勇者です。VRMMOと偽って日本のみんなに異世界救ってもらおうと思います。 作:カロン救世委員会
なので最後までなんちゃって掲示板でゴリ押していきたかった
地の文とか3行で終わりにしたい
なので今回は地の文を3行で終わらせるという壮大な試みを行いたいと思います
護衛が俺らだけと言っても乗組員も海の男だ。荒ゴトには慣れている。モンスターに果敢に立ち向かうことだって日常茶飯事だろう。そうだろう? とトウヤは船の乗組員に詰め寄った。
「海の魔物はデカくなる傾向にあるからなぁ。逃げの一手よ! がっはっは」
だそうで、トウヤは項垂れていた。
とはいえ船は今のところ順調に航行を続けている。波は高いがいい天気。
このまま何事もないようにと、船のヘリに寄りかかるフリをして太陽に祈った。
目を向ければ甲板でミズナカはたぬきと戯れ、たぬきの主であるリンと護衛隊長であるキュウセーはなにやら話し込んでいる。
さりげなく近寄ってみる。決してなになになんの話してんの? なんて言わない。俺は自他共に認めるクールな男だからだ。
「へーぇ、初日にたぬきに変わって」
「そうなんですよ」
「なにか思い当たることなどは?」
「いえ、ただその10日前にポコが亡くなりまして」
「ほう! たぬきのペットが亡くなったと」
「いえ、犬ですが」
「犬。さぞたぬき顔だったのでしょうね」
「え、なんでですか」
「飼い主に似るといいますし」
「あ、はは、は……」
「他になにかありますか?」
「いえ、特には」
なにを言ってるんだ。リンの精霊がたぬきに変わったのはリンがたぬき顔だからだとでも言うのか。あほか。
「あ、でも、インする時に貴重品など外してから筐体に横になりますよね」
「そうですね」
「その時に、定期入れをポケットに入れたままだったんです。定期と一緒にポコの写真も入っていたので……関係ないとは思いますが、逆にそれくらいしか思い当たらないです」
「なるほど。参考になりました。ありがとうございます」
「いえいえ」
キュウセー。もしかして彼はNPCではと、少し疑っていたのだがログインを話題にしているということは考えすぎたったか。となると彼は精霊をたぬきにしたいのか。それで情報収集を。確かにあのたぬきはかわいい。リアル志向のこのゲームにありながら野生そのままというより、ほんの少しマスコット的なデフォルメが入っているように見える。気がする。そんなこと指摘したりしないが。下手に指摘してプププ、トウヤさんもこのかわいさにやられちゃいました? とか言われたらクールな俺のイメージが崩れてしまう。それ以前にそんな言われ方したら単純に非常に腹立たしい。そんな訳で他の人がどう思っているのかの擦り合わせができないから、たぬきのマスコット感については口をつぐんでいる。
いつの間にかたぬきの話になってしまった。違う。キュウセーという人物についてだ。観察した彼は乗組員に混じって保管の魔術を唱え、布を繕い、軽い傷を癒す。なんかさらっと魔法使ってるし。ただの劣化を防ぐ魔法というが。
「ミズナカ、あの魔法知ってるか?」
「んーん。知らない。魔法屋さんにあるのかな、ないんじゃないかナー。水や食料の保存を気にしてゲームやってる?」
「たしかに、気にしたことないわ」
やはり何かおかしい。キュウセーという男。歳を聞けば「永遠の! 19歳! キャピーン」とか言っていたぶっ飛ばしたい。しかし俺はクールな男。軽率な行動はしない。
油断せずリサーチを続け、船の乗組員に話を聞くと、そもそも彼が護衛についてくれるからこそ、クオンへの商いに船を出すと決めたという。はあ? なんだその影響力は。今、話の流れで知ったが目の前の女性が船長だった。まじか。どういうことだ、昔から付き合いがあるのかと聞けば会ったばかりという。どういうことだ。まあ、付き合いがあったとしてもカロンのサービス開始から1年も経ってない訳だが。それにしたって……。
「あんた、マジで何者?」
「俺? 俺はキュウセー、よろしく」
なんの答えにもなっていない。……もしかしてこいつ、運営側か? いやだとして何がしたいんだ。それに19歳で運営にはなれんだろ。
他の乗組員に聞いてもキュウセーへの不信感などカケラもない。最終的には「我々は海峡の信奉者ですし、クオンへ商いに行けること、とてもありがたいことですよ」とまた意味のわからないことを言う。船乗りだから海峡を信奉しようが別に構わないが、……まあなぜ海峡なのかは気になるところだが、しかし今はキュウセーのことを聞いているのになぜそんな話が出てくるのか。キュウセー関係ないだろう。どうなってるんだ。
「別にいいじゃないですか。僕らの目的はクオン国に渡ることなんですし」
リンが言う。そりゃそうかもしれんが。
──はっ⁉︎
これではクールな俺だけが狼狽えているみたいじゃないか。なんでリンもミズナカも気にならないんだ。俺が細かいところばかり気にするみみっちい男だとでもいうのかそんなバカな。いや待てビークール、やはりおかしいのはあいつらだ。リンなんて自分だけ精霊がたぬきになってるのに気にせず今までやってきてるんだから頭がおかしい。俺はおかしくない。クールだ。
「高速で一人ぶつぶつ言ってるトウヤはおかしいと思うけど」
「あんたにだけは言われたくないんだよ」
砲弾が船をかすめた。は?
「は?」
轟音とその投射物が船の周囲に厚い水の柱を造ると、騒々しい奇声が聞こえてきた。
乗組員が必死の顔で動き始める。すぐ右舷前方から二隻の武装船が迫ってきていた。
トウヤは高まる鼓動を自覚しながら、舳先へ向かうキュウセーの後を追った。
追いながら、思いっきり叫ばずにはおれなかった。
「サハギンちゃうんかい! 話が違うだろがッ!」
「そうでもない。見ろ!」
キュウセーが指さしたのは武装船とは反対側、左舷の向こうの海に白波が立っている。サメに乗ったサハギンの群れが海を跳ねている。海中にはさらにたくさんのサハギンが泳いでいるんだろうなと思った。
「ふざけんなあああっ!」
「取舵一杯! 総員戦闘準備!」
船長が叫び、副船長も叫ぶ。
「船長! サハギンに向かうのかっ⁉︎ 武装船が並走する気だ! 砲の斉射がくるぞ!」
「わかってる!」
舳先に足を掛けて敵船を眺めていたキュウセーが、船首に集まっていた3人に声をかけた。
「さて、準備はいい?」
トウヤはここが力の見せどころだと意気込んだ。しかしミズナカやリンと違って届く武器が一つもない。どうしよう。
「戦闘指揮はお任せしても?」
船長がキュウセーに訊ねた。
「任された。と言っても、船員は登ってこようとするサハギンがいたら蹴落としてくれたらそれでいい」
「はい」
「ミズナカ君と、リン君はサハギンを蹴散らしてください」
2人がしっかりと返事をした。
「トウヤは、自由にやっていいよー」
そう言ってキュウセーはにやりと笑った。
なんでもいいがなんでクールな俺だけ呼び捨てやねん、とトウヤは思った。
自由にったってと戸惑って辺りを見回す。何かできることは?
________________
:キュウセーテメーオッキに指図すんな!
:みじゅなかぁ〜がんばえー
:まだ遠いか
:オッキかわわっ
:おお、リンくんの頭上に葉っぱが
:でっか!
:葉っぱが高速で回転を始めた
:たぬきが指を振り下ろした!
:かわ
:葉っぱカッター(大)!
:ていうか画面がミズナカのステータスウィンドウ固定だからブレブレや
:甲板の板だけの時もあるしな
:文句言うな! ヴォケ!
:あとで動画アップしてくれるのを期待しようぜ
:動画はこれとは違うんですか?
:運営からもらえる冒険の動画はステータス窓のカメラでなくて
この場合ミズナカの一人称視点になっていてかなり見やすくしてくれてるのだ
:そうなんですね!
:オッキは波を操ってサハギンの群れを近づかせないようにしとるんか
:しかしなかなかうまくいかんようやな
:水魔法だし、やっぱ魚の方が上か
:あ
:波をドリルに変え出したぞw
:敵をまとめて遅滞戦術を破棄! 一匹ずつ貫いていっく!
:シャークトーネードが見られると聞いて
:がんばれオッキ
________________
「あれは私掠船かもしれません」
船長がキュウセーの横でそう言った。
「私掠船?」
「クオンは領主間の争いが絶えないと聞きます。他所へ持って行かれる前にすべて奪うか、さもなければ沈めてしまえ。あるいは折半で妥協しよう」
「ああ。あの二隻って別勢力? じゃあここには4つの陣営が集ってるワケだ」
そんなのありかよ。トウヤは頭を抱えたくなった。ビークール。くそっ。その全部の勢力がこちらを狙ってるじゃないか。いやサハギンは他の2つも狙うかもしれないが。てかなんで2人はそんな呑気に話していられるんだ?
「並ばれたぞぉぉおおおっ!」
わかってるよおい、どうすんだこれ目の前じゃん。大砲の列が並んでんじゃん。迎え打つか? 大砲とか初めてなんだけど、斬れるのか。しかしいくつか斬ったところで意味ある?
耳をつんざく轟音と共に厚い煙に視界が遮られた。
トウヤは小さく悪態をついて、けぶるもやを睨みつけ身構えた。
しかし破壊音が聞こえることも、実際に商船が破壊されることもなかった。
空間がエネルギーで波打ち、砲弾はそのまま海に落ちるか、跳ね返って敵の船にご帰還あそばされ、その周囲を破壊した。敵の狂乱が聞こえる。
キュウセーを見ると船べりに足を掛けたまま、笑みさえ浮かべている。余裕かよ。まじでなんなんだ。
「船長ぉぉおおおっ!」
船員の指差す方を見ると、敵私掠船の上空に巨大な金属塊がバチバチと雷を纏って育っていくところだった。鉄と雷の脈動が破壊を予感させた。一体どんな魔法なんだよ!
爆発音の一瞬、かろうじて判別できるほどの速さで撃ち出され船に向かって来た。
目もくらむ速度でそれは船の直前で見えない力に衝突した。揺らめく光が波打って金属塊を空高く打ち上げた。そのまま近づきつつあるサハギンの群れのただ中に着弾し、派手に炎と風を撒き散らす。
「ええっ⁉︎」
リンの驚きの声を背後に、トウヤは敵船に乗り込んだ。目の前の男を蹴り飛ばす。こういう奴らはモンスターと同じ扱いだ。殺したとてカルマ値が上がることはない。剣を抜き放つ。剣身が炎を吹き上げる。
「おお」
敵がどよめきに声を上げ、トウヤも一緒に声を上げていた。
敵の格好が着物っぽい。足元はブーツだが。袴っぽいズボンの裾は紐で括ってある。上は前であわせて着るタイプ。額には鉢金してる奴とか兜だけ立派なのを被ってる奴とかいる。
そして得物は──刀だッ‼︎
よし、よし! よしっ! クオン! やはりクオン‼︎
「ヒィャッハァアアア────ッ! 刀よこせやコルルルルルルルァァアアア────ッ!」
数分で向かってくる奴がいなくなった。
もう片方の私掠船が一度横付けされたがすぐに離れ始めた。まだ生きてる奴らが慌てて、そっちに飛び移って助けを求めている。
拍子抜けして商船に戻ってくると、海賊船から太鼓の音が響いた。振り向いて確かめると、敵船は素早く、鋭く方向転換を始めた。奴らの声にもどこか切迫する様子が窺えた。
見ればサハギンもUターンして逃げ始めてる。
「おおー、海賊船はともかく、サハギンは随分あっさりでしたね。前回のしつこさはどこへ……?」
そんな軽口を叩いたもののみんなの顔が優れない。
「どうしたんです?」
「境界を越えた」
キュウセーが言う。
船長が声を張り上げ指示を出した。
「魔道士! 風を!」
船の航行を助ける専属の魔道士たちが、追い風を作る。
「境界?」
「なんらかの怪物のテリトリーに入った。何か潜ったような感覚がしなかったか?」
「いや……特に」
ミズナカとリンを見れば頷いた。あれ、俺だけ感じなかったってこと?
「ダメです! 進みません!」
「遅かったか。波に捕まった」
空は暗くなっていた。空も見える、雲も流れてる、太陽もある。なのに辺りは暗い。
「来たな」
いつの間にか、海のあちこちに浮標がいくつも波に翻弄され漂っている。
浮標には骸骨が不恰好に括り付けられている。
商船にはロープがいく本か渡されていて、そのロープにも骸骨が等間隔に吊るされていた。
「え?」
「なに?」
ロープの先を辿ると遠くからガレオン船が、下部に連なる窓から突き出された櫂を漕いで近づいてくる。突然現れたとしか思えなかった。海賊船が慌てて距離を取ろうとしていた。気づけなかったのだろう奴らも、近くに来るまで。
ガレオン船はボロボロだった。というか、幽霊船なのではないだろうか。
幽霊船が海賊船に向けて大砲を撃った。次々撃ったそれはどうやら榴弾であったようだ。
海賊船が爆散した。
サハギンの悲鳴が聞こえる。
うねる波に紛れて見えたのは、山のような大きさの、まるで龍の胴体だった。100メートルの向こうで次々消えていくサハギン。サハギンを消しているものの正体がこの商船のすぐ下の海にも見えている。
リンとミズナカと顔を見合わせた。
『いやいやいやいやいや』
これは無理だろ。
浮標に括られた骸骨の眼窩に、ロープに吊るされた骸骨の眼窩に、不気味な光が灯った。一斉にカタカタと鳴り出した。
海が汚れていた、海水と粘ついた泥が模様を描いてうねっている
ガレオン船が右舷へと近づくにつれ、不穏な詳細が明らかとなった。見上げるほどの巨体はボロボロでやはり幽霊船のようだった。が、ドブ臭い。
商船、海賊船、幽霊船の順に並んでいる。
ずりずりと引きずる音が何故かはっきり聞こえる。
幽霊船の甲板の上、小山のように盛り上がった流れるヘドロのかたまり。
「なんですか、あれ」
「うえぇ〜、くさいぃー」
ここまで臭ってくるあれはなんだ。
「ウーズ、でしょうか」
船長が首を傾げつつ言った。
ああ、スライムの強化版みたいなアレか。
「幽霊船を中心にしたテリトリーなのでしょうね。どうやったらウーズが船長になってテリトリーごと彷徨うことになるのかわかりませんが」
途方もない大きさの生物の背中が海から現れた。長い身体で何重にも船の周囲を取り囲んでいる。その背を泥と海水が瀑布となって下った。
船体が激しく揺さぶられ、跳ねるようにして傾いた。商船と海賊船がもつれて突き刺さった。
幽霊船の甲板の上で、ヘドロのウーズがカラダを揺らした。嘲笑っているかのようだった。
幽霊船の20の砲門が角度を調節していた。
「お、おい! どうすんだ護衛隊長さんよお!」
軽く手を広げたキュウセーは風を纏い、なんと1人だけ浮き上がってる。今や潮流のような青い光に浸されて、それを導いていた。
「な、にを……?」
何してるん?
幽霊船から爆発の咆哮が放たれた。
メインマストは容易く裂かれ、索具も乗組員たちも一緒くたになって叩きつけられた。幾つかの絶叫が上がるも不自然に途切れる。
砕けた船べりが稲妻のように回転して迫ってきた。
真横で爆発音がした。近すぎる。
「キュウセー様をお守りしろ!」
船員たちがキュウセーの周りを固める。
トウヤは足元で激しく上下する甲板を走り抜け、海賊船へ渡った。予測し、自分の体勢を制御し、揺れに合わせて走る。今や敵船の大砲を射程圏内に収めていた。
海賊船の大砲の口を掴み、幽霊船に投げつけた。跳躍し幽霊船の壁に取り付いて、炎の剣の斬撃で誘爆を促す。
──こんなところでスケルトンにクラスチェンジしてたまるかあ!
飛んできた榴弾を切り飛ばしたが爆発で吹っ飛んだ。
起き上がったところに今度はヘドロの弾丸が飛んできた。
「ぐへぇ──」
身体が黒ずんでいく。アメーバが蠢いているみたいに広がっていく。動きが鈍く。
毒……? 呪い……? 腐敗……?
「へべぇー……⁉︎」
やべー呂律がッ!
慌ててリンとミズナカが回収に来てくれた。
たぬきが木の葉の足場を作ってそこを渡ってくる。ええ、そんなことできんのっ?
ミズナカが状態異常を回復してくれる。
海賊船が中央から割れて傾いて、回転しながら海中に引き摺り込まれていった。
砲撃の嵐が商船に集中する。
甲板が破壊され、生命線は流木ほどの大きさにまで削られた。防御魔法が使えるものたちは必死にみんなを守ろうと魔法の盾を展開している。ミズナカが波を操って海中に没するのを防いでいる。リンとたぬきが葉っぱの浮き輪を投げ渡し、受け取った彼らは絶望的な渦に流されながら浮き輪を掴んで水上に留まろうとした。
船の破片はくるくると渦に呑まれ、崩れ、海底の闇へと沈んでいく。
キュウセーは未だ波の上に浮かんでいた。ほぼ不動のまま。いつの間にか左手にハードカバーを保持し、呼び起こしたエネルギーを本に流し込んでいた。本が激しくバババとオーラを放っている。
なんかちょっとだけ既視感あるな、とトウヤは思った。きっとあの本はなんとかの極意とかそういうものだろう。
キュウセーが顔を上げ、風に滑空するように右掌を下に伸ばした。
ガラスにヒビが入ったような音がけたたましい音量で響いた。空間に巨大なひび割れが海を越え幽霊船へと届く。
ひび割れから光が洩れ出て、突如強烈な光が鮮やかに放たれた。その光がさらに強さを増す中、誰もが驚いて見上げていた。
砲火は止まった。
弾けた光は――乗組員たちを、英雄たちを、浮かぶ船の残骸を、巨大な生物を、幽霊船とその主人を、海を、世界を飲み込んで、何もかもが一瞬で、何もかもを白い無に染め上げた。
トウヤは衝撃を受け止めきれずに呆然と何もない空間に立ち尽くしていた。何もかもが止まっていた。
「今の……これ……?」
なんなんだ。これはゲームか。いやゲームだよ。そうだよゲーム以外にあり得ない。何を言ってる。これは、こんなイベントを3人のためだけに消費するのか。いや、誰でも体験できるのか? あのウーズもまた出てくるのか?
まとまらない考えがぐるぐると巡る。
キュウセーあいつは一体……。と考えたところで意識がはっきりしてきた。で、ここどこ?
「あれ? トウヤ、動けるんだ」
「え?」
見れば船の乗組員を肩に担いだキュウセーがいた。
「お、まえ! なんで?」
「なんでって。とりあえずみんなを移動させるから手伝って」
「いや説明を……!」
「手伝って。時間ないから」
「わかった」
白い空間だがうっすらと周りの景色が見えるようになっていた。
同じように人を肩に担ぐ。海の上も普通に歩ける。
「え? おわ、なんじゃあこりゃあ〜」
新しい船がそこにあった。キュウセーはその中に人を運び込んでいく。
船といっても金銀の金属やつるりと滑らかな謎の素材でできた翼が生えたような船だ。船尾には大きな球体が光を内包し、芸術品のような繊細な金細工に囲まれて浮いている。船? いや船だろう海に浮かんでるし、船首はちゃんと船首ぽい。だから船だ。
ミズナカやリンも運び込む。いろいろ部屋はありそうだが、とりあえずみんな操舵室に運び込んだ。操舵室というか、どっちかっつうと指揮所って感じだった。しかもそれは、どこかのアニメにあるかもしれない宇宙船の指揮所だ。
「今、俺たちは異空間にある。その狭間だけど」
ようやく俺の説明しろオーラに気付いたか。とトウヤは耳を傾けた。
「以上」
「おい!」
「ていうかなんでトウヤは意識保ってんの?」
「知るか!」
「ちょっと失礼。ステータス見せてね」
勝手にステータスが開かれ、そのウィンドウは滑るようにキュウセーの前に移動した。
「おいなんだそりゃ! どうなってんだ! お前どうなってんだ! なんなんだふざけんな!」
「トウヤ、クールキャラ気取ってたのに化けの皮が剥がれてるよ」
「化けの皮ってなんだこの⁉︎」
「トウヤもなんか覚醒したっぽい、のか?」
「覚醒?」
「うん。便宜上言ってるだけだけども。ユニーククラスに目覚めたというか」
「え、マジ」
「にやけてるぞ」
「にやけてねえ! 俺はいつでもクールだ。ビークール」
「はいはい。クラスが『火精人の烙印』になってる」
「か、かせいじん……?」
──俺は宇宙人になったのか?
「……自分で見てみなよ」
「あ、ああ。カセイジン……火精人か。なるほど? 烙印……?」
「イフリートに落し子であると認定されたってとこかな。おそらく」
「ええっ、やったマジか」
「ビークールとか言ってるくせにね」
「うるさいよ」
「もともと炎が関係する職業だった?」
「ああ」
「ビークールとか言ってるクセに?」
「うるさいよ」
「たぶんここで動けてるのもそのクラスのせいだろう。さっき俺は『烈日の書』の、コピー本を解放したんだ。炎系上位の魔道書だから、イフリートに認められたトウヤは今こうしていられるワケだ」
「すげえアイテムだったんだな」
なんでそんなもん持ってんだ。
「『烈日の書』は本来は特定の異空間に渡るための鍵で、攻撃を企図したものじゃないんだよ。あの強烈な消却の光はコピーだったからで、言ってしまえば不良品だったから暴発したと、そういうことだ」
「やべえアイテムだったんだな」
なんでそんなもん持ってんだ。
「あれ……?」
よろめいて膝をついた。
「……トウヤ。指揮官の席に仕様書とか置いとくから、船長に渡しといて」
「お……おま……」
意識がまた白く────…………。
眩しい太陽の光に目を細めて身をすくめた。
新たな光景が皆を出迎えた。
この新たな船は、風変りに広げた輝く翼を持っていた。
全員で操舵室を出て手すりに近寄った。
周囲のすべてが空だった。
先ほどの海から数百メートル上空にいる。
想像上の存在でしかないような飛空挺に、船長は打ち震えていた。
身を乗り出して見下ろすと、あの凶暴な海蛇の全容が把握できた。一部が焼け焦げているが、一部でしかない。それほどにあの海蛇はデカかった。
みんなで船の中を探し、彼の名を大声で呼んだが、返事はなかった。
新たな船は滑らかに滑り出した。
乗組員が各所に配置され、指揮官席には女船長が座っている。
舵輪は芸術的で優雅な彫刻が施され、誰の手に触れずともゆっくりと動いていた。
風よりも速くトウヤたちを運んでいく。
遠くにまるでおもちゃのような船がいくつも見えた。そしてその先にクオン島の緑が緩やかに広がっている。
輝く船の眼下に見える海の影は純粋で、一枚の絵画のように鮮やかだった。
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【紹介頼むぅ】カロン動画視聴スレ【みんなで観よ】
116:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:00 ID:UkCTQrkJ+
完
117:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:08 ID:emwQ1H8y/
完草
118:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:13 ID:gGqpG1RAv
ワイも飛行船乗りたい乗りたい乗りたいナリ!
119:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:23 ID:5MPFoJcHq
完じゃないんだわw
120:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:29 ID:Vx6cl6ziA
光に包まれたとおもたら、飛空挺に乗っていた……どゆこと?
121:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:39 ID:PECm6DaGi
消えたキュウセーが何か知っていると
この名探偵の頭脳が弾き出した!
122:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:47 ID:1Z2eDgc8E
みんなそう思ってるよ
123:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:54:52 ID:6H1FxdafR
名探偵はこのカロンにただ一人
貴様はニセモノだ
124:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:00 ID:zqFT1qOwI
キュウセー何者?
125:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:11 ID:2h4pUOVfB
トウヤがなんかわけ知り顔でドヤってんのがムカつくんですけど?
126:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:23 ID:qS1INXkLW
それ。
127:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:29 ID:qbWXG01GE
凸しに行こうず
128:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:33 ID:4ED84XgbQ
よし見つけ出せ
129:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:41 ID:nNzigOKKq
クオンに行こうとすると毎回あのイベント起こるん?
130:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:49 ID:+m/iGBnDM
いやぁ、ないんちゃう? 動画で見れただけラッキーや
131:批評家気取りの英雄 2027/2/19 22:55:53 ID:u91upDe6U
ワイ今ナービスの港
あのスゲー光を恐れて誰も船出してくれない
前書きとか、書くと、邪魔だったら、とか思ったり、なんか恥ずかしくなって消しちゃう
ないほうがいいのか、あってもいいのか、たまにならいいのか、キンチョーの夏