貴女に捧げる恋の黒百合【まじない】   作:ユリシロコ

9 / 9
SSSS(ショートショートサイドストーリー)休日の午前。



 

 

 道具を使って磨いた空薬莢を1つ取る。私はノギスを使い、それの全長、口径、開口部の厚み等を調べる。

 1つ1つ丁寧に、黙々と作業を進める。それは宛ら経典の写経のように。

 使用済みの雷管を取り外し、雷管ポケットを磨くと新たに取り付ける。計量した火薬を長い薬莢へと注ぐ。

 

 

 そして、特別に鋳造した弾丸を用意する。ガンショップで見付けたこの『金型』は私の小さな宝物だ。

 45口径にして700グレイン…グラム換算にして45グラムの大重量、大質量弾である。

 これを諸に食らって立っていられる普通の生徒は早々居ない。

 

 

 私は弾丸と薬莢をプレスマシンにセットし、レバーを操作する。

 ガチャン、ガチャン、とプレスマシンが音を立てる度に、空箱にカチャン、カチャンと完成した弾薬が金属音を立てて貯まっていく。

 サイドアームの二挺のリボルバー…【黒騎士】で使う為の特別な弾丸を、所定の量を作り終えた私は愛銃のメンテナンスを始めた。

 

 

 勉強机に作業用のマット、タッパー、各種清掃道具を用意し、ゴム手袋を付ける。

 先ずは目視確認。銃身の外側から内側まで丁寧に確認する。亀裂は危ない。横で銃を撃っていた知人の銃が亀裂で爆発した時には心底冷や汗をかいた。

 

 

 銃をゆっくりと分解し、クリーニング剤で洗浄していく。

 発砲したその日の内に銃身内部はクリーニングする事を心掛けているが

 やはり一番なのはゆっくりと時間を掛けてクリーニングする事。

 火薬は私達が思っている以上に、その刺激的な薬品的作用で銃身を傷ませる。

 

 

 故に確りと煤を払い、洗剤で汚れを落とし、銃身を保護するトリートメントを塗布する。それが終われば銃身のお手入れは終わり。

 次に手を掛けるのが内部機構。トリガー周りやボルトだ。

 

 

 繊細な部品の塊である其れを取り扱うのには一際気を使う。

 こう言う時は一気に作業を進めるのではなく、ちょいちょいと休憩を挟むのが良い。

 私はたっぷりミルクを入れたコーヒーを飲んだ。内部機構に関しても基本は銃身のメンテナンスと変わらない。

 

 

 分解し、傷や亀裂が無いか確認し、汚れたグリスを拭き取り、新鮮なグリスを塗り込む。

 そして丁寧にゆっくりと組み立て、動作の確認をする。

 私はリボルバーのシリンダーにダミーカートリッジを装填するとハンマーをコックし、引き金を引く。ハンマーが落ちて気持ちの良い金属音を響かせる。

 

 

 次に、ダブルアクショントリガーを調べる。確りと引き金を引き、それと連動してハンマーが起き上がり、やがてカチンッとハンマーが落ちるのを確認する。

 そうやって何度か確かめた後、私はメインアームのボルトアクションライフル…【ペイルライダー】の確認を始めた。

 

 

 ダミーカートリッジをマガジンの中に装填し、素早く何度もボルトを引いては押し込む動作を繰り返す。装填と排莢は良好。

 再びダミーカートリッジをマガジンに装填すると、今度は撃つ動作を取る。

 うん、問題なくトリガーも撃発装置も動いている。

 

 

 私は時間を掛けて銃のメンテナンスを終えればぐぐぐ、と背伸びをした。壁に掛けてある時計を見ればそろそろ11時に差し掛かろうとしていた所だ。

 不意に呼び鈴が鳴る。彼女が来たのだと私は理解した。

「ふふ、こんにちはマリンちゃん、遊びに来ちゃいました」

 

 

 明るいピンクの髪の少女が笑いかけてくる。私の楽しい週末が、始まろうとしていた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

錆びた翼は戻らない(作者:黒っぽい猫)(原作:ブルーアーカイブ)

「全てを失くした私に、まだ働けと言うのですか?」▼約定を、希望を、夢を、正義を、そして何より主を。▼少女の大切なものは全て、掌から零れ落ちていった。▼「まだ生きねば、ならないのですか?」▼これは1人の少女、香黒チサトの物語。▼空になった彼女が、青く透き通った物語で紡いでいく、赤黒く歪んだ物語


総合評価:601/評価:8.38/連載:7話/更新日時:2026年09月30日(水) 23:21 小説情報

ブルーアーカイブ 桐藤ナギサの秘書(作者:リハビリ作者)(原作:ブルーアーカイブ)

黒月アキナ。トリニティ総合学園最強の実力者にして、ティーパーティーのホストである桐藤ナギサに仕える秘書にして、フィリウス分派のNo.2。▼かつての彼女は力を持たず、周囲から虐められ、何度も大切なものを奪われながら、誰にも助けを求められずにいた。そんな彼女の前に現れたのが、桐藤ナギサ。▼ナギサは彼女に手を差し伸べ、虐めから救い、居場所を与えた。その日を境に、彼…


総合評価:461/評価:7.4/連載:15話/更新日時:2026年10月17日(土) 18:54 小説情報

桐藤ミオの行く末(作者:蝦蟇)(原作:ブルーアーカイブ)

桐藤ナギサには少し変わった双子の姉がいる。▼7話完結


総合評価:223/評価:8.71/短編:7話/更新日時:2026年10月02日(金) 12:00 小説情報

似せ者。空っぽ。あるいは小鳥遊ホシノの■人。(作者:曇った女の子の間の酸素)(原作:ブルーアーカイブ)

▼小鳥遊ホシノに恋をした。▼いつか、この思いが届くことはあるのかな。▼なかったら、いいな。▼同期の病弱訳アリ少女が曇ったり曇らせたりするお話。▼(超不定期更新)


総合評価:650/評価:8.71/短編:5話/更新日時:2026年07月08日(水) 14:01 小説情報

【完結】ワタクシは蒼森ミネに恋をした。(作者:詠符音黎)(原作:ブルーアーカイブ)

救護騎士団副団長、風我(ふうが)フミは団長の蒼森ミネとは幼馴染の間柄である。▼小さい頃から共に救護の道を志し、ついにはそれぞれ救護騎士団において団長と副団長の地位に着くまでになっていた。▼フミとミネ、公私共に篤い絆で結ばれた二人。▼だが、フミは一つだけミネに隠し事をしていた。▼フミは、ミネに対し同性でありながら恋愛感情を抱いていたのである。▼けれども彼女はそ…


総合評価:1186/評価:8.79/完結:24話/更新日時:2026年08月07日(金) 20:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>