一番の幻想曲   作:フィールデ行橋

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一番の幻想曲1

高校生活において重大な行事。それが卒業式だ。Love学院高等学校は、特別大きな学校行事が無いのだが卒業式に限っては出席する必要がある。それは私の通う梅田サテライトだけでなく、福井サテライトと浅草サテライトもそうだ。

場所は体育館では無く産業会館でありがちな大広間で行われている。これは梅田だからこそ成立する場である。無機質な文字で、『Love学院高等学校 梅田サテライト卒業式』と書かれた看板が、目立つようにして吊るされている。周りを見渡すと先生達はこの日に限ってジャージや私服ではなく礼服をきちんと着ているのが確認出来る。長年見慣れてきたからこそ異質な光景だと私は思う。

先生が生徒1人1人の名前を呼んで、その度に「はい」と明瞭な返事が聞こえる。私の出席番号からして、呼ばれるのはもうそろそろだ。卒業式は本当に感慨深い想い出である。私の胸元に付いてあるペーパーフラワーも何故か勇者の証みたいな感触もある。

いつも朝礼や授業で使用していた場所が、今日はなんだか特別な場所のように感じる。本当の大広間は綺麗な場所だけれど、質素な感じ。ここにいる子達もそう感じているに決まってる。そんな感覚だったのに卒業という2文字で、高校生からその先へ、否応なく変化を迫られる私達みたいだと思った。大人の階段が登り始めようとしている。式はスムーズに進行し、滞りなく生徒の名前が呼ばれていく。上を見上げて何かを求めている表情をしている者、時折啜り泣くような声と、卒業生に送られる拍手が挟まれるくらいで。その中、ゆくりちゃんの姿を見つけた。姿と言っても、自分からは少し距離のある斜め前方だから、見えるのはその後頭部だけだ。ゆくりちゃんは背が高いので目立つ。ゆくりちゃんは今、どんな顔してるんだろう。私と同じ、想い出を振り返っているのだろうか。それとも、ここを離れたくない複雑な感情が入り乱れているのだろうか・・・・。ここからでは、その表情を窺い知る事は不可能だ。隣に座るクラスメイトが返事をして、いよいよ順番が回っていき、自分の名前が呼ばれたのを確認して大きく息を吸い込んだ。

 

「はい」

 

自分も驚くほどの凛とした声で返事をした。普段は声小さい方だが、生まれて初めて心の底から返事の轟く声を放った。そんな気がした。ゆっくり歩み、卒業証書を受け取る。心の中で、吹っ切れた事も実感がわかない事もあった。

Love学院高等学校 梅田サテライト3年、山田真緑。私は今日、高校を卒業する。

 




みどゆくのL高卒業物語を達筆しました。卒業後の物語を噛みしめて下さいね!
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