「・・・私の最後の記憶は《魔剣》《逃げろ》《歩け》
そして、それを話す剣を・・・魔剣を持った男と褐色の女の子の2人です。
それ以降は殆ど記憶にありません。
歩いて、歩いて、歩いて。
その末路で皆様と出会った・・・筈です。」
運命は話し終わったレントの過去に言葉を出せないでいた。
それは行われた虐殺ではなく、最後の部分。
断片的な情報とはいえそれが誰を指しているのかはすぐに分かった。
ただその情報が自分達の知っている彼らとは合わなかったのだ。
「まさか・・・彼が君を助けたの・・・?」
「恐らくね・・・なんでレント君を助けたのかしら・・・?」
運命とメイズは目を合わせて困惑していた。
運命の脳裏にはかの神域にて勇者を名乗りながら裏切り、救世主になり損ねた青年がいた。
「・・・ありがとう。
今まで話しづらいこと話させていてすまなかったね。」
「いえ、いつか話さなければならない事でした。
強制的にでもこういう場を作って頂けた事は嬉しい限りです。」
運命とレントは笑い合う。
「結局君はその実験が何の為の実験か、分からなかったんだね。」
運命が尋ねる。
今まで魔剣使いと対峙してきたが、どれもその神域の再現体が相手だった。
自分としても答えが出ないのだった。
「・・・はい。
結局、目的は何も教えて貰えませんでした。
教えて貰ったのは自分のすること。
魔剣を扱えるようになる事だと言われました。」
レントは自分の胸に手を当て考える。
「自分達で管理出来る魔剣使いが欲しいのでしょうか。」
「いや、魔剣使いを天使で誘導すればそれと同等の結果にはなる。」
「・・・おそらく魔剣使いの発生プロセスを研究したかったのかしら。」
「発生プロセス?」
メイズは真剣な顔で頷く。
「そう、魔剣使いとは魔剣に適性がある人のことを言うけど、その関係性は未だに見つかっていないの。」
「私は特別だけどね。」
運命は茶化した笑顔を浮かべる。
「私は知りませんでしたが。」
レントは困った笑顔をする。
「こーら、茶化さないの。
ママはもの凄く真面目なお話をしているの。」
運命とレントは真面目な顔に戻る。
「関係性というのは魔剣使いに何かしらの共通点があるのではないか、という事。
さながら、同じ種類の植物は花は違えど葉が似ている事があるように。」
「ただ、GARDENとしても魔剣使いの例が少ないからどうしてもその方面の研究は出来ていないの。
運命くんにたまに頼んではいるのだけど、対照性のない研究ほど進まないものもないの。」
どうしても予定が合わないんだよね。
と、運命は申し訳ない顔を浮かべる。
「その上でクライザード・・・軌道修正は魔剣使いを探してまで実験を始めた。
彼らは遊びような無駄事を好んでやる人達だけど、無意味な事を進んでやる人達ではないわ。
その上で考えるなら魔剣使いを使って何かを調べていた。」
レントは手を顎に当て考える。
「それが発生プロセスだと?」
「えぇ、そしてそれが分かる事で
彼らには神域と相性の良い天使を生み出せるからね。」
運命は静かに聞いていた。
だが脳内の少女と会話を続けているのであった。
『魔剣使いの生産・・・・そうなれば第九軌道人類史の全てが神域に飲み込まれてもおかしくない事態になるだろうね。』
(GARDENがいくらステルス機能を保有しているとはいえ、危険だろうね。)
『ああ、神域とは書き換えられた認知の星界。
魔剣使いが意のままに操れる世界そのもの。
それに飲み込まれればランヴィリズマも平和とはいかない。』
「・・・だが、おそらくそうはいかなかった。」
レントは確信したかのように告げる。
「そうね、レント君が逃げさせられて実験は完成していないと見ていいと思うわ。」
『そうか、彼がレントを逃がしたのは自身の保身の為か。
量産に入れば彼の立場が狭まる。』
(まぁ彼らしいといえば彼らしいね。)
「まぁともかく、GARDENに辿り着いてくれて良かったと思っているわ。
なんせ、あともう二年程過ぎていれば
「・・・・・・はい?」
レントは耳を疑う。
死んでいたかもしれない、その事にも驚愕した。
そして、その言葉に含まれたニュアンスに疑問もあった。
もう二年、
「ちょっとショックかも知れなかったから言わなかったけど、レントはGARDENに来てから
1年・・・寝ていた?
「不老不死といえど疲労はするからね、出会った時はその疲労のせいだろうけど。
その後、おそらく君に投与されていた薬のせいでずっと昏睡状態だったんだ。」
運命は出会った際の顛末を話し続ける。
「メイズ達が薬を分解する為の特効薬を作成、投与していたんだ。
でもなかなか分解出来ずに1年経ってしまった。」
「一日二日寝ていただけならリハビリなんていらないでしょう?
薬が必要なくらいに。」
レントが口が塞がらないまま顛末を知り黙ったままだった。
「それでもビックリしたよ。
目を覚ましたと連絡を貰って行ったら、ブルーに襲い掛かるくらいには回復していたんだから。」
そうを言われ、顔が赤くなった事で意識が戻る。
「あの、そ、それは本当に申し訳ありませんでした・・・」
「そういえばレント君はどうやって戦うのかしら?
やっぱり魔剣でかしら。」
メイズはふと気になり質問を飛ばす。
運命はレントに向き合う。
「レント、魔剣の使い方は分かる?」
「・・・いえ、あちらでは天使を斬っていただけでしたので。」
「・・・そうか、なら。」
運命は立ち上がり手を眼前に差し出す。
すると蒼い魔剣が現れる。
「魔剣の使い方を指導しよう。
そうすれば私と同じような戦い方が出来るかもね。」
《魔剣リリーリベルタ》
運命が操る魔剣の中で愛用の一品。
二つの顔を持ち、用途に応じて切り替えられる対応型の魔剣。
「もちろん、魔剣使いとして」
「さぁレント。
君の魔剣も私に見せてくれないか。」
「・・・Yes,my lord.」
レントは観念したかのようにゆっくりと立ち上がり、
すると義手は光り始め形を変えていく。
光が収まる頃には姿を剣に変えていた。
「それが君の魔剣なんだね。
名前はあるのかい?」
左の二の腕辺りから生えてた義手が無くなり、剣と化していた。
その剣は騎士剣をそのまま大きくした様な大剣だった。
肌と同じ色をしていた義手とは違い、刀身は漆黒の色をしていた。
「はい。
・・・《魔剣デュランダル》。
特異能力は『変化の否定』らしいです。
・・・実験の途中に聞いただけで見た事も発現した事はないですけど。」
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「テメェ、何してくれてんだアァ!!?」
教室には怒号と打音が響いていた。
それに伴い椅子や机が散乱した。
「・・・俺は何もやってない。」
「アァ!?あんな所にいて何もやってねぇだァ!?
ふざけてんのか!」
《博士 》が激怒していた。
帰ってきた実験部屋には誰もいなくなっていたからだ。
保管室にも、どこにも。
その為に最後に会ったシドウを問い詰めていた。
「あーあー、あーあーウルサイなぁ。」
「珍しいものを見た駄賃だと思ったら悪くないさ。」
その光景を《英雄》と《天帝》は見ていた。
二人で仲良く
『あのクソ野郎はどこだ!!』と言ってきたのだ。
それは誰の事よ、と《天帝》が言い返し喧嘩になりかけた所に運悪くシドウが入ってきてしまった。
仲間が怒る所が珍しいのか二人してケラケラと笑いながら観戦する。
もっとも
「アイツを何処にヤリやがったんだオイ!
答えろよ!アァ!?」
《博士》は苛立ちと共に蹴りを入れている。
シドウは抵抗せずに受け入れている。
その時に自身の物である『玩具』に好き勝手している状況に面白味を感じない《英雄》が動いた。
「その辺にしときなよ、そいつは
「アァ!?うるせぇな!!
ソレがどうしたんだ!!」
「お前に俺の物をどうにかする事が許されてると思ってんの?」
その言葉に一瞬固まり、冷静になったのか無表情で《英雄》を見る。
「じゃあなんだ?オマエが責任を取るのか?」
「セキニン?アンタが目を離したのが悪いんじゃん?」
「そうだね、お前が悪い。」
その言葉に《博士》が本格的に黙る。
管理責任者が見ていなかったせいで起きた事案なのだ。
当然、そんな事は自分が一番知っている。
「・・・・・・うるせぇぞ、元はと言えばオマエの情報があやふやだったせいで実験が進まなかったからだろうが。」
「えーwこの後に及んで責任転嫁ーwダッサーw」
「ニヤケ顔が気持ちワリィぞ、ブス。」
「あ??」
苛立ちが収まらない八つ当たりに《天帝》が反応する。
その空気が剣呑さを持ち始めたとき、
「おーお、なんじゃ。
何をやっておる。」
男が一人、入ってきたのだ。
義手の製作を担当した《導師》だった。
「何でもないよ、ただ《博士》の実験体が逃げただけさ。」
未だにメンチ切りあう二人を横目に《英雄》が反応する。
「そのせいで俺の
「なんじゃ、義手の製作を依頼してきておいて逃したのか。
お前が悪いじゃろ。」
そう言われ流石に引くしかないと思ったのか、身を翻す。
教室から出ていく際、《英雄》とシドウを睨んで消えていく。
「アレで良かったのかな?
変に逆恨みで余計な事してこないかな?」
《天帝》はそう言いながら、ニヤケながら《英雄》を見上げる。
本心はそうなった時、何が起こるのか楽しみで仕方ないといった感じだ。
「大丈夫さ、あいつはあれでも立場と役割を知っている。
《英雄》は気にしていない様子で笑う。
それを見ていたシドウは耐えられずに教室から逃げ出す。
それを見るだけで、誰一人なにも気にしなかった。
ココにいる限り、心配も同情すらない虫以下の存在だと思い知らせれる事に耐えられなかった。
「じゃが、魔剣使いが一人いなくなったのぉ。
おそらくGARDENの奴らに捕獲されるが大丈夫なのか?」
そのように声をかけるが、《導師》は義手の技術が流出したのが気になっていた。
この男もまた、自身の事しか考えない男だった。
「ああ、それに関しては問題ない。
らしいね、《天帝》?」
「まぁねぇ♪」
《天帝》が意地悪い笑顔を浮かべる。
「ほほう、その心は?」
「魔剣の居場所なんて丸分かりだからだよぉ。
流石にランヴィリズマに入られたら分かんないけど。」
その説明を受けても《導師》は確信を得られなかった。
「あの義手の状態には魔剣としての特性を抑える仕様にしてある。
そうでなければ人間など、魔剣に24時間晒され続けることになるからの。
それでも感じるものかのぉ。」
《導師》は侵食率を上げる過程で人間性を失わぬ様に魔剣を義手に
その結果、外に気配が漏れる事など本人の気力が尽きぬ限り有り得ない。
しかし《天帝》は、
「それが大丈夫なのっ!だってあの子、
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ようやくGARDEN内のことが書けそうです。
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