勇者です。VRMMOと偽って日本のみんなに異世界救ってもらおうと思います。   作:カロン救世委員会

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アーリーアクセス権、売ります。

 

 

 

________________

 

【早期アクセス】フルダイブ型VRMMO──カロン【キャンペーン】

 

 

89:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:37:00 ID:C5TpBcnKk

早期公開近づいてるけど、アクセス権どう? おまいら買う?

 

90:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:37:12 ID:jigyKIIof

買う

 

91:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:37:25 ID:KQJm5ctHm

もちろん買う

 

92:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:37:30 ID:yBfKqLzBJ

ぜったい買う

 

93:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:37:38 ID:OZ8+Kx3e5

俺はどうしようかなあ

長野まで通うのはなあ

 

94:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:37:53 ID:3c/jzd9wq

ワイ北海道ムリ

 

95:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:38:04 ID:lTBIVpLzE

ワイ九州ムリ

 

96:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:38:11 ID:BPBY3ZhvD

ワイも九州、飛行機で通う

 

97:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:38:23 ID:EQMpI7j7j

ワイもまとまった休みが取れた時しか行けんから今回はスルー

 

98:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:38:30 ID:7pPyO0NxG

ワイ静岡に引っ越します

 

99:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:38:42 ID:2w5whW5N4

ゲームのために? 若干引くけどスゲー

 

100:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:38:56 ID:3GA886DZv

やっぱ自宅で手軽にできるまでには時間がかかるか

 

101:名無しの早期契約者 2026/10/22 11:39:04 ID:oRz31pCKK

そもそも抽選で当たらんと買えんが

 

 

         ︙

         ︙

 

812:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:37:00 ID:0ctHMRRCy

朗報、各地にエクスペディショナリーハウスってのを建てるらしい

 

813:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:37:07 ID:/Y8xAfDSf

なんそれ

 

814:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:37:16 ID:idGK3SWgS

探索拠点という名のゲーセンだね? カロン専門の

 

815:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:37:30 ID:CrU4P9Yyp

え、長野まで行かなくて済むの?

 

816:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:37:45 ID:aGxNmyW7r

ワイ的にはだいぶ話が変わってくるど

 

817:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:37:50 ID:jE0HG26lo

いやでもカロンの世界には行けないみたいだ

 

818:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:38:04 ID:mQCdoystu

はあ? どゆこと?

 

819:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:38:10 ID:hi8p3k6W8

どうやら探索拠点から行けるのはダンジョンだけらしい

そこでレベル上げとかアイテム収集とかできるみたい

 

820:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:38:23 ID:1QGNHVNH9

はーなるほど?

 

821:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:38:37 ID:bQUqaCnaO

普段は探索拠点に通ってレベル上げ

休みの日に長野へ出掛けてカロンを冒険するってことか

 

822:名無しの早期契約者 2026/10/25 15:38:52 ID:USJBGd/t6

うお⁉︎ ウチの近くにもできる! わっほい!

 

 

         ︙

         ︙

 

644:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:37:00 ID:Ln3VD4Asr

公式HPができますた

 

645:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:37:11 ID:FgCrwspWa

特報、速報とかっつって

カロン内のニュースが動画でばんばん追加されてくのすげえ

 

646:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:37:19 ID:E/PecGuxF

資産家一家殺害事件

ハッス村壊滅

穀物類収量報告

排外蟲侵攻状況

缶詰会社の宣伝

3丁目のおばあちゃんの愛猫の引き取り手募集中

賞金首

魔法労働者募集

夏祭り

大会開催情報

など

 

647:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:37:27 ID:yKBmndI57

アクセス権買えてないがこれだけで時間が溶けるぅー

 

648:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:37:36 ID:ZQRnBy5Yr

これらがイベント告知ってコト?

 

649:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:37:42 ID:q1C+S3uZL

そうだろうなぁ

 

650:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:37:57 ID:ZWLxP86ET

あとは羅列されてる大量のミッションもだな

回収、採集、内職、職工、調査、攻略、討伐

誰かが受けた時点で無くなるものから、誰かの達成で消えるもの

あとは永続的に募集してるもの

 

651:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:38:12 ID:YqKJnoPsT

メチャいっぱいあるんスけど

 

652:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:38:21 ID:tYINerhwH

そんなことより報酬だよ

報酬はカロン内で確認してくださいってあるが

報酬例の中にリアルマネーとかカロン金貨(実物)とかあるんだけど?

 

653:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:38:29 ID:SEac4gddC

え、マジじゃん

 

654:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:38:38 ID:ypTAC/LVT

そこ気になってたー

 

655:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:38:46 ID:4Jwsqj/rc

リアルマネーとか、なんかギスギスしそう

 

656:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:38:57 ID:IfT8CKkEP

犯罪を誘発するゲーム

さしゅうしろ

 

657:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:39:13 ID:EJv7+T6s1

ワイ高校生。カロンで生きていくことを決める!

 

658:名無しの早期契約者 2026/10/28 12:39:23 ID:kVWtNP1nA

ワイ中高年。同じく!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

「常連さんこんにちはぁー。初めましての方、ありがとうございまぁっす。あーい、カツキでぇーす。今、歩いてるこの通りを見て、どこに向かってるかわかるかな?」

 

 

:ラブホ

 

 

「違うよ? たしかにすぐそこラブホ街だけど! 看板見えてるけど! 違うよ?」

 

 

:www

:1人でラブホw

:ラブホで待ち合わせ?w

:え、おばあちゃんと?

:探索拠点

 

 

「誰がおばあちゃんとラブホで待ち合わせやねん。ラブホ広げんでいいから。あ、探索拠点、そう! カロンのね! エク、エクスペぢ、エクスオエぢしょわ…………、ハウスね! 今日はダンジョンでレベル上げやっていこうと思いまぁーす」

 

 

:ダンジョンの生配信増えたね

:ミズナカも始めたし

:カロンの方はまだできんのよな

 

 

「ダンジョンの生配信解禁で日に日に増えてるよねぇ。カロン公式HPでのチャンネル登録が必要で様子見してた人も多かったけど、俺は最初っから登録してたから、おかげでいち早く配信できてお気に入り登録してくれた人も結構いて運が良かったよねぇ。みんなありがとう!」

 

 

:なのにこれからラブホ生配信か

:生(意味深)

:俺らはナニを見せられるというのか

:Σ(・艸・*)エェ!! 楽しみー

 

 

「だからそこ広げるなっつの!」

 

 

:アソコ広げるな! だと⁉︎

:やだー

:おまわりさーん

 

 

「ごめんなさい。まじでやめてください。やめろぉ! ……まあ、ゲームすることに良い顔をされないご家族やパートナーがいる人はね、ここの探索拠点を利用すれば、ゲームやってたんじゃないっラブホ行ってたんだよ! ていうカムフラージュができるのでね、ぜひご利用ください……」

 

 

:くさ

:それなら利用しようかな、とはならんのよ

:w

 

 

「さあ、探索拠点に着きましたぁ。外観がこれ。フツーのビルですねぇ。周囲の景観を損ねない! なんの奇抜さもありません。1階が受付とカッフェになっております。かっふぇ。じゃあ一旦スマホからの配信を切りまーす」

 

 

:りょ

:りょ

:りょ

 

 

「──……よ。うん? 配信始まったか? よし、いいか。あーい、カツキでぇーす。さっきブリ!」

 

 

:アーイ

:あーい

:殺気鰤

:アーイ

 

 

「このステータス画面でねぇ。配信画面も確認できるようになってます。あ、チャンネル登録者は、だけどね。カロンは基本一人称視点だけど、ダンジョン内はなぜか良い感じのカメラワークで魅せる映像を撮ってくれます。あと、キャラクリがなくて素顔まんまだからね。カロン世界の中でも他の人の視点からは丸見えなので、そこを了承したうえで遊んでねぇ」

 

 

:はーい

:(^^)/

:(^O^)/

:アーイ

:アーイ

 

 

「ってことで、ダンジョン行くよぉー」

 

 

:おー

:アーイ

:アーイ

 

 

「最初の地点が、かなーり広いドーム状の洞窟広場になってまぁーす。探索で得たアイテムやお金を預けておける銀行や、初級装備の武器屋、防具屋、カッフェ。が、入り口すぐに壁際半円を描いて配置。んで広場中央に光を放つ大きな機械装置がありますねぇ。見ての通りデッカいリングが交差するようにぐわんぐわん回転して魔法陣? 魔法円? かなんかそんなようなのが立ち昇ったりしてます。あれはダンジョン内で運良く転移装置に辿り着ければ一瞬でここに戻ってこれるやつです」

 

 

:転移装置まで行けたことない

:つか場所変わったりしてるよな

:それどころかたまに破壊されてるし

:ええ? なんで?

:そこは破壊不能オブジェクトであれよw

 

 

「で、洞窟広場の向こう側にはいくつものダンジョンへの入り口がある、と。いくつもってのはダンジョンの入り口が日によって増えたり減ったりしてんだよねぇ。だいたい4つは固定かなぁ。今日はぁ……6つ、あるね」

 

 

:魔法屋さんはないの?

 

 

「魔法とスキルはねぇ、残念ながらここでは探索の中でお宝として見つけるしかないんだよね。武器も防具も魔法の巻物も得た物はここまで戻ってきて銀行の貸金庫に預けないといけない。死んだらその場に全部落としていくことになるからねぇー」

 

 

:それって他の人に拾われることはあるんですか?

:消えたりしない?

 

 

「当然、他の人が拾うこともある。なんならモンスターというか、敵対する亜人種がいるダンジョンだと、彼らが拾って使ってることさえある。強力な装備なんかをうっかり落とした結果、本来あり得ない強力なモンスターが誕生してしまうこともあるらしいよ。この間どっかの掲示板で盛り上がってたよねぇ」

 

 

:阿鼻叫喚だったよ

 

 

「あ、それとダンジョン限定でデスペナの時間を短縮できるアイテムが拾えることもあるから、復活してダッシュで元の場所まで戻ったらまだ残ってる可能性も? ある? どうかなぁ?」

 

 

:最高グレードの物でも復活まで1時間待たないとだから

:微妙なラインよな

:不人気ダンジョンならいけるか

:あと人の少ない時間

:それ何時よ

:平日昼間?

:結構いるんよなあ

:じゃあご飯どき?

:ご飯どきか

:ご飯どきかあ

:20分くらいかな?

:草

 

 

「貸金庫から装備を引き出して探索に向かいまぁーす」

 

 

:アーイ

:アーイ

:アーイ

 

 

「ダンジョンの入り口前に来ましたぁ。各ダンジョンにはそれぞれプレートが掲げられていて、そのダンジョンの傾向がわかるものとなってまぁーす。まず固定のダンジョンを軽く紹介するよ。はじめはこれ」

 

 

:宝箱に金貨

 

 

「あーい、これはお金と経験値が多くもらえるよってことでね。ただね」

 

 

:うん

:そうだね

:え

:なにが?

:どゆこと?

 

 

「お金と経験値がもらえる初心者用と思いきや……なんだよねぇ。お金は確かに結構手に入る。一個宝箱発見したらもうオッケーだ。でも宝箱満載の金貨とか、持って帰れないし。小さい宝箱なら抱えていけるかもしれないけど、小さい宝箱出てこないし。そんなとこでサービスしなくていいからね、と言いたいよね」

 

 

:経験値の方もね

:そう

 

 

「そうそう。経験値をたくさん稼げるといっても、一個体が多くの経験値を持ってるってことじゃなくて、いっぱいモンスター用意したよ、いっぱい経験値稼いでねってことなんだよねぇ」

 

 

:お金持って帰るどころじゃない

:すぐ集まってくる

:寄って集ってボコられる

 

 

「ね。あーい、次これぇ」

 

 

:矢と?

:トラバサミやね

:ほー

 

 

「あーい、これはもう罠だよね。罠のダンジョン。いろーんな罠があるから、練習してねっていう。モンスターも出てくるけど数は少ないねぇ。ただ罠にかけるための釣り餌になってることもあって、まぁー簡単に言えばイラッとくるよねぇー。デスペナが重いから特に。入って数分で罠にかかってじわじわと削られて死んだと思ったら2日インできないとかね」

 

 

:クソすぎる

:w

:マッジで頭くるんだよなあコレ!

:もうやめてやる‼︎ ってなる

:そうなんだよな

:でも2日の間、気づけばどうやって攻略してやろうって考えててハッとなる

:くやしい! ビクンビクン

 

 

「罠のダンジョンは個人的に今んとこ一番イラっとくるから行きたくないんだけど、ただスキルと魔法関連のアイテムここなんよね。魔法職に必要な物だけじゃなく、近接にも必要なスキルもここにあるからさあ! 避けて通れないんよねえ! ……はぁ、もちろん他のとこでも手に入るんだけど、圧倒的に少ないからねぇ。あーい次」

 

 

:剣と盾

 

 

「あーい。武器と防具を見つけ易いダンジョンだね。わかりやすいねぇ。今日は俺ここに入ろうと思ってます。いい武器欲しいです。ただここにも、そうここにも落とし穴があってね、確かに武器防具は見つけやすいです。モンスターが装備しちゃってるからねぇ。強い武器が欲しいっつって魔剣が出てきたとしてもよ。ね!」

 

 

:ね

:ね

:なるほど

 

 

「あーい、次」

 

 

:3人並んでるんかな?

 

 

「そうね。丸い頭が三つ並んでる。これは複数人用ダンジョンね。ソロお断りというか、1人じゃ無理ってダンジョン。あーい、固定ダンジョン4つでしたぁ。でぇ、今日増えてたのがぁ……? おぅ……」

 

 

:トカゲ

 

 

「うん、これは初めて見たけど、こういうのはその種族限定で現れるダンジョンだねぇ。つまりコレはドラゴン? かなぁ。ドラゴンとか見たことないけどなぁ」

 

 

:よし、そこ行こう

:見たい。ドラゴン見たい

:ゴーゴー

 

 

「さてと、もう一つはぁ……?」

 

 

:あ、逃げた

:逃げたな

:弱虫か

 

 

「あのね! 見ろよこの貧弱な剣を! ボロボロやろがい! 今日は! いい武器が! 欲しいの!」

 

 

:弱虫から駄々っ子に変わった

:しょうがないなー

 

 

「はぁ……でもう一つが」

 

 

:森か

:ほーん

:フィールドダンジョンとかいうやつか

 

 

「なるほど。全体が森になってるってことか。森の地形や生息する植物から動物、人、モンスターとまあ、森属性みたいな? そういう場所?」

 

 

:罠もありそう

:森といえば獣人か?

:エルフかな

:集落とかあったりする?

:友好関係結べたりはしない?

:ゆうてここのダンジョンやしな

:さっと調べた限りではそういう話はないな

:成功すれば先駆者になれるぞ

:よし

:よし

:よし

:では行け!

 

 

「なんでだよ。なんで俺行くことになってんだよ。どう考えてもソロ用にデザインされてないだろぉ⁉︎ なあ!」

 

 

:行かないの?

:なんだ弱虫か

 

 

「おいやめろ! 俺は! 武器を取りに行くって! 言ってんだろ!」

 

 

:じゃあ早く

:まだ行ってなかったの?

 

 

「やぁべー、あぁー、もう疲れた。どういうこと? とりあえず剣と盾のダンジョン行くから。こっからはコメント読み上げてるヒマないからよろしくね。あでもばんばん書き込んでってね? あとは、さっきも言ったけど戦闘中とか勝手にいい感じのカメラワークで映してくれると思う。よっし、行くぞ!」

 

 ダンジョンの入り口に飛び込んだ。

 一瞬のブラックアウトの後、開けた視界にはミイラとか出てきそうなブロックを積んだあの通路が現れた。

 

 

:通称ピラミッド通路

:ミイラとか来る?

:どうかな

 

 

 固定ダンジョンといっても毎回同じではない。出てくるモンスターに合わせてなのか高さや道幅も違うし、鍾乳洞なこともあるし、石切場のようなところだったりもする。

 

 

:高さ5メートルってとこか

:デカイのはいなさそう

:カツキ氏レベルいくつ?

:8って言ってたかなあ?

:たしかそう

:あ、その辺、危ないかも

 

 

 曲がり角が見えてきたところで、真横の壁が崩れて巨大なムカデが飛び出してきた。リアルすぎて凶悪なアゴが目の前に迫ってくる。思わず悲鳴を上げながら剣をフルスイング。なんとか顔面に取り憑かれるのを免れた。

 座り込みたくなるのをぐっと堪えて、ムカデに剣を突き立てた。

 

 心臓がバクバクしている。

 息切れが激しい。

 必死に呼吸を整える。

 

 

:あっぶ

:危ねえ

:よかったー

:無事だった

 

 

 安心するのも束の間、曲がり角の向こうから唸り声が聞こえる。

 そっと角から顔を出したら目が合った。

 

「うぇ⁉︎」

 

 野犬だ。

 すぐに顔を引っ込める。

 野犬が角を曲がるために減速したタイミングで飛び出して剣を振り下ろした。

 

 

:ナイスー

:ナイス

 

 

 犬といっても心は痛まない。

 見るからにモンスターな顔してるから。

 そんな感じでしばらく進んだが、宝箱がない。小部屋もいくつかあったが肝心なのがない。

 

 

:宝箱ないな

:そろそろあってもいいと思うんだが

 

 

 宝箱を見つけ次第、銀行に預けに帰るのがいいだろう。

 ボロいとはいえ使える剣がある内に。

 そうやって少しずつ貯めていく。

 こんなんだからレベルの上がりも遅い。しかしだからといってどうすればいいのか。

 

 カロンでは初期装備に登録できる指輪が見つかったとかいう。

 その指輪、1つだけ物を収納できるらしい。

 初期装備に登録できるってことは、死んでも消えないってことだ。めっちゃ欲しい。あればもっと思いっきりやれるのに。しかし長野は遠い。

 

 そうすると収納系の魔法を覚えるしかない。

 必然、罠のダンジョンに行かなきゃならない。

 罠のダンジョンは回復アイテムが必要不可欠。全ての罠を交わすことはできないから。しかし意外と即死しないことも多い。針山に落とされても回復しながら無理やり突破するなんてこともできる。ただし大変痛々しいが。

 そんなわけで回復アイテムがたくさん欲しい。そのためには他のダンジョンでたくさん戦って回復アイテムを回収しなきゃならない。たくさん戦うために武器がいる。

 

 今の俺は、武器を得るために武器を壊してるような状態だ。くぅーじれったいぜぇ。なんとかこの負のスパイラルから抜け出したい。

 

「あ」

 

 小部屋に入るとゴブリンがいた。しかもかなり良さそうな剣を持っている。どう見ても体格に合っていない剣だ。

 振り回してくる剣を下がってやり過ごす。明らかに振るたびに身体が流されている。

 しかしなまじリアルなだけに怖えぇ。いやダメだ。大縄跳びの要領だ。タイミングを見て飛び込む。相手は小柄なゴブリンだ。体ごとぶつかっていけ!

 

「おあーいっ!」

 

 げ。速い。

 なら、一回剣でガードして組み付く!

 

「おあーい! はあい⁉︎」

 

 こっちの剣すり抜けた⁉︎

 胸を真一文字に切り裂かれた。HPめっちゃ減るぅ。回復! ポーション! そんなことを考えながら、俺はゴブリンに組みついていた。メタメタに殴りつけながら組み伏せ、あいつの剣だけは振らせないよう、細い腕に膝を乗せ折る勢いでぐりぐりと押さえつける。

 ビタンビタン跳ねるゴブリンを殴りつける。

 ゴブリンの頭突きや噛みつき、残った腕での引っ掻きなんかでこっちの残りわずかなHPも減っていく。

 

「おああああい!」

 

 

:剣! 剣使えって!

:剣! 剣!

:HPバーが!

:うあ、どっちだ⁉︎

 

 

 殴りつけた右手に剣を持ったままなのにようやく気がついた。なにやってんだ俺はテンパリすぎだろ⁉︎

 刃を首に押し付け体重を乗せていく。ゴブリンのHPがスーと減少していきゴキっと首が落ちた。

 

 

:うおお勝った!

:勝った!

:ナイスー

:アーイ

 

 

 げひゅげひゅ息切れを起こし、激しく咳き込んで尻餅をついた。

 残HPの数ミリが赤く点滅してる。

 勝った。勝ったぞ。息苦しくて声も出せない。ゲームなのに。痛みの代わりに息苦しさを感じるのだ。それが好評だったり不評だったりしてる。でも勝った。

 

「……あーい」

 

 拳を突き上げた。

 

 回復アイテムを使い、赤い点滅から脱し、ようやく、ひとごこちついた。

 ステータスウィンドウを開くとレベルが……上がってない。なんでだよくそ。

 配信画面にコメントが流れてる。

 

 

:お疲れー

:ないすー

:泥試合を制したな!

:ようやった

 

 

「あーい、ありがとうー」

 

 ゴブリンの使っていた剣を拾う。なかなかかっこいい片手剣だ。グリップの凹みが指にフィットする。そして剣身が黒い。うん、なにかが疼く。いい剣だ。

 

「いいねぇ」

 

 

:いいなぁ

:これはくすぐられるな

:†黒剣†

:いいねぇw

 

 

「取り回しには注意が必要だけど、うん。すり抜ける条件とかあるのかな?」

 

 

:おい、にやにやするな

:うれしさが全身から溢れてんな

:いいなあ

:まあしょうがないかな

:いいねぇw

 

 

「ようし! 一度戻りまぁす! あ──」

 

 階段を踏み外すような感覚と浮遊感。

 

 

:あ

:あ

:あ

 

 

 ──なぜ。

 

 涙が溢れた。

 

 

:落ちた

:落とし穴か

:あーい?

:ここでえ?

:あー

:生きてる?

:カメラが落とし穴に寄っていく!

:どうだ⁉︎

:んん

:死んでるぅー!

:あーあ

:クソデカため息

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

「勇者さまー」

「うん、社長ね」

「しゃちょー」

「よろしい。で? なにかね?」

「ダンジョン攻略において不満の声が上がってますー」

「あー? なぜ?」

「主に、罠が凶悪すぎる。罠多すぎ。こっちの行動見て配置してない? など、そのせいで装備増えない。レベル上がらない。だそうです」

「こういったところから突出してくる人がいるといいんだけど。そうもいってられないか。レベルは?」

「平均10、には届かないですー。カロンで主に活動してる人の三分の一以下です」

「それはしょうがないよ。彼らは冒険者に実質師事していたり、都市軍で鍛えられているからね。というかダンジョンの担当はキムラでしょ。なんでこっち持ってくんの?」

「2日ほど見てませんー」

「あの悪魔め」

「あとー」

「まだあるの?」

「ダンジョンボスからー」

「……なに?」

「ヒマー、って」

「く、バグの群れに放り込んでやりたい」

 

 

 

 

 

 






排外蟲=世界の脅威=バグ

キムラ=キムラヌート(物質主義)という名の幻想構築に特化した悪魔魔導師
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