GOD EATER 〜アラガミの少女の放浪記〜(仮題) 作:クローサー
「…ん」
一際強く吹いた風の音により意識を覚ました少女は、横になっている身体を起こす。
そして、寝ぼけた表情で目をこする。朝に弱いのか、起きる時はいつもこんな感じである。
「…あ」
しかし窓の外を見た瞬間、眠気は一気に吹き飛んだ。
「…雨…」
少女の気分と引き換えに。
(雨…嫌い)
こう思うにも、理由がある。
少女は前に、雨が降る日に外に出て、全身を冷やして気分を悪くし、オマケに戻る途中に大型アラガミ「ヴァジュラ」と「ホルグ・カムラン」と同時に遭遇した。
普段は仕留めたアラガミは喰らう少女だが、この時ばかりは機嫌が悪かった事もあり、仕留めたヴァジュラとホルグ・カムランの死体を放って住処へとすぐさま戻っていった。
この出来事があり、少女の中では「雨が降る日は嫌な事が起こる」というイメージに固定され、朝から雨が降っていた場合は外には出ず、外に出歩いている時に雨が振れば、一目散に住処へと戻る。
寝る前に考えてた今日の散歩計画が雨によって台無しになった為、今日はビル内の探索をする事に決定した。
そして早速少女は探索を始める為、一室から出て行った。
少女が休息の場として利用しているビルには、まだ足を踏み入れてない場所が数多く存在する。
その為、外に出ない時や雨の日等にはビルの探索をしている。
ちなみに少女が知る由もないが、倒壊の際にビル同士が衝突し、幾つかのビルが無理矢理繋がっている状態の為、実は複数のビルの探索を知らず知らずにしていたりする。
「…ん」
破片が散乱する
少女はドアの近くでしゃがみ、歪んだ事により生まれた隙間に指を掛け。
「っ…しょ」
周りを壊さない様に、ドアを慎重にこじ開ける。いや、こじ開けると言うより蝶番ごと床から取り外していると言った方が正しいか。
こじ開けたドアは通路に置いて、空いた空間の簡易的な橋にする。
そしてこじ開けた部屋の空間を覗き、部屋の様子を見る。
部屋の中にある物でめぼしいのは、ひっくり返った机と椅子。横に倒れた本棚に、散乱したファイルと本。そして液晶画面が破損したPC。
それらを見た少女は、部屋の中を漁ってみようと判断し、簡易橋を一旦退けて部屋へと飛び降りる。
部屋の中に入った少女は、まず最初に床に散乱しているプラスチック製のファイルを両手で、そして壊さない様に慎重な力加減で手に取る。
ファイルを手に取って、適当に触ってみる。とても滑らかで、思っていたよりも硬い。
そして縦に空いている隙間に指を入れると、ファイルのカバーが動いた。
「…!」
ファイルが開ける事に気付いた少女は、そのまま指を動かしてファイルを開く。
中には複数の紙が留められていたのだが、かなり酸化しており、ボロボロだ。事実、少女が触ったらすぐに破れた。
ファイルには面白そうな物は無さそうだと判断。最後にファイルを口元に運び────
バリッ、とファイルに噛り付いた。
バリバリとプラスチックが割れる音が口の中から響くが、少女はそれに構わずに咀嚼。
(…美味しくない…けど、食べれる)
味はいわば、”可もなく不可もなし”というところ。というのも、プラスチックには肝心の味が無い。無味である。
とはいえ不味くもない為、食料として食べれると判断。今食べてるのと手に持っているファイルはここで食べて、他のファイルを住処へと持ち帰る事にする。
その後、
ちなみにファイルを手に入れる際、ビニール袋も発見。食べる直前にファイルを入れられる事に気付き、ファイルを入れて持っている。
(…無さそう)
しかし、この部屋にはこれ以上少女の好奇心に惹く物は無かった為、この部屋の探索は終了。天井にある通路へとジャンプして戻り、簡易橋を掛けて、通路の先へと進む。
その後。
「…行けない」
通路が倒壊の衝撃で行けなかったり。
「あ…」
力加減を間違えて面白そうな物(壊れた携帯電話)を壊してしまったり。
「………」
「………」
探索した先が出口で、そこにいた小型アラガミ「サイゴート」と目が合ったり。(その後、素早く仕留めて美味しく頂きました)
「……………(プチッ)」
天井のドアを
いつもよりも数多くのハプニングに見舞われる事になったビル探索。
「はぁ…」
結局、いつもより早く探索を終えて、住処へと戻っていた。
探索で持ち帰ってきたのは、プラスチック製のファイルを数個、ビニール袋を一つ、鉄パイプを2本、多少ボロついた紐を背負うタイプのポーチ、ゴワゴワになっており、虫食いで所々穴が空いている毛布。
プラスチック製のファイルは食料。
ビニール袋とポーチは探索時や外出時に使う道具。
毛布は寝るスペースに敷く。
鉄パイプはなんとなく。
それら全てを整理して置き、窓から外の景色を見る。
まだ時刻は昼頃。雨は朝よりは弱まってはいるが、恐らく今日一日は降り続けるだろう。
(…食べよう)
雨のせいでやることも全く無いので、とりあえず集めてあった食料(プラスチック製の下敷き)を食べる。
プラスチック製の為、無味。しかし腹ごしらえは出来る為、文句は言えない。
土やコンクリートもその気になれば食べれなくは無いが、食べてきた中でもダントツに不味い。なので、非常時や緊急時の最終手段だ。
下敷きを食べ終えた少女は、のんびりと部屋を見渡してみる。
(…狭い)
部屋の中は、約4割のスペースが少女の集めてきた食料や道具等の山で埋まっており、少々狭く感じる。
そろそろ部屋の問題をどうすべきか。そう考えて、結果辿り着いた考えが。
(…壁、壊そう)
少女が寝るスペースのすぐ横にある壁の一部を壊し、隣の部屋に開通させよう、という事だ。
どうせ今日一日やる事がない。暇つぶしも兼ねて、作業を始める。
右腕を刀に変異。壁に突き刺し、その状態から動かし、少女が出入り出来るスペースの大きさで切る。
そして壁から刀を抜き、ゆっくりと壁を押す。すると壁が動き、隣の部屋へと開通した。
隣の部屋はかなりのスペースがあり、多少散乱しているものの、気にする程でもない。そして、少女から見て奥の壁の近くの床には穴が空いている。
少女がその穴へと近づいて覗いてみると、一階下の部屋に繋がっており、そこから外にも出られる様だ。
(…運ばなきゃ)
一通り部屋を見渡した後、少女は積み上げた山をある程度運ぶ作業に入った。
新しい部屋へと運ぶ作業は思ったよりも時間が掛かり、半分を運び終える頃には既に夕方になっていた。
少女は夕御飯(配線)を食べ、新しくゴワゴワな毛布が追加されたスペースに横になる。
今日やる事とすれば、後はもう寝る事だけ。
少女は目を瞑り、明日雨が降ってないように、と思いながら静かに眠る。