The Reaching Shore――届かせるもの――   作:ほいみん

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Fate/stay night二次創作長編『The Reaching Shore――届かせるもの――』第13話です。

※独自解釈/女性体オリジナルサーヴァント/ギルガメッシュ×アトラス/本文に文章生成AI補助あり
※掲載イラストは作者による手描きです。

詳しい注意事項・AI使用表記・制作FAQはこちら:
【作品案内URL】
https://docs.google.com/document/d/1J5hZ3qOATZGBYELXd_x-g7suIvv0zHGGJ4TijIUNzlI/edit?usp=sharing

アトラス設定資料はこちら:
【設定資料URL】
https://docs.google.com/document/d/1Gdk-aR_oVREDxgTlwfcmQzWDoM_qF-cY2UsIi8TS6_0/edit?usp=drive_link



第17話 選んだ方

 森へ入ってから、同じ木を三度見た。

 

 幹の途中で二つに分かれ、片方だけが不自然に白く枯れている。

 

 一度目は道の右側にあった。

 

 二度目は左側。

 

 三度目には、正面に立っていた。

 

「またここか」

 

 士郎が足を止める。

 

 城へ向かって歩いているはずだった。

 

 方角は合っている。

 

 少なくとも、森へ入った時から真っ直ぐ進んできた。

 

 なのに、道は同じ場所へ戻っている。

 

「方角なんて、もう意味ないわよ」

 

 遠坂が周囲を見回した。

 

 冬の木々の間に、薄い霧が漂っている。

 

 白く見えるのは水蒸気ではない。

 

 肌へ触れるたび、微かな魔力が神経を撫で、前後左右の感覚を狂わせていく。

 

「木が動いてるのか?」

 

「正確には、わたしたちの認識と移動先をずらしてる。道を歩いているつもりで、結界が選んだ場所へ運ばれてるのよ」

 

「城はどっちだ」

 

「さっきから変わってる」

 

 遠坂は苛立たしげに答えた。

 

「結界の中心はある。でも、そこへ向かう道が一定じゃない。侵入者を迷わせるだけじゃなくて、こっちがどこにいるかも向こうへ伝えてるわ」

 

 つまり。

 

 イリヤはもう、士郎たちが森へ入ったことを知っている。

 

 士郎一人ではないことも。

 

 それでも攻撃は来なかった。

 

 バーサーカーが森を薙ぎ払いながら現れることもない。

 

 士郎は左手を見る。

 

 令呪は一画。

 

 今日は使わない。

 

 昨日、全員で決めた。

 

 城内へ入るのは士郎一人。

 

 決めた時刻までに戻らなければ、遠坂たちが介入する。

 

 アトラスとの契約が遮られるか、極端に細くなった場合も同じ。

 

 自由な退去を妨げられた時。

 

 戦闘が始まった時。

 

 第一目的は士郎の回収。

 

 イリヤを倒すための襲撃ではない。

 

「もう一度、確認するわよ」

 

 遠坂が言った。

 

「城へ入るのは士郎一人。わたしたちは森で待機。約束の時間を過ぎる、契約線に異常が出る、退路を閉じられる、戦闘が始まる。このどれかで入る」

 

「ああ」

 

「連絡できるなら、先に連絡。できないなら、こちらで判断する」

 

「分かってる」

 

「本当に?」

 

「昨日から何度も聞いた」

 

「何度聞いても一人で敵の城へ行くって答える人に、確認しすぎなんてないわよ」

 

 返す言葉がない。

 

 遠坂はまだ納得していない。

 

 けれど、止めても士郎が行くことも分かっている。

 

 だから、死なないための条件を詰めた。

 

 士郎がアトラスへ曖昧な願いを投げていた頃とは違う。

 

 誰を守るのか。

 

 どこまでを守るのか。

 

 何が脅威なのか。

 

 何をもって終わりとするのか。

 

 いつ介入するのか。

 

 命令ではない。

 

 それでも、アトラスから教えられた形を使っている。

 

「イリヤと話してくる」

 

 士郎は三人へ告げた。

 

 大丈夫だとは言わない。

 

 無事に戻るとも言えない。

 

 ただ、何のために行くのかだけは、隠さなかった。

 

 アトラスが血色の瞳を向ける。

 

「城内における汝の安全を、(おれ)は保証できぬ」

 

「分かってる」

 

「結界の内側では、契約線を通じた観測も不確実になる」

 

「それも聞いた」

 

「帰還できぬと判断した時点で呼べ。生命の危機まで待つな」

 

「ああ」

 

「汝が一人で入ることと、一人で解決することは同義ではない」

 

 昨日と同じ指摘だった。

 

 けれど、今日は違う。

 

 士郎は行き先も、目的も、助けを求める条件も伝えている。

 

「安全にしてもらうために行くんじゃない。イリヤの答えを聞くために行く」

 

「記録した」

 

「帰れなくなったら、助けを借りる」

 

 アトラスは短く士郎を見る。

 

「承知した」

 

 それで、話は終わった。

 

 遠坂が結界へ宝石を投げる。

 

 光が弾け、霧の中へ細い亀裂が走った。

 

 アーチャーの矢が、その奥を射抜く。

 

 ずれていた木々の位置が一瞬だけ揃う。

 

 アトラスが槍の石突きを地面へ下ろした。

 

 見えない水面を押し分けるように、森の中へ一本の道が開く。

 

 遠く。

 

 木々の切れ間に、白い城壁が見えた。

 

「長くは保たないわ」

 

 遠坂が言う。

 

「行きなさい、士郎」

 

「ああ」

 

 士郎は一人で道を進んだ。

 

 背後を振り返らない。

 

 森の霧が閉じていく。

 

 遠坂たちの姿が木々の向こうへ消える。

 

 契約線だけが、細くアトラスへ繋がっていた。

 

 城門の前には、イリヤが立っていた。

 

 白い髪。

 

 赤い瞳。

 

 昨日と同じ少女が、今日は自分の城を背にして待っている。

 

 その後ろにはバーサーカーがいた。

 

 巨体が門の半分を塞いでいる。

 

 斧剣を持ってはいない。

 

 それでも、士郎を一撃で殺せることに変わりはない。

 

「ちゃんと来たのね、シロウ」

 

 イリヤは少し胸を張って言った。

 

「約束したからな」

 

「リンたちも来てるわね」

 

 士郎は息を止めかけた。

 

「分かってたのか」

 

「わたしの森だもの」

 

 イリヤは当然のように答える。

 

「どこに誰が入ったかくらい分かるわ」

 

「約束を破ったと思うか」

 

「どうして?」

 

 イリヤは首を傾げた。

 

「お城へ来たのはシロウ一人でしょう?」

 

 森で待っている者たちを許したわけではない。

 

 ただ、今は問題にしない。

 

 イリヤにとって大事なのは、士郎が一人で自分の前へ来たことなのだ。

 

「入って」

 

 イリヤが城門へ向き直る。

 

 士郎は歩き出した。

 

 バーサーカーの横を通る。

 

 巨大な影が動いた。

 

 攻撃ではない。

 

 けれど、バーサーカーの目は士郎を追っている。

 

 イリヤとの間へ割り込める位置へ足を置く。

 

 片手が、背負った斧剣の柄へ触れた。

 

 命令されていない。

 

 それでも、自然にイリヤを守っている。

 

 最初の夜を思い出す。

 

 地面に倒れた士郎へ、バーサーカーは最後の一撃を加えられた。

 

 止まったのは、バーサーカーではない。

 

 イリヤの命令だった。

 

「どうしたの?」

 

 先を歩いていたイリヤが振り返る。

 

「いや」

 

 士郎はバーサーカーから目を離した。

 

 今日は戦いに来たのではない。

 

 城の中は静かだった。

 

 長い廊下。

 

 高い天井。

 

 石造りの壁。

 

 古い絵と、磨き上げられた調度品。

 

 床は冷たく、歩くたびに靴音が遠くまで響いた。

 

 広い。

 

 整えられている。

 

 それなのに、人の気配が少なすぎた。

 

 誰かが掃除をし、食事を作り、火を入れているはずなのに、その姿が見えない。

 

 城そのものが、音を飲み込んでいるようだった。

 

「ここが玄関の広間」

 

 イリヤが楽しそうに案内する。

 

「あっちは大きな食堂。上には書庫もあるわ。古い本ばっかりだけど」

 

「読めるのか」

 

「シロウよりはね」

 

「俺が読めないって決めつけてるだろ」

 

「じゃあ、ドイツ語の本を持ってきてあげる」

 

「それは読めない……」

 

「ほら」

 

 イリヤが笑う。

 

 自分の家を見せるのが嬉しいらしい。

 

 けれど士郎には、この城が人を迎えるための場所には見えなかった。

 

 壁が厚い。

 

 窓が小さい。

 

 廊下は長く、外へ出る道が分かりにくい。

 

 住む者を守る城。

 

 同時に、住む者を外へ出さない城。

 

『わたし、本当はお城にいないといけないの』

 

 昨日の言葉が蘇る。

 

 住んでいるのではない。

 

 いなければならない。

 

「こっちよ」

 

 イリヤに促され、士郎は日当たりのいい部屋へ入った。

 

 大きな窓の前に、白い布をかけたテーブルがある。

 

 その上には、見慣れない台が置かれていた。

 

 三段に重なった皿。

 

 一番下に小さなサンドイッチ。

 

 上には丸いパン菓子と焼き菓子。

 

 一番高い皿には、小さなケーキが並んでいる。

 

 銀のポット。

 

 揃えられたカップ。

 

 ジャムと白いクリーム。

 

 ナプキンまで、きれいに畳まれていた。

 

「……すごいな」

 

「そう?」

 

「これ、全部食べるのか」

 

「シロウが食べてもいいのよ」

 

「そういう意味じゃなくて」

 

 これをイリヤが一人で用意したんだろうか。

 

 昨日の昼に約束して、今日までの間に。

 

 そう考えると、手際が良すぎる。

 

 誰か別の人間がいるのかもしれない。

 

 けれど、城の中には相変わらず人影がなかった。

 

「座って」

 

 イリヤが向かいの席を示す。

 

 士郎は椅子へ腰を下ろした。

 

 紅茶が注がれる。

 

 香りが広がる。

 

「シロウは紅茶を淹れられる?」

 

「一応は。でも、遠坂の方が詳しい」

 

「リンの話はしなくていいの」

 

「聞いたのはイリヤだろ」

 

「シロウのことを聞いたのよ」

 

 イリヤは小さなサンドイッチを取った。

 

「朝は何を食べるの?」

 

「日による。米の方が多いな」

 

「パンは?」

 

「食べる」

 

「甘いものは?」

 

「朝からはあまり」

 

「寒い部屋は平気?」

 

「なんだ、それ」

 

「答えて」

 

「暖かい方がいいに決まってるだろ」

 

「本は読む?」

 

「読むけど」

 

「柔らかいベッドと、硬いベッドなら?」

 

 士郎は手を止めた。

 

「それ、今日の話じゃないだろ」

 

 イリヤが笑う。

 

「どうして?」

 

「朝飯とか、部屋とか、寝る場所とか。今日だけ来た客に聞くことじゃない」

 

「そうかしら」

 

「そうだ」

 

「なら、見せてあげる」

 

 イリヤは席を立った。

 

「何を」

 

「シロウのお部屋」

 

 案内された部屋を見て、士郎は言葉を失った。

 

 寝台。

 

 机。

 

 椅子。

 

 暖炉。

 

 洗面用具。

 

 収納。

 

 新しい衣類。

 

 どれも、士郎の体格に合いそうな大きさだった。

 

 数日どころではない。

 

 何週間でも暮らせる。

 

 昨日の招待を受けてから用意したとは思えない。

 

「これを、いつから用意してたんだ」

 

「いつでもいいでしょう?」

 

「昨日じゃないよな」

 

「シロウが来るかもしれないと思った時から」

 

 つまり、前から。

 

 士郎をこの城へ連れてくることを、ずっと考えていた。

 

「イリヤ」

 

「気に入らない?」

 

「そうじゃない」

 

「なら、使って」

 

「今日だけだぞ」

 

 イリヤの顔から、笑みが少し消えた。

 

「今日はもう帰らなくていいの」

 

 士郎は聞き返した。

 

「何だって?」

 

「ここにいればいいわ」

 

 イリヤは部屋の中央へ立つ。

 

「リンたちは待たせておけばいいの。あの子もいらない。シロウはここにいれば、もう戦わなくて済むわ」

 

「イリヤ」

 

「バーサーカーが守ってくれる。誰が来ても負けないもの。聖杯戦争が終わるまで、ここにいれば安全よ」

 

 歓待ではなかった。

 

 一日だけ客として招いたのではない。

 

 最初から、士郎をここへ残すつもりだった。

 

「俺は帰る」

 

「どうして?」

 

「遠坂たちが待ってる」

 

「待たせればいいって言ったでしょう?」

 

「そういうわけにいかない」

 

 士郎は扉へ向かった。

 

 取っ手を回す。

 

 扉は開いた。

 

 廊下が見える。

 

 一歩踏み出す。

 

 次の瞬間、士郎は部屋の中に立っていた。

 

「――何だ?」

 

 もう一度、扉を開ける。

 

 廊下へ出る。

 

 足を下ろす。

 

 部屋へ戻る。

 

 距離を進んだ感覚だけがある。

 

 けれど、位置は変わらない。

 

 士郎は窓へ向かった。

 

 鍵を外す。

 

 開かない。

 

 窓の縁へ指をかけ、力を込める。

 

 けれど、錠が動かないのではなかった。

 

 窓そのものが、壁の一部として固定されている。

 

 枠と石壁の境目へ魔力を通して調べる。

 

 内部を走る光が、窓から壁、床、天井へと繋がっていた。

 

 この一枚だけを壊せば済む結界ではない。

 

 城全体が、一つの檻になっている。

 

「無理よ」

 

 イリヤが言った。

 

「シロウじゃ壊せない」

 

「最初から閉じ込めるつもりだったのか」

 

「守るつもりだったの」

 

「同じだろ」

 

「違うわ」

 

 イリヤの声が強くなる。

 

「あの子じゃ、お兄ちゃんを守りきれない」

 

 あの子。

 

 昨日までは、あのランサーだった。

 

 今は、一人の少女を指す言葉になっている。

 

「この前だって、よそのセイバーに助けられなきゃ死んでたくせに」

 

「あの時は――」

 

「一昨日も怪我してた」

 

「アトラスのせいじゃない」

 

「リンはお兄ちゃんを戦わせる。あの子は止めない。お兄ちゃんは勝手に前へ出て、また傷つく」

 

 イリヤは唇を噛む。

 

「わたしのバーサーカーなら守れる」

 

 その言葉に、迷いはなかった。

 

 自分のサーヴァントへの絶対的な信頼。

 

 誰にも負けない。

 

 何があっても自分を守る。

 

 だから、士郎も守れる。

 

「城には残れない」

 

「どうして?」

 

「遠坂を待たせたままにはできない。アトラスを捨てることもできない」

 

「昨日は、わたしだから来たって言ったのに」

 

「それは嘘じゃない」

 

「なら、ここにいて」

 

「イリヤだから会いに来た。イリヤと話したかった。それも本当だ」

 

 士郎はイリヤを見る。

 

「でも、イリヤを選ぶために遠坂やアトラスを捨てることはできない」

 

 イリヤの赤い瞳が揺れた。

 

「誰でも同じだって言うの?」

 

「言ってない」

 

「同じよ」

 

「違う」

 

「違わない!」

 

 声が部屋へ響く。

 

 士郎は一歩も退かなかった。

 

「閉じ込めなくても話はできる。遠坂たちと戦う必要もない。イリヤがどうして城にいなきゃいけないのか、教えてくれ」

 

「分かったところで、シロウには何もできないわ」

 

「それを決めるのはイリヤじゃない」

 

「何もできない!」

 

 イリヤは叫んだ。

 

 それ以上、何かを言いかける。

 

 けれど、飲み込んだ。

 

「……なら、ここにいればいいの」

 

 声が小さくなる。

 

「何も知らなくても、安全でいられるでしょう?」

 

「イリヤ自身はどうなんだ」

 

「わたし?」

 

「イリヤは、ここにいて安全なのか」

 

 イリヤは答えなかった。

 

 代わりに、顔を逸らす。

 

「リンたちは今頃どうしてるかしら」

 

 士郎の胸がざわついた。

 

「遠坂たちに手を出すな」

 

「シロウが帰ろうとするから悪いのよ」

 

「イリヤ」

 

「気になるなら、わたしが掃除してきてあげるね」

 

 笑っているのに、何を意味しているかは聞くまでもなかった。

 

「待て!」

 

 イリヤが扉を出る。

 

 士郎が追う。

 

 結界に弾かれ、部屋へ戻された。

 

 遠くで、巨大な気配が動く。

 

 バーサーカー。

 

 イリヤとともに、城の外へ向かっている。

 

 そう感じた。

 

「イリヤ!」

 

 返事はない。

 

 士郎は部屋を見回した。

 

 机の前に置かれた木製の椅子を掴む。

 

「同調、開始!」

 

 椅子の構造へ魔力を通す。

 

 木目を繋ぎ、脚と背板を一つの塊として強化する。

 

 振りかぶり、開いた扉の先へ叩きつけた。

 

 衝撃が腕へ返る。

 

 強化した椅子の脚が折れた。

 

 結界には傷一つつかない。

 

 士郎は残った背板を握り直し、もう一度打ち込んだ。

 

 今度は椅子そのものが砕けた。

 

 見えない壁は揺れもしない。

 

「投影、開始」

 

 回路を下ろす。

 

 剣を作る。

 

 刃を結界へ叩きつける。

 

 火花が散る。

 

 剣に亀裂が走る。

 

 突破できない。

 

 左手が熱を持つ。

 

 令呪。

 

 使えば、アトラスを呼べるかもしれない。

 

 だが、使わない。

 

 呼ぶ条件は決めてある。

 

 士郎が無理に一人で解決する必要はない。

 

 契約線へ意識を向けた。

 

 細い。

 

 城の壁に押し潰されるように、かろうじて繋がっている。

 

 声が届くかは分からない。

 

 それでも。

 

「アトラス」

 

 呼んだ。

 

     ◇

 

「固定された」

 

 森の中で、アトラスが顔を上げた。

 

 遠坂が振り返る。

 

「何が」

 

「マスターの位置だ。一室から移動していない」

 

「話してるだけじゃないの?」

 

「契約線が細くなった。城内の結界によるものだが、先ほどまでとは異なる」

 

 アトラスは城の方角を見る。

 

 結界の向こうで、二つの気配が動いている。

 

 イリヤ。

 

 バーサーカー。

 

 城外へ向かったように見える。

 

 士郎だけが、城内の一室へ残されている。

 

「退去経路は」

 

「認識できぬ。マスターの位置が固定され、移動が断たれている」

 

 遠坂は時計を見る。

 

 決めた帰還時刻が近い。

 

 まだ生命の危機とは言えない状況だった。

 

 それでも遠坂は即座に言った。

 

「条件成立ね」

 

「入るわ」

 

 アーチャーが実体化する。

 

 顔色は悪い。

 

 傷が治ったわけではない。

 

「動けるの?」

 

「君が聞きたいのは、私の状態か。それとも、置いていく口実かね」

 

「動けるかって聞いてるのよ」

 

「では、動けると答えておこう。正直者が報われる場面でもないのでね」

 

 弓を作る。

 

 動作の途中で、わずかに呼吸が止まった。

 

 それでも構えは崩れない。

 

「広間から入る」

 

 遠坂が城を睨む。

 

「裏口を探すより、結界の中心を壊す方が早い」

 

「大胆だな」

 

「士郎を助けるのに、城への礼儀なんて必要ないわよ」

 

 遠坂の宝石が飛ぶ。

 

 森の結界へ魔力が突き刺さる。

 

 アーチャーの矢が同じ点を射抜く。

 

 アトラスの槍が地面へ下りる。

 

 木々が沈む。

 

 霧が左右へ割れる。

 

 城壁まで、一筋の道が通った。

 

     ◇

 

 爆音が聞こえた。

 

 士郎の部屋が揺れる。

 

 城の別の場所で、何かが破壊されている。

 

「遠坂……?」

 

 続けて、二度。

 

 三度。

 

 壁の中を走る魔力が乱れた。

 

 閉じていた扉の向こうに、ひびが入る。

 

 石の壁ではない。

 

 空間そのものへ白い亀裂が走っている。

 

 亀裂の向こうから、深い青の光が差した。

 

 壁が外側へ押し開かれる。

 

「士郎!」

 

 遠坂の声。

 

 通路の向こうに、三人がいた。

 

 遠坂。

 

 アーチャー。

 

 アトラス。

 

「無事ね?」

 

「ああ。イリヤが外へ――」

 

「その前に聞くけど」

 

 遠坂が士郎の頭を殴った。

 

「痛っ!」

 

「敵の城で、用意されてた部屋にほいほい入って、結界に閉じ込められるまで何してたのよ!」

 

「話をするために来たんだ!」

 

「閉じ込められたら話し合い終了でしょう!」

 

「俺だって、最初から閉じ込められるとは――」

 

「罠だって分かってたでしょうが!」

 

 返せない。

 

 その通りではある。

 

 士郎は三人の後ろを見る。

 

 砕かれた壁の向こうへ、深い青の通路が延びている。

 

「広間から入ってきたのか?」

 

「一番早かったのよ」

 

「いくらなんでも大胆すぎるだろ」

 

「誰のせいだと思ってるの?」

 

 遠坂が睨む。

 

 アトラスは士郎の身体を見た。

 

「負傷は」

 

「増えてない。肩を少し使っただけだ」

 

「少しの定義を後で確認する」

 

「今じゃないのか」

 

「敵マスターとバーサーカーが移動している。先に退路を確保する」

 

 アトラスが槍を向ける。

 

 通路の奥に、深い青の壁が立つ。

 

 城が崩れた箇所を修復しようとしている。

 

 青い壁が、それを押し返す。

 

「戻るわよ」

 

 遠坂が先に立つ。

 

「イリヤは外へ行った。遠坂たちを襲うつもりだ」

 

「それなら、もう戻ってるはずでしょう」

 

「何?」

 

「外へ出た形跡がない」

 

 アトラスが言った。

 

「気配の経路を偽装した可能性がある」

 

 胸が冷える。

 

 士郎は走った。

 

 青い一本道を抜ける。

 

 長い廊下。

 

 砕けた壁。

 

 崩れかけた柱。

 

 広間へ飛び込む。

 

 そこに、イリヤがいた。

 

 バーサーカーも。

 

 最初から、外へ出ていなかった。

 

 イリヤは士郎を見る。

 

 次に、遠坂。

 

 アーチャー。

 

 アトラス。

 

 四人が一緒に広間へ戻ってきたことを確認する。

 

 怒鳴らなかった。

 

 ただ、傷ついたように目を伏せた。

 

「やっぱりシロウはリンを選ぶんだ」

 

「違う」

 

「何が違うの?」

 

「遠坂を選んだから戻ったんじゃない。帰れなくなったら助けてもらうって、最初から決めてた」

 

「同じでしょう?」

 

「違う。イリヤと話したかったのは嘘じゃない」

 

「でも、わたしのところには残らなかった」

 

「イリヤだけを選ぶために、他のやつを捨てることはできない」

 

 イリヤの顔が固くなる。

 

「それなら、シロウは帰さない」

 

 バーサーカーへ視線を向けた。

 

「みんな、ここから動かさないで」

 

 巨体が一歩前へ出る。

 

 イリヤの前に立つ。

 

 それだけで、広間を塞ぐ門になった。

 

 斧剣が抜かれる。

 

「下がれ!」

 

 アトラスが槍の石突きを床へ下ろした。

 

 見えない圧が、一点へ落ちる。

 

 バーサーカーが踏み込もうとした石床だけが、巨大な水圧を受けたように沈み込んだ。

 

 足場が半段落ちる。

 

 巨体の重心が前へずれた。

 

 斧剣が振り下ろされる。

 

 床が割れた。

 

 石片が弾ける。

 

 衝撃だけで身体が浮く。

 

 アトラスの外壁が士郎と遠坂の前に立ち、空気の塊を受けた。

 

「アーチャー!」

 

 遠坂が叫ぶ。

 

「見ている!」

 

 アーチャーは後方へ跳んでいる。

 

 弓を構え、バーサーカーの動きを追う。

 

 すぐには射たない。

 

 何かを待っている。

 

 バーサーカーが横薙ぎに斧剣を振るった。

 

 アトラスの槍先が床を指す。

 

 圧が、今度はバーサーカーの前足の外側へ偏って落ちた。

 

 石床が斜めに沈む。

 

 踏み込みの位置がずれ、斧剣の軌道がわずかに浮いた。

 

 遠坂の魔力弾が支持脚へ当たる。

 

 威力が削がれる。

 

 それでも止まらない。

 

 斧剣の先には遠坂。

 

 その向こうには、弓を引くアーチャー。

 

「投影、開始」

 

 回路を下ろす。

 

 剣を作る。

 

 士郎は遠坂の前へ出た。

 

「士郎!」

 

 斧剣を受ける。

 

 衝撃。

 

 腕が潰れる。

 

 肩の傷が開く。

 

 投影した剣へ大きな罅が走った。

 

 止めることはできない。

 

 だから、流す。

 

 浮いた軌道へ刃を合わせる。

 

 斧剣が剣の表面を滑る。

 

 士郎の身体ごと横へ弾き飛ばされた。

 

 投影剣が砕ける。

 

 けれど。

 

 一拍。

 

 斧剣は遠坂にも、アーチャーにも届かなかった。

 

「今よ!」

 

 遠坂が二つの宝石を掴む。

 

 一つを床へ叩きつける。

 

「Siebte――Gefriere, fessle!」

 

 青白い閃光が石床を走った。

 

 冷気が爆発的に広がる。

 

 バーサーカーの足首を起点に、分厚い氷が膝下まで駆け上がった。

 

 同時に床の亀裂へ潜り込み、何本もの氷柱となって石材の内部から突き出す。

 

 脚と床が、一つの巨大な氷塊へ縫い合わされた。

 

 バーサーカーが力を込める。

 

 氷の内側で鈍い破砕音が連続する。

 

 氷が砕かれる、その前に。

 

 遠坂は二つ目の宝石を掲げた。

 

「Vierte――Detoniere, vollstrecke!」

 

 赤い光が走った。

 

 凍りついた脚へ触れた瞬間、光は点ではなく、氷塊の内部を満たした。

 

 一拍。

 

 氷の中で、白い亀裂が幾重にも走る。

 

 次の瞬間、凍りついた脚と、その下の床一帯を呑み込む爆発が起きた。

 

 炎と衝撃が天井へ噴き上がる。

 

 凍結した床が、一枚の巨大な石板ごと吹き飛んだ。

 

 柱が軋む。

 

 窓が震える。

 

 氷と石材の破片が、砲弾のように広間へ飛び散った。

 

 アトラスの外壁が立ち上がり、イリヤのいる側へ飛ぶ破片だけを遮った。

 

 バーサーカーの脚を包んでいた氷塊が内側から炸裂する。

 

 膝下の肉が裂け、骨が露出した。

 

 巨体が初めて大きく傾く。

 

 片脚を置いていた床そのものが消え、荷重のすべてが反対側へ集中する。

 

 それでもバーサーカーは倒れなかった。

 

 残る脚。

 

 斧剣。

 

 体幹。

 

 人間とは比べものにならない筋力だけで、傾いた巨体を押し戻そうとしている。

 

「アトラス!」

 

「把握した」

 

 王宮外装が一箇所へ集まる。

 

 床から外壁が立ち上がった。

 

 損傷した脚を左右から挟む。

 

 残る脚へ青い枷が絡む。

 

 背後へ壁が生まれ、後退を塞ぐ。

 

 斧剣の柄が外壁へ当たり、振り幅が狭まった。

 

 胸が正面へ向く。

 

 射線。

 

 バーサーカーが吼える。

 

 外壁を引き裂く。

 

 保つのは一秒もない。

 

 それで十分だった。

 

 アーチャーの弓に、一本の矢が番えられている。

 

 いや。

 

 矢ではない。

 

 剣だ。

 

 捻れた剣が、弓へかけられている。

 

 そこへ異常な量の魔力が注ぎ込まれていた。

 

 剣そのものが、内側から膨れ上がる。

 

 壊れる寸前まで。

 

 アトラスの血色の瞳が、それを捉えた。

 

 槍が床へ下りる。

 

 バーサーカーの周囲へ、王宮外壁が円を描いて立ち上がった。

 

 爆発を外へ広げないための囲い。

 

 開いているのは、矢が通る正面の一点だけだった。

 

 その向こうに、イリヤがいる。

 

 爆心へ近すぎる。

 

 士郎は走り出した。

 

 アーチャーの脇腹から血が流れた。

 

 弓を引く腕が震えている。

 

 それでも、狙いは逸れない。

 

「伏せて!」

 

 遠坂が三つ目の宝石を掲げる。

 

「Neunte!」

 

 高密度の光がバーサーカーを中心に広がった。

 

 平らな壁ではない。

 

 床から立ち上がった光が頭上で閉じ、半球状の防壁となって爆心を包み込む。

 

 アトラスの外壁の内側へ、さらに光の殻が重なった。

 

 ただし、アーチャーの正面だけは閉じていない。

 

 光の殻にも、矢一本が通る細い道が残されていた。

 

 爆発を一点へ凝縮しながら、その外周にいる者を熱と破片から守るための結界。

 

 士郎はバーサーカーの脇を抜け、イリヤへ手を伸ばした。

 

「イリヤ!」

 

 腕を掴む。

 

 床へ伏せさせる。

 

 身体を重ねる。

 

「何を――」

 

 イリヤの声を、爆音が飲み込んだ。

 

 矢が放たれた。

 

 バーサーカーの胸へ突き刺さる。

 

 次の瞬間。

 

 宝具が爆発した。

 

 広間全体が揺れる。

 

 遠坂の光のドームが爆発を押し包む。

 

 その外側から、アトラスの王宮外壁が爆圧の広がりを塞いだ。

 

 閉じ込めきれない圧力だけが、天井側へ噴き上がる。

 

 光の壁が軋む。

 

 王宮外装へ亀裂が走る。

 

 それでも、熱と破片のすべてを止めきることはできなかった。

 

 光を抜けた熱波が、士郎の背中を叩く。

 

 細かな石片が肩と腕へ突き刺さる。

 

 息が詰まる。

 

 イリヤの小さな身体が衝撃で浮きかけた。

 

 士郎は床へ押さえつける。

 

 遠坂の壁とアトラスの外装があってなお、届く熱と破片だった。

 

 その前に身体を置かなければ、イリヤへまともに当たっていた。

 

 爆発が収まる。

 

 耳鳴り。

 

 煙。

 

 熱。

 

 士郎は顔を上げた。

 

 広間の中央。

 

 バーサーカーの巨体が立っていた場所。

 

 胸部が大きく抉れている。

 

 身体の中心を失っている。

 

 斧剣が手から落ちた。

 

 巨体が揺れる。

 

 床へ倒れた。

 

 動かない。

 

 呼吸もない。

 

 心臓の音もない。

 

 確実に死んでいる。

 

「やった……のか」

 

 遠坂が息を切らしている。

 

 アーチャーは弓を下ろした。

 

 壁へ手をつき、傷を庇っている。

 

 アトラスの外装には新しい亀裂が走っていた。

 

 誰も無傷ではない。

 

 それでも。

 

 四人で繋いだ攻撃は、あの巨体を確かに倒した。

 

 アーチャーが眉を寄せる。

 

「待て」

 

 バーサーカーの身体が消えない。

 

 光の粒子にならない。

 

 霊体へ戻らない。

 

 霊基が崩れる気配もない。

 

「イリヤ」

 

 士郎は振り返った。

 

 イリヤは立ち上がっている。

 

 叫ばない。

 

 バーサーカーへ駆け寄らない。

 

 令呪も使わない。

 

 命令もしない。

 

 ただ、倒れた巨体を見ている。

 

 悲しみを堪えている顔ではない。

 

 知っている顔だった。

 

「そのくらいで、バーサーカーが死ぬわけないでしょう?」

 

 イリヤは当然のように言った。

 

 倒れた身体が動く。

 

 抉れた胸部から、肉が戻る。

 

 骨が繋がる。

 

 血が逆流する。

 

 失われたものが、最初からなかったように埋まっていく。

 

「何だ……」

 

 呼吸が再開する。

 

 指が動く。

 

 床へ落ちた斧剣を掴む。

 

 確かに死んだはずのものが、起き上がる。

 

 バーサーカーは再び立った。

 

 イリヤが誇らしげに見上げる。

 

「わたしのバーサーカーは、誰にも負けないんだから」

 

「蘇生……?」

 

 遠坂が呟く。

 

「違う。死んだこと自体をなかったことにしてるわけじゃない。今、確かに一度死んだ。その後で、別の生存状態へ戻った……?」

 

「複数の生を霊基へ備えている可能性がある」

 

 アーチャーが言う。

 

「正確な数は分からん。だが、一度殺せば終わる相手ではない」

 

 バーサーカーが動く。

 

 アーチャーが矢を放った。

 

 先ほどと近い性質を持つ投影品。

 

 胸部。

 

 同じ場所。

 

 着弾する。

 

 爆発。

 

 炎の中から、バーサーカーが歩いて出た。

 

 傷はある。

 

 皮膚も裂けている。

 

 けれど、致命傷には遠い。

 

「同じものは通らんか」

 

 アーチャーが低く言う。

 

「なら、さっきの連携を――」

 

「来るぞ!」

 

 アトラスの声。

 

 アトラスが圧を落とすより早く、バーサーカーが斧剣を振り下ろした。

 

 石床そのものが砕かれる。

 

 圧力を受ける足場が先に消える。

 

 遠坂の光へ顔を背ける。

 

 外壁が立つ位置へ、先に斧剣を叩き込む。

 

 アトラスの拘束が完成する前に破壊される。

 

 士郎は剣を投影した。

 

 受ける。

 

 今度は、軌道を流す余地がない。

 

 バーサーカーは士郎の構えを知っている。

 

 剣の腹へ力を集中させた。

 

 投影剣が一撃で砕ける。

 

 士郎の身体が宙を舞った。

 

 床へ落ちる。

 

 肩が動かない。

 

「士郎!」

 

 遠坂の声。

 

 バーサーカーは止まらない。

 

 一度目の連携を、見ていた。

 

 受けた。

 

 そして今度は、完成する前に潰している。

 

 同じ攻撃への耐性だけではない。

 

 バーサーカー自身が、四人の動きを学んでいた。

 

 最初の選択は間違っていなかった。

 

 確かに一度、倒した。

 

 けれど、一度正しかった選択を繰り返すだけでは、二度目へ届かない。

 

 遠坂は通常の魔術で援護する。

 

 三石を連続で使った負担が残っている。

 

 アーチャーの傷はさらに開いている。

 

 次の大技を放てる状態ではない。

 

 アトラスは通路を維持しながら、士郎たちを守り、イリヤへ余波が届かないよう壁を作り、バーサーカーの軌道をずらしている。

 

 外装の一部が砕けた。

 

 鎧へ亀裂が走る。

 

 小さな身体が一瞬、姿勢を崩す。

 

 それでも槍を下ろさない。

 

 バーサーカーがアーチャーへ向く。

 

 先ほど、自分を殺した相手。

 

 優先して排除するつもりなのだ。

 

「アーチャー!」

 

 士郎は立ち上がろうとした。

 

 腕が上がらない。

 

 投影する。

 

 受ける。

 

 そう思っても、肩が応じない。

 

 アトラスが外壁を作ろうとする。

 

 間に合わない。

 

 遠坂の防壁では止められない。

 

 士郎の腕も上がらない。

 

 誰も、アーチャーまで届かない。

 

 バーサーカーが踏み込む。

 

 斧剣が振り上げられる。

 

 アーチャーは退けない。

 

 背後は崩れた壁。

 

 傷ついた身体では、避けきれない。

 

 斧剣が落ちる。

 

 その直前。

 

 広間の外壁が、外側から爆ぜた。

 

 石と漆喰を撒き散らし、一振りの武器が城壁を貫いて飛び込んでくる。

 

 バーサーカーの斧剣と衝突した。

 

 轟音。

 

 火花。

 

 巨人の一撃が、強制的に横へ弾かれる。

 

 飛来した武器は、そのまま反対側の壁へ突き刺さった。

 

 見たことのない形。

 

 アーチャーの投影品とは違う。

 

 一本だけで、宝具と分かるほどの圧力がある。

 

「何……?」

 

 遠坂が息を呑む。

 

 イリヤの表情が変わる。

 

 予定外。

 

 アトラスの血色の瞳が、武器の貫いた城壁の裂け目へ向く。

 

 その向こうで、金色の光が揺れていた。

 

 アーチャーだけが、飛来した武器を睨んでいる。

 

 バーサーカーへ向けていたものとは違う、剥き出しの敵意だった。

 

 その武器は、誰の手にも握られないまま、バーサーカーの斧を弾いた。

 

 次の瞬間、空間に黄金の波紋が開いた。

 




お読みいただきありがとうございます。
しばらくは毎日7時頃に更新予定です。

後日譚の
『The Reversed Star――逆位置の星――』 https://syosetu.org/novel/417875/
も連載中です、よろしくお願いします。
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