怪物と英雄の狭間で 作:伝説の一般元ブロリスト
いつもコメントありがとうございます、返信をお待たせして待って申し訳ありません。一つ一つちゃんと目を通させていただいておりますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
波乱すぎる個性把握テストがあった日の翌日。
「じゃ次の英文のうち間違っているのは?」
(普通だ)
(普通だ)
(くそつまんね)
(関係詞の場所が違うから……4番!)
初日があまりにも濃すぎた内容だった為、翌日に行われたプレゼント・マイクによる英語の授業が緩くどころかものすごくあったかく感じる程に緩かった。
勿論他の授業もそんな感じであり、午前の授業は普通すぎて覚えられなかった、もしくはつまらなかったと思う生徒も多くいた。
(――あそこの文は……こう…のはずだから……あとは…上手く…組み合わせれば………――アレ…?振り出しに…戻った……!!?)
そんな中ブロリーは必死になって授業に取り組んでおり、授業中は常に頭を抱えており、授業が終わったあとは必ず先生やクラスメイトに取り組んだ問題に対しての解き方を教わったりしていた。
昼飯に関しては、クックヒーロー・ランチラッシュの物凄く美味しいご料理が安価で食べられる。
ブロリーは食力は個性の影響もあってかとんでもないのだが、雄英側はそんなブロリーの様な食欲旺盛な生徒のことも考え、食料はとてつもない量を保有している。ランチラッシュも久々の大食いの生徒聞いて、とんでもないくらい張り切って作っていた。
モグ、モグ……ハグッ、モグモグ……バクッ! ガブッ!!モグモグモグ……ゴクッ!!
「すっげぇ食欲だな…!」
「皿の山が、増えに増え続けてる…」
ブロリーの食欲に感心しながらも、午後からの学活のためにとブロリー以外の生徒達も自分の昼食を食べる。その際『自分って少食なのか…?』と思ってしまった生徒達もいたそうな。
『わーたーし――が!!!――普通にドアから来た!! 』
午後から遂に始まる『ヒーロー基礎学』――先生は勿論オールマイト。そんな彼の登場にクラスは大盛り上がり。
「すげぇ! 本当にオールマイトだ!」
「シルバー時代のコスチューム来てるけど、本当に教師やってるんだ!?」
「画風が違いすぎて鳥肌が……!」
クラス中が大興奮に包まれる中、オールマイトは仁王立ちで豪快に笑いながら、ちらりとブロリーの方へ視線を送る。
ブロリーもまた、父親の雄姿にどこか誇らしげに目を輝かせていた。
「ヒーロー基礎学! ヒーローとしての素地を叩き込む科目だ! 単位も最多! さっそく本日行うのはこれだ―――!」
バシッとオールマイトが掲げたカードに書かれていたのは、『BATTLE』。
『戦闘訓練!!』
その言葉に全員が身を引き締め、好戦的な者達は既に瞳もギラつかせていた。
「更に入学前に送ってもらった個性届と要望に沿って作られた―――戦闘服!!」
「おぉ!!」
オールマイトが叫びや否や、教室の壁が飛び出し、中には細かく収納された戦闘服、その登場にクラスのテンションも爆上がり。
「さぁ! 着替えてグラウンド・βに集合だ!!」
オールマイトの言葉に全員が頷き、更衣室にて自分のコスチュームを着こなし、一同はグラウンド・βへと集まった。
「――形から入るってのも実に大切なことだ少年少女! なぜなら今日から君らは……ヒーローなのだから!」
グラウンド・βのトンネルを抜け、陽の光の下へと歩み出る1年A組の生徒たち。
各自の『個性』や要望に合わせて作られた思い思いのヒーローコスチュームを身にまとい、その表情には誇りと高揚感が満ち溢れていた。
「かっこいいじゃんみんな! 似合ってるぜ!」
「おおおー!!いよいよヒーローって感じでいいなぁー!」
「みんなイカすー!!」
互いのコスチュームを褒め合い、盛り上がるクラスメイトたち。
そんな賑やかな輪の後方から、一際大きな足音とともに『圧倒的な存在感』が姿を現した。
「…待たせてごめん」
トンネルから出てきたブロリーの姿に、一瞬で全員の視線が吸い寄せられた。
『おおおっ……!!!』
ブロリーが身にまとっていたのは、自身の鍛え上げられた肉体美をそのまま活かした、武闘家を思わせるシンプルな、けれど洗練された戦闘服だった。
上半身は、分厚い大胸筋と広背筋を強調するような黒の特注ノースリーブインナー。
手首には紺のリストバンド。
下半身は紫色のアンダースーツを着用していて、足には重厚なホワイトブーツ。
そして腰には、お馴染みマントが巻かれていた。
「す、スゲェ……! めちゃくちゃかっこいいじゃねえかブロリー!!」
「シンプルだけど、めちゃくちゃ強そうな感じがいい!!」
切島と三奈が目を輝かせて駆け寄り、上鳴も『男のロマン詰まってるわー!』と興奮気味にブロリーの周りをぐるぐると回る。
彼のデザインやコスチュームは、とある人物によって考えつくられたのだが……そこは、今は置いておく。
「みんなのコスチュームもすごくかっこいい、緑谷。……緑谷のも、すごく似合ってる。……うさぎさんみたいで、可愛い」
『(うさぎ……さん!!?)』
うさぎにさん付けという可愛さあふれる言葉に一同はドキッとしたが、何はともあれこれでグラウンド・βにA組全員が集まった所で、オールマイトの説明が始まった。
「さて、有精卵共!!――戦闘訓練の時間だ!!――今回の内容はズバリ!!屋内の対人戦闘さ!」
オールマイトが言うには、今の世の中、凶悪敵との出現率は屋内が高く、それらを想定したヒーロー組・ヴィラン組に分かれての2対2の屋内戦を行うとの事。
ルールとしては制限時間内に『核兵器』確保。敵を全員を確保すればヒーローの勝ち。
制限時間内まで『核兵器』守護。ヒーローを全員を確保すれば敵の勝ち。
と言った様に内容はシンプル、場所も訓練用のビルで行い、チーム決めも公平にくじ引き。
「ブロリーくんと一緒…!とても心強いよ!」
「オレも、同じ気持ちだ。賢い緑谷が仲間なら、安心できる」
くじ引きの結果、Aチームのヒーロー側は緑谷とブロリーの二人ペアに決まった。他もチームが決まっていき、オールマイトが箱から番号を引き当てていた。
「良し!――まずはAチームがヒーロー! Dチームがヴィランだ!――それ以外の皆はモニター室へ行こう」
第一回戦:Aチーム・緑谷&八木VS Dチーム・爆豪&飯田
オールマイトの言葉を受け、生徒たちが続々とモニター室へと移動していく。その際ブロリーは飯田と爆豪の元へと歩き最初に飯田へと手を伸ばした。
「よろしく、2人とも。お互いにがんばろう」
「ああ!お互いいい勝負にしよう!」
「爆豪も、よろしく」
「……ッチ!」
飯田と握手を交わした後に、爆豪にも手を伸ばすが、爆豪は手を握る事はせずそのままブロリーを避け歩き出してしまった。飯田がすぐに追いかけ爆豪に色々と言っていたが、2人の姿は見えなくなってしまった。
「ブ、ブロリー君!僕達も向かわないと」
「……ああ」
爆豪の態度に思うところはあるが、2人はビルの方へと向かう。ビルへ向かう道中、緑谷は緊張でガチガチになりながらも、拳を固く握りしめていた。
「…緑谷、一つだけ聞いてもいいか?」
「なに?」
「オレは、爆豪に…何かしてしまったのか?」
爆豪からわかりやすく敵視されていることをブロリーは気にしており、彼の幼馴染である緑谷なら何か知っているのでは無いかと思い、彼に問うた。
「……ブロリー君が、何か悪いことをしたわけじゃないんだ。かっちゃんは……幼馴染の僕から見ても、昔から何をやっても一番でだったんだ。……だからこそ、一番であることにすごく強いこだわりを持ってるんだ」
緑谷は少し辛そうに目を伏せながらも、真っ直ぐにブロリーを見上げて言葉を続ける。
「でも、入試実技試験でも……昨日の個性把握テストでも、ブロリー君がぶっちぎりの1位だった。かっちゃんにとって、それは自分のプライドを根底から揺るがす出来事だったんだと思う。……だから」
「だから……爆豪は、オレを目の敵にしているのか」
「うん。……もしかしたら今回の戦い、かっちゃんは僕じゃなくて……真っ先にブロリー君を狙ってくるかもしれない。勿論、僕の方を先に狙ってくるかもしれないけど」
緑谷の言葉に、ブロリーは静かに己の大きな手を見つめた。自分が目指すのは救助ヒーロー、ヴィランを制圧することよりも人命優先をするべきであり、彼自身あんまり戦うことに対して好意的では無い……だが。
「教えてくれてありがとう、緑谷。……もし爆豪君がオレを狙ってくるとしても、オレは逃げない。……ちゃんと正面から受け止める」
自分に対して攻撃をしてくるというのなら、相手をせざるを得ない。自分が倒れてしまっては、他に助けを求めている人を助けられないからだ。
2人はビル内に侵入した後の事をを話し合いながら、ビルの方へと進んで行き、ビルの前に到着した。
そして二つのチームの配置が完了すると同時に
『それでは、Aチームvs Dチームの、屋内対人戦闘訓練…スタァァァット!!!!』
ついに戦闘訓練が始まった。
二人はビル1階の窓から慎重に内部へと足を踏み入れた。薄暗く不気味な静寂が包む廊下、2人は足音を立てず、周囲を警戒をしながら、ブロリーが前緑谷が後ろの状態で進んでいく。
「……ブロリー君、角を曲がるときは気をつけて。どこから奇襲が来るか分からないから……」
「ああ…緑谷、怖いか?」
「ま、まぁ、少しは……でも、僕もいつまでも怖がってばかりじゃいられないんだ」
緑谷が拳を強く握りしめ、前を見据えて一歩を踏み出した――その、直後だった。
「―オラ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッ!!!」
曲がり角から、音もなく現れた爆豪がブロリーに向かって右手を勢いよく突き出す。
爆豪の掌から放たれた強烈な爆風と閃光が、狭い廊下を一瞬で飲み込む。
あまりの威影と衝撃に、緑谷は息を呑みながら倒れ込まないよう踏み止まるのが精いっぱいだった。
「っ……!? ブロリー君……!!」
爆煙が立ちこめる中、緑谷が叫ぶ。
「……………」
しかし、煙が晴れた先にあったのは――直撃を受けたはずの場所に、微動だにせず立ち聳えるブロリーの巨躯だった。
ブロリーは爆豪の右腕を手首のあたりでガシッと片手で受け止めており、その胸元からは僅かに香ばしい煙が上がっている程度。ダメージらしいダメージは微塵もうかがえない。
「……っ……!?」
自分の全力を乗せた不意打ちを、まるで羽虫でも払うかのように受け止められた爆豪。
その顔に屈辱と戦慄が走り、血走った両目が一層激しくギラついた。
爆豪は緑谷の方を一瞥すらしようとせず、目の前のブロリーだけを鋭く睨みつけながら、歯を剥き出しにして吐き捨てた。
「クソデク……今回はテメェじゃねえ……そこにいるクソデカ野郎、ただ1人だ!!!」
咆哮とともに、爆豪は左手でもバチバチと火花を撒き散らし、ブロリーへ更なる爆破を叩き込もうとする。ブロリーはすぐに爆豪を前へと軽く投げ、後ろにいた緑谷に目をやる。
「緑谷、核の確保を」
「ブロリー君…わかった!。そっち任せたよ…!!」
緑谷は素早く方向転換し上階へと続く階段へ一気に駆け出していった。ブロリーはそんな彼を見送った後、真っ直ぐに爆豪を見る。
「クソデクを1人にしていいのかよ、あいつ一人であのメガネに勝てると思ってんのか…!」
「緑谷は強い、だから大丈夫」
「ハッ…!つい最近までただの無個性だった奴に何ができるってんだ…!」
爆豪は両手を構えながらバチバチと激しい火花を撒き散らしながら、殺気に近い敵意をブロリーに向けていた。
「入試も、昨日のテストも……一番だからって調子に乗ってんじゃねえぞ!!―いいか、1番前に立つのはな…!クソデクでもテメェでもねえ…!俺だ!!」
爆豪の叫びが、狭い廊下に激しく反響する。
両手から放たれる殺気立った火花と、全身から発せられる圧倒的な執着心。
だが、その怒号を正面から受け止めたブロリーの表情に、勝ち誇るような色も、相手を見下すような色も一切なかった。
ブロリーはただ、不思議そうに目を細めた。
「……オレは一番なんて、いらない」
「……あぁ!?」
予期せぬ返答に、爆豪の眉間が深く寄る。
「オレは……一番になりたくてここに来たんじゃない。誰かを負かして順位を競いたいわけでもない……一番なんて、どうでもいいんだ」
ブロリーの声は静かで、どこまでも澄んでいた。
嘘も嫌味も、謙遜すら含まれていない、純粋な本心。
「爆豪君が一番になりたいなら、なればいい。……でも、オレが欲しいのはそんなものじゃない」
「な……ッ! てめぇ、俺を……バカにしてんのか……!?」
「バカにしてなんか、いない。……オレがなりたいのは、一番じゃなくて……大切な人や、困っている人を助けられる……強くて優しいヒーローなんだ。自分の力を、ちゃんと自分でコントロールできるようになりたいだけなんだ」
ブロリーはぎゅっと拳を握りしめ、真っ直ぐに爆豪の目を見つめ返す。
「順位なんていらないから……緑谷を傷つけるのは、やめろ。緑谷はクソデクなんて、名前じゃ無い」
「……っ……ハッ……!!」
一番に命をかけ、誰よりも勝利に執着してきた爆豪にとって、その言葉はどんな罵倒よりも重く、プライドを根底から踏み荒らされるような屈辱だった。
自分がオールマイトを超え、全力で掴み通ろうとしている「1位」の座を、「どうでもいい」「いらない」と切り捨てられたのだから。
「……どこまでも……テメェは…!!!!!!」
爆豪の血走った両目から、静かな狂気と圧倒的な闘志が溢れ出す。そして爆豪は腹の底から声を張り上げる。
「だったらよぉ……! お前が俺に勝ってみせろ!!」
「……」
「俺をねじ伏せてみろよクソデカ野郎!! お前が俺に勝ったら……クソデクって呼ぶのはやめてやる!!」
「…言ったな?」
「ああ…!誓ってもいい…!!」
「ならオレのことも、ブロリーと、呼んでくれ」
「いいぜ…!!だから――来いや…クソデカ野郎ぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
プライドの全てをかけた爆豪の叫びとともに、両手から怒涛の爆風が巻き起こり、二人の激突の火蓋が切って落とされたのだった。
次回
岩盤
お楽しみに