怪物と英雄の狭間で   作:伝説の一般元ブロリスト

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次回は月曜日を予定しております。そろそろ忙しくなってきましてねぇ……


成長

 

 

 

 ブロリーは戦いを好まない、戦いが大好きだからと言ってさらに強くなろうとはしないし、戦いで相手を負かすことが好きでもない。

 

 

 

 

 ――だが、彼の体は、個性は、そうではなかった。

 

 

 

 

 ブロリーの骨の髄に刻まれているのは、彼の優しい心根を嘲笑うかのような、あまりにも凶暴な『適応』と『進化』の渇望だった。

 

 

 誰かを傷つけたいわけではない。強くなって誰かの上に立ちたいわけでもない。

 

 

 だが、彼の肉体は――その規格外の細胞は、強敵に囲まれ、極限の死線へと追い込まれれば追い込まれるほど、眠れる野性を狂おしいまでに覚醒させていく。

 

 

 呼吸を封じられ、五感を揺さぶられ、完全なチェックメイトを突きつけられたあの暗闇の中で、ブロリーの意思とは無関係に、その本能はプロたちの技術(理屈)を貪り喰らっていた。

 

 

 音波の圧迫、重心の誘導、地形の掌握、呼吸の遮断。

 

 

 常人であれば絶望して屈するだけの猛攻のすべてが、彼の肉体にとってはただの「手本」であり、進化への「糧」に過ぎなかったのだ。

 

 

 劣勢に立たされ、絶体絶命の窮地から一筋の活路を見出したその刹那。

 

 

 理解した瞬間、彼の力は跳ね上がる。

 

 

 一撃を浴びるたびに皮膚はより強靭に締まり、呼吸を乱されるたびに肺腑はより深く酸素を呑み込み、一度見た技の理屈を、自らの血肉として暴力的に昇華していく。

 

 

 戦えば戦うほどに研ぎ澄まされ、追い詰められるほどに強くなる。

 

 

 心は「誰も傷つけたくない」と叫びながら、その肉体はプロヒーロー9人の全力の連携すら軽々と呑み込み、より完全な『捕食者』へと変貌を遂げようとしていた。

 

 

 弾け飛んだ粉塵の向こう、立ち込める緑の奔流を纏いながら、ブロリーの双眸が静かに光を宿す。

 

 

 それは恐怖に怯える子鹿の瞳ではなかった。

 

 

 プロたちの編み出した狡猾な策を、その身ひとつで解き明かし、乗り越えるための牙を研ぎ終えた――絶対の怪物の貌だった。

 

 

 

 


 

 

 

(おいおいマジかよ…!!さっきから、威力が、落ちねえ…!!)

 

 

 

 マイクは脂汗を流しながら喉を極限まで震わせていた。

 

 普通ならとっくに肺が悲鳴を上げ、酸欠で倒れているはずの時間をとうに超えている。それどころか、ブロリーの喉の奥から放たれる衝撃波は、押し返されるどころか秒単位で圧力を増していた。

 

 

 

「ぐ、あぁッッ!?」  

 

 

 空気の質量差そのものに競り負け、マイクの放った音波が完全に逆流した。

 

 超高圧の暴風が首の指向性スピーカーを火花とともに粉砕し、マイクの身体を木の葉のように吹き飛ばす。ビルの外壁へと叩きつけられたマイクは、肺の空気をすべて吐き出し、膝から崩れ落ちてその場に頽れた。

 

 

「マイク……ッ!」

 

 

 即座にブロリーの注意をマイクから引き離すべく、ビルの残骸の影からスナイプが銃を構える。射程圏内。指がトリガーへと力を込めた――まさにその瞬間。

 

 

 ブロリーの視線が、カッとスナイプの隠れる死角を捉えた。

 

 

 

 空中へ跳び上がった瞬間に浴びせられた、急カーブを描いて急所を突く銃弾。その理屈――指先と手首の捻り、空気を切り裂く回転の軌道を、ブロリーの野性は完璧に理解していた。

 

 

 足元に転がっていたコンクリートの破片を、巨大な指先で無造作に摘み上げる。

 

 

 そして――ビュンッ! と手首をしならせ、猛烈なスピンをかけてそれを放った。

 

 

「なっ……!?」

 

 

 スナイプが目を見張る。放たれた小石は直線を描かず、ビルの角をなぞるようにググッと直角に近いカーブを描いて遮蔽物の裏へと回り込んできたのだ。

 

 

 まるで、スナイプ自身の個性『ホーミング』そのもののように。

 

 

「ぐおっ……!?」

 

 

 狙いはスナイプの肉体ではなく、彼が握っていた銃身そのもの。

 

 超高精度の投石はピンポイントで銃を叩き折り、破片を撒き散らした。スナイプは痺れる右手を庇いながら、間一髪で後方へと受身を取って退避するのが精一杯だった。

 

 

 

「銃だけを狙い撃ち……! エクトプラズム!」

 

「承知……! 拘束するッ!」

 

 

 スナイプが引いた刹那の隙を突き、地面の影から飛び出したエクトプラズムが、新たな分身を引き連れてブロリーの死角へと肉薄した。今度こそ確実に四肢を抑え込み、動きを止める――。

 

 

 だが、その手がブロリーの腕に触れる直前。

 

 

 スッ……と、目の前の巨漢の輪郭が陽炎のようにブレた。

 

 

 

 

「……なに…?」

 

 

 

 エクトプラズムの手が空を切る。

 

 

 次の瞬間、彼の視界に飛び込んできたのは――右と左、まったく同じ構えで立つ二人のブロリーだった。

 

 

「な……!?」

 

 

 困惑する間すらなかった。

 

 

 二人が四人に、四人が十人に、十人が数十人に。

 

 瞬きをするたび、視界を埋め尽くすようにブロリーの巨躯が増殖していく。前後左右、瓦礫の上、頭上――どこを見渡しても、静かにこちらを見下ろす巨漢の姿が広がっていた。

 

 

 

(私の個性を……真似て分身したというのか……!? いや、だが彼の個性に、そんな力は…………!)

 

 

 

 プロとしての冷静な判断力が、目の前のあり得ない光景によって激しく揺らぐ。

 

 その混乱の極致へ、インカムを突き破るような相澤の切迫した怒号が飛び込んできた。

 

 

 

『エクトプラズムッ!! それは分身なんかじゃない……!! 純粋な超スピードが生み出す『残像』だッッ!!!!』

 

「な――」

 

 

 エクトプラズムが息を呑んだ、まさにその瞬間だった。

 

 

 目の前に揺らめいていた無数の残像が一瞬で掻き消え、大気を切り裂く突風とともに、ただ一つの確固たる質量が正面へと収束する。

 

 

(―しまっ……た…!!顔を…!!)

 

 

 分身たちではなく、何重にも擬装していたエクトプラズム『本体』の顔面を、巨大な手のひらが正面から完璧に捉えていた。

 

 

 

「ブロリー君、そこまでです!」

 

 

 瓦礫の山の上に陣取った13号が、両手のグローブの指先を開放していた。

 

 展開されたのは、光すら逃さない絶対の吸引力――『ブラックホール』

 

 生徒を傷つけぬよう極限まで出力を絞り、純粋な「引き寄せの質量」だけを誇張させた重力場が、ブロリーの巨大な肉体を真正面から猛烈な勢いで手繰り寄せる――だがその瞬間、飛んできたのはブロリーでは無くエクトプラズム。

 

 

「なっ!? っ!!」

 

 

 ブロリーは掴んでいたエクトプラズムを投げ、13号を攻撃、13号は思わず攻撃をやめエクトプラズムを受け止めようとするが…威力が高く、13号はエクトプラズムと共に瓦礫の山に消えていった。

 

 

「パワーローダー!!」

 

「ああわかってる!今度は――」

 

 

 

 ミッドナイトとパワーローダーが装置を使いまたブロリーを攻撃しようとするが――その瞬間飛んできたのは、ブロリー本体。

 

 

「―ッ、退避よ!!」

 

「仕方ないか…!!!」

 

 

 ブロリーは高速で飛び、装置を突進で破壊。装置は完全に破壊され爆発、ミッドナイトとパワーローダーはその場から飛び降り脱出。パワーローダーの移動用のサポートアイテムがすぐに駆けつけ、2人は無事に地面に降りられた。

 

 

 

 

「催眠香の充満は解除された……!」

 

 

 

 装置が吹き飛んだことで濃密なピンク色の霧が急速に拡散していくのを見定め、セメントスは顔からガスマスクを毟り取った。

 

 

 彼が陣取っていたのは、周囲の建物をはるかに見下ろすほどの高所――己の個性で瞬時に隆起させた、超巨大なコンクリートの尖塔の頂上だった。

 

 

 

「これ以上、好きにはさせません……!!」

 

 

 

 セメントスが両の手のひらを足元の柱へと叩きつける。

 

 

 空を裂く轟音とともに、ブロリーの頭上、前後左右から、数十本にも及ぶ極太のセメント柱が、まるで神話の巨槍のように一斉に突き出された。一本一本がビルを容易くへし折るほどの質量を帯び、標的である巨漢を圧殺せんと襲いかかる。

 

 

「だあ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ッッ!!!」

 

 

 ブロリーの喉から、猛々しい気合が迸った。

 

 

 逃げない。避けない。

 

 

 ブロリーは、正面から迫り来る巨大な柱の切っ先へと、右の正拳を真っ直ぐに突き出した。

 

 

 

 直撃したセメント柱が、まるで先端から爆破されたかのように粉々に破砕され、粉塵の雨となって四散する。

 

 間髪を入れず左から迫る二本目を太い腕で薙ぎ払い、頭上から降り注ぐ三本、四本の柱を振り向きざまの両手で叩き割る。

 

 砕くたびに踏み込み、粉砕するたびに加速する。

 

 次から次へと間断なく繰り出される質量の壁を、ブロリーは叫び声を上げながら力づくで粉砕し尽くし、瓦礫の嵐を突き破って一直線に天へと駆け上がっていく。

 

 

 

(パワーが上がっている…!!先ほどよりも!!だが首元のサポートアイテムはまだ作動していない!!つまりまだ……20……いや10も、いっていない!!)

 

 

 セメントスの瞳に、戦慄が走る。

 

 何重もの防壁を紙屑のように突き破り、白煙の向こうから現れたその姿は――瞬きひとつの間に、セメントスの眼前へと肉薄していた。

 

 

「―ぬぅぅっ!!!」

 

 

 伸ばされたブロリーの巨大な手が、セメントスの顔面を正面からガシィッと鷲掴みにした。

 

 

 

「なっ……!?」

 

 

 頭蓋を握り潰すことはない。だが、絶対に逃れることのできない絶対の万力。

 

 ブロリーはセメントスの顔を掴んだまま、その勢いと全体重を乗せ、足元の巨大な尖塔ごと真下へと急降下した。

 

 

 ブロリーの突進の余波と落下の衝撃を受け、セメントスが立っていた数十メートルのセメント柱が、中心から真っ二つに裂け、根こそぎ爆砕されながら崩落していく。

 

 巻き上がる瓦礫と白煙を引き連れ、一直線に地面のアスファルトへと叩きつけられる巨躯。

 

 

 

 地面が大きく陥没し、クレーターのような亀裂が広がった。

 

 ブロリーはその巨体で衝撃を受け止め、セメントスを地面へと残す。

 

 

 

 立ち込める濃密な粉塵のただ中で、ブロリーはゆっくりと立ち上がった。

 

 荒い息を吐きながら、天を仰いだ。

 

 極限の集中と、プロたちの猛攻を打ち破った本能の高揚が、その胸の奥底から狂おしいまでの衝動を押し上げる。

 

 

 

 

 

「――オオオオオオオオオオオオッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 演習場全体を、そしてモニター室のスピーカーをも激しく揺るがす、天地を劈く咆哮。

 

 緑の衝撃波が円状に広がり、周囲の粉塵を一瞬で吹き飛ばした中心で、男はただ一人、獰猛な闘志を世界へと轟かせていた。

 

 

 

「―――第二と作戦を決行するまでに、こうなるなんてな………いや、わかってはいた、いたが……争っていたつもりだったんだかな」

 

「…!」

 

「………行くぞ、ブロリー」

 

 

 

 そしてそんな彼の前に――イレイザー・ヘッドが立ち塞がった。





作戦を死ぬ気で考えてきました!!!←力ずくでその作戦を壊しまくります。



ブロリーのパワー・現在7%
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