怪物と英雄の狭間で 作:伝説の一般元ブロリスト
「くそっ!くそぉ!!撃て撃てぇ!!」
「だ、ダメだ!銃弾なんかじゃ意味がねえ!!」
「なんでもいい!とにかく足止めするんだ‼︎ じゃねえと俺たちがボスに!」
「ううぅゔゔゔゔゔぁぁぁ!!!」
飛び交う弾幕の中、ブロリーは傷一つつく事なく真っ直ぐにヴィラン達へ向かって両腕を広げながら走ってゆく。怯えて声を出す暇もなくブロリーに顔を掴まれ、そのまま軽く仲間の元へと投げられていく、加減はしてあるが骨の1.2本は確実に折れている。
「だったらこいつは―ぎっっ!!?がぁ!!?」
「人に、そんなものを、向けるな…!!」
「お、おおおっわぁぁつ!!!?」
両手を鋭利なナイフに変え襲いかかってきた相手には真っ直ぐ顔に肘を喰らわせ、そのままナイフをへし折った後に壁に向かって投げつけた。
仕上げとばかりにブロリーは息を大きく吸い、その場で叫び声を上げる。
「ゔあ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"っっ!!!」
とてつもない威力の音波攻撃、ヴィラン達はもれなく飛ばされ、そのまま地面にダウン。生きてはいるし死ぬことはない、ブロリーは一息を入れその場にいるヴィラン達を捕縛。
(急いで、みんなの元へ行かないと)
そして体を宙に浮かせ、先に行った緑谷達を追いかけようとした――その瞬間、突然ヴィラン達がやってきたエレベーターの扉が吹き飛んだ。
ブロリーは飛んできた扉を裏拳一つで払いのけ、真っ直ぐに、扉が吹き飛んだ方を見る―――エレベーターの吹き飛んだ扉の奥から、土煙と油の混じったような嫌な臭いが漂ってきた。
ズォン……、ズォン……。
鋼鉄の床を軋ませながら、ゆっくりと姿を現した異形の怪物。
身長は2メートル半ば。ブロリーには及ばないものの、通常の人間とは比べ物にならないほど巨大で、岩石のように隆起した筋肉が全身を覆っている。
赤褐色の肌。太い丸太のような両腕には、金属質の鋭いスパイクがいくつも突き出しており、その異様さを際立たせていた。
しかし、何よりもおぞましいのは――頭蓋骨がなく、剥き出しになった脳髄と、虚無を見つめるギョロリとした巨大な眼球だった。
「……嫌な気配の正体は、コイツか」
「――ァァァァ……!!」
脳無――USJ襲撃事件で、ヴィラン連合が連れていた謎大きヴィラン。
ブロリーの脳裏に、あの時の忌まわしい記憶がフラッシュバックする。相澤先生が血塗れにされ、自分自身も力を解放して戦わなければならなかった、あの黒い怪物。
(……いや、あの時のヤツとは違う)
ブロリーは冷静に目の前の敵を観察した。
USJで現れた、あの底知れない圧迫感はない。明らかに強度は落ちている。
だが、それでも普通のプロヒーローでは到底太刀打ちできないであろう、重圧な殺気と暴力の気配がそこにはあった。
「ァァァァッッ!!」
脳無が耳障りな咆哮を上げ、金属の床を陥没させながら跳躍した。狙うは、目の前に立ち塞がる巨漢――ブロリー。スパイクの生えた太い腕が、空気を引き裂きながら振り下ろされる。
「……ッ!」
ブロリーは迎撃のために右拳を引き絞る。
しかし、ハッとして周囲を見た。
(タワーを、壊すわけにはいかない……! 力を……抑えて、倒す!)
ブロリーは瞬時に威力を計算し、握り込んだ拳の力を「最適」なレベルまで引き算した。放たれた脳無のスパイクパンチと、極限まで威力を抑え込んだブロリーの拳が、空中で激突する。
凄まじい衝撃波がフロアを駆け抜け、強化ガラスにピキピキと亀裂を走らせる。
「ガァ……ッ!?」
「うおおおおッ!!」
タワーを壊さないというハンデを背負いながらも、ブロリーの巨体が、怪力自慢の脳無を真っ向から力で押し返した。
ブロリーは即座に動き、捕縛されていたヴィラン達を安全な場所へと運び込む。そして上に着ていたスーツを破り捨て、拳を握ったまま構えをとる。
「―う"お"ぉ"ぉ"っ!!」
「ァァァァァァァァ!!!!!!」
隠して、怪物vs異次元のバトルが始まるのであった。
その頃、緑谷達は130階の廊下を走っていた。
「何か、ラッキーじゃね? 100階超えてからシャッターが開きっぱなしなんて!」
上鳴が言うと、緑谷は顔を顰める。
先程から不自然な程に警備が手薄で、嫌な予感しかしないのだ。
「ウチらの事見失ったとか?」
「いえ!おそらく誘い込まれてますね!あからさまに!!」
「ッチ…!舐めた真似しやがって…!!」
「それでも、少しでも上に行くために…向こうの誘いに乗る!どのみち最上階に行ければ僕達の勝ちだ!!」
緑谷達はヴィランの誘いに乗る事にした。罠であろうと、上の階に行けるなら少しでも早く行くに越した事はなかった。
そして一行は、実験室の前に辿り着き様子を窺う。
実験室には、大量の警備マシンが配置されていた。
「何て数なん!?」
「やはり相手は、閉じ込めるのではなく捕らえる事に方針を変えたか…!」
「きっと、僕達が雄英生である事を知ったんだと思う!」
夥しい警備マシンの数に、麗日が驚き飯田と緑谷が推測する。だが冷静に慌てず、緑谷は動き始める。最初は八百万が動き『創造』を始める。
「でもそうなる事は、こちらも予想済みですわ!」
そう言って八百万は全員がすっぽり収まるサイズの絶縁シートを創造し、全員絶縁シートの中に隠れた。
「ああ! 予定通りプランAでいこう! 上鳴くん!」
「よっしゃ! やってやるぜ! 頼む、飯田!」
飯田が指示を出すと上鳴が頷いて両拳を前に出し、飯田は上鳴の両手首を掴むとエンジンを発動してグルグルと上鳴を回す。
飯田が上鳴を警備マシンの真上へ飛ばすと、上鳴は大量の電流を放つ。
「喰らえ無差別放電130万ボルト!!」
上鳴は警備マシンに電撃を浴びせるが、警備マシンは防御態勢をとっており全く効いてなかった。
「なら! 200万ボルト!!」
上鳴は、さらに電圧を上げて一気に電流を解き放つ。以前の上鳴ならここで脳がショートしアホになっていた……しかし。
「―しゃあ!!」
「流石だ上鳴君!!」
今の上鳴は成長を続けていく、昔からブロリーといい強い壁を見続けていたからこそ、明確な目標が見えたからこそ、彼は自分自身を強くしていった。
「―って…まだまだ行ける感じね!」
「上鳴さん!一度こちらに退避を!」
「おう!」
上鳴の電撃で一瞬動きが止まっていた警備マシンが再び作動したため、上鳴を一度下がらせ、八百万が特製の発煙筒を創造する。その発煙筒を投げると、煙が発生しマシンの動きが止まる。
「これで通信を妨害できますわ!」
「それ!」
「えい!」
「よしあとは――頼んだぞ!爆豪君!」
「ウラァァ!!!」
その瞬間を狙い、爆豪が爆破を発動させ警備ロボットを完全に破壊。
「耳郎くん! 警備マシンは!?」
「左からくる!」
「なら…!」
耳郎の言葉を聞き、左側の通路を氷結で塞ぐ。やはり爆豪や轟といった戦力がいると本当に心強く、その先もスムーズに進める。
「すごいわ轟君に爆豪君!」
「たりめぇだわ!」
「ブロリーに比べれば、まだまだだ」
そして緑谷達は順調に137階まで辿り着き、耳郎が索敵をする。
「下の階から警備マシンの駆動音多数!」
「上から音は!?」
「無い! 大丈夫!」
「行くぞ!」
耳郎の力により上には警備マシンがいない事がわかったので、一行はそのまま上の階に向かう事にした。
そして一行は、順調に138階のサーバールームに辿り着く。
だがその時、正面の扉が開き警備マシンが大量に出てくる。
「罠か…!」
「耳郎の個性のことがバレてるってことか…!」
「ハッ!いくら数を揃えようが、またぶっ飛ばせばいいだけだ!」
「待って! ここのサーバーに被害が出たら、警備システムにも影響が出るかも…!」
その時、上からも次々と警備マシンが降ってくる。爆豪が緑谷、轟のような周りに被害が出てしまうような個性は使えない、上鳴も安易に個性を発揮できないといったその中での大量の敵。
「どんだけいんだよぉ!?」
「――警備マシンは私達が食い止めますわ!」
「緑谷くん! メリッサさんを連れて別のルートを探すんだ!」
八百万が創造し、飯田が緑谷に指示を出し、指示を受けた緑谷はメリッサに頼み込む。メリッサはしかしと少し戸惑うが、そこで名乗りを挙げたのは二人の男。
「ならば、我らもここに残ろう」
「委員長達はぜってぇ守り抜く! だから、頼んだぜみんな!!」
常闇と切島が八百万・上鳴・峰田・耳郎達を守るために残るといい、前に出る。その覚悟に報いる為にも、ここで立ち止まってはいられない。
「―残っている人たちは、みんなついてきて!」
「わかりました!」
「…命先優先にな!」
「おうよ!」
その場に残る者達以外全員が一斉にメリッサについていく、向かってくる警備ロボット達を前に、飯田達は少しの恐怖もなかった。
――何故ならば今もこの瞬間に、ブロリーが一人で戦っているからだ。
「ブロリーが一人残って戦ってんだ、ビビってなんかいられるかよ!!」
「ここからは先へはいかせん」
「砲撃…準備万端ですわ!」
「こっちもOK!」
「オイラも!!少しだけOK!!!」
全員の気持ちが一つとなり、漫然の状態となった。そんな時、上鳴は静かに拳を握り締め、深呼吸をしている。
「ブロリーの事が心配か?」
「まあな……あーいや、ブロリーの実力を信じてないわけじゃないし、ブロリーが暴走するかも!とかの心配でもないんだ……ただ、たださ……友達として、どうしても心配でさ――これって、アイツのこと信頼してねえってことになるのかな…」
「友を心配するのは当たり前だ。だが今は、目の前のことに集中しなければならない……今、俺たちがやるべきことは一つ」
常闇はダークシャドウを出し、ぐっと構え、警備ロボット達をその目でしっかりと見る。
「進んで行った仲間達のために、ここで使命を果たす事だ」
「…だな!!――うっっし!!やるぜぇみんなぁ!!!」
『おー!!!!!』
心配をしつつも、まずは目の前のこと、上鳴達は先に進んで行った仲間達のため、戦うのであった。
緑谷達は、メリッサに連れられて風力発電システムの前まで来ていた。緑谷達の目の前には、風力発電の装置が並んでいた。
「ここは…?」
「風力発電システムよ」
「どうしてここに…?」
「タワーの中を登れば警備マシンが待ち構えているはず。だからここから一気に上層部へ向かうの。あの非常口まで行ければ…!」
そう言ってメリッサが指を差した先は、風力発電の最上部だった。緑谷達が今いる場所から何十メートルもの高さがあり、扉自体も足場が小さい場所にあった。
「あんな場所に…!」
「うん…でも!」
「俺の力なら、行けるな」
轟が地面に手を置くと、そのまま緑谷達の足元から氷の柱が現れ、そのまま扉の方へと向かって伸び続ける。
「―ついた!」
「開けるぞ」
非常口の方まで辿り着き、そのまま中へと侵入。緑谷・麗日・発目・心操・轟・爆豪・メリッサ、全員無事だ。
「メリッサさん、次は!」
「このまま階段を『いたぞ!!』!」
しかし非常口を開け、そのまま階段を登って行こうとした矢先に待ち構えていたヴィラン達と遭遇。しかももう捕える気もなく、殺害する気満々だ。
「ガキ共が!調子に乗って『くたばれぇぇぇ!!!』へっ…!?!?」
なので爆豪が問答無用で爆破でぶっ飛ばす、そして緑谷達はやってくるヴィラン達を次々に制圧していきいよいよ200階まで上がってきた。
「胸糞の悪いガキ共が…!!」
「お前達だけには言われたくないな」
「あ"!?―――」
「今だ!」
「オラァ!!」
腕を剣にするヴィランの動きを洗脳により一時的に留め、その間に爆豪が爆破し、轟が氷結で拘束。
「ナイスです心操さん!」
「役に立ったようで何より」
「礼は言わねえからな…!」
「最初から期待してないよ」
「あ"ぁ"!?」
「ま、まぁまぁ二人とも…!……えっと!とりあえずメリッサさん!」
「ええ!この先が、制御ルームよ!」
タワー最上階に辿り着いた緑谷達は、制御ルームに向かって走る。ヴィランを警戒しつつも、一同は確実に進んでいき、曲がり角の影に隠れて様子を窺う。
「誰かいる!」
緑谷が言うと、他の者も隠れながら中の様子を窺う。
正面の部屋の中にいたのは、デヴィットだった。
(パパ…!?)
「なんで…デヴィットさんが…?」
「人質に取られてるんじゃ…?」
「……それにしては様子が変だな」
「とにかくいってみないと!」
一同周りを警戒しながらゆっくりと曲がり角の影から出て部屋に近づく。
――――そんな時、聞こえてしまった。
「やりましたね博士! 全て揃ってます!」
「ああ…! ついに取り戻した! この装置と研究データだけは、誰にも渡さない! 渡すものか…!」
「プラン通りですね。ヴィラン達も上手くやってるみたいです」
「ありがとう。彼等を手配してくれた君のお陰だ、サム!」
「ぱぱ…?」
「メリッサ…!?どうして、ここに…!!」
「パパ……なんなの、その機械……手配したって…何…? もしかしてこの事件…パパが仕組んだの…? その装置を手に入れるために…? そうなの、パパ…?」
出来ればそうでないと信じたかった。
自分の知る父親はそんな事をする人間ではなかったからだ。
だが、デヴィットは俯いて観念したように口を開く。
「……そうだ」
「どうして…!?」
「オールマイトと――ブロリー君の…ためだ…!!」
次回
曇り者多数
緑谷・轟・爆豪バチギレ。
ブロリー君怒りの壁ドン
お楽しみに