Q. 高円寺のペナルティ負担は全員の納得が得られてるんだろうか?
A.一応事前に説明はされてるので納得の上で同意してる。思い出した風に話したのは、対等な取り引きとして成立させた中で唯一損をさせてるのでDからBへの恩義を少なからず感じさせる為の茶番。それはそれとして不満を抱えてるのは何人かいる。詳しくは今話。
Q. 一之瀬に対する対応どっかで見た対応やなぁと思ったけどステフか?
A.
・クラスの統率は基本丸投げ
・学校内でも優秀な立場
・巨乳
うーんこれはステフだな()
余談だけどステフよりも一之瀬の方がバストもヒップも大きいらしい。一之瀬の方はpixiv百科事典参照、ステフはノゲノラ 原作4巻での空スカウター参照。
今更ですが原作既読推奨のタグ追加です。
特別試験の細かいルールとかは知ってる事前提なのであまり記載しないと思われる為。
───海。
レジャースポットといえば山派、海派と二分されるメジャースポット。
夏になると多くの人々が光に集まる虫のように、本能的に集まる場だ。
予め伝えておこう。空崎 夜白は海が嫌いである。
足についた砂は頑なに体から離れることを拒み、日差しに焼かれた肌は長く人体を苦しめ、潮風は髪を秒単位で蝕む、冷静に考えてしまうと何が楽しいのか全くもって不可解な場所。
だが海が嫌いだからと言って、それを取り巻く要素全てを嫌っている訳ではない。
波のさざめきをBGMに読書をするのは最高に乙なものだ。*1
海鮮系の食べ物は好物と言える。
きゃっきゃうふふする水着姿の美少女は目の保養になるだろう。
一つ一つの要素を切り取れば、嫌いな海も楽しめる場所へと認識する事が出来る。
そう、空崎は現在───
「よぉッッッし! 素晴らしいアングルだ帆波! ほらちーちゃんもうちょい近付け! ……おっ、シャッターチャンスきたぁ! ほら桔梗達も遠慮なく入ってこい! 撮った写真で気に入ったやつがあれば現像してやるから───っておい野郎ども砂埃撒き散らしすぎだもうちょいバレー手加減しろ! ……お、おい待て今俺はカメラをぐぼぁッッ!?」
凄まじく───本当に凄まじく、過去最高と言える程に……海を満喫していた。
自らが海で泳ぐというのは、やはり嫌いではあるが。今まで経験していなかった『友人と海で遊ぶ』という行為は、想定していた以上に楽しかった様だ。試験が始まる前までのやる気のなさは何処へ。
顔面にビーチバレー用のボールを受けながらも、シャッターチャンスは逃さず普段からその能力発揮しやがれと言われんばかりの素早い体勢の整えでその場にいる同級生達の姿───主に水着姿の少女達───を画角に捉えていた。
これだけ露骨な態度、普通ならば嫌悪感を抱かれる筈なのだが。
女子曰く───視線から邪な情を感じない。
また撮った写真が「本職の方ですか?」と言わんばかりの綺麗さの為、これくらいは良いか───と。
女子とお近づきになりたい男子はキレた。
必ずや、あの邪智道化の鼻を明かしてやろうと決意した。
年頃の男子に、水着姿の異性に対する性欲を感じさせない向き合い方など分からぬ。
けれども腹が立つ程のドヤ顔には、人一倍敏感であった。
故に女子の邪魔にならない程度に、空崎の妨害を図っていた───……。
この場で遊ぶ女子達の姿を全てカメラに納め、空崎はご満悦の表情で浜辺の一角。パラソルの下でサマーベッドに寝っ転がっている龍園へ近づいて行く。
「楽しんでるか? 翔」
「……テメェ程ではねぇがな」
僅かに───いや、かなりドン引きした様子でそう返す彼に、空崎はケラケラと笑う。
「肉焼いたけど食う?」
「そこそこ食った後だ。同じ肉なら遠慮する」
「同じ肉だが味は違うと思うぞ? カメラで撮影してる間に漬け込んでいたからな」
「……ほう? 良いぜ、自信の程を味わってやろうじゃねぇか───……本当に美味いのかよ」
「男の即落ち2コマとか誰得だよ」
「うるせぇ、全部寄越せ」
「お気に召した様で何より」
まだ焼いてない分があるから良いぜ、と。
紙皿に乗せられた肉を掻っ込む龍園を隣に、空崎は座り込んで同級生達の姿を眺める。
「ハッ、意外な特技があるもんだな。ただ女の尻を追いかけていただけじゃねぇって訳だ」
「もちろんそっちが本命だが?」
「……そうか」
効きそうにないからもう煽りは言うまい。
よくまあこれで女に嫌われないもんだと、龍園はいっそ感心を覚えた。
「……で? 差が30程度とはいえ、自分たちが損をしてなお今回の提案を通した理由ってのはなんだ?」
「言った通り、今回の件で流石に学校側にムカついたから意向に背きたかったのと、俺がサボりたかったから」
「嘘じゃねぇが全部でもないだろ。
龍園の確信に満ちた瞳を見て、空崎は笑い無言で続きを促す。
「Dクラスに圧倒的な利を与える事で恩を売りたかった───これは違うな。AとCまで絡めた時点でアレは対等な取引だ。高円寺の野郎にBクラスへ協力する方が利があると判断させたかった───これも違う。ポイントの利だけで動く様なタマじゃねぇのはよく分かった。穴のない緻密な契約書を提示する事でBクラスは信頼に足るクラスと認識させたかった───これは恐らく
「ふはっ、よく見てるな翔。思ったより契約への口出しが少なかったが、観察の方に集中してたのか」
「……推測するに、お前はクラスの連中に『30が雀の涙に思える圧倒的なメリット』を提示した」
「残念、ハズレ」
眉を顰める龍園に、空崎はそのまま言葉を続ける。
「
「……チッ、細かい所を突いてきやがる。誰がなんてどうでも良い。問題は本命の狙いだろ」
一息。また変な誤魔化しすんならぶっ飛ばすと言わんばかりの気迫で空崎を睨みながら、龍園は問う。
「情報を撒いた。
「…………」
無言。だが笑みを深め、龍園の問いに実質的な正解を示す。
「おい返事しろよ。ポイント使い切った後にぶん殴るぞ」
「やめてよね、口を割る前に死ぬぞ。俺が」
「ハッ……なるほどな。答えられない様にされてるって事───いや、そもそも直に行動に移さないのはそういう事情からか」
空崎の様子から背景に想像がついたのだろう。龍園は呆れた様に息を吐き、半眼を教師陣へと向けた。
「テメェが言ったんだぞ。「大人の思惑に振り回されて人間関係が拗れまくるのが個人的に嫌だ」と。ンな事を平然とやってくる学校に従うのか?」
「こと『契約』に限って言えば、この学校は信頼できるからな。少なくとも向こう側が理不尽めいた理由を用いて破棄および拒否をしない限り、俺も道理は貫くさ。少なくとも
「……そうかよ」
「だから俺はこうとしか言えない。答えはお前で暴き、実力を証明してみせろってな」
空崎は立ち上がり、仰向けに寝転ぶ龍園を見下ろしつつ言葉を紡いだ。
「
♢
それからというもの───
「食らえ夜白、俺の水鉄ぽ───うぉおおッ!? ちょ、おまっ、なんで耳ばっかりぃいい!?」
「ふははは俺の射撃能力を舐めんな紀仁! 水鉄砲だろうが飛距離と残量を把握していれば一点集中など容易いぜッ!」
───遊び。
「柴田くん、そこから少しだけ右斜め前に向いて!」
「よ、よし。右斜め前だな一之瀬っ」
「違うよ柴田くん! 角度は変えずに真っ直ぐ!」
「えっ、一之瀬!? ああ今の声は夜白だな!?」
「右斜め前だよ!」
「真っ直ぐ!」
「ど、どっちだ! どっちが本物なんだ!?」
───遊び。
「どうだいマイフレンド?」
「良いねぇ仕上がってるよ! ナイスマッスル!」
「ははは! 私の肉体美を存分に撮るといい! ポーズは必要かな?」
「ダブルバイセップスかもん───良いよ良いよ、肩にちっちゃい重機乗せてんのかい!」
「ははははは! 流石は空白ボーイ、ポージングの知識もあるのか! では次は───」
「当然ッ! ハイっ───サイドチェストぉッ!!」
───夕陽が差すまで、存分に遊び倒した。
♢
Dクラスへの物資提供の選別及びバカンス用の遊具等でポイントを使い切った事が宣言され、満足した者から次々にリタイアし船へと帰っていく。
空崎も───いの一番という訳ではなかったが、早い段階で同様に船へと乗り込んだ。
「お疲れ様でした、夜白くん」
「おー。まあお疲れって言っても殆ど遊んでただけなんだがな」
「一足先に戻ってきた真澄さんから、大層な立ち回りだったとお聞きしていますよ」
船の甲板───影になっている位置に置かれている椅子に座り、机に置かれたチェスの駒を一人二役で動かす坂柳から挨拶を貰う。
「アレなら有栖も参加出来たかもな」
「ふふ……どのみち泳げませんから、日陰で景色を眺めるくらいしか出来なかったと思います」
「それでも多分楽しめたぜ? Aクラスで言うと……モリアーティから野菜ばっかり押し付けられてる康平の苦悶の表情とか、調子に乗ってサーフボードに両脚立ちして波でバランス崩して半ケツ状態で流されてきた正義の鼻へとカニを押し付けてたモリアーティとか、顔を真っ赤にしていた山村と一緒にギャルポーズやってたモリアーティとか」
「……途轍もなく面白いワードが散らばっていますが、取り敢えずお聞かせ下さい。挙げられた全部に関わっているモリアーティとは?」
「森下 藍」
「ああ……」
「私こそがAクラスの黒幕です。お好きにお呼び下さい」と初対面で伝えて来たので「じゃあ森下 藍を絡めてモリアーティで」と呼んでみたら気に入った様子だったので継続している呼び名である。
彼女の人となりは坂柳も把握しているのか、そこはかとなく納得のいった表情で頷いた。
「非常に気になる話題ではありますが、夜白くんも我慢の限界でしょうから。
「おっ、サンキュー」
「……空崎、それは?」
坂柳は手で持てる程度のサイズの物体を空崎に手渡し、会釈して船内へと入っていく。
その様子を、ちょうどリタイアして船に乗って来た神崎が目にして問い掛けてくる。
「見ての通り、ボイスレコーダーだ」
「なぜ坂柳からそれを?」
「保険だな。聴いてみるか? 別に面白いもんじゃないけど。えーと、仕掛けた時間と再生時間から計算すると……ここか」
頷く神崎を見て空崎は再生時間を調整してボタンを押す。
流れる音声は───
『───不平不満が出るのは、当然だろう。だが安心していい。これが過酷な生活を強いるものであったなら批判が出るのも無理のない話だが、特別試験と言ってもそれほど深く考える必要はない。今からの1週間、君たちは海で泳ぐのもバーベキューをするのもいい。時にはキャンプファイヤーでもして友人同士語り合うのも悪くない。この特別試験のテーマは『自由』だ』
「これは……試験説明をしている真嶋先生の声か」
「ああ」
「……一体なんの目的で?」
「言ったろ、保険だ。A・ B・Cが全員リタイアした影響で
本当は試験最中の教師陣の会話から弱みとか情報を握る目的で仕掛けたんだけどなぁ───と、そんな風に気軽に語る空崎に、神崎は目を見張る。
つまりそれは、
「まあ流石にそこまではしないと思うから安心しろ。本当に保険の域を出ねぇよ」
「……そうか。なら、その件は終わりにしよう。俺が聴きたいことは分かっているな? 一之瀬があの時に伝えていた詳しい内容を部屋で教えてもらおう」
「───分かった。早ければ9月辺りかなぁ……Bクラス全体が他人事じゃ無くなる。どのみちそろそろ話そうとは思ってたんだ」
空崎は返却して貰った端末を弄りつつ、不敵な笑みを浮かべて神崎に伝える。
「Bクラスの全員リタイアが完了し、部屋に集まった時に話そう。俺の計画───明かされる事のない『特別試験』について」
♢♦︎♢
「ありがとう須藤くん。ただでさえスポット更新の為に走り回っていたのに、物資の運搬まで手伝ってもらって……」
「へっ、気にすんなよ平田。力仕事なら俺の本領だ。普段ならバスケで動いてる分を消費してるって思えば一石二鳥ってやつだよ」
「……改めて、ありがとう。君がクラスに協力的になってくれて心強いよ。スポット更新時以外は極力自由にしてもらって大丈夫だからね」
夜。眠りに就く前のテントの中。エアーマットが敷かれており、洞窟の床とは思えないほどの快適さ。
入学当時の須藤の様子からすれば考えられないやり取りを平田としているのを眺めつつ、オレは今日を振り返る。
空崎から渡された地図と、それに描かれたいたスポットのおおよその位置は、実際に見て回ることで詳細が明らかとなった。
驚くことに地図の方は修正点が殆どなかった。それこそ小屋や食料畑なんかを追加で記入した程度だ。
またスポットの方も予測地点からそれほど外れておらず───なんなら当初想定されていた20よりも多く、合計で26個のスポットが発見された。各クラスから運動能力が高い生徒を選抜して島中を探しまくった結果の為、おそらくこれ以上のスポットはないと思っていいだろう。
……今回の試験、Bクラスが───いや、空崎 夜白がクラス競争という形を望んでいたら、どのクラスも勝ち目はなかっただろうな。
たったあれだけの外周による島の観察で地形を把握し、スポットの位置まで殆ど当てている。リーダー変更の可能性にすら気付いていたし、Bクラスの結束力を考えればおあつらえ向きの試験だったと言っていい。
そんな試験が、Dクラスの圧勝という形で終えることがほぼ確約されてる。
しかも、試験発表時のDクラスの言い争いからは想像できないほどの平穏さと快適さの中でだ。無論リタイアして船内で過ごす3クラス程の余裕はないが。
だがオレは素直に喜べない心境だった。
厳密に言えば、オレ自身は別に構わないのだが……このクラスでAクラスを目指している者にとっては、よくない状況だ。
「…あれ、綾小路くん? どうかしたの?」
「トイレだ。眠る前に少し水分を取りすぎたかもしれない」
「そっか。夜風に当たりすぎないように気を付けてね」
「ああ」
オレは仮設トイレへと向かった。催していたのは本当だ。
備え付けられているウェットティッシュで手を拭きアルコールスプレーを手にまぶす。体調不良に陥らないために出来る最大限の予防グッズだ。
……アルコール除菌までするとなると、下手したら学校生活以上に気を遣っているかもしれない。
「来たわよ、綾小路くん」
「ああ」
トイレだけが用事ではない。
指定した時間帯に外へ出てきた堀北から声を掛けられ、短く返事をする。
アイスブレイクを挟むことなく本題を出した。
「堀北。空崎の目的は何だと思う?」
「……わざわざ呼び出して何の話かと思ったら。本人が語っていた以上も以下もないでしょう。不確定要素のリスクを減らし、最悪の結果を招かないようにすることよ」
「本当に、空崎の目的はそれか?」
いや、事実本心ではあるのだろう。
だがそれは
「……綾小路くん。事なかれ主義を自称する貴方が、なぜ今になって干渉し始めたの?」
「……」
「言えないのね。まあいいわ。空崎くんの狙いがなんであれ、既に契約は結ばれている。何よりあの契約に穴はなく、Dクラスにとってはメリットしかなかった。違う?」
「いや、違わないな。あの契約は書かれていることが全てだ」
───なぜ今になって干渉し始めたか、か。
まず間違いなく、今日から数週間の間がターニングポイントになるからだ。
そして、オレの想定が正しければ。ここを逃した場合……
「堀北。改めて伝えておくが、オレにはAクラスで卒業することに拘りがない。クラスの人間として最低限の協力はするが、Aクラスに上がれるかどうかはお前次第だ」
「分かっているわ。……話は終わりね? なら、おやすみなさい」
「……ああ」
堀北には確かなポテンシャルがある。
今はまだ、偉大な兄の姿を追いかけている部分が見えるが……Bクラスの中核として実力を証明している空崎に引っ張られ、自らの在り方を見直しているのだろう。今までの堀北ならばオレを相手に「おやすみなさい」なんて言わなかった筈だ。他者に対し歩み寄り、勘違いして選んだ孤独を脱却しつつある。
このまま成長を続ければ、2年に上がる前にはリーダーとしての素質を発揮し始める筈だ。
だがAクラスを目指すならば、もう悠長に成長を待つ時間は残されていない。
堀北の背中を見送りながら静かに息を吐く。
───堀北。お前は空崎の教師陣への嫌がらせの画策にこう訴えたはずだ。「全生徒分の権利となると相当な資金が必要になるから実質不可能でしょう」と。
だがアイツはそれに答えを出さなかった。懇切丁寧に答えてきた奴が『不可能』を明言しなかったという事実は、確かな意味を持っていると判断してもいい。
そして、この学校はあらゆるものがプライベートポイントで購入可能なんだろう?
ならば───……
……いや、オレには関係のない話だ。
空崎 夜白がこの学校でどんな『答え』を出し、どんな『結末』に至ろうとも。
この箱庭の中で平穏が望めるのであれば、盤上の駒に甘んじる。
オレたちの年代はBクラスの一人勝ちだ。
ゲームは、きっと始まる前から終わりを迎えていたのだろう。
♕ Tips. ✍︎
茶柱による綾小路への脅迫は発生していない。
これは茶柱がドパッて忘れていたとかAクラスがどうでもよくなったからとかではなく、終業式前日に空崎が『計画』の内容を伝えた事で終業式当日は緊急の職員会議が開かれた為。
また職員会議の結果から「あ、これ空崎が同年代に居る時点でDクラスがAクラスに上がるの不可能だな。綾小路の実力も未知数だし……下手に動いて立場を危うくするよりも空崎のゲーム実況を楽しんでた方が良さそうだ」という結論に至ったので、綾小路への接触は例の「物音を立てずに静かにしてるんだ。破ったら退学にする」以降は教職としての最低限のみで殆どない。