勇者です。VRMMOと偽って日本のみんなに異世界救ってもらおうと思います。 作:カロン救世委員会
________________
【真剣】総合カロン雑談【だべり場】
789:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:08:00 ID:x4u0MZHFp
ここで飛んだり跳ねたりしてるからだろうけど
あっさりバク宙できるようになったは
790:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:08:06 ID:km05U5F9o
今やってみたら俺もでけた
791:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:08:22 ID:V9R+/zCdq
へー、やっぱ慣れってデカいんやな
792:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:08:41 ID:9ze4kvQtg
おじさんはログアウトした途端
ぐっと体が重く感じるから無理だな
793:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:08:53 ID:ec9pDl7dz
同じく。やったらひどいことになりそう
794:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:09:07 ID:XXuVxPie/
なんか食い物の味うすくないですか?
795:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:09:13 ID:z/2StlXl8
普段ワイら庶民が食べ慣れてるような料理は薄く感じるで
高級食材やこっちでしか食べれんもんがオススメや
796:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:09:24 ID:L8rNPFggd
あと高級てメニューに書かれてるもんはちゃんと美味い
797:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:09:38 ID:o/TE+H9uU
どういうこと?
798:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:09:54 ID:KMQhnaC17
高級ナポリタン←うまい!
贅沢ナポリタン←ビミョー
799:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:10:01 ID:1qhk5dpEi
なんでだよ
800:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:10:19 ID:pqHF0AJPo
高級B級グルメ提供してくれてる料理人たちありがとう
801:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:10:37 ID:FhoDx9RF0
住んでるとこが遠いとなかなか食べれんからなぁ←ご当地グルメ
802:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:10:51 ID:e/fTKQeqB
ご当地グルメはご当地で食べるからうまいんやで
803:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:10:58 ID:j8mm4rYqy
ご当地で食べたことないからわかりません
804:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:11:18 ID:S7YgnvSQP
つっても腹は膨れんが
805:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:11:28 ID:zG0sokV7V
小腹が空いて少し食べたら余計に腹が減るみたいなアレになるよな
806:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:11:48 ID:6e1Y/mq0c
現実で餓死するヤツが出らんくていいじゃんか
807:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:11:53 ID:g2Bs918/t
現実帰ってもりもり食べちゃう困っちゃう
808:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:12:02 ID:GRt5at92B
こっちでもバフはもりもりやで!
809:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:12:10 ID:cW9lSx7eF
そういや勇者の話聞いた?
810:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:12:15 ID:X9ndepsvH
勇者いるの? なれるの?
811:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:12:31 ID:ubFmhFIfl
キュウセーがそうだって話じゃなかった?
812:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:12:35 ID:UfqOpogT7
だれ? キュウセー
813:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:12:42 ID:Q0+5/wsHX
勇者
814:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:13:01 ID:1pL2SiGAT
あーはいはい。俺の友達の知り合いがさぁ勇者知ってるってさ
815:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:13:20 ID:8gLj1LrzI
なにそれ、幽霊かなんかなん?
816:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:13:26 ID:g/82jt/pg
だから勇者だって
817:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:13:40 ID:hFu4UUNfG
え、勇者の幽霊が出るって話?
818:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:13:47 ID:r0km2rSJd
まあいても不思議じゃなさそうだけど
819:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:13:54 ID:L6z6h9vyh
まぁなぁ、ファンタジーで怪談もいいけどただ幽霊ってだけじゃ
820:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:14:10 ID:7igaevNnC
あ、うん。としか言えないわな
821:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:14:23 ID:3JSx71fCA
怪談といえば、PK被害が増えてるってな
822:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:14:35 ID:CclbdEPko
PK? よくやるよ。2度とインできないかもしれんのに
823:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:14:43 ID:8fGx1gDPT
カルマ値のこと知らないとか?
824:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:14:59 ID:fvi68Yfe4
いやそれはないんちゃう?
825:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:15:18 ID:BPN0nw5s1
てかさ、PKを怪談って言っちゃう?
826:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:15:29 ID:R0Djp9HBV
心臓を抉り出されて食われるんだってよ
827:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:15:38 ID:C9XDrFqu6
こわひ
828:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:15:44 ID:4bRQnPTbB
いや、死んだら身につけたアイテムばら撒いて砕けて消えるんだから
心臓抉り出してるヒマなくない?
829:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:15:57 ID:v1D1mG/dE
たしかに
830:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:16:16 ID:H6PZA4ZG0
なんだ、ガセか
831:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:16:23 ID:AEQ+a2hdt
なんだ、デマか
832:青春の影踏み英雄 2026/8/10 14:16:28 ID:5iayvNVye
いや俺の友達の知り合いの親戚に被害者がいるよ
________________
【攻略】カロン前線連絡網【雑談】
654:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:08:00 ID:MoNCs33uo
結界の穴埋め作業ちう
655:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:08:19 ID:xkVlLPQbo
穴埋め作業中なう
656:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:08:30 ID:f0Ow6ow99
おっさんうるせーぞなう(死語)
657:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:08:37 ID:aoZ0ug8B3
使い方、それ、ちがう、こわっぱ、ヴォケ
658:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:08:41 ID:GwSrlFBKB
ハゲっ、黙れじじい! お前に毛根が救えるかっ
659:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:08:47 ID:vho11WstE
毛根は、繊細だっ
660:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:09:07 ID:hOx6Sl3fQ
あの子は人間だ!
661:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:09:11 ID:YJYv7lp91
どの子? え毛根?
662:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:09:24 ID:V5PMGjeqc
よそでやれ
663:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:09:42 ID:ZsekMwT+w
はい
664:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:10:01 ID:MtwM+AyAa
作業中ひっきりなしだったバグのちょっかいが止まったくない?
665:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:10:19 ID:UuNxmpNEX
もーぜったいなんかあるやん
666:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:10:26 ID:UHvRDCkZC
運営からのお知らせが来てたから各自確認よろ
667:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:10:33 ID:vntJ7bgKa
アイアイ
668:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:10:52 ID:9x5xZyiNH
りょ
669:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:11:11 ID:/o2Oazvsd
アイサー
670:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:11:20 ID:T2t11Gh4T
お知らせこれなーに?
671:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:11:38 ID:XS7SUx4PS
つまり神霊に殺られた時だけデスペナが重くなると、そういうことだべ?
672:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:11:48 ID:+GlU1bSTZ
ヴァズ教の神が気まぐれに殴りに来るらしいな
673:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:11:54 ID:H/uKobOT4
なんでやねん。バグを処理しろや
674:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:12:01 ID:sk0ukL1N7
ヴァズの神霊にコロコロされるといつもの装備・持ち物全落としに
プラスしてステータスも落ちる可能性あり
さらにしばらく動きに違和感が出る可能性あり
675:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:12:12 ID:FV03+zci4
これあれか? 美味しい経験値としてだけでなく
力っていうかパラメーターもいくらか吸われると、そういう設定?
676:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:12:20 ID:cMXBjcaM3
そっちはランダムみたいだな運が悪ければステも落ちると
677:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:12:29 ID:CScSlxPUz
仮にも神がなにしてくれてんねん
678:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:12:48 ID:wwRkwfWoC
ヴァズ教国だと街中でも襲ってくるようだから気ぃつけなはれや
679:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:12:55 ID:kmj28SICb
教国圏だと亜人種排除の動きが活発化してるってね
680:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:12:59 ID:1lBEpWQbA
活発化っていうか過激化っていうか
681:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:13:04 ID:yXC42WubD
人間至上主義? ってやーつ?
682:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:13:24 ID:3xixDmRlH
えー、もふもふの獣人とか最高じゃん
683:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:13:32 ID:AhDFzgirr
ピンとこない、現実のよりピンとこない差別
684:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:13:38 ID:3ZIa/76LM
昔は人間が弱い種族として侮られてたっていうし
お互いさまみたいなとこもあるんかなぁ?
685:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:13:42 ID:mwq/b3fv3
むずかしいね
686:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:14:00 ID:jWZUyavKQ
鬱憤はバグに向けてください
687:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:14:18 ID:srpLayiri
うっふん?
688:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:14:32 ID:bNtCNbqF8
あっはーん
689:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:14:44 ID:h3ussnD7f
で、なんで人間のワイらが標的にされるん?
690:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:14:57 ID:MwdZ6l553
それなー
691:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:15:01 ID:OIxNS0445
そりゃオメーあれよ
俺らは英雄であって人間じゃない、的な?
692:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:15:07 ID:nhM7O0gPc
なるほど?
693:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:15:20 ID:6/KHunKQk
光の諸王国捜索隊の進展はどげん?
694:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:15:23 ID:FcfiTKjM7
まだキーアイテムが見つかったって話は聞かんね
695:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:15:27 ID:i0Gg6uEqt
王国への道を拓く魔導書やったっけ?
696:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:15:39 ID:JkmO1oJId
現在、複数のダンジョンを攻略中
発見の報告はまだなし
697:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:15:52 ID:uafYjeir/
その光の諸王国には結局なにがあんねん
698:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:16:05 ID:QnEIzirmi
飛空挺やろ?
699:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:16:18 ID:r68PO+/M5
飛空挺はそらぁ欲しいが、それとバグを駆除することとどう関係すんのかって話よ
700:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:16:24 ID:FQjVwnneb
スゲー兵器が搭載されてるとかって聞いたが
701:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:16:32 ID:yM/coj8Ui
まあ、そんとこだろなぁー
702:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:16:44 ID:tPddV1J+s
でもそれで終わるならなんでもっと早くに探さなかったん?
703:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:16:50 ID:no5pRJZ3b
そうやな
704:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:17:05 ID:KiysSICMp
なんでやろ
705:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:17:19 ID:/IlKkJs26
さぁなー
706:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:17:36 ID:ZoGRCBaKq
ヴァズの教兵団が送られてきたが、意外におとなしいな
707:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:17:56 ID:3FiDit3ye
トラブルもないが、こっちと連携する気もない、と
708:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:18:03 ID:3HRVsbz1i
普通に、話せば返ってくるけどな
709:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:18:19 ID:DD7TXKWHC
人間ならな
710:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:18:31 ID:v3/bu4dhb
事務的な受け答えなら人間以外にもするから、聞いてたほど過激ではないか
711:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:18:40 ID:dS4aLTfRo
わざわざ来て不和を撒き散らされても困るし
712:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:18:55 ID:OEHj8z7GB
それはそう
713:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:19:03 ID:zhWmpG5OE
でも、前線のワイらがしっかりしてへんから
教国にも最近バグの被害が散見されるて嫌味言われたで
714:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:19:08 ID:YF5OYl4y4
撒き散らしてるやないかい、不和を
715:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:19:18 ID:oqqIL2iLH
そういうのもいるよね、お互いに
716:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:19:28 ID:iYhFzBkS4
こっち来てるのが30人程度と少なくて良かったとするべきか
やる気がないとみるべきか
717:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:19:48 ID:35IVbkgh/
やる気がないとするなら、それは向こうの上層部の姿勢だから
来てる奴らに突っかかるなよ
718:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:20:07 ID:Reni6Fm4D
うーい
719:通りすがりの英雄 2026/8/11 11:20:27 ID:ybi/ntK0/
ウェーイ
________________
その白く荒廃した大地に高い山々はなく、なだらかな丘陵の下は、まるでキノコの傘が折り重なっているかのようで、地下深くまでスッカスカ。
足を踏み入れようものなら、どこからでもバグが湧いてくる。
戦うにはあまりにも不利な場所。
「だからさ、圧倒的なパゥワーで踏み潰すしかないんだ! 圧倒的なパゥワーの前では小手先の技術など無意味! 無駄! 無用!」
拳を突き出し「無駄無駄無駄ぁっ」と叫んでいるコグワークスの紅一点であるパルプンテ──通称パルに、ガップラと車好き大学生カマロ・レイがため息をついた。
「その圧倒的な力を生み出すために、我々の場合は小手先の技術を総動員してロボを造っているわけだが?」
トゲトゲしいカマロに対して、柔和な表情で中古品店『ジャンク屋さん』経営のてんちょーが続いた。
「それにバグは技術じゃなくて圧倒的な数で来てるからねぇ。数は力だよアニキってなもんで」
「わかったか? お前が無駄無意味というものこそ、我々には必要なのだ」
10メートルのロボを見上げる。名前はローダック
(ああ、かっこいい……)
カマロはだらしない顔をキリッと引き締めてから、ビシリとパルに指を突きつけた。
「つまりお前が言う無用とはお前自身のことに他ならない」
「なんでよ!」
「お前、だいたい暇してるじゃん」
「なら早く完成させてよ。操縦させてよ。このスーパーパイロットにさあ! 1回乗った瞬間スパァン破裂して終わりってあまりにもあんまりじゃない?」
「うるさいなぁ。だったらさっさとデータを見せろよ」
「あ、そういうこと言っちゃう?」
「おらー、さっさとよこさんかい」
「あいたっ、うら若き乙女を足蹴にするとはなにごとかっ!」
「そんなもんはここにはいねえ!」
「ああ?」
2人のじゃれ合いをよそに、てんちょーはデータを確認しながらどっかりとソファに腰掛け、お茶を飲んだ。
わらわらと集まってきた他のメンバーにも資料を回す。
ギルド〈
ただの一軒家が作業場である。巨人の一軒家なので、入り口の上の部分をほんのちょっとだけブチ抜けばローダックも入るサイズだ。ローダックのそそり立つバッファローの角を外せばぶち抜くまでもなかったのだが、角がないとローダックではないので仕方ない。
「やはり霊脈が全体的に痩せてきているのだな」
「ああ、過去の研究書と比べてみると、この辺の太い川がいく筋かの細い流れに変わってしまっている」
「霊脈からエネルギーを汲み上げて稼働している各地の転移装置も不安定になってきているのはやはりこれが原因だったか」
「地図で見るとこりゃあその内いくつかの転移装置は止まるな」
「物流も止まるなぁ」
「うちのロボも止まるなぁ」
『あーあ』
「あーあ。じゃないのよ。どうすんの?」
壊れた転移装置をパクってきて改造した魔導エンジンは、転移装置と同じように霊脈から霊気を汲み上げて駆動する。足のかかと部から針のような導線が飛び出し、地下深くに溜まる霊気を少しだけ導線に誘導するようになっている。
「そこはねぇ、博士と博士の精霊が解決策を考えてくれたんだよぉ。ね、博士」
「博士?」
てんちょーが呼ぶとロボの陰から白衣姿の男が現れた。メガネをかけた伊達男。高騰するトヨタ往年の名車を愛し、いつか乗り回したいと夢見るその男。本業は猫カフェのオーナー。
「オーナーじゃん」
カマロを見るとやれやれと肩をすくめる。
「お前が霊脈の分布調査に出てる間に変わったんだよ。また」
まるで大人たちのバカなノリについていけないとでも言いたそう。
お互いをどう呼ぶかだけでなく、さまざまなものの名称をどうするかでさんざん盛り上がっている姿を見ているので、気持ちはわからなくはない。
「この俺と俺のセルシオちゃんが導き出した解決策だ、間違いない」
「セルシオちゃん?」
「肩の精霊と話せるようになったんだってさ」
「うそぉ⁉︎」
話してみようとしたが、話せるのは博士だけと聞いてパルは肩を落とした。
「他者がステータスウィンドウを開閉できないように、博士の精霊と話せるのは博士だけということらしいぜ」
「へー」
てんちょーが羨ましげに博士の肩の辺りを見つめる。
「多くの精霊は、決められた作業を決められた通りの手順で動かしている。いくつかのコマンドを忠実に実行する存在と言える。一方で──」
「この俺のセルシオちゃんは言わばデータの生物として進化したんだ! フハハ、フハハ。現実のモデルは存在しない唯一無二(たぶん)。魔法と科学が絡み合った指数関数的に複雑な問題を解決できるポテンシャルをこの俺のセルシオちゃんは持っている! フハハ、フハハ」
「ちょっとなに言ってるかわかんないんだけど?」
てんちょーを見るとにっこりと笑って頷いた。
「人工知能のような賢さを持っている、というのかなぁ。計画と管理に優れ、我々を困らせる多変数で絶えず変化する問題にとても強い」
パルはにっこり笑って首を傾げた。
「つまり──」
「最適化の権化! なんだよこの俺のセルシオちゃんは! フハハ、フハハ!」
「そんな感じで博士が精霊と話ながら計画したのがコードネーム『地中がダメなら空があるじゃない作戦』だ」
霊気の溜まり場、地上のそれを霊脈と言い、はるか高空には霊気圏という層がある。霊脈がダメなら霊気圏から頂戴しようという、聞けば単純な話だった。
「てことで、今、霊気圏から霊気を送る転送ビットを打ち上げる準備を進めてるんだよ。ローダックの角は飾りからアンテナという実用性を備える」
「おおー」
なんだ一応ちゃんと進んでるんだ、とパルは安堵した。
そんな様子をてんちょーはにこにこと笑いながらポンとパルの肩に手を置いた。
「セルシオちゃんのおかげで操作まわりもだいぶ改善されると思うよ」
「じゃあもう……!」
「うん。あと問題は霊気を魔力に変換しないと起動すらできないということだねぇ」
「操縦以前の問題!」
パルはうつ伏せにソファに伸びていた。ぐでーん。
多くの作業員たちは作業の合間にステータスウィンドウを出す際、自身の精霊がいるであろう肩に向かって猫撫で声で自分でつけた精霊の名前を呼んでいる。
自分の精霊も博士のように進化しないかと期待しているのだ。
ある種の狂気を感じる大変に気持ちの悪い光景だった。
パルはため息をついてクッションに顔をうずめた。
早くロボを動かしたいのに。
そもそも霊力を魔力に変換できなきゃ動かせないという割と最初からあった問題が解決されてない。
ロボの背から取り外された魔導エンジンに火が入れられ、フィー……ンと鳴いている。青い白光を渦巻かせて輝きを放つ球体が装置の囲いの中に浮いている。
夕暮れの室内に青白い光が撒き散らされて、ロボや作業員を光の粒で照らす。
「綺麗なのに。起動したら破裂する。あたしが。あたしとロボが」
「そうだな」
カマロに足を叩かれてどかすと、カマロが空いたスペースに座った。
「あの青白い光が魔力に変わるとピンクになる。ピンクっつうか透き通った赤紫の炎のようなオーラに変わる」
「それを早く見せないさいよ」
「わかってるわかってる。変換器の役割をパイロットだけに担わせることはできないってわかったんだ。前には進んでるよ」
「あたしが不甲斐ないって?」
「そんなこと言ってないだろ」
ソファの前のテーブルのポットをてんちょーが手に取った。
水分補給に現れたてんちょーに話が聞こえていたらしい。お茶を飲んで一息つくと話に加わった。
「そうだよぅ。パイロットが変換器の役割を果たそうとすれば、パイロットが200人くらい必要だってねぇ」
「200人て。どんなロボよ」
「もはや戦艦とかそういうノリだよな」
「そうだねぇ。しかもそれは水道の蛇口をギリギリまで絞るように、一滴一滴、ほんの少しずつ落として慎重にパイロットの体に通して魔力に変える、みたいな非効率極まりない上に、確保できるのは微々たるエネルギーだから、現実的ではないねぇ」
霊気というエネルギーはあまりにも強すぎる。決して清いだけの光ではない、純粋な光ではない。一歩間違えば大気を吹き飛ばし、放射線で焼き尽くし、すべてを飲み込む爆発となる。復活できるプレイヤーなら構わないが、この世界に生きるNPCたちを、文字通り消し飛ばしかねない危険な光だ。
「むぅ、じゃどうするの?」
「そうなんだよねぇ」
「……」
「……」
「……え? ノープラン?」
「そうなんだよねぇ」
「ダメじゃん」
てんちょーがうんうんと頷いた。
「なあ、なんで転移装置は正常に動くんだ?」
「ふむ。あれがまさに、『
________________
「どうして……あぁ……なんで……」
女性が1人ふらふらと森を進む。
「どうして……」
死すらも克服できると聞いていたのに。
ヴァズ教を信じれば、我が子が帰ってくると、そう信じていたのに。
神域に昇れなければその恩恵には与れないらしい。
では、我が子は?
もう死んでしまったあの子は?
「なんで……」
女性の少し後ろには、全身に目玉をギョロつかせた〝
「ああ、そうでした……そうでした」
あの子は死んでなんかない。
「もうすぐ、もうすぐあの子に、会えるんでした……あぁ、よかった、……ようやく、あの子に……」
あの子は生き返る。
「そうでした、神域に行かなければでした……」
あの子を生き返すことができないなんて、そんないじわるをするヴァズ教から──。
「神域を取り返さないとでした……そうでした……」
終末思想のカルト教団〈排教〉はここからひっそりと始まった。
ロボのイメージはドーシートⅢ(ガンダムX)とかそんな、感じ