怪物と英雄の狭間で 作:伝説の一般元ブロリスト
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これからもどうぞよろしくお願いいたします!!!
『そんじゃあカウント行くぜ!!!3…2…1…!―――START!!!』
プレゼント・マイクの絶叫がスタジアムの空気を震わせた、まさにその瞬間だった。
「――ウラァァァァ!!!」
「ちょっ!?爆豪!?」
「アイツ勝手に!!」
スタートの合図と同時に、爆豪が切島たちの騎馬から爆破の推進力で単身ロケットのように跳び上がった。
両掌から猛烈な爆炎を噴き散らし、ブロリーの頭上――心操の額にある1000万のハチマキめがけて最短距離で突進してくる。
「上から来るぞ!!」
「わわっ、速いですね!?」
心操と発目が叫んだ瞬間、ブロリーは三人――肩の上の心操、両腕に乗せた発目と常闇をしっかりと抱え込み、膝を軽く曲げた。
「みんな、しっかり、掴まっていろ!」
地面を蹴り、三人全員を乗せた巨躯がふわりと軽やかに真上へと跳躍した。
「―ハァ"!!」
ブロリーは三人を抱えたまま飛んでくる爆豪の前に右足を繰り出した。
決して爆豪の身体に直接当てるつもりはない。ただの威嚇と間合いを取るための、空間を薙ぐ空振り――だが次の瞬間、突風が発生。
「ぐ――あぁぁぁぁぁッ!?」
蹴り抜かれた空間から、まるで大砲のような凄まじい『真空の突風』が爆裂した。
直撃すらしていないにもかかわらず、その猛烈な風圧の塊を正面から喰らった爆豪の身体は、木の葉のように錐揉み回転しながら後方へと激しく吹き飛ばされる。
「うおっと危ねぇぇぇッ!!」
地上で待機していた瀬呂がすかさず肘からテープを射出し、空中でグルグル回る爆豪の腰を間一髪で絡め取って自分たちの騎馬の上へと強引に引き戻した。
「クソが……ッ! 空振りの風圧だけで吹き飛ばしやがった…!あの野郎……!!」
歯噛みする爆豪を余所に、ブロリーチームは音もなく軽やかにグラウンドへと着地した。
だが、息をつく暇もない。
着地の瞬間を狙いすましていた他チームが、『今だァァァッ!』『着地の隙を狙え!』と雄叫びを上げ、全方位から怒涛の勢いで群がり寄せてきた。
「囲まれたか…常闇、頼む!」
「御意!!―ダークシャドウ!!」
『アイヨォ!!』
常闇がダークシャドウを出現させ、向かってくる騎馬の騎手に向けて繰り出す。ダークシャドウに怯んでしまった騎馬は止まるが、怯まず突っ込んでくるチームが一組――轟チームだ。
「上鳴、放電で牽制!」
「おうよ!いくぜぇ!!『無差別放電130万ボルト』!!」
八百万が瞬時に創り出した絶縁シートを被った轟チームから、激しい金色の雷光が全方位へ炸裂した。
『ウゥゥワァ!!ヒカリハァ!!無理ィィィッ!!』
ダークシャドウがなんとか防いでくれたものの、眩い強光に悲鳴を上げて常闇の体内へと引っ込む。さらに、その隙を見逃さず轟は八百万が作り出した鉄の棒を地面に当て、そこから氷結を発動。
「逃がさねぇ」
バリバリバリッと地面を這う猛烈な氷結が、ブロリーたちの足元を円状に取り囲み、一瞬にして退路を断つ巨大な氷の檻へと急成長していく。
そしてブロリーの足を完全に凍らせてしまった。
「心操、どうする」
「勿論――ここから逃げ出す!ブロリー!」
「おぉ"ぉ"ぉ"あ"あ"あ"っ!!」
ブロリーは氷付けにされた状態であったのにも関わらず、無理矢理足を動かし氷結による拘束を打破。その瞬間を狙って飯田が個性を作動させ、轟チームが一気に近づいてくる。
「ブロリーさんばっかりに負担はかけさせません!――さあ、これが…これこそが!!ブロリーさんの肉体を調べに調べて作り上げたベイビー第2号!『メガトン!アーム!』」
「―なに?」
心操を守るため、発目が騎馬戦の前から背負っていたバックパックの中から、突如として金属の腕が飛び出してきた。その手は突っ込んできた轟チームの騎手である轟の両腕をガッチリと掴む。
「っなんだ、この腕…ただのサポートアイテムじゃ無いな」
「その通り!!それはブロリーさんの腕をモチーフにした傑作であり! ブロリーさんのパワーを再現するために作り出した自慢のベイビーです!――まあ実際のパワーはブロリーさんの足元にも及びませんけどね!」
「ならこのまま凍らせて、そのポイントをいただくだけだ」
そう轟が発目のサポートアイテムごと凍らせようとした――その瞬間、轟の耳に、彼に取って一番耳障りな言葉が入る。
「―轟焦凍、あんたって確か…エンデヴァーの息子だったよな。やっぱり……あの人と似て、とんでもなく凄い人だ」
「……アイツと似てる……だと?」
轟の顔が、普段のクールな表情から一変。禍々しく、憎悪がこもっている怒りの顔となり、そのまま叫んだ。
「似てるわけがあるか!!あんな……あんな奴と――」
それが、決定打となってしまった。轟の目から光が消え動かなくなってしまい、それを見た発目がアームの手から轟の手を解放。
「そのまま、少しの間止まっててくれ」
「…………」
「轟さん…!?どうなさったのですか!?轟さん!!」
「君!轟くんに何を!!」
「悪いな、これも勝つためなんでな…ブロリー!」
「わかった…!」
轟の動きが止まっている間にブロリーが動き、その場からブロリーチームは退散。轟は依然として止まったまま。
「轟!轟って!!――仕方ねえ…みんな、ちょっと耐えてくれよ!!」
上鳴は軽い放電を行い、八百万・飯田・轟の3名を少し痺れさせる。その放電を喰らい、轟はやっと目に光が戻り目を覚ました。
「――悪い、上鳴…助かった。八百万…飯田……すまない、完全に相手の罠に乗ってしまった」
「気にするな轟くん! レースはまだ終わっていない!」
飯田がエンジンを吹き上げながら、鋭く声を張り上げた。
「まさか……言葉を返しただけで相手をあやつることができるだなんて……普通科にも、かなりの実力者が潜んでいたのですね……!」
八百万が冷や汗を拭いながら、即座に状況を分析する。
「…完全に俺の油断だ。悪かった」
轟は奥歯をギリリと噛み締め、右半身から再び激しい冷気を立ち上らせた。
父親の名を出され、我を忘れて感情のままに叫んでしまった己の未熟さ。そして、圧倒的なパワーを誇るブロリーの足元で、搦手とサポートアイテムを完璧に噛み合わせてくるあのチームの底知れなさに、冷徹な焦りが胸を焼く。
(八木の破壊力だけじゃねぇ……あいつら、互いの弱点を完全に補い合ってやがる……!)
「八百万君、これからどうするべきだと思う?」
「少し体勢を立て直した方がいいかと、それに向こうから今の我々を狙って動き出したチームも、少なからずいる様です」
「ここでブロリー達を追っても、危険なだけか………八百万の案で動くぞ。体勢を立て直しつつ、対策を考えるんだ」
「おうよ!」
「了解した!!」
轟チームが体勢を立て直している間、距離を取っていたブロリーチームは、息を呑むような安堵の空気が流れていた。
「……ふぅ。上手くいったな」
ブロリーの肩の上で、心操が額の汗を拭いながら息を吐き出す。
「さっきのはナイス判断でしたね心操さん!」
「正直うまくいくかは賭けだったが…なんとかなってよかった」
「凄いよ、心操」
「―いや、俺はただ隙をついただけ。大半の活躍は…ブロリー達だよ」
「何を言っている。敵の意図を察し、刹那の機を見逃さず言葉を射抜く……あれはお主の才覚あってこその戦果だ」
常闇がブロリーの右腕の上で腕を組み、静かに、だが確かな敬意を込めて言葉を紡ぐ。
「そうですとも! 私のベイビーを最高に活かしてくれたのも心操さんの機転です! 誰が欠けてもさっきの脱出はあり得ませんでしたよ!!」
発目も左腕の上でガッツポーズを作り、満面の笑みを浮かべた。心操はどこか照れくさそうに口元を歪め、首の後ろをぽりぽりと掻く。
「……お前ら、お人好しにも程があるだろ」
「ううん。心操くんがいてくれたから、オレも迷わずに動けたんだ――だから遠慮なく、これからも指示を出してくれ」
これまで『気味が悪い』『怖い』『ヴィラン向きだ』と忌避され続けてきた己の力。それを、圧倒的な力を持つヒーロー科の生徒が、サポート科の少女が、背中を預け合える仲間として本気で称え、感謝してくれている。
心操の胸の奥で、燻っていた冷たい塊が完全に温かな熱へと変わっていくのを感じていた。
「……なら、最後までその言葉通りにさせてもらうよ」
心操はハチマキをきつく締め直し、鋭い眼光で前方のグラウンドを見据えた。
「―俺達の目的は生き残ること、他のチームは今俺達に構わず他のチームと闘い始めている……つまりここからの動きは一つ――ブロリー、ひたすら逃げ回ってくれ」
「うん」
「二人は周囲を見ながらカバーを頼む」
「心得た」
「了解しました!!」
「よし……みんな、絶対に、守り切るぞッ!!」
心操の咆哮とともにブロリーチームは動き出すのであった。
その後も戦いは続いていき、今現在トップ4に入っているのは
ブロリー・心操・発目・常闇
轟・八百万・飯田・上鳴
緑谷・麗日・尾白・青山
爆豪・芦戸・瀬呂・切島
この4チーム。
『残り時間はあと2分を切ったァァァッ!! 逃げの一手を打つ一千万チームを、猛追する上位陣が完全に包囲網を敷いたァァァッッ!!!!』
プレゼント・マイクの実況が煽る通り、グラウンドの空気は最終局面の焦燥感で焼き切れんばかりになっていた。
ブロリーチームが徹底して逃走に徹する中、残された時間はわずか。1000万を奪わなければ1位通過はないと理解している他チームが、なりふり構わず牙を剥く。
「逃がすかゴラァ!!醤油顔! ピンク頭ァ!!」
「瀬呂な!!」
「芦戸三奈だって!!」
爆豪の怒声に応じ、瀬呂の肘から射出された無数の粘着テープがブロリーの退路を塞ぐように蜘蛛の巣状に張り巡らされ、同時に芦戸が足元へ溶解液を撒き散らし足場を奪おうとしてくる。。
「足場を奪って動きを止める気です! ブロリーさん、右です!!」
「ああ!」
発目の『ズーム』による瞬時の指示を受け、ブロリーは溶解液の撒かれた地面をわずか爪先一本で捉え、重力を無視したようなステップで軽やかに横へとスライドした。
「死ねェッ!!」
死角の頭上から爆豪が爆炎を噴かせて降下してくるが――。
「ダークシャドウ!弾き返せ!!」
『ガッテンダァァァッ!!』
右腕の常闇から放たれたダークシャドウが、巨大な掌で爆豪の爆破の衝撃波を真っ向から受け止め、空中で軌道を逸らさせる。
「チッ……! クソ鳥がァッ!」
さらに反対側からは、緑谷チームが肉薄していた。
「麗日さん、解除! 青山くん、後方へレーザー!!」
緑谷の的確な指揮のもと、無重力で浮かび上がった騎馬が青山のネーブルレーザーの推進力でロケットのようにブロリーの着地点へと突っ込んでくる。
「させません!!秘密兵器――煙幕!!」
「 っシンプル!」
発目がばら撒いた煙幕が緑谷たちの視界を真っ白に染め上げ、その一瞬の隙にブロリーは三人を抱えたまま、ふわりと高く跳び上がって緑谷チームの頭上を飛び越えてみせた。
「なんて機動力…!」
着地した緑谷が、悔しそうに歯を食いしばる。
規格外のパワーを持つ巨漢でありながら、仲間を決して振り落とさないための繊細極まりない重心移動。そして、死角を完璧に補う黒影の防御、発目のアイテムによる妨害、心操の洗脳という見えない心理的罠――。
四人が互いの長所を極限まで噛み合わせた『移動要塞』は、どんな策を弄しても捉えきれない難攻不落の城と化していた。
「轟くん、今だ!」
ふいに、轟チームの前足を担ぐ飯田が低く重い声を響かせた。の両ふくらはぎのマフラーから、今まで見たこともないような濃密な青白い煙と火花がバチバチと噴き出し始める。
「飯田……?」
「キミたちには事前に言えなくてすまなかった! だが、これを使うと後でエンジンが完全に死んでしまうからな……! ――歯を食いしばれ!!」
飯田の目がぎらりと光る。
「兄に勝るとも劣らぬ速度を……今ここで引き出す! ――『トルク・オーヴァ』ッ!!」
「なっ……!?」
「『レシプロ――バーストォォォッッ!!!!』」
スタジアムの空気を引き裂く凄まじい爆発音。
轟チームが地面を蹴った瞬間、その姿が視界から完全に「消えた」。
爆音と突風の置き土産を残し、音速をも超える超加速で一直線にブロリーの懐へと空間をワープするかのように肉薄する。常闇の黒影すら反応が間に合わず、心操の思考すら追いつかない、文字通りの神速の一撃。
轟はGに耐えながらも腕を伸ばし、心操の鉢巻を奪い去ろうとした。
―――だが
スッ!!!
轟の指先が、心操のハチマキの布地をわずか数ミリのところで空を切った。
「な……ッ!?」
轟が信じられないものを見るように目を見開く。
三人もの人間を肩と腕に乗せた巨大な体躯が、まるで水面に漂う木の葉のように、音もなく後ろへとスッと体を引いて完璧に躱してみせたのだ。
(――対応しやがった……初見で、飯田の…この切り札を…!!!!!!)
「そんな――っぐ…これほどまでに…!」
「今ですブロリーさん、跳んでくださぁぁぁい!!」
「はぁっ!!」
ブロリーは力強く大地を踏み抜くと、空振りに終わった轟チームの頭上を大きく飛び越え、スタジアムの遥か上空へと舞い上がった。
そして――。
ブォォォォォォォォォォンッッッ!!!!
スタジアム全体に、試合終了を告げる甲高いサイレンの音が鳴り響いた。
『タ……タ……タイムアップゥゥゥッッ!!!! そこまでェェェッッ!!!!』
マイクの実況が炸裂した瞬間、ブロリーはふわりと静かにグラウンドへと着地した。
静まり返るスタジアム。
息を呑む数万人の観客たちの前で、巨大モニターに確定した順位がドカンと映し出される。
『第2種目・騎馬戦!! 激闘を制し、ポイントを最後まで死守して1位で通過したのは――心操チームだァァァァァッッッ!!!!』
地響きのような大歓声と拍手の嵐がスタジアムを包み込んだ。
「……勝、った……?」
肩の上の心操が、呆然と自分の手を見つめた後、額のハチマキがしっかりと残っているのを確かめ、ぶわっと全身から安堵の息を吐き出した。
「勝った……! 本当に、一千万を守り切っちまった……!」
「やりましたぁぁぁぁッ!! 世界中に私のベイビーの性能を見せつけられましたよーっ!!」
「――よくやったぞ、ダークシャドウ」
『ド、ドンナモンダ……』
発目がブロリーの腕の上で飛び跳ね、常闇も満足げに口元を緩める。
ブロリーはゆっくりと3人を地面へと降ろし、額の汗を拭いながら、満面の優しい笑顔を向けた。
「みんな、怪我はない? ……本当によかった。みんなのおかげで、勝てた」
「……バカ言え。お前が最後に躱してくれなきゃ、全部持ってかれてたよ」
心操は照れくさそうに笑いながら、ブロリーの太い腕に拳をコツンと当てた。
科の垣根を越えて結成された混成チームが、最高の形で予選をトップ通過した瞬間だった。
ブロリーは心の底から、勝利の喜びを噛み締め、満面の笑みを浮かべながら笑っていた。
―――――しかし。
「―ブロリー…緑谷、お前ら…オールマイトの隠し子かなんかか?」
「えぇっ!?」
「……………」
「―――上鳴……と……戦う……⁇」
「――マジ……か……いや、覚悟はしてたけどさ……マジかぁ」
次なる試験が、ブロリーを待ち構えているのであった。
Q.マジでどうやったら勝ってたの?
A.頑張ってブロリーを興奮させ、力を溢れさせ、サポートアイテムを作動させてたら勝ってました。
緑谷君やかっちゃんはめちゃくちゃ頑張って点を稼いだって感じでお願いします。
次回
エンデヴァーとオールマイトの楽しいパパ会話
轟焦凍、オールマイトに息子が二人にいると誤解する
上鳴、ブロリー、友として
お楽しみに