The Reaching Shore――届かせるもの――   作:ほいみん

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Fate/stay night二次創作長編『The Reaching Shore――届かせるもの――』第13話です。

※独自解釈/女性体オリジナルサーヴァント/ギルガメッシュ×アトラス/本文に文章生成AI補助あり
※掲載イラストは作者による手描きです。

詳しい注意事項・AI使用表記・制作FAQはこちら:
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第23話 最終選別

 眠れたとは言い難かった。

 

 目を閉じれば、五体のくまが浮かんだ。

 

 一つずつ増えていく数字。

 

 届かなかった贈り物。

 

 けれど、もう考えなければならないのは過去だけではない。

 

 今、この家にいるイリヤのことだ。

 

 身体の中に英霊の魂を抱え、小聖杯として完成へ近づいている。

 

 その状態をどう止める。

 

 どうすれば助けられる。

 

 朝から何度考えても、答えは出なかった。

 

     ◇

 

 居間には四人がいた。

 

 士郎。

 

 遠坂。

 

 イリヤ。

 

 アトラス。

 

 座卓の上には、遠坂が書き出した三つの項目が並んでいる。

 

「確認するのは、この三つ」

 

 遠坂が紙を指で叩いた。

 

「一つ目。イリヤの身体に、今何が起きているのか」

 

 イリヤは黙って聞いている。

 

「二つ目。第四次のアーチャー――ギルガメッシュが、どうして今も現界しているのか」

 

 金色の英霊。

 

 アインツベルンの城で、アーチャーとバーサーカーを退けた存在。

 

「三つ目。セイバーの現在のマスターが誰か」

 

 昨日、セイバーは現在のマスターを明かさなかった。

 

 戦端を開く意思はない。

 

 今回の訪問には戦闘の意図がない。

 

 保証したのは、それだけだった。

 

「言峰が正直に話すとは限らない」

 

 遠坂が言う。

 

「たぶん、全部は話さない。嘘を混ぜる可能性もある」

 

「それでも行くのか」

 

「行く。答えそのものが信用できなくても、何を答えて、何を伏せるかは情報になるわ」

 

 紙の一番上。

 

 イリヤの身体。

 

 そこだけが、ほかの二つより深く書き込まれている。

 

「一番先に聞くのは、イリヤのことよ」

 

「わたしも行く」

 

 イリヤが言った。

 

 遠坂の指が止まる。

 

「イリヤ」

 

「わたしのことでしょ。どうしてわたしが残るの?」

 

「危ないからだ」

 

 言葉が先に出た。

 

「言峰が敵だったら、教会で何が起きるか分からない。だからイリヤはここに――」

 

 残れ。

 

 そう言いかけて、士郎は止まった。

 

 閉じ込めておけば安全になる。

 

 けれど、それでは、いてくれたことにならない。

 

 イリヤの身体について聞く。

 

 イリヤをどう救うか考える。

 

 その話から、本人だけを外そうとしている。

 

 イリヤの赤い目が、まっすぐ士郎を見ていた。

 

「また、わたし抜きで決めるの?」

 

「悪い」

 

 士郎はすぐに言った。

 

「勝手に決めるつもりじゃない」

 

「今、残れって言おうとしたじゃない」

 

「そうだ。だから、悪い」

 

 言い訳はできない。

 

「残ってくれって頼むなら、ちゃんと理由を話す」

 

 イリヤは何も言わなかった。

 

 拒絶ではない。

 

 聞くための沈黙だった。

 

「言峰が敵かもしれない」

 

 遠坂が引き取る。

 

「だとしたら、向こうが狙っているのはイリヤよ。教会で戦闘になった時、わたしと士郎だけなら逃げる経路を作れる。でも、貴女を守りながらだと難しくなる」

 

「わたしが足手まといってこと?」

 

「標的を連れて敵のところへ行けば、それだけ向こうの手が増えるってこと」

 

 遠坂は表現を濁さなかった。

 

「衛宮邸なら、ランサーの防護を一番強く使える。敵が外から来ても、ここでなら拒絶できる」

 

 イリヤがアトラスを見る。

 

 アトラスは、自分へ向けられた視線を受けても、すぐには答えなかった。

 

「この邸宅であれば、外部からの侵入を拒絶できる」

 

 機能上の差だけを淡々と述べる。

 

「教会で、同等の防護は保証できぬ」

 

「教会に行くなってこと?」

 

(おれ)から命じることではない」

 

 アトラスは、それ以上を付け足さなかった。

 

 残れとも。

 

 行けとも。

 

 言わない。

 

 イリヤが士郎を見る。

 

 次に遠坂を。

 

 最後に、アトラスを見上げた。

 

「アトラスが残るなら、留守番してあげる」

 

 残らされるのではない。

 

 自分で条件をつけて選ぶ。

 

 アトラスはわずかに顎を引いた。

 

「承知した」

 

 短い返答だった。

 

「アトラス」

 

 士郎は言う。

 

「イリヤを頼む」

 

 それより先に、イリヤ自身が残ることを選んでいる。

 

「イリヤスフィールの選択を確認した。防護を継続する」

 

「ああ」

 

 左手には、最後の令呪が残っている。

 

 けれど今は、それを使う必要はなかった。

 

 士郎の言葉だけで、アトラスはイリヤの側へ残る。

 

     ◇

 

 玄関を出る。

 

 門の外へ出て、士郎は一度だけ振り返った。

 

 門の内側にアトラスが立っている。

 

 その少し後ろに、イリヤがいた。

 

 アトラスの外装は展開されていない。

 

 けれど、邸宅の周囲には目に見えない壁が立っているようだった。

 

 イリヤは、士郎が振り返ったことに気づいている。

 

 けれど、手は振らなかった。

 

 士郎も振らない。

 

 今度は、勝手に置いていくのではない。

 

 話した。

 

 頼んだ。

 

 イリヤが選んだ。

 

「行くわよ」

 

「ああ」

 

 士郎と遠坂だけが、冬木教会へ向かった。

 

     ◇

 

 道の途中、遠坂はもう一度、質問の順番を確認した。

 

「最初はイリヤの身体」

 

「ああ」

 

「次が第四次のアーチャー。最後にセイバーのマスター」

 

「最後にする理由は?」

 

「言峰自身の立場へ踏み込む質問だから」

 

 遠坂は前を向いたまま答える。

 

「最初からあいつを問い詰める形にしたら、何も答えなくなるかもしれない。まずは監督役として答えられる範囲を聞く」

 

「イリヤのことも、まともに答えると思うか」

 

「答える可能性はある」

 

「どうして」

 

「あいつにとっては、隠す必要のない情報かもしれないから」

 

 嫌な言い方だった。

 

 イリヤの状態を、敵が隠す必要さえないものとして扱う。

 

「それに」

 

 遠坂が続ける。

 

「どういう言葉で答えるかも見たい」

 

「言葉?」

 

「イリヤを、人間として説明するか。聖杯として説明するか」

 

 士郎は答えなかった。

 

 言峰がどちらの言葉を選ぶか。

 

 考えるまでもない気がした。

 

     ◇

 

 教会の扉は開いていた。

 

 中へ入る。

 

 冷たい空気。

 

 磨かれた床。

 

 奥から、黒い僧衣の男が現れる。

 

「珍しい組み合わせでもないな」

 

 言峰綺礼は、士郎と遠坂を交互に見た。

 

 その視線が、遠坂の右手の甲へ一度だけ落ちる。

 

 消えた令呪。

 

 それを確認してから、言った。

 

「保護を受けに来た、という様子ではないが」

 

 遠坂は右手を下ろさない。

 

「今日は保護を頼みに来たんじゃないわ。確認したいことがあるの」

 

「監督役へ?」

 

「そうよ」

 

「ならば聞こう」

 

 言峰は拒まなかった。

 

 まるで、最初から待っていたように。

 

     ◇

 

「イリヤの身体に、何が起きてる」

 

 士郎が最初に問う。

 

 言峰の顔は動かない。

 

「小聖杯として造られた身体が、与えられた役割を果たしている」

 

「役割?」

 

「英霊の魂を受け入れ、完成へ近づいている」

 

 イリヤの身体に何が起きているのか。

 

 そう聞いた。

 

 言峰は、壊れているとも、苦しんでいるとも、危険だとも言わない。

 

 役割を果たしている。

 

 完成へ近づいている。

 

 それだけだ。

 

「それが何だっていうんだ」

 

「質問の答えだ」

 

「違う」

 

 士郎は言う。

 

「俺が聞いてるのは、小聖杯として正常かどうかじゃない。イリヤがどうなるのかだ」

 

「同じことではないか」

 

「同じじゃない」

 

 声が強くなる。

 

「イリヤは聖杯じゃない」

 

 言峰の目がわずかに細くなった。

 

「そうか」

 

 肯定ではない。

 

 否定でもない。

 

 士郎の答えを一つ、受け取っただけだった。

 

「どこまで進んでいるの」

 

 遠坂が割って入る。

 

「英霊の魂を受け入れてることは分かってる。次に何が起きる。どのくらい時間が残ってるの」

 

「器はすでに満ちつつある」

 

「曖昧ね」

 

「数を教えれば、おまえたちに何ができる?」

 

「答える気がないなら、そう言いなさい」

 

 言峰は遠坂の苛立ちを気にした様子もない。

 

「次に英霊が失われれば、状態はさらに進む」

 

「さらにって、どうなるのよ」

 

「完成へ近づく」

 

「人間としての身体は?」

 

「器としての機能が優先される」

 

 その言葉だけで十分だった。

 

 人間としての機能が後回しにされる。

 

「残された時間は長くない」

 

 言峰は続ける。

 

「完成した器を起動する場所も、すでに用意されている」

 

「場所?」

 

 遠坂が聞く。

 

「どこにあるの」

 

「それは今の質問とは別だ」

 

「言峰」

 

「おまえたちが知りたいのは、少女の身体の状態だろう」

 

 起動する場所。

 

 誰かが準備している。

 

 偶然ではない。

 

 イリヤが完成するのを待っている者がいる。

 

「止める方法を聞いてる」

 

 士郎は言った。

 

「器を壊せば済む話ではない」

 

 言峰の返答は早かった。

 

「それは臓器と同じく、少女の身体へ組み込まれている。無理に切り離せば、先に人間としての身体が壊れるだろう」

 

 アトラスと遠坂が出した答えと同じだった。

 

 小聖杯は取り外せる物ではなく、身体そのものに組み込まれている。

 

「じゃあ、どうすればいい」

 

 言峰は、ほんの少し沈黙した。

 

 答えを考えているようには見えない。

 

 どの答えを渡すか選んでいるようだった。

 

「それでもイリヤスフィールを救いたいと願うのなら、おまえがこの聖杯戦争の勝者となるがいい」

 

「何だって?」

 

「完成した聖杯を手にし、その力へ願え」

 

 言峰は教義を語るように続けた。

 

「救う方法が存在するのなら、あるいは聖杯がそれを示すかもしれん」

 

 一瞬、言葉の意味が繋がらなかった。

 

 完成した聖杯。

 

 その力へ願う。

 

 けれど、聖杯が完成するために必要なのはイリヤだ。

 

「バカな」

 

 声が、自分でも分かるほど震えた。

 

「イリヤを聖杯にして、その聖杯でイリヤを救えっていうのか!?」

 

「結果だけを求めるなら、矛盾ではあるまい」

 

「してるに決まってるだろ!」

 

 士郎は一歩、言峰へ近づいた。

 

「それじゃ、助ける前にイリヤを犠牲にしてる!」

 

「犠牲」

 

 言峰が、その言葉を確かめるように繰り返す。

 

「では問おう。少女一人を器として完成させることで、万能の願望器が得られる。それでもおまえは、完成を拒むのか?」

 

「当たり前だ」

 

「聖杯を得れば、少女を救うだけではない。より多くを救えるかもしれん」

 

「だからって、イリヤを使っていい理由にはならない」

 

「衛宮士郎は衛宮切嗣の息子だ」

 

 空気が冷たく沈んだ。

 

「親父は関係ない」

 

「本当にそうか?」

 

 言峰は笑わない。

 

 ただ、士郎を見る。

 

「より多くを救うために、少ない犠牲を選ぶ。それを拒むなら、おまえは何をもって正義を名乗る?」

 

「俺は――」

 

 言葉が止まる。

 

 正義の味方。

 

 切嗣から受け取ったもの。

 

 けれど、目の前の問いは正義を選べと言っているのではない。

 

 イリヤを数へ戻せと言っている。

 

「イリヤを助ける」

 

 士郎は言った。

 

「イリヤを犠牲にしないで」

 

 答えになっていないかもしれない。

 

 方法もない。

 

 理屈も足りない。

 

 それでも、言峰が与えた二択を受け入れることはできなかった。

 

「そうか」

 

 言峰は、またその一言だけを返した。

 

     ◇

 

「次よ」

 

 遠坂が言った。

 

 士郎と正義について、これ以上言峰に話させないために。

 

「アインツベルンの城に現れたギルガメッシュは?」

 

 言峰は、その名を聞いても驚かなかった。

 

「第四次のアーチャーが、どうして十年も残っているの」

 

「十年前の戦争は、正常には終わらなかった」

 

 言峰は答える。

 

「聖杯は完成せず、召喚された全ての英霊が、本来の結末へ至ったわけでもない」

 

「つまり、ギルガメッシュは第四次から残っている?」

 

「その可能性はある」

 

「可能性?」

 

「同一の英霊が再度召喚された可能性も、言葉の上では否定できまい」

 

 答えている。

 

 だが、知っていることを全部は出していない。

 

 遠坂もそれに気づいている。

 

「第四次では、何があった」

 

 士郎が聞く。

 

「聖杯が完成しなかった理由は」

 

「衛宮切嗣は、最後に聖杯を拒絶した」

 

「親父は、何をしたんだ」

 

「令呪を用い、聖杯を破壊させた」

 

 昨日、セイバーから聞いたこと。

 

 言峰も同じ事実を知っている。

 

「その結果として、戦争は閉じず、残ったものがある」

 

「残ったもの?」

 

「おまえも、その一つかもしれんな」

 

 十年前の火災。

 

 士郎の身体に残された鞘。

 

 今も現界するセイバー。

 

 第四次のアーチャー。

 

 そして、目の前にいる言峰。

 

「最初から知ってたのか」

 

 士郎は、初めて教会へ来た日のことを思い出す。

 

 名前を告げた時。

 

 言峰は確かに反応した。

 

「俺が、切嗣の子供だって」

 

「姓を聞いたことがあるだけだ、と言ったはずだ」

 

「あの時、そう言った」

 

「あの時点では、それで十分だった」

 

「何が十分なんだ」

 

「おまえが何を知らないのかを知るには」

 

 最初から、言峰は知っていた。

 

 切嗣のことを。

 

 第四次のことを。

 

 士郎が何も知らずに聖杯戦争へ入ったことも。

 

「それで、黙って見てたのか」

 

 言峰は否定しなかった。

 

「知れば、おまえは選ぶ」

 

「何を」

 

「何を与えれば、何を選ぶか。それを見ていた」

 

「人を試してたっていうのか」

 

「選択とは、その者が何であるかを示す」

 

 言峰の視線が、士郎の左手へ落ちる。

 

 まだ一画残っている令呪。

 

 すぐに視線は戻った。

 

「最後の質問よ」

 

 遠坂が言う。

 

「セイバーの今のマスターは誰?」

 

 言峰は即答しなかった。

 

 沈黙。

 

 それから。

 

「監督役が、他陣営のマスターを君たちへ教える。ずいぶん都合のいい中立だとは思わなかったのか?」

 

「答えないってこと?」

 

「中立であるなら、答える理由はない」

 

 遠坂の眉が動く。

 

 違う。

 

 言峰の言い方は、中立だから答えないのではない。

 

 自分たちが言峰を中立だと思っていたこと自体を笑っている。

 

「……変ね」

 

 遠坂が低く言う。

 

「まるで、自分が中立じゃないって知ってる側の言い方じゃない」

 

 言峰は初めて、ほんのわずかに口元を緩めた。

 

 右腕を上げる。

 

 袖の奥で赤い光が走った。

 

「令呪を以て命ずる。セイバー、衛宮邸へ向かえ。イリヤスフィールを確保し、柳洞寺へ連行せよ」

 

 言葉が教会の空気を裂いた。

 

「な――」

 

 令呪。

 

 セイバー。

 

 命じたのは。

 

「言峰、おまえが――!」

 

 答えは言葉ではなく、命令そのものだった。

 

     ◇

 

 衛宮邸の境界へ、金の髪の剣士が到達する。

 

 一歩、門の内側へ踏み込もうとした足が止まった。

 

 空気が硬くなる。

 

 薄い紺碧の光が、地面から壁のように立ち上がる。

 

 アトラスがイリヤスフィールの前へ出た。

 

 セイバーの手が、見えない剣の柄へかかる。

 

 けれど、すぐには抜かない。

 

「言峰綺礼の令呪により、イリヤスフィールを確保し、柳洞寺へ連行するよう命じられました」

 

 命令内容を隠さずに告げる。

 

 アトラスの外装が、紺碧の光を強めた。

 

     ◇

 

「どけ!」

 

 士郎は出口へ向かう。

 

 もう質問など関係ない。

 

 セイバーがイリヤのところへ向かっている。

 

 見えない場所で、令呪に動かされている。

 

 言峰が出口へ続く通路へ移動した。

 

 大きな動きではない。

 

 ただ一歩で、教会の扉へ進む線が塞がれる。

 

「どこへ行く」

 

「決まってるだろ!」

 

「問いの答えは、まだ十分ではないのだろう?」

 

「今、おまえが答えた!」

 

 言峰がセイバーのマスター。

 

 しかも、イリヤを柳洞寺へ連れていこうとしている。

 

「退け!」

 

 士郎が踏み込む。

 

 その前に、遠坂の指が動いた。

 

 空気を裂いて、魔力の弾丸が言峰へ飛ぶ。

 

 言峰は黒い鍵を抜いた。

 

 金属音。

 

 青い火花。

 

 遠坂の魔術が逸らされる。

 

「帰るのは、こいつを抜いてからよ」

 

「遠坂」

 

「正面は任せない。二人で抜くわよ」

 

 倒すためではない。

 

 外へ出るため。

 

 衛宮邸へ帰るため。

 

「投影、開始」

 

 手の中へ剣の外形を引き出す。

 

 内部。

 

 重さ。

 

 使われた時間。

 

 完全ではない。

 

 それでも、一本の剣が士郎の手に現れた。

 

 言峰の黒鍵が来る。

 

 受ける。

 

 衝撃が腕を抜ける。

 

 剣が軋む。

 

 けれど、砕けない。

 

 遠坂が側面へ回る。

 

 言峰のもう一方の手から、二本目の黒鍵が放たれる。

 

 士郎は剣を横へ振った。

 

 刃を受け、軌道を逸らす。

 

 その一瞬、遠坂の魔術が言峰の肩へ届く。

 

 言峰は半身を沈めた。

 

 次の瞬間、距離が消える。

 

「っ」

 

 掌が士郎の剣へ触れた。

 

 押したようには見えない。

 

 けれど、剣の中心から強い衝撃が走る。

 

 投影した刃が砕けた。

 

 破片が消える。

 

 言峰の肘が迫る。

 

 士郎は腕で受けた。

 

 骨まで響く。

 

 身体が横へ流される。

 

 だが、倒れない。

 

 足を踏み直す。

 

 言峰が追う。

 

 その間へ遠坂が入った。

 

 拳へ魔力を集め、言峰の脇腹を狙う。

 

 言峰は肩を回した。

 

 遠坂の腕を逸らし、掌を返す。

 

「遠坂!」

 

 士郎は次を始める。

 

「投影、開始」

 

 完成した技ではない。

 

 アーチャーのようにはできない。

 

 けれど、一度砕かれても次の剣を出せる。

 

 戦いを続けられる。

 

 新しい剣で、遠坂へ向かった掌を受けた。

 

 刃がひび割れる。

 

 腕が痺れる。

 

 それでも、攻撃線はずれた。

 

 遠坂の魔術が言峰の胸元へ届く。

 

 僧衣が焼け、言峰の身体が半歩だけ下がった。

 

 出口への線がわずかに開く。

 

「行ける!」

 

 遠坂が叫ぶ。

 

 士郎が踏み出そうとする。

 

 言峰の視線が左手へ落ちた。

 

「使わないのか」

 

 令呪。

 

 最後の一画。

 

 呼べる。

 

 左手の一画を使えば、アトラスはここへ来る。

 

 ここへ呼べば、言峰を止められるかもしれない。

 

 確実に。

 

 今より強く。

 

 出口を開けることができる。

 

「俺を守らなければ、もっと強く拒否できたのか」

 

「可能だ」

 

 前に交わした言葉が戻る。

 

 アトラスは、士郎の防護へ割いている力を外せば、より強く敵を拒絶できる。

 

 呼べば来る。

 

 マスターの命令を優先して。

 

 衛宮邸を離れて。

 

 けれど、それではイリヤのところからアトラスがいなくなる。

 

 イリヤは、アトラスが残るならと言った。

 

 その条件で、自分で留守番を選んだ。

 

 士郎がここへ呼べば、自分の危機のためにその選択を崩す。

 

 左手を握る。

 

 令呪は光らない。

 

 アトラスの名を呼ばない。

 

「そうか」

 

 言峰が言った。

 

 何かを確かめたように、また踏み込んでくる。

 

 士郎は剣を構えた。

 

 逃げるために。

 

 生き残るために。

 

 遠坂の攻撃を通すために。

 

 令呪ではなく、自分の剣で受ける。

 

 言峰の掌が刃へ届く。

 

 剣が砕けると同時に、衝撃が肩へ抜けた。

 

 身体が後ろへ飛ぶ。

 

 床へ背中を打つ。

 

 息が詰まる。

 

 それでも、遠坂の前は空いた。

 

「はあっ!」

 

 魔力が言峰の正面へ叩き込まれる。

 

 黒い僧衣が揺れ、言峰が一歩後退した。

 

     ◇

 

 衛宮邸。

 

 紺碧の境界へ、セイバーの身体が押し込まれる。

 

 令呪が前へ進ませる。

 

 王宮外装が侵入を拒絶する。

 

 門。

 

 壁。

 

 幾重もの見えない区画が、セイバーの進路を閉じる。

 

 剣が抜かれた。

 

 空気が歪む。

 

 振られる。

 

 最大の一撃ではない。

 

 アトラスの急所へも向かわない。

 

 イリヤスフィールへ直線で踏み込むこともない。

 

 アトラスが自分を止められる正面位置へ、剣が届く。

 

 紺碧の外装が受ける。

 

「イリヤスフィールは渡さぬ」

 

 アトラスが告げる。

 

「分かっています」

 

 セイバーは剣を止めない。

 

 止められない身体で、止められる攻撃を選び続ける。

 

「行かない」

 

 イリヤスフィールが、赤い目で門の外の剣士を見た。

 

「わたしは、そこへ行かないんだから」

 

     ◇

 

 言峰は士郎を見ている。

 

 令呪を使わなかった左手。

 

 令呪を失っても退かなかった遠坂。

 

 砕ける剣で、互いの攻撃線を残し続ける二人。

 

 そして遠く、契約を通じて伝わる、進まない命令。

 

 大規模な攻撃を行わないセイバー。

 

 完了しない確保。

 

 言峰がアトラスとイリヤの言葉を知ることはない。

 

 ただ、命令が止められていることだけは分かる。

 

 僧衣の男は、士郎へ向けていた腕を下ろした。

 

 赤い光が再び、その袖の奥へ走る。

 

「もういい。止まれ、セイバー」

 

 二度目の令呪。

 

 士郎にも、それだけは分かった。

 

     ◇

 

 衛宮邸。

 

 セイバーの剣が、アトラスの外装へ届く直前で止まる。

 

 全身を縛っていた力が、別の命令によって押さえ込まれる。

 

 剣先が下がった。

 

 アトラスは紺碧の外装を解かない。

 

 イリヤスフィールも、その場を動かない。

 

「……命令が、止まりました」

 

 セイバーが言った。

 

     ◇

 

 言峰は出口の前から退いた。

 

 攻撃を止め、黒鍵を下ろす。

 

 士郎たちは言峰を倒していない。

 

 言峰が道を開けただけだ。

 

「何のつもりだ」

 

 士郎は床へ手をつき、立ち上がる。

 

 肩が痛む。

 

 口の中に血の味がある。

 

 言峰は答えない。

 

 もう見るものは見たというように。

 

 遠坂が士郎の腕を取る。

 

「行くわよ」

 

「ああ」

 

 教会の扉へ向かう。

 

 その時、扉の向こうから靴音がした。

 

 ゆっくりと。

 

 誰にも止められたことのない歩き方で。

 

 黒い革の上着。

 

 金の髪。

 

 赤い瞳。

 

 ギルガメッシュが教会へ入ってきた。

 

 言峰は驚かなかった。

 

 ただ、一拍だけ黙った。

 

「珍しいな。おまえが自ら顔を出すとは」

 

「我がどこへ出向こうと、貴様の許しを得る必要があるか、言峰」

 

 言峰。

 

 自然に呼んだ。

 

 初対面ではない。

 

 昔を知るだけでもない。

 

 今もここへ出入りしている。

 

 言峰がギルガメッシュの現界について、何も知らないはずがない。

 

「やっぱり」

 

 遠坂が小さく呟く。

 

 二つ目の質問。

 

 言峰が伏せたもの。

 

 答えは、ギルガメッシュ本人が持って現れた。

 

「士郎、帰るわよ」

 

 遠坂が言う。

 

 言峰とギルガメッシュ。

 

 二人を相手に、ここで戦うことはできない。

 

 衛宮邸が今どうなっているかも分からない。

 

 けれど、背を向けるだけで首筋が冷たくなる。

 

 言峰が追うかもしれない。

 

 ギルガメッシュが宝具を放つかもしれない。

 

「士郎」

 

 遠坂の声が強くなる。

 

「ここで死んだら、イリヤのところへ戻れない」

 

 それで足が動いた。

 

 士郎は二人へ背を向ける。

 

 言峰もギルガメッシュも、追わなかった。

 

 勝ったのではない。

 

 逃げ切ったのでもない。

 

 ただ、退去を許された。

 

     ◇

 

 教会から離れる。

 

 階段を下り、十分に距離を取っても、遠坂は速度を落とさなかった。

 

「遠坂」

 

「何」

 

「言峰の令呪」

 

「見た」

 

「二回使った」

 

「ええ」

 

 それ以上の整理は今はしない。

 

 先に衛宮邸へ戻る。

 

 それでも、遠坂は歩きながら士郎の左手を見る。

 

「呼べたのよね」

 

「ああ」

 

「でも、呼ばなかった」

 

「イリヤのところに、アトラスが必要だった」

 

「そう」

 

 正しかったとは言わない。

 

 結果もまだ分からない。

 

 ただ、遠坂は士郎が何を選んだかを確認した。

 

 人気のない道へ入ったところで、遠坂が足を止める。

 

「遠坂?」

 

「これを持っていきなさい」

 

 差し出されたのは、細身の剣だった。

 

 鞘に収められ、儀礼用に見える。

 

「遠坂、これは……」

 

「アゾット剣。魔術師が儀式に使う礼装よ」

 

 遠坂の手の中にある、大切に保管されてきた物。

 

 鞘の上からでも分かるほど、魔力が蓄えられている。

 

「わたしはイリヤの術式を切る。セイバーがどうなるかも分からない」

 

 遠坂が剣を士郎へ押しつける。

 

「あんたは、言峰を止めて」

 

「でも、これは遠坂の」

 

「使えとは言ってない」

 

 士郎が剣を返そうとすると、遠坂は受け取らなかった。

 

「必要になった時、持ってなかったら選べないでしょ」

 

 士郎は、すぐには受け取れなかった。

 

 言峰を止める。

 

 どうやって。

 

 どこまで。

 

 この剣で何をすることになる。

 

 分からない。

 

 けれど、持たなければ選ぶことさえできない。

 

「分かった」

 

 士郎はアゾット剣を受け取った。

 

 鞘からは抜かない。

 

 遠坂が使用方法を説明する。

 

 剣に蓄えられた魔力を解放する時は、läßt――レスト、と唱える。

 

「言ってみて」

 

「レスト」

 

「もう一回」

 

「レスト」

 

 遠坂は発音を聞き、間違いがないことを確認した。

 

 剣はまだ鞘の中にある。

 

 使うかどうかも決まっていない。

 

 士郎はそれを持って歩き出した。

 

     ◇

 

 衛宮邸が見える。

 

 門は壊れていない。

 

 屋根も。

 

 壁も。

 

 紺碧の光が、まだ薄く残っている。

 

「イリヤ!」

 

 門をくぐる。

 

 庭に三人がいた。

 

 イリヤ。

 

 アトラス。

 

 セイバー。

 

 セイバーとアトラスの間には、まだ張り詰めた空気がある。

 

 アトラスの外装も、完全には解かれていない。

 

 けれど、イリヤは自分の足で立っている。

 

「無事か」

 

「見れば分かるでしょ」

 

 いつもの、少し尖った返事。

 

 士郎の身体から力が抜けかける。

 

「よかった」

 

 それだけが出た。

 

「そっちは、あんまり無事じゃなさそうね」

 

 イリヤが士郎の肩と腕を見る。

 

「これくらい平気だ」

 

「そういうこと言うから、信用できないのよ」

 

 言い返す前に、セイバーが口を開いた。

 

「私から、説明があります」

 

 士郎と遠坂が見る。

 

「言峰綺礼の令呪により、私はこの邸宅へ向かわされました。イリヤスフィールを確保し、柳洞寺へ連行するよう命じられた」

 

 教会で聞いた命令。

 

 そのまま。

 

「私は、イリヤスフィールを連れていくことを望みませんでした」

 

 初めて、セイバー自身の言葉として意思が示される。

 

「命令を無視することはできません。しかし、実行の方法には、わずかに選べる余地があった」

 

 最大の一撃を使わない。

 

 アトラスの急所を狙わない。

 

 イリヤへ直接踏み込まない。

 

 命令を隠さない。

 

「可能な範囲で抵抗しました。二度目の令呪によって、最初の命令は停止しています」

 

「でも」

 

 士郎は言う。

 

「また言峰に命令されたら」

 

「否定はできません」

 

 セイバーは、都合のよい保証をしなかった。

 

「言峰との契約は、まだ切れていません」

 

「あいつは今日、令呪を二画使った」

 

 遠坂が言った。

 

「残りは一画よ」

 

 通常のマスターが持つ令呪は三画。

 

 言峰は二度使った。

 

「その一画まで使い切ったら、今度はセイバーを止めるものがなくなる」

 

 遠坂はセイバーを見る。

 

「自分を斬りかねないサーヴァントの前で、そう簡単には切れないはず」

 

「言峰が次に何を命じるかは分かりません」

 

 一度言葉を切る。

 

「それでも私は、自分の意思でイリヤスフィールを守ります」

 

 言峰との契約を残したまま。

 

 危険も消えないまま。

 

 それでもセイバーは、自分で同行することを選んだ。

 

「教会で、何が分かったの」

 

 イリヤが聞く。

 

 遠坂が順に説明した。

 

 言峰がセイバーのマスターだったこと。

 

 二度、令呪を使ったこと。

 

 ギルガメッシュが教会へ現れたこと。

 

 言峰と現在も繋がっていたこと。

 

 イリヤの器は完成へ近づいている。

 

 次に英霊が失われれば、状態はさらに進む。

 

 完成した器を起動する場所が、すでに用意されている。

 

「命令で示された行き先は、柳洞寺です」

 

 セイバーが補う。

 

 言峰がイリヤを連れていこうとした場所。

 

 完成した器を起動するための場所。

 

 別々だった情報が一つに繋がる。

 

「柳洞寺へ行く必要がある」

 

 遠坂が言う。

 

「ただし、今すぐ飛び出すのは駄目。向こうには言峰とギルガメッシュがいる。セイバーの契約も残ってる。装備も経路も整理する」

 

 士郎の最後の令呪。

 

 アトラスの防護。

 

 遠坂の宝石。

 

 士郎が受け取ったアゾット剣。

 

 柳洞寺へ向かう道。

 

 考えることは多い。

 

 その話を、イリヤは黙って聞いていた。

 

 アトラスが自分の側へ残った。

 

 士郎が令呪を使わずに言峰と戦った。

 

 遠坂も、令呪を失ってなお教会へ行った。

 

 セイバーも、令呪に抵抗した。

 

「みんな、わたしのことで勝手に大変になってるのね」

 

 少し突き放すような言い方だった。

 

「勝手にって」

 

 士郎が言いかける。

 

 けれど、否定できない。

 

 イリヤのために、それぞれが選んだ。

 

 本人の許可を取ったわけではない。

 

「そうね」

 

 遠坂が答えた。

 

「勝手よ」

 

「認めるの?」

 

「認める。でも、やめるとは言わない」

 

「リンらしいわ」

 

「貴女に言われたくない」

 

 ほんの少しだけ、いつもの調子へ戻る。

 

 けれど、イリヤは笑わなかった。

 

「少し疲れたから、先に休む」

 

「大丈夫か」

 

「疲れただけ」

 

「でも」

 

「シロウ」

 

 赤い目が士郎を止める。

 

「休むくらい、自分で決めていいでしょ」

 

「……ああ」

 

 無理に引き止めない。

 

 アトラスがイリヤの後ろへつく。

 

「部屋まで同行する」

 

「好きにすれば」

 

 二人が廊下へ消える。

 

 士郎は、その背中を見送った。

 

     ◇

 

 イリヤの部屋の襖が閉じる。

 

 アトラスは部屋の外へ立った。

 

 廊下。

 

 外部から部屋へ近づく経路。

 

 庭。

 

 屋根。

 

 王宮防護は、敵対者の侵入と領域への攻撃を拒絶する。

 

 ただ、保護される本人を内側へ閉じ込めるものではない。

 

     ◇

 

 居間では、柳洞寺までの経路を広げていた。

 

 遠坂が地図を指す。

 

「正面から行くなら、この石段。別の道もあるけど、結界を無視して全員で動くのは無理」

 

「言峰たちは、俺たちが来るのを待ってる」

 

「でしょうね」

 

「なら、裏から行っても意味がないか」

 

「奇襲が目的じゃない。イリヤの器を起動させないことが優先」

 

 セイバーは柳洞寺周辺の地形を確認する。

 

 アトラスは、まだイリヤの部屋の前にいる。

 

 士郎は受け取ったアゾット剣を、鞘に入ったまま見下ろした。

 

 läßt。

 

 レスト。

 

 頭の中で発音を繰り返す。

 

 使う時が来ない方がいい。

 

 けれど、使う時に間違えるわけにはいかない。

 

「言峰の残りは一画」

 

 遠坂が言う。

 

「セイバーへ何を命じるか分からない。そこは常に警戒する」

 

「はい」

 

 セイバーは答える。

 

 安全だとは誰も言わない。

 

 それでも、明日まで待つ余裕があるとも思えない。

 

 準備が整い次第、柳洞寺へ向かう。

 

     ◇

 

 イリヤの部屋の窓が開く。

 

 白い少女が縁側へ足を下ろす。

 

 派手な魔術は使わない。

 

 紺碧の防護を壊さない。

 

 外にいるアトラスを欺く術も使わない。

 

 庭へ降りる。

 

 境界の内側から外へ。

 

 保護対象本人の移動を、王宮防護は拒絶しない。

 

 イリヤはそのまま門の外へ出た。

 

 部屋には一枚の紙が残されている。

 

 紺碧の境界を越えた瞬間、廊下に立つアトラスが顔を上げた。

 

「イリヤスフィール」

 

 返答はない。

 

 襖の向こうへ呼びかける。

 

「応答せよ」

 

 沈黙。

 

 アトラスが襖を開く。

 

 部屋にイリヤはいない。

 

 開いた窓。

 

 揺れるカーテン。

 

 退出したことは分かる。

 

 だが、どちらへ進んだかを防護機能は追跡しない。

 

 アトラスはすぐに居間へ向かった。

 

     ◇

 

「マスター」

 

 声に、士郎が顔を上げる。

 

「イリヤスフィールが保護領域を出た」

 

「何?」

 

 立ち上がる。

 

「いつだ」

 

「境界の通過を確認した。現在位置は追跡できぬ」

 

「部屋は」

 

「本人の不在を確認した」

 

 士郎たちはイリヤの部屋へ向かう。

 

 窓が開いている。

 

 庭から冷たい空気が入ってくる。

 

 部屋の隅には、昨日渡した五体のテディベアが並んでいる。

 

 クルミも残されている。

 

「イリヤ!」

 

 呼んでも返事はない。

 

 遠坂が窓の外を見る。

 

 セイバーが廊下で足を止める。

 

 士郎は、机の上に置かれた紙を見つけた。

 

 手に取る。

 

 短い。

 

 三行だけの書き置き。

 

「私は聖杯じゃない。

私のことを、私抜きで決めさせない。

バーサーカーはいないけど、私はまだイリヤだから」

 




お読みいただきありがとうございます。
しばらくは毎日7時頃に更新予定です。

後日譚の
『The Reversed Star――逆位置の星――』 https://syosetu.org/novel/417875/
も連載中です、よろしくお願いします。
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