怪物と英雄の狭間で 作:伝説の一般元ブロリスト
やべぇぞやべぇぞ、あともうすこしで評価数が100に……!!ありがとうございます!!コレからも出来る限り早め早めに投稿していきますので、よろしくお願いいたします!!
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待ちに待った、雄英高校の初登校日。
「……よし」
特注サイズの大きな制服に袖を通し、いつもの様にマントを腰に巻きつけ、鏡の前で身だしなみを整えたブロリーは、深く息を吐いてから自宅の玄関扉を開けた。
「――よっ! 待ちくたびれたぜ、ブロリー!」
扉の向こうで待ち構えていたのは、カバンを肩に掛け、ニシシと笑う上鳴電気だった。
「上鳴……待たせてごめん」
「いいっていいって!マントは結局巻いて行ってもいいって?」
「うん、校長先生に許可は貰った。だから…いつも通り付けていられる」
「そっか、良かったなぁブロリー。それ、命よりも大事な物なんだもんな」
「……それは、少し違う」
「違うって?」
「命よりも大事な物なんて、無い。これは大切な物だけど……命よりかは、軽い」
「うぐぅっブロリー…!!お前ってやつはほんとにいい奴だなぁ!!」
上鳴はブロリーの腕を右手でバシバシと叩きながらそう言うが、すぐ手を痛めたのか左手で右手を押さえ始めた。
「ブロリーの硬さ…忘れてた…!」
「だ、大丈夫か?」
「平気平気…!……って、やべっ!!そろそろ行かねぇと!」
「…ああ、行こう。―雄英高校へ」
春の爽やかな風が吹き抜ける街並みを、二人は並んで歩き出す。体格も歩幅もまるで違う二人だったが、その足取りはどこまでも軽やかだった。
やがて見えてくる、陽の光を反射して輝く雄英高校の巨大な校舎。
校門をくぐり、広い廊下を進むにつれて、二人の胸の高鳴りはどんどん大きくなっていく。
「えーっと、俺たちのクラスは……あった! 1年A組!」
「……大きいドア」
「まあ色んな個性を持つ生徒が入ってくる学園だから〜」
個性による規格外の肉体を持つ生徒にも対応する為、教室の扉は中々に大きい。ブロリーは扉を壊してしまわない様に、力を弱めながらゆっくりと扉を開け中へと入る。
『…………!?』
――教室内にいた他のクラスメイト達が、一斉にブロリーの方を見る。2メートルを超える常識外れの巨躯、分厚く発達した胸板と太い腕、そして腰に巻かれたマント…そんな圧倒的な存在感が教室に姿を現した、それは誰だってびっくりする。
「―おっはよー!!俺上鳴電気!んでこっちは八木蕗利!こんなにもデカい体持ってて、表情も硬いけどさ。……めっっちゃいい奴なんだよ!!だからそんな警戒しなくても大丈夫だぜ!今日からよろしくなー!」
そんな空気を壊す1人の男、上鳴電気。持ち前のコミニュケーション能力を遺憾なく発揮しその場を和ませた。そんな彼の言葉を聞き、次々とクラスメイト達が集まってきた。
「俺!切島鋭児郎!よろしくなー!」
「私芦戸三奈!さっきはごめんねー!急にとんでもなく強そうな人が入ってきたからびっくりしちゃって」
「…や、八木、蕗利だ。ブロリーと、呼んでくれ」
「OK〜!よろしくねブロリ〜!」
「よろしくなブロリー!にしてもスゲェ筋肉だな!男らしくてかっこいいぜ!」
「だろー!?やっぱわかるやつにはわかるんだよなー!ブロリーの体の凄さはさー!」
ほんの少し会話をしただけだが、部屋の空気が一変した。持つべきものはやっぱり友、上鳴と言う存在のおかげでブロリーは初日孤立する事はなく、複数のクラスメイトと交流ができた。
他の生徒達もブロリーに話しかけようとしたいた所で、突然響く声。
「君! 机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」
「思わねーよてめーどこ中だ端役が!!」
「……喧嘩を、してるのか」
「えぇ…まだ初日だってのに、穏やかじゃねえなー」
ブロリー達が楽しく会話をしていたところで、説明会で隣にいた眼鏡の生徒と、明らかに典型的な不良染みたクラスメイトが何やら派手に言い争いを始めていた。
ブロリーは何があったんだと不思議そうに2人を見ていた。そんな時別の扉から教室へと入ってきた人影に目をやるとそこにいたのは緑谷出久、ブロリーはたまらず緑谷がいる方へと駆け寄る。
「―緑谷!」
「ブロリー君…!同じクラスだったんだね!(良かった…!顔見知りがもう1人いた!)」
「す、すごく強そうな人が…!緑谷君、知り合い?」
「あ、うん!八木蕗利君。とっても優しくて、とってもかっこいい人なんだ」
「そうなんや!私、麗日お茶子よろしくね!」
「よろしく」
「あれ? ブロリー、知り合いか?」
「ああ、上鳴、こっちは―」
ブロリーは上鳴に緑谷のことを紹介し、そこから次から次へと交流が増えていく。そして一通り各々の自己紹介が終わったと思った……そんな時。
「─────お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ」
突然教室内に響く男性の声。
声の低さから明らかに生徒の声では無いのは確かであり、その声の発生源にいたのは寝袋だった。
「はい、静かになるのに9秒かかりました。時間は有限――――君達は合理性に欠くね。
寝袋から出た、黒い服、ボサボサ髪の男。ブロリーはそんな男を見てこう思った…『この人は…強い』と。
「俺は担任の相澤 消太だ……よろしくね。――そしてコレ着てグラウンドに出ろ」
担任であると判明した寝袋の男、相澤消太がコレと言った物の正体はジャージ。生徒達が座る机の中にそのジャージが入っていて、それに着替えて今すぐに出ろと彼は言っていた。
「――し、質問宜しいでしょうか!」
「――却下」
眼鏡の生徒、飯田天哉が質問に挑むが、自分を担任と言った相澤は有無を言わさず却下。
そのまま教室を出て行ってしまい、残された者達も取り敢えず指示に従うしかなく、男女別に別れ着替る事に。
ちなみに男子のクラスメイト達は、ブロリーの凄まじい肉体を目にし、何人かは驚愕や称賛の声をあげ、何人かは唖然とし、何人かは自分の鍛えた体に自信をなくしていた。
『個性把握テスト!!?』
「ええ!? 入学式は!? ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る余裕ないよ。雄英は自由な校風が売り文句……それは『先生側』もまた然り」
不満気な声を上げる麗日や周囲の生徒に対し、相澤は一切の感情を交えずに淡々と切り捨てる。
「お前達も中学の頃からやってるだろ? 『個性』の使用を禁じられた体力テスト、国は相変わらず画一的な記録をとって平均を作り続けている。合理性に欠くよ。まあ文部科学省の怠慢だな」
相澤はそう言いながら、目をブロリーの方へと向けた。
「実技試験一位は、八木だったな」
「はい」
入試実技試験一位、その言葉を聞きクラスメイト達はやっぱりと言わんばかりに目をブロリーに向ける。約1名敵意むき出しではあったが。
「中学の頃、ソフトボール投げ何メートルだった」
「……確か……力を抜いて投げて、100メートルくらい……です」
「100…凄いな。じゃあ今回は――加減無し、本気で投げてみろ」
相澤からポンと投げ渡されたボールを、ブロリーは大きな手のひらで受け止めた。白い円状のサークルの中にゆっくりと踏み込み、ブロリーはボールを見つめた。
(……みんな、いい人たちばかりだった…だからきっと――平気だ。)
ブロリーは自分の力を知られる事によって、仲良くなった生徒達に距離をおかけることを少し恐れていたが、緑谷の件もあり、覚悟を決め全力で投げる事に決めた。
「はぁぁぁぁ…!」
ブロリーは投げる方とは反対の方へと向いた後
「だぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"っっ!!!!」
勢いよく振り向きその勢いのままボールを空高くへと投げ飛ばした。
大気が破裂したような凄まじい衝撃波が巻き起こり、グラウンドの土煙が円状に吹き飛ぶ。
ブロリーの手から放たれたボールは、もはやボールの形を留めているかすら怪しい速度の「光の線」となり、衝撃音を置き去りにして天高く、遥か彼方の空へと消え去っていった。
「…測定不能―――無限だな」
『む………む…!!無限!!!?』
「力一杯、投げました」
「上出来だ」
機械では把握しきれないほどの距離へと投げ飛ばしたブロリー。クラス中が絶叫と驚愕に包まれる。上鳴は『見たか俺の相棒!』と言わんばかりにドヤ顔を決め、緑谷は『やっぱりすごいよ……!』と目を輝かせて感動していた。
一方で、クラスの隅でその光景を見ていた不良の生徒、爆豪勝己の表情は、怒りと戦慄で激しく歪んでいた。
「(なんだ――アイツの…あのパワーは…!!腕力だけであんな距離を…!!あの…クソデカ野郎……俺より……はるか上に――ッ!!!)
溢れ出る爆豪の激しい殺気にも気づかないほど、クラスの興奮は冷めやらなかった。
「なにこれ! 超面白そう!」
「『個性』思いっ切り使えるんだ! さすが雄英、楽しそー!」
生徒達がそんな興奮気味に声を上げた――その瞬間。
「……『楽しそう』、か」
相澤の声から温度が完全に消えた。
ボサボサの髪がふわりと逆立ち、その瞳が怪しく赤く輝く。
「ヒーローになるための三年間。そんな心持ちで過ごす気かい? ……良し、最下位の者は見込み無しと判断し――除籍処分とする」
「ダニィ!!?」
「ヘアッ!!?」
「除籍…⁉︎」
突然言い渡された除籍処分という言葉、かなりの時間と労力を使い乗り越えた試練の先に待っていたのが、また新たな試練。もちろんそれに反発する生徒は多数。
「最下位除籍って……!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても……理不尽すぎる!!」
「いつどこから来るか分からない厄災、日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。Plus Ultraさ。全力で乗り越えてこい」
当然のように生徒側の文句は受け入れてもらえなくて、結局皆受け入れざるを得なかった。それに言っていることはごもっともでもある。
理不尽に立ち向かいそれを乗り越えるのがヒーロー、それは決して『面白そう』や『楽しそう』なども言った気持ちで目指していいものではない。
こうして生徒達は、さらなる理不尽へと挑戦していくのであった。
その後も個性把握テストは次々と進行していき、種目が変わるたび、ブロリーの叩き出す記録はクラスメイトたちの常識を軽々と破壊していった。
・50m走:測定不能(本気で走った後の風圧で機械が吹き飛び壊れてしまった為)
・握力:測定不能(握力500を耐え切れる程の測定器が完全に壊れたため)
・立ち幅跳び:測定不能(宙に浮いたままずっといられた為)
・反復横跳び:測定不能(巨体からは想像もつかない超スピードで左右に往復、機械がショートした為)
・持久走: 1分10秒(これ以上機械を壊さない様にとしたため)
「凄すぎる……次元が…違いすぎる…!」
誰もが呆然とブロリーの記録を見上げる中、ブロリーは1人他の生徒達の個性を見て、みんなすごい力だなと感心していた。
そして――テストは終盤、緑谷出久のソフトボール投げの順番へと差し掛かる。
(僕には……みんなみたいに『個性』を上手くコントロールできる技術はない。ここで力を使えば、腕が折れて動けなくなる……。でも……ここで成果を出さなきゃ……!)
焦りとプレッシャーで押し潰されそうになりながらボールを構える緑谷。しかし、一投目は相澤の『抹消』によって個性を消され、わずか46メートル。
その後緑谷は相澤に何か指導を受けたのか、顔を下へと下げてしまう。そんな様子を見てブロリーは励まそうと彼に近づこうとした――だが彼はすぐに顔をあげ、二球目の準備に入る。
(緑谷……頑張れ…!!)
そんな姿を見て、ブロリーは彼を信じ待ってみる事にした。そしてそんなブロリーの判断は正しかった。
『SMASH!!』
爆風とともに緑谷の手、いや、指から解き放たれたボールは遥か彼方へと飛んでいき、計測器には『705.3m』の文字が浮かび上がった。
「先生……っ! まだ……動けます……!!」
激痛に耐え、紫色に腫れ上がった指を握りしめながら、相澤を見据えて言い放つ緑谷。
その勇姿を見て、ブロリーは胸の奥が熱くなるのを感じていた。
(―…凄いぞ緑谷…!よくやった…!!)
誰もが緑谷の底力に息を呑み、感銘を受けていた――ただ一人、その光景を受け入れられない男を除いては。
「どーいうことだ…!?ワケを言えデクてめぇ!!」
「うわああ!?」
鬼の形相となった爆豪が緑谷に向かって一直線に飛び出した。
「言えよ……何だあの力は!! 隠してやがったな!?デクゥ!!」
凄まじい殺気を孕んだ爆豪に対して、緑谷はどう説明しようかと悩み身を縮こませた瞬間。
「―やめろ」
爆豪の肩をいつの間にか移動をしていたブロリーが掴んでいた。
「……っ!? なんだてめぇは……! 文句あんのかよ!!」
肩を掴まれ、身動きを封じられた爆豪が、血走った目で目の前の巨体を睨みつけ、叫ぶ。
ブロリーはその鋭い眼光を真っ直ぐに爆豪へと向け、静かに、けれど逃れようのない重圧を込めて口を開いた。
「……ある」
ブロリーの顔が一気に険しくなる、爆豪と緑谷の間に何があったかは分からない。だがブロリーにとって緑谷は大切な友人であり、父親が選んだ後継者……故に、ブロリーは、彼を守るために爆豪の前に立ちはだかった。爆豪とブロリーを止める為、上鳴と切島が大声で叫ぶ。
「ちょ―落ち受けブロリー!!」
「爆豪もやめろって!」
敵意から殺気に変わった爆豪と、そんな彼を見ているブロリーのエネルギーが溢れそうになった―その刹那。何かが2人に向けて放たれた。
「硬っ……! っんだこの布……!?」
「…!!」
爆豪の全身に巻きついたのは、固い帯状の布。
ブロリーも咄嗟に身体をズラしたものの、すばやく伸ばされた布がその太い手首に巻きつき、その動きをピタリと制止していた。
「……ブロリー、止めに入ったのはいい判断だが…落ち着け、それ以上はまずいと自分でも分かっているはずだ。爆豪、お前もそれ以上やるんだったら問答無用で除籍だ」
「…!!―ごめんなさい」
「……っち!」
「……全く何度も個性を使わせるなよ、俺はドライアイなんだ」
怠惰な声を上げながら歩み寄ってくる相澤。その髪はぶわりと逆立ち、その目は怪しく赤く光っていた。
「時間がもったいない、次用意しろ」
拘束とき、次々とことを進める相澤。緑谷は駆け足でクラスメイト達の方へと戻っていき、爆豪もブロリーを睨みつけたまま戻っていった。
(……久しぶりの、感覚だ)
その後も残りの種目がすべて消化され、ついに全種目が終了した。
グラウンドに集められた生徒たちの前で、相澤がホログラム画面を取り出す。
「それじゃ、結果をパッと開示する。トータルは各種目の評価を単純合計したもんだ。まあ文字で説明するのも時間の無駄だからな、一括で出す」
相澤がボタンを押すと、空中へ青いホログラムの順位表が投影された。
1位:八木 蕗利
2位:八百万 百
3位:爆豪 勝己
4位:轟 焦凍
5位:飯田 天哉
:
21位:緑谷 出久
圧倒的な記録を連発したブロリーが、文句なしの総合1位。
だが、ブロリーの視線は1位の自分の名前ではなく、一番下の『21位』――緑谷出久の名前へと注がれていた。
(緑谷………っ)
緑谷は膝を震わせ、自分の順位を見つめたまま絶望に打ちひしがれていた。
最下位――すなわち、『除籍』。
夢だった雄英高校で、憧れのヒーローへの道が、入学初日で途絶えてしまう。
重苦しい静寂がグラウンドを包み込む中、相澤は手元の画面を消し、静かに口を開いた。
「ちなみに除籍は嘘な」
『――は?』
「君たちの限界を引き出す……合理的虚偽」
『―――はぁぁぁっ!!!!?』
相澤はニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「そんなの嘘に決まってますでしょう。少し考えれば分かりますわ」
八百万が当然のように言うと、周りの生徒たちは「いやいやいや!」「マジで焦っただろ!!」と一斉にツッコミを入れる。
「緑谷、良かった」
「う、うん……! 良かった……本当に……っ!」
安堵のあまり涙を浮かべる緑谷の肩を、ブロリーはポンポンと優しく叩く。
最悪の事態を免れた安堵感と、これから始まる厳しい3年間への覚悟。
夕日に照らされるグラウンドで、ブロリーと1年A組の仲間たちは、ヒーローへの第一歩を確かに踏み出した。
さあ今回の文でMADの音声が流れた方はどれくらいいるのでしょうか……?
えー次回、ブロリー君戦闘編、ぜってぇ見てくれよな!