(追記
本日2026年7月28日(火)午後4時27分頃、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の非常に強い地震が発生しました。
熊本地方を震源とする地震により被害に遭われた方々へ、心からのお見舞いを申し上げます。
現地では未だ余震も続きますので、避難する際は二次災害に注意されますと共に、難しいとは思いますが、猛暑最中ということで熱中症などにも十分に気をつけてください。
フィリピン
ルソン島西側海域
ブロロロ
雲が多少なりある程度で穏やかな天候に包まれている南シナ海近海上空、しかしそんな静寂さを打ち破るようにレシプロエンジンの音が聞こえる共に単発機や双発機の混じった大編隊が悠々と飛行していた。
見た目こそ第二次世界大戦にてアメリカ軍など連合国の枢軸国に対する反撃作戦に大きく役立ったレシプロ機、P-51Dマスタング(アメリカ陸軍航空軍)戦闘機とB-25 ミッチェル(アメリカ陸軍航空軍)中型爆撃機に似てこそはいる。
がその姿は漆黒に包まれ本来あるはずの国籍マークすら一切なく、まるで人間が乗っているとは思えないほどに禍々しい雰囲気を漂わせていた。
そんな編隊の先頭、恐らく指揮官機であろうB-25 ミッチェル中型爆撃機の操縦席に腰掛ける正操縦士(攻撃隊指揮官)と思しき禍々しい物体は、操縦桿を握りながら密かに眉を細めていく。
ー……ー
というのも本来自分達はミンドロ島に取り残された艦娘及び人類側の陸軍守備隊救出で展開したであろう軽空母1隻を中心にした計14隻の艦隊への攻撃に際し、第二次攻撃隊として出撃していた。
まあ出撃した艦隊の拠点であるリンガ泊地は深海棲艦による大反抗作戦によって孤立した南方地帯唯一の拠点、その主力艦隊のほとんどは深海棲艦艦隊に対する防戦で手一杯の状況。
正直そこから軽空母1隻を陣容とした艦隊を送り込んで来るだけの余力があることには驚いたものの、ミンドロ島以外レイテ島やルソン島といった主要な島を治めた自分達にとっては怖くもない。
精々30程度の艦載機でできることは限られるし、それ以上の基地航空隊による数の暴力で叩き潰してしまえばそれまでだろう。
現に今も第一次攻撃隊だけでも戦爆連合合わせて50機、自分達第二次攻撃隊を合わせると合計100機にも及ぶ。
このまま数の暴力で救出艦隊を捻り潰し、助けの希望を打ちのめされた守備隊は陸上部隊や水上部隊と共に轢き潰してしまえばいい…出撃時はそんなことを思い楽に戦いは終わる…そんなことを思っていた…はずだった。
ー…第一次攻撃隊ダケデモ戦爆連合ヲ合ワセルト五十…、我々第二次攻撃隊モ含メレバ百機…出撃時ハ楽勝ダト思ッテイタ…ー
しかし基地を出撃してしばらく飛行していたタイミングで自分達の所属する飛行場姫から突如現れた正規空母1、巡洋艦クラスの艦艇1を擁する2隻の艦船を攻撃せよとの命令が飛び込んでくる。
どうやら哨戒任務中の潜水艦ソ級が救援艦隊より東側、ルソン島近海においてその2隻の軍艦を発見…通報してきたことで発覚。
そのソ級が魚雷を撃ち尽くしていたことや飛行場近海ということで無視が出来ないことや、攻撃されるために叩きたかった飛行場姫は出撃したての彼ら第二次攻撃隊に対して攻撃目標の変更を指示し、今に至っているというわけだ。
ー…マサカ急二攻撃目標ノ変更ニナルトハナ…シカモルソン島近海ニテ正規空母1ノ巡洋艦1ノ陣容…カー
まあ攻撃目標の変更もさほど気にするものではない上に、仮に攻撃隊が不足した場合でも後続で新たに編成されるであろう第三次攻撃隊を送り込めば、第一次攻撃隊で疲弊した艦隊に追い打ちをかけることは充分に可能。
しかしそれよりも指揮官パイロットが気になっていることは、何故空母と巡洋艦クラスの2隻がルソン島近海に現れているのか…ということ。
現状ルソン島近海は自分達深海棲艦が勢力圏に収めているとはいえ未だに戦闘が続いており、それもあって哨戒などの警戒監視は空陸海共に入念にしている。
いくら少数艦隊が懐に潜り込もうとしてもレーダーに見つかるか哨戒機や潜水艦に接近される前に捕捉、魚雷や航空攻撃によって深海に沈められてしまう。
だがこの2隻はルソン島近海に接近されるまでレーダーはもちろん、潜水艦や哨戒機に一切見つかることなく、たまたま帰投中だった味方潜水艦に発見されるまではその姿を現すことはなかった。
ーソモソモルソン島近海ハ我々ノ警戒監視ガ厳シイハズ…本来ナラバ接近サレル前二レーダーカ哨戒機、潜水艦二見ツカッテ海ノ藻屑二サレルハズナノダガ…。ソレニ見ツカルコトナク、マルデイキナリ姿ヲ現シタミタイニナルトハ…ー
もちろんそれ以外にも何故2隻(空母1、巡洋艦1)の構成で浸透してきたかという疑問もある。いくらレーダーや哨戒に見つからないようにするにしても、貴重な空母を護衛艦艇1隻だけつけて出撃させることなどまず有り得ない。
それなら最初自分達が見つけた艦隊に組み込んだほうがまだ能力を発揮しやすい上に、僚艦の援護を受けられるためマシとも言える。
一体何を目的にしているかは考えても全く答えは出てこないが、さっさと沈めてしまえばいいというものなので、パイロットは特段深く追求することはなかった。
ーソレニ空母1隻ト巡洋艦1隻ダケノ陣容…、浸透スルニシテモ護衛艦艇ガ少ナ過ギル…一体ナンノ目的デ…マア沈メテシマエバ気ニスルコトモナイ…カ…ー
だがこのパイロット…いやこの攻撃隊の搭乗員のほとんどは知る由もなかっただろう、楽に終わると思われていた攻撃任務が一方的な攻撃によって地獄へと移り変わることに…
そして既に狙っている艦隊から狙われていることにも……
突如現れた2隻の船に対して攻撃へ向かっていた第二次攻撃隊、その編隊を密かに尾行する形で雲の隙間から追随していたいずも機のF35B戦闘機、パイロット妖精は本当にレシプロ機の団体だな…そんなことを呟きながら母艦であるいずもへと報告していく。
いずも 第202飛行隊 第1小隊2番機妖精『事前の報告通りだな…、まるでタイムスリップしてるような光景だ。(ピッ)こちら第202飛行隊第1小隊2番機、目標の編隊を確認。映像を送ります』
同時刻いずもCICでは偵察に出たF35Bから送られてきた映像を目にした副長指揮官妖精が、画面越しでもわかるぐらい禍々しい雰囲気を漂わせているな…と呟きながら、航空管制室 飛行長妖精に何処の国の機体か分かるかと尋ねる。
ぱっと見昔アメリカ軍で運用されていた機体とそっくりまでは分かったようだが、それ以上は判別出来ない…というか機体の塗装がまるっきり違うため判断がつかないとのこと。
いずも 戦術行動指揮官妖精「……画面越しでもわかるぐらい禍々しい雰囲気ですね…、飛行長妖精。この機体が何処の国の奴か分かりますか?」
いずも 航空管制室 飛行長妖精「見た感じ第二次世界大戦とかでアメリカ軍が運用してきた機体には酷似してますが…何とも言えないですね…、塗装がまるっきり違うので…」
だが自分よりも詳しく見れる人に心当たりがあるようで、飛行長妖精はいずもの航空管制室にいるオペレーター妖精の1人にCICへすぐ来るように呼び出していく。
いずも 航空管制室 飛行長妖精「でも自分よりも詳しいやつなら心当たりがあります、(ピッ)航空管制室のオペレーター妖精1、大至急CICへ来い」
それからしばらくすると呼び出したオペレーター妖精1が駆け足でCICへと訪れてきて、呼び出した飛行長妖精の元へと何事かと尋ねながらやってくる。
その後飛行長妖精がそういえばお前はこういう兵器系には詳しかったよな?と確認するように尋ね、オペレーター妖精1もいきなりの展開に困惑しつつもはいと答えていく。
いずも 航空管制室 オペレーター妖精1「失礼します、航空管制室オペレーター妖精1参りました。飛行長、どうされましたか?」
いずも 航空管制室 飛行長妖精「そういえばお前兵器系の奴詳しかったよな?」
いずも 航空管制室 オペレーター妖精1「あっえっはい…、そうですが…」
それを確認するとこの映像に映ってる機体が何かわかるかと視線を画面へ向けながら尋ねていき、オペレーター妖精1も確認するためにそちらへ視線をむけた。
すると映像に映ってる機体が第二次世界大戦で運用されたP-51Dマスタング(アメリカ陸軍航空軍)戦闘機とB-25 ミッチェル(アメリカ陸軍航空軍)中型爆撃機であると一発で分かったらしく、それを聞いた飛行長妖精もやはりか…と口にする。
いずも 航空管制室 飛行長妖精「ならこの映像に映ってる機体はわかるか?」
いずも 航空管制室 オペレーター妖精1「…これは…!わかるも何も、第二次世界大戦後期でアメリカ陸軍が運用していたP-51Dマスタング戦闘機とB-25 ミッチェル中型爆撃機です!」
いずも 航空管制室 飛行長妖精「やはりか…、ってことはコイツらは軍用機…」
しかしこの塗装は見たことも聞いたこともないらしく、なんなら国籍マークがない時点でアメリカ陸軍が運用していた機体ではないとオペレーター妖精は断定していく。
まあそもそも軍用機は所属を明示する義務(偽装の禁止など)が命じられており、国籍マークがない時点で国際法(戦時国際法)によ抵触してしまう。
国籍マークを書き換えた事例などは存在するものの、完全にかき消す塗装は前例がないらしく何よりも禍々しい雰囲気を映像からわかる時点で普通でないことはオペレーター妖精も気づいていたらしい。
いずも 航空管制室 オペレーター妖精1「ですがコイツらはアメリカ軍機じゃありません、こんな塗装も国籍マークがないなんて聞いたことがありません」
いずも 戦術行動指揮官妖精「というと?」
いずも 航空管制室 オペレーター妖精1「確かに例外などで国籍を書き換えたことはあります。ですが完全に消すなんてことは…、そも国際法(戦時国際法)に抵触することですか」
いずも 航空管制室 飛行長妖精「まあそもそもこんな映像でもわかるほど禍々しい雰囲気を発してる時点で怪しいがな…」
まあそれ以外にも今の時代は2005年、史実で言えば太平洋戦争はすでに終戦を迎えており本来ならば二次大戦で活躍した軍用機などは揃って引退をしている。仮にこの世界で戦争が続いていたとしても、その役目はレシプロ機からジェット機に移り変わっているだろうが…
とはいえ国籍マークがないということは何処の国にも所属していないことを意味しており、何より双方とも立派な軍用機…規模も考えるとこちらを攻撃する意図は充分にあるということを意味している。
そのためCICの副長指揮官妖精はすぐさまインカムでいずもへ繋ぎながら、今まで聞いた情報を整理した状態で伝えていくのであった。
いずも 航空管制室 オペレーター妖精1「まあ今の時代を考えるとすでに太平洋戦争は終戦してますし…、仮に続いていたとしてもレシプロ機からジェット機に移り変わってるかと…」
いずも 戦術行動指揮官妖精「どのみち国籍マークのない禍々しい雰囲気出してる軍用機って時点で攻撃する可能性は充分にあり得る。(ピッ)いずもさん、例の編隊に関してですが…」
いずも「りょーかい、まやのCICにも共有しておいて(ピッ)…ってことみたいよまやちゃん」
まや「…太平洋戦争後期に登場したレシプロ軍用機…、けど国籍マークもない上に禍々しい雰囲気…か…」
自艦のCICから報告を受けたいずもは、まやのCICにも情報を共有するように伝えながらインカムを切ると、個別無線に切り替えながらまやとの通信を続けていく。
太平洋戦争後期に登場したレシプロ軍用機に加え国籍マークがない、…更に映像越しでもわかる禍々しい雰囲気というどう考えても普通じゃない編隊にまやは密かに眉を細めいたが、いずもからは考える必要もないんじゃないかという言葉が投げかけられる。
いずも『まあでも相手が国家じゃない上に人間じゃないってことが分かれば、取る選択肢は1つしかないんじゃない?』
そもそも先ほどから何度も警告しているのに進路変更や応答をしないどころかIFFの識別もなしどころかUnknown(所属不明機)表示、国籍マークもない軍用機が戦闘艦であるこちらに接近しているとなれば十中八九攻撃してくるのは間違いない。
となれば接近される前に撃墜するという選択肢に取れる方法がないのも事実、もしここで決断を遅らせて被害が出てからでは話にならないため、覚悟を決めるしかないか…とまやはそんなことを呟く。
いずも『呼びかけにも応答なし、IFFの識別も分からない。おまけに国籍マークもない軍用機、いかにも私達を攻撃しますって要素満載だし』
まや『えぇ…これで意図がないと言われても説得力がありません…、渋って被害が出るなら…覚悟を決めるしかなさそうです』
ちまみにいずも所属の戦闘機隊による迎撃は目視距離まであと十分の位置まで編隊が接近中なのでそれまでの準備間に合わないとのこと、それを聞いたまやは自分が迎撃するしかなさそうです…と呟きながらCICへ接近中の編隊を敵と認定し迎撃用意を下令する。
まや『ちなみにいずもさんの戦闘機は…』
いずも『多分、いえほぼ確実に間に合わないかしら。目視距離まであと十分みたいだし…それまでの準備は』
まや『…なら私がやるしか、なさそうです。まやよりCIC、現在接近中の編隊を敵と認定。対空戦闘による迎撃を行います』
当然その指示を受けたまやCICでは既に達せられていた対空戦闘用意で配置についていた妖精達が接近中のUnknown編隊を敵と認定、レーダー上の表記が黄色から敵と見なす赤色へと変更されていく。
まや 戦術行動指揮官妖精『了解!現在接近中の所属不明機編隊を現時刻を持って敵と認定!迎撃を行います!』
まや AN/SPY-1D(V) 妖精『接近中の敵編隊データを共有します!数は50機!本艦東から接近!目視距離まであと十分!』
まや 砲術妖精『主砲短SAM、攻撃用意よし!!』
もちろん相手がレシプロ軍用機となれば艦対空ミサイルによるアウトレンジ攻撃を行えば、フレアなどの回避能力を持たないうえにミサイルより遅い機体が逃げ切れるはずもないため全力迎撃となればあっという間に蹴りはつくだろう。
しかし現状補給が受けられるか不透明な状況ということも相まって後先考えずにミサイルをバカすか撃てばあっという間にに枯渇、肝心なときに迎撃出来ないという状況など容易に想像出来る。
今後のことも考えるとあまり無駄打ちは出来ないわよ?と忠告してくれたいずもに対してもちろんですとまやは答えながら、CICに対して接近中の敵編隊の陣容はと尋ねた。
いずも『わかってるとは思うけど、全力迎撃をしたら間違いなく今後の戦闘に大きく影響するわ。ミサイルの補給がこの世界でできるかも分からない以上、あまり大盤振る舞いは出来ないわよ』
まや『もちろん分かってますいずもさん、…CIC。接近中の敵編隊の陣容は?』
すると現在接近中の敵編隊は戦闘機12機、爆撃機38機の構成との返答が返ってきて、そのうち前後戦闘機8機ずつ展開、爆撃機を護るように展開しているとの情報が入ってくる。
ただし戦闘機は爆弾などを装備していない純粋の直援機としての役割とのこと、つまり2隻にとって脅威になるのは爆撃機のみ。
それを聞いたまやは少し考えた後にCICで指揮を行う攻撃指揮官妖精に対してミサイルの発射管制を手動へ、そして編隊でも比較的先頭に位置する爆撃機6機へ艦対空ミサイルの照準を行うように指示していく。
まや 戦術行動指揮官妖精『いずも艦載機からの映像では前後8機ずつ挟む形で合計16機、中心に護られる形で爆撃機38機の陣容です。尚戦闘機は爆装やロケット弾などの装備は確認できず』
まや『…ということは脅威になるのは爆撃機のみ…、CIC。ミサイルの発射管制を手動へ変更、先頭の爆撃機6機に照準を』
まや 戦術行動指揮官妖精『了解、対空戦指揮官妖精』
まや 対空戦指揮官妖精『はっ!ミサイル発射管制、手動へ変更!』
まや ミサイル射撃管制員妖精『ミサイル発射管制!手動へ変更、先頭の爆撃機6機へ照準します!』
相手が何処まで現代兵器の知識を持っているか定かではないが、まやは直感的に相手がそこまでの情報がないのではと思ったらしく、先頭の6機を艦対空ミサイルではたき落とせば陣形が乱れ突入を送られせることが出来るのでは…と踏んでいるようだ。
だが万が一予想していたアクションが得られなかった場合に備えて第2射及び主砲などによる迎撃準備を命令する。
ー相手が何処まで現代兵器を知ってるかは分からない…けど予想ではそこまでの知識は持ってないとは思う、…まあでも念には念を…ー
まや『CIC、万が一第1射で効力が得られなかった場合に備えて第2射及び主砲による迎撃準備もお願いします』
まや 戦術行動指揮官妖精『分かりました…!準備させます!』
その間にもCICでは対空戦指揮官妖精が指示通り敵編隊の先頭寄りにいる爆撃機6機へレーダーからの情報を共有しつつ照準。横に腰掛けた戦術行動指揮官妖精が外すなよと念押していき、ミサイル射撃管制員妖精もレシプロ機相手になど外すわけがないと返答しつつ、諸元入力後に発射ボタンを押していく。
まや 対空戦指揮官妖精(砲雷長)『後部VLS1番から6番、SM2対空ミサイル発射用意!!』
まや 戦術行動指揮官妖精『砲雷長目標6!外すなよ』
まや 対空戦指揮官妖精(砲雷長)『任せてください、レシプロ相手になど外しません。データ入力』
まや ミサイル射撃管制員妖精『諸元入力よし!!』
まや 対空戦指揮官妖精(砲雷長)『発射用意!てぇ!!』ジリリリ
するとまや後部のVLSの1番から6番の蓋が開くと共に中に搭載されていたSM2艦対空ミサイルが轟音や煙と共に解き放たれたように次々と打ち上げられていき、ある程度垂直に飛行すると次々と進路を変更。接近してくる敵編隊へ向けて雲の中に消えるように飛来していくのであった。