怪物と英雄の狭間で 作:伝説の一般元ブロリスト
この世界のブロリーは首にあの制御装置は無いと言う設定ですので、ご了承ください。
旧ブロリーも大好き!!!でも超ブロリーも大好き!!
優しい怪物
世界総人口の約8割が超常能力個性を持つに至った超人社会。
そんな世の中故に生まれた存在。
個性を悪用する犯罪者。それをヴィランと人は呼ぶ。
逆にヴィランを個性を発揮して取り締まる者達。それをヒーローと人々は呼び、称えている。
―――お前は――お前は、ヒーローでも…ヴィランでもない!!――ただの怪物だ!!!!!!
―――違う……オレは……オレは…!!!!
この物語は、生まれながらにしてヒーローもヴィランも蹂躙できる力を持って生まれた少年の物語である。
日本のとある地方にある、どこにでもある至って平凡な中学校。その日の放課後も、教室には部活動へ向かう生徒たちの足音や、他愛のない雑談を交わす笑い声がのどかに響いていた。
そんな平穏な空間の中で、明らかに周囲から浮き上がっている、一人の少年の姿があった。
まだ中学生であるにもかかわらず、その身長は優に2メートルを超えている。学ランの上からでも一目で分かる強靭な筋肉が全身を覆っており、彫りの深い端正な顔立ちをしていて、腰には表の色が青、裏の色が赤のマントを巻かれていた。
ただそこに座っているだけで、初見の人間なら誰もが息を呑む、圧倒的な威圧感を放つ体躯。
しかし、その巨体に反して、少年の纏う空気は驚くほど繊細で、おだやかであった。
「あの、八木くん! ちょっとこれ、職員室まで運ぶの、手伝ってもらってもいい……?」
小柄なクラスメイトの女子生徒からおずおずと声をかけられた瞬間、少年はゆっくりと振り返り、声をかけて来た女子の方へと歩み寄る。
女子生徒が重そうに持っていた物を、少年は軽く片手で持ち上げ、そのまま職員室まで易々と運んだ。
「八木くん、いつもありがと!また明日ね!」
「ああ、また明日」
女子生徒の御礼を受け取った少年は、ゆっくりと教室へと戻ってゆく。教室までの行き道でも彼は生徒達に別れの挨拶をされていっており、誰も彼のその巨体に怯えて散る様子はなかった。
彼の名は八木
黒髪に中学生とは思えない筋肉を持ち、大人顔負けの勇ましい顔つきをしている少年で、一眼見ただけでも強いということが分かる。
戦いや争いを好まず、誰にでも優しい性格をしている為、彼は学園の者達からとても好かれている。
ブロリーは教室の中で自宅へと帰る準備を整えてた、その時教室の扉が勢いよく開いた。
「ブロリ〜!一緒に帰ろうぜ〜!」
「ああ」
教室のドアを景気よく開けて入ってきたのは、金髪に黒い稲妻のようなメッシュが入った少年――幼馴染の上鳴電気だった。
チャラチャラとした普段通りの調子でブロリーの元へ駆け寄り、いつも通りのなんら変哲もない会話をした後、ブロリーと共に帰宅する。
校門を抜け、夕暮れ時の街並みを二人は並んで歩き出す。オレンジ色の光が、二人の影を路上に長く伸ばしていた。
「でさー、進路調査票の話なんだけどさ」
上鳴が頭の後ろで両手を組みながら、思い出したように話題を切り出した。
「俺、やっぱり雄英高校のヒーロー科を受けようと思っててさー。やっぱヒーローってかっこいいし、何よりモテそうじゃん? ブイブイ言わせたいわけよ!」
「上鳴なら、きっとすごいヒーローになれると思う」
「だろー? で、ブロリーはどうすんの?」
「オレは………」
上鳴の無邪気な問いかけに、ブロリーの足が一瞬だけ止まりかけた。自分の腰に巻かれているマントをギュッと握りしめた後、ブロリーは口を開いた。
「オレは、工事現場とか、力仕事の場所に、行こうと思ってる。先生にも勧められた」
「確かにブロリーのパワーならどんな力仕事もお手のものだし、むしろ企業側から来て欲しい!って言われる可能性も大だし…いいな!応援するぜブロリー!」
上鳴はブロリーの選択を尊重するようにニカッと笑いながら応援の言葉を送る。その心の中には『ブロリーもヒーローを目指したらいいのに』という言葉が少しあるが、彼は口にしなかった……その言葉一つで、ブロリーが傷つく可能性があるからだ。
ブロリーは優しく、とても穏やかな少年――だが彼の身に宿っている力は、そんな彼の性格とはまるで違っている。その力を知っているが故に…上鳴はヒーローを目指したらいいのにという言葉を、封印していた。
上鳴が話の内容を変えようとした、その時、ブロリーと上鳴はある光景を目にしていた。
交通量の多い大きな交差点。歩行者用の信号は『青』を示しており、向こう岸から小さな男の子が、母親の手を離れてトトロッと横断歩道へ走り出していた。
直後――猛烈な金属の摩擦音と、激しいクラクションが響き渡る。
視線の先、赤信号であるはずの車線から、居眠りか事故か、勢いを落とさないまま巨大な大型トラックが凄まじいスピードで交差点へと突っ込んできていた。
「あ……!?」
トラックの影に呑まれかけた小さな男の子は、恐怖で足がすくみ、横断歩道の真ん中で身動きが取れなくなっている。
「まずいっ!助けな―!!」
上鳴が叫び、体を動かそうとした瞬間には、すでに遅かった――上鳴の横から、まるで疾風のような暴風が巻き起こる。
その暴風を起こしているのは誰よりも速く、コンクリートを蹴って飛び出していたのはブロリーだった。
咆哮を上げる大型トラックと、怯える幼子の間。その数ミリの隙間に割り込むように着地したブロリーは、逃げることなど一切考えず、真っ直ぐに右手を前方へと突き出した。
ドォンッ!!!!
激しい轟音が辺りに響き、激しい打撃音が街中に轟き、交差点のコンクリートが蜘蛛の巣状に砕け散る。
猛スピードで突進していた数トンの鉄の塊が、まるで目に見えない巨大な鉄壁に激突したかのように、その場でピタリと『完全停止』した。
衝撃でトラックのフロントガラスが蜘蛛の巣状にひび割れ、タイヤから激しい摩擦煙が立ち込める。
煙がゆっくりと晴れていく中――そこには、すくみ上がる子供を背中で庇いながら、向かってきた大型トラックをたった『片手』で受け止め、微動だにせず静止させているブロリーの背中があった。
「……大丈夫か?」
「………――うぇぇぇぇぇぇん!!」
「もう、大丈夫だ。怖かったな…もう、平気だ」
ブロリーは子供の目線に合わせしゃがみ、左手で軽く撫でながら安心させる。少しして大粒の涙を流す子供の母親を連れてきた上鳴と合流、母親に泣きながらありがとうと言われ、ブロリーは優しく微笑み返した。
運転手の人物は顔色を青く染めながらも母親と子供に全力土下座しブロリーに止めてくれたことに関して感謝を述べた。その少し後、警察や救急車が到着し、その場はそれで治った。
人だかりの視線から解放され、再び静かな帰り道へと足を踏み入れた瞬間、上鳴のテンションが一気に爆発した。
「――なあブロリー!!さっきの、さっきのさー!やっぱちょーーう痺れたぜ!!『ドォン!』ってトラック片手で止めてさ! 『もう大丈夫だ、怖かったな』って子供撫でてさぁ! あんなのもう完全に映画のワンシーンじゃん!」
上鳴は前を歩きながら大袈裟な身振り手振りでさっきの出来事とブロリーの勇姿を再現してみせる。目がキラキラと輝いており、それは完全に『すごいだろ俺の友達!』といった感じだ。
「オレは……ただあの子が……危なかったから……体が、勝手に動いただけだ」
「それがすげぇんだって! 突っ込んでくるトラックにビビることなく前に立ち子供を守る……そんな事、普通の人にはできない事なんだぜ!?それをやってのけるブロリーは……そう!!完全にヒーロー!!やっぱブロリーってヒーローに向きすぎてすぎてるんだって!」
「ヒーロー……」
「正直俺が女子なら完全に惚れて……――あっ…!ご、ごめんブロリー!俺…!」
「上鳴」
失言をしてしまったとばかりに焦り謝る上鳴だったが、ブロリーは少し止まり、上鳴の目を見て告げた。
「オレは、ヒーロー…だったか?」
「―もっっちろん!!さいっっこうにカッケェヒーローだったぜ!!」
「―そうか」
嬉しそうな笑顔を浮かべるブロリーを見て自分を笑顔になる上鳴、2人は楽しそうに会話を進めて行った後、それぞれの家へと帰って行く。
上鳴と別れた事に対して少しの悲しみを抱きつつ、自宅へとついたブロリーは、ゆっくりと扉を開いた。
「おっかえり〜〜蕗利〜〜〜!!!」
「ただいま、お父さん」
扉の先にいたのは、細すぎる両手を広げ、自分の帰りを待っていた父『八木俊典』の姿があった。
……そう。世間には隠しているが彼、八木蕗利は日本に数あるヒーローの中でもNo. 1の人気を誇り、その存在そのものが伝説、生きているだけでヴィランの抑止力となる存在
平和の象徴・オールマイトの養子なのだ。
昔見たブロリーの映画(旧・新)に脳を焼かれた作者です。