォックス総員による今後の会議が行われた。
「・・・俺は取り返しに行くべきだと思う。このままだと先に残りの10個揃えられて、埒が開かないことになる可能性があるからな。」
「・・・やっぱそうじゃろうな。このままではイルシオンが何をしでかすか、わからんからな。」
「へっ、ひと暴れしようってんなら、俺は乗るぜその意見!借りは返さないとな!!」
「おいらも乗るよ。だってリトスの人たち恩人だもん!」
と、そろぞれの意見をまとめている最中にナウスがやってきた。
「紋章士マルスサマガ、面会ヲ求メテイマス」
「マルスが?なんでわざわざ・・・・?」
そんな疑問を抱きつつ、俺たちはマルスを自室へ入れ込んだ。
「すまないね、いきなりきてしまって。」
「大丈夫だ。そういえばリュール様の状態は?」
「・・・・明日まではしばらく」
「・・・・そうか」
ナウスがマルスにお茶を入れてくれている。
「それで、要件はなんだ?何か話したいことがあってきたんだろ?」
「そうだった。それでは早速。・・・その力はどこで手に入れたんだい?」
「初めて指輪の間に入れてもらった時だ。いきなり指輪の光がレーザー状になったかと思うと、いきなり俺の方に・・・」
「・・・なるほど、わかった。」
マルスはひと段落置いて、こういった。
「君は今半分人間で、半分紋章士のような存在なんだ。」
「へえへえ・・・・ってなんだって!?」
「そんな・・・・フォックスが紋章士!?」
「君は、別の世界から来たっていってたね?」
「そうだけど・・・・!!」
・・・待てよ?別の世界の英雄が紋章士で、俺も別の世界から来た・・・
紋章士は指輪から呼び出される・・・・ということは!?
「そう、これは僕の推測なんだが、君は僕たちと同じく何か道具を使って呼び出されている可能性が高い。それも、紋章士の指輪とほぼ同じ特質を持つものだ。その呼び出した人物でならば、君たちを元の世界に戻せるかもしれない。」
「やった、少し希望が見えてきたぞ!」
「ありがとうマルス。でも、どうしていきなりそんなことを・・・?」
「シグルドから聞いたんだ。」
なるほど。そのシグルドはルミエル様から俺たちのことを聞いたらしい。
あの現場にいたから、疑問も持つよね。
「それと、さっきの君が浴びた光のことだけど、彼によると紋章士とほぼ同じならば、自分たちと同じ特殊能力のようなものを引き出せるんじゃないかって。この世界、特に邪竜がらみになった今では何か力を持たないと危ないからね。紋章士5人からの贈り物だったんだよ。」
「なるほど、後で取り返したら感謝の言葉でも送っておかなくては・・・・」
俺の発言にマルスが微笑んで、ティーカップを持とうとした。
しかし、その手は透き通って何も掴めない。
「・・・・そうだった、今の僕はモノがさわれないんだっけ」
・・・・まぁ、紋章士も人間と同じようにたまに抜けることがあるということもわかった。
続く
今回は会話が後半、多かったな…