勇者です。VRMMOと偽って日本のみんなに異世界救ってもらおうと思います。 作:カロン救世委員会
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【デスペナ】カロンひま人の集い【休憩中】
345:ひまして英雄 2027/1/24 12:58:00 ID:Qj25ZmTjh
レッドキャップきめえ。にやにや笑いやがって許さんからなあ
346:ひまして英雄 2027/1/24 12:58:04 ID:unVzpUSqM
赤帽子(帽子かぶってない)
347:ひまして英雄 2027/1/24 12:58:15 ID:FZfh0VD3x
あれ獲物の血を塗りたくって髪の毛固めてるんだって
おばあちゃんが言っていた
348:ひまして英雄 2027/1/24 12:58:25 ID:yo8Q6gHT+
鮮烈な赤色であるほど良いらしい
349:ひまして英雄 2027/1/24 12:58:43 ID:lqryu6ufn
良いってなんだよ
350:ひまして英雄 2027/1/24 12:58:52 ID:g3cPXlH+P
そういう宗教観なんじゃね?
351:ひまして英雄 2027/1/24 12:59:03 ID:Jhk6DIM90
血の色なんてすぐにくすんでくるだろ
352:ひまして英雄 2027/1/24 12:59:21 ID:I+xdiCAj7
だから常に殺して回ってるんじゃん?
353:ひまして英雄 2027/1/24 12:59:40 ID:NSppf9Nup
許さんからな!
354:ひまして英雄 2027/1/24 12:59:46 ID:UOUGuHxSx
獲物がなんか言うとりますわ
355:ひまして英雄 2027/1/24 12:59:58 ID:4qce88Llm
ちょっといいか、どうしても伝えておきたいことがあるんだ
……王の、帰還だ
356:ひまして英雄 2027/1/24 13:00:06 ID:3kNA6f11t
なに言ってんだ、こいつ。いやマジで
357:ひまして英雄 2027/1/24 13:00:23 ID:f13x7IZpI
w
358:ひまして英雄 2027/1/24 13:00:43 ID:9nvtMilq1
覚えているだろうか。広場の樹に刺さった雷の主の剣を
それを先ほど、手中にした者が現れたのだ
359:ひまして英雄 2027/1/24 13:00:53 ID:KS+UaLjXC
もはや観光名所だったあの剣抜けるもんだったのか
360:ひまして英雄 2027/1/24 13:01:07 ID:h6LUDvgrI
調べてみたらホントだった
361:ひまして英雄 2027/1/24 13:01:17 ID:FDRgf06Ha
えー性能気になるぅー
362:ひまして英雄 2027/1/24 13:01:29 ID:xoYDy+SAo
そして皆覚えているだろうか
体験会の時から脇目も振らず西へ西へと向かった勇士がいたことを!
363:ひまして英雄 2027/1/24 13:01:41 ID:G8ewAW1D4
覚えてる?
364:ひまして英雄 2027/1/24 13:02:02 ID:9q6fi/PCs
知らん
365:ひまして英雄 2027/1/24 13:02:10 ID:O+1TpYzmk
知らん
366:ひまして英雄 2027/1/24 13:02:24 ID:+SLEKgFoa
知らん
367:ひまして英雄 2027/1/24 13:02:38 ID:quC8rdL/O
今、その勇士が! 英雄が! 西の果てより帰還し
その手に握るに相応しい剣を今! 手に入れたのだ!
むしろ剣は彼をこそ待っていたと言っても過言ではない!
368:ひまして英雄 2027/1/24 13:02:53 ID:tbs67zCzo
過言だよ?
369:ひまして英雄 2027/1/24 13:03:09 ID:I5KhGnuym
草
370:ひまして英雄 2027/1/24 13:03:16 ID:bw1v/8W9D
なんなんこの人w
371:ひまして英雄 2027/1/24 13:03:21 ID:wrNikqZ7M
どの立場のヒト?www
372:ひまして英雄 2027/1/24 13:03:36 ID:0HzfhjV0H
皆、王の名を! その心に、刻めッ!
彼の名はマーサーオー
373:ひまして英雄 2027/1/24 13:03:55 ID:Dpbq5CD/w
ん? アーサー王?
374:ひまして英雄 2027/1/24 13:03:59 ID:P2DQaAqFP
いや、マーサーオー
375:ひまして英雄 2027/1/24 13:04:16 ID:T5YeOSOMs
マサオやんけw
376:ひまして英雄 2027/1/24 13:04:30 ID:q7dHtchE0
マサオ!w
377:ひまして英雄 2027/1/24 13:04:38 ID:gFDeTL5i2
マサオぉ! 元気ぃ?w
378:ひまして英雄 2027/1/24 13:04:47 ID:dpM5zw2sJ
皆、違うよ。マーサーオーだよ
379:ひまして英雄 2027/1/24 13:04:56 ID:HjL3pzrLf
マサオどんなやつ?
380:ひまして英雄 2027/1/24 13:05:16 ID:a3Mi/9HLF
マサオ見たいw
381:ひまして英雄 2027/1/24 13:05:30 ID:iqAcdmT37
皆、マーサーオーだよ?
382:ひまして英雄 2027/1/24 13:05:39 ID:cK2Z6Ajfa
マサオ、さっきからお前自作自演じゃないだろうな?
383:ひまして英雄 2027/1/24 13:05:44 ID:6nFEwI+sY
マサオぉ! お前なのか?
384:ひまして英雄 2027/1/24 13:05:57 ID:K/OJlxpMu
自分で王の帰還って言ってたの?w
385:ひまして英雄 2027/1/24 13:06:17 ID:XzG9Mns5t
www
386:ひまして英雄 2027/1/24 13:06:22 ID:sOO815U3f
草
387:ひまして英雄 2027/1/24 13:06:29 ID:6/4NnK3U4
違う! マジで違うから! 迷惑かかるからやめて!
本当に違うから!
388:ひまして英雄 2027/1/24 13:06:42 ID:YqVA3QOd7
うんうん
389:ひまして英雄 2027/1/24 13:06:51 ID:qOJxWJ/sW
そだねー
390:ひまして英雄 2027/1/24 13:07:09 ID:M/pyI73gb
わかってるってー
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【お仕事は】カロン職業スレ【ご趣味は】
642:お仕事英雄 2027/1/25 16:43:00 ID:QpYn/OA5j
錬金術師です
お仕事承ります
こんな劇薬が欲しいよ。ご相談ください
ハンドクリームから爆弾まで
あなたの町のパラス薬局
ご連絡はカロン公式HPからチャンネル検索
643:お仕事英雄 2027/1/25 16:43:18 ID:eSztXd4jd
なに不自由なく
健康的で
満たされた生活をあなたに
さあ、あなたも。
最高級の家畜になりませんか?
644:お仕事英雄 2027/1/25 16:43:25 ID:FEGeesuM6
ここはやべー奴らの溜まり場ですか?
645:お仕事英雄 2027/1/25 16:43:29 ID:Fh1BaaHsX
そんなことないよ
ただの職業報告スレだよ
近況報告もいいよ
646:お仕事英雄 2027/1/25 16:43:40 ID:omQWw5v6M
パン屋です
新作できました
フランとチャイズのパン工房でお買い求めください
647:お仕事英雄 2027/1/25 16:44:01 ID:c6knaF3ij
魔術士・水の歌い手になりましたー
648:お仕事英雄 2027/1/25 16:44:16 ID:mSMAzqkJQ
屍術士見習い・死者を呼ぶ声
呪われてなりました。どうすればいいですか?
649:お仕事英雄 2027/1/25 16:44:37 ID:kWWRQmrM6
炬火の剣士
650:お仕事英雄 2027/1/25 16:44:50 ID:+6o94H2a7
聖騎士です
西側諸国を巡ってます
なんかやばいです
651:お仕事英雄 2027/1/25 16:45:07 ID:BLGRCq5uP
運転手→発明家と技術者と操縦士を反復横跳びしてます
不具合ですか?
自動車からクリーンエネルギーの魔導機械にシフトしました
発明の寄合コグワークス
652:お仕事英雄 2027/1/25 16:45:17 ID:hhZ1NiFMX
槍騎士・ドレイクライダー
恐竜に乗って地を走ってる
竜に乗って空を飛びたいんだが?
653:お仕事英雄 2027/1/25 16:45:36 ID:AzOzoAWvc
傭兵
654:お仕事英雄 2027/1/25 16:45:57 ID:Hj9kP3LlJ
傭兵
655:お仕事英雄 2027/1/25 16:46:17 ID:9b3rvvOXy
傭兵
656:お仕事英雄 2027/1/25 16:46:35 ID:nEt1yo38l
傭兵
657:お仕事英雄 2027/1/25 16:46:47 ID:5+0tNwIX7
傭兵
658:お仕事英雄 2027/1/25 16:47:07 ID:MrNeVmDek
おう、なんだなんだどうした急に
659:お仕事英雄 2027/1/25 16:47:15 ID:2j66RrsOn
パンプキン傭兵団
団員募集
エリアボスミッションを渡り歩いてます
我こそはという者、来れ
660:お仕事英雄 2027/1/25 16:47:20 ID:2T8N4rbQ8
野戦司祭
救難信号どんとこい
661:お仕事英雄 2027/1/25 16:47:34 ID:ZvM0Hf8ER
修羅
662:お仕事英雄 2027/1/25 16:47:50 ID:/D2pk7jWF
伍長
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「勇者さまー……、教主さまー」
「教主さまやめてね。急にカルトのかほりがしてくるから。というか、そんな呼び方をしてくるということは、そっち方面の話ですか?」
「そうですー」
この世界には現在、人々が信仰する教派が2つある。
わたしたちが生じたためにそうなってしまった。
悪魔やなんかが神を騙ってカルト教団を造っていたり、お金を絶対として信仰する悪徳商人とかいるけどもここでは省く。あろうことか悪徳商人の一部は
最初の神が「原初の天主」と有識者に呼ばれており、勇者さまからは「原天」つまり「減点」だ、と呼ばれている。赤点でもいいくらいだと言われている。アカ=悪い、天=神で悪い神、アカ天だと。
その原天により初めに力を与えられたのがわたしで、終わりに力を与えられたのが勇者さま。
そして、その間に3つの神が生じている。
2つの教派の一つが、間の3つの神が共同して興した「ヴァズ教」であり、もう一つが、原天の信仰を勇者さまが上書きした「カイキョウ」。勇者さまは「仕様書」とかどう? と言っていましたが却下しました。
信仰させるつもりなんてないからいらないだろう? と駄々を捏ねていましたがそうもいきません。
ヴァズ教会への対抗措置は必要です、と説き「じゃあ、カイキョウで」という一言で決まりました。
どういう意味かと問えば──。
──教会や境界をひっくり返したんだよ。え、なぜ? ……なぜ? ええーと我々が教えることなんてないんだ。教会も境界も本来はいらない。日々の中で偶然に良い教えに出会えたらいい。そう思えるものに。お祈りに来るにしてもこんないいことがありましたって報告に来てくれるだけでいい。我々は境を開く、取っ払う。いろんな意味で。モンスターだっていろいろいる。竜とか頭のいいやつも。一緒に生きていけるならそれがいい。いずれ地球からも人を招くことになるしね。
と明らかに苦し紛れのこじつけでしたが、わたしたちもそれを受け入れました。
現在一般には「カイ教」と呼ばれ、ゆるーく信仰されています。
「それで、あの3人今なにしてるの?」
「才能のある人間を弟子に取り、境界で区切り、そこを神界として修行と生活の場にし、外へは人々に神の奇跡として力を見せて信仰を集めてます」
「昔は修行って言ってバグに突っ込んで行ってたけど、今そんなことしてるんだ」
「はいー」
「ところで弟子に取るのは人間だけなの?」
「はい、そうですー」
「あー、そう。まー、でも人の助けになってるならいいんじゃない?」
「人間の助けはしていますー」
「もしかして、そこも人間だけなの?」
「そうですー」
「もしかして昔ほかの種族にボコられたの根に持ってたりするのかな。いやーさすがに、さすがに…………、元人間だしなー、ありそう。原天の系譜として自分たちだけが神だと思ってるようだけど、種族の英雄を超えて神と言っていい個の力がこの世界、それなりにいるのに見えてないのかな」
「神ですか」
「あれ? リリルリも納得してない感じですか?」
神は勇者さまだけでいいと思います。
「日本人はすんなり馴染むと思うんだけどなぁー。それにしても、バグの間引きをしっかりやってくれてんなら文句ないんだけど、やってないんだね?」
「はい」
「バグについてなんか考えがあるのかなぁ? ウチのやつらの負担がえぐいよ……。
「キムラも見習ってほしいものです」
そしてそのまま滅んでもいいです。
「日本のみんながだんだんカタチになってきたし、もうしばらく頑張ってもらうしかない。バグについてもグランドクエストとして意識する人も増えてきたところだ。もうちょっと状況が加速するように、少し手伝うか。日本人のギタイの数は十分ですか?」
「はい。憑依人形はだいぶ余裕を持って確保してあります」
「そう。ルーンフェイトの城へ侵入されないよう引き続き注意してください。VRMMO関連のあれやこれや見られるとまずいから。ものすごく悪の組織感があるし、あの光景」
「はい……──」
「あと…………──」
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リーダーの頷きを見て、カカシは配信をスタートさせた。
「今日は俺たち『
今日は3パーティと無所属4人を加えた22人で、蛇のマークのダンジョンに潜る。
ダンジョン内は勝手にいい感じのカメラワークしてくれるのでラクできていいなぁと思いながらカカシは後方から付いていく。
カロンでは俯瞰でわかり易く。ダンジョンでは映画のようにダイナミックでスタイリッシュに。
どちらも良さはあるが、やはり迫力のある戦闘シーンは人気がある。
今日の攻略隊は数日間の募集で集まった3パーティと今さっき広場で募った4人。これまでのゲームでも野良パーティでの攻略なんて当たり前なので、フルダイブ型と言えど特に不安はない。ウチのパーティはほぼ近接特化で火力は申し分ないはずだし。
「あれぇ?」
道中1パーティで進むより明らかに敵の数が多い。
それはいいんだけど、こっちの動きがぎこちない。
3パーティそれぞれ役割分担できるように募集して、近接のウチと遠距離メインの〈
敵の数が多いため、後衛の〈休み隊〉に敵を通してしまったり、バックアタックもあったが、位置取りを修正し対処した。無所属の4人もフォローに回ってくれている。
問題ないはずだ。でもぎこちない。合同パーティは初めてだが、こういうものだろうか?
「リーダー、どう思う?」
「修正は重ねてるし、あとは慣れれば大丈夫さ」
「だといいんだが……」
「ああ! 俺を信じろ!」
「わかったよ」
「それより、カカシ。ボスを倒したら何がもらえるかな。楽しみだ。この間だって俺たちのパーティだけでそれなりに戦えていたんだ。大丈夫」
そんな話をしていたら聞きつけたメンバーのカシューが寄ってきた。
「ミッション達成で一人頭約50万ってわかってるだけででけぇよなあ? 一人辞退してくれたし」
最後だけ声をひそめて言う。
カカシはその辞退した1人をそっと見た。
パーカーのような上衣に胸当て、ベルトにポーチ、カーゴパンツにブーツ。フツーだ。ごくごく普通の装備。フードを深く被っているがそれも珍しくない。顔を晒したくない、けどこのゲームはどうしてもやりたいという人がそれなりにいる。ただしその内フードが邪魔になって開き直る人が大半だけど。視界を半分遮られての戦闘は難しいし、仲間がいれば迷惑もかけられないから尚更だ。
ただ、あの人はそれを苦にしている様子はなかった。
ちょっと話を聞いてみようかな。
ボスを倒すために集まった仲間だ、邪険にはされないだろう、とカカシは声をかけた。
「キュウセーさん……?」
「あ、はい」
「キュウセーさんは普段からソロで」
「いえ、どっかに入れてもらうことが多いです」
「今回のように?」
「そうですね」
「道中を見るとキュウセーさんも近接タイプです?」
「あーバランス型ぁ……ですかね」
「へぇすごいです。フルダイブだと剣も魔法もってなるとすごく難しくて、僕は断念してしまいました」
「そうなんですねー」
「…………」
「…………」
き、気まずい……。
そうだ、さっきのぎこちなさを相談してみようかな。
「あー、そうですねー〈休み隊〉のみなさんは支援バフをかけるのはいいんですけど、途切れがちです。防御はともかく、速度アップの効果がこう……、低めのために、ぎこちないで済んでいる。逆にそれで済んでしまっているために、ここまでぎこちないまま来てしまったと言えるかもしれません。速度アップの効果が高ければ、途切れた時にエンストしたみたいにがっくんがっくんなって問題点が一つ浮き彫りになっていたかもしれませんね」
なるほどな、とコクコク頷いた。ウチのパーティあまり魔法に触れてこなかったのも気付かなかった要因かもしれない。
「一つということはまだあります?」
「そうですね……。フレンドリーファイアかな、と。魔法もスキルも範囲に入れば味方だろうと食らってしまいますから」
「でもそれはみんな承知していることだと思うんですが」
「はい、なので最初はよかったです。食らったところで別に痛みがあるわけでもないですし、声がけも意識的にできてましたし。ただ痛みはないといっても衝撃はあるんですよね、あと視覚的なものも。スキルも魔法も大技は派手ですし、結構びっくりする。息の詰まるような衝撃に顔は歪む。HPが減れば息苦しくなる」
「確かに覚えはありますが……」
「アタッカーのみなさんが条件反射で身体が硬直してしまうこともあるでしょう、でも今回はウィザードのみなさんですかね。優しいんでしょう。今回初めて会ったんです?」
「え、はいそうです」
「硬直するところ、衝撃に備える顔、息苦しさに喘ぐところ、そういうのを見て無意識に尻込みしてしまっているのでは? 実際、だんだん声も出なくなってきている。自信がなくなれば自然と声も小さくなる。マイクにつぶやけば聞こえるわけではないですから。念話の魔法とか用意してればあれですけど。リーダーさんのおっしゃる通り、慣れれば問題なくなることだと思います」
「その慣れるのに、どれだけかかるか、ですね。ありがとうございます。共有してきます」
結局、速度アップのバフは使わないということだけ決め、あとは問題点を意識し、ボスまでの戦闘を丁寧にこなしてできるだけ慣れるしかない、ということになった。バフのタイミングがシビアなのを改めて実感できたのは良かった。そもそも効果の高い魔法はボス戦のためにみんな温存しているのだ。この日だけの大パーティの難しさを知った。これはよいことだ。今後の糧となってくれるだろう。
一度休憩を取り、休憩中も雑談などして打ち解けるよう努めた。キュウセーさんともっと話したいとカカシは思ったが、今は、と我慢し、他の人の間を回った。
「ついに来たぞ! ボス部屋の前に! さあ、行こうか!」
両開きの扉を押し開け、広間に入る。巨大な魔法陣がゆっくりと点滅する演出で、下からの光が強くなったり、弱くなったり。
数十メートル向こうには石の玉座、横幅が広く、そこに寝そべるように、ダンジョンボス『蛇頭オーバン』が待っていた。
高さは2階のベランダくらい4メートルを超えるか。
着物のように袖が広く裾の長い布を幾重も纏い、太い縄のようなものを身体に巻いて留めている。
スラリと剣を鞘から抜いた。片刃の直刀だ、2メートル弱。
裂けるような笑みを見せた。
蛇頭オーバンが突っ込んでくる。
「なんで!」
前回までの2度は待ちから入ったのに。
「はっやい!」
「やばいぞ」
蛇頭オーバンが前衛を無視して走る。
「あ」
2人が弾かれた。
それも無視してオーバンは上段に構えた刀を、キュウセーさんに振り下ろした。
「くそっ」
リーダーがオーバンを追う。
カカシも続いた。
(キュウセーさんは)
無事だ。
恐ろしい風切り音はしたが、受けるではなく躱していた。
そしてオーバンも、振り下ろした勢いで地面に刀を叩きつけるようなことはしなかった。
キュウセーさんがスススと下がりアタッカーたちと入れ替わる。
オーバンはその様子を目を細めて見送り、リーダーと打ち合った。
カカシ、カシューと順に剣を振るう。
「3、2、1、今!」
休み隊からの支援バフ
アタッカーが攻勢を強める。
「3、2、1、今!」
さらに支援が入る。
「3、2、1、今!」
今度は一斉に離れた。
オーバンの足元から炎が噴き上がる。
岩の槍が腹を貫いて釘付けにする。
耳障りな甲高い悲鳴がオーバンから上がった。
「よし! いいぞ!」
リーダーが引き付け、アタッカーの5人が入れ代わり立ち代わり一撃を加えていく、そこに遠距離隊の『SO賢人』から魔法矢などの単体攻撃が加わった。
魔法は回数が限られているため、合間に錬金術師の各種薬品なども投げ込む。
カウントダウンで支援と範囲攻撃。
何回目で攻撃を入れるかはリーダーの掛け声で変わるようになっている。「いいぞ!」「次だ!」「よしよしよし!」。
味方に当たることはあれど、もはや尻込みするものはいなかった。
道中の敵と違い、余計なことを考えている余裕はなかった。
「いいぞ!」
リーダーが叫ぶ。
蛇の目が細められた。
範囲魔法【
炎を背景に、跳び下がったリーダーにオーバンの刀が迫っていた。
「ぐ、ぅぅっ」
リーダーが身体を捻る。が、躱し切れず肩を強かに打った。錐揉みしながら吹っ飛んだ。
「リーダー!」
「回復行きます!」
「カシュー!」
「おう!」
カカシとカシューが二人がかりでオーバンの足を止める。
幾度か打ち合うと、蛇がまた笑ったように見えた。
「え」
カシューの腕が掴まれた。もっとも警戒すべきことだった。それをさせなかったリーダーの技量はやはり卓越していたのだ。
助走をつけて投げられたカシューのいく先は、リーダーと治癒師のところ。
激突し、リーダーと治癒師が砕けて散った。カシューはまだ生きているが、呆然として動かない。ダメージは心か、体か。
オーバンが徐に刀を振り上げ、投げつけた。標的は〈休み隊〉。
「そんな!」
カカシが悲鳴を上げた。
回転する刀を〈休み隊〉の目の前でキュウセーが弾いた。〈休み隊〉の左右に分かれて刀とキュウセーが吹っ飛んだ。
「立て直す!」
そう言って走り込んできたのは無所属の3人だ。
蛇は無手。
カカシも意気込んだ。
トス、トス、トス、とやけに軽い音が連続した。
急激な息苦しさ。
オーバンの着物を留めていた太い縄が解けた。だらりと開けた幾重もの布の隙間から9匹の大蛇が伸びて、カカシたち〈新月〉と無所属3人の首に噛みつき、身体を吊り上げていた。
残ったフリーな蛇一匹が威嚇音を発し、オーバンは目を細めて笑う。
吊り下げられた8人がフラフラと揺らされる。
遠距離隊の〈SO賢人〉はもう魔法はほとんど残っていない。残していても今使ったところで味方を盾にされるだけだろう。
〈休み隊〉は刀が飛んできた時からへたり込んでしまっている。
オーバンが見つめるのは冷や汗を垂らすキュウセーだった。
キュウセーが動かないのを見て、オーバンが動いた。
手をかざすとその手には大刀が。
キュウセーが刀のあった場所を確認する。当然そこには何もない。
オーバンが吊り上げた誰かを突き刺そうと構えたところで、キュウセーが地を這うように突撃した。
オーバンがぐいーんとさらに高く8人を吊り上げる。
一匹の蛇とオーバンの剣がキュウセーを襲う。
8人はじわじわと息苦しさが増していく。
カカシは自身の喉に食らいつく蛇を掴み、辛うじて見えるキュウセーとオーバンの姿を追っていた。
キュウセーがオーバンに何か言っているのがかすかに聞こえた。
「話が違うんですけど」
どういう意味だろう。というか話しかけることに意味あるんだろうか。
キュウセーは剣を打ち合うことはせず、器用に躱していく。剣は蛇に対処する時のみだ。
そんな姿を見つめながら気付いた。
チラチラとキュウセーがこちらを見ている。
なんだろう。
助けを求めているのか。
しかしこちらももう限界だ。息苦しい。遠からずここから離脱することになるだろう。
悔しいが、今回は…………いや何を言っているんだ。僕らが始めたことじゃないか。少なくとも〈新月〉の人間が諦めていいはずない。
そうだ。何かあるはずだ。方法が。蛇を殴ってみるがビクともしない。
「く、そ」
だが絶対に諦めない! うおおお。
そこで視界に同じように吊り下げられている一人が目に入った。
無所属の1人だ。忙しなく指を動かしている。ステータスウィンドウか?
すぐにその手はウィンドウから離れ、蛇をガシリと掴んだ。
「……ぅぅうううおおおおおお────ッ‼︎」
彼の毛が逆立ち、バチバチ帯電を始める。
雷を帯びる。
驚いたオーバンが彼を見上げる。
カカシは思った。
お前が覚醒するんかい、と。
無所属の、彼の名前はなんだったか──。
確かそう──マーサーオー!