執事メイドによる突発執事歓迎パーティー、大好評の大成功となった。。
カノンは心底嬉しそうな顔で。
風雅とブルーはいつかの神域で自信がついたのか料理をすると意気込み。
事情を知ってるロンドはトロイにその料理を振舞っていた。
味は・・・ロンドが食べられる範囲で抑えてくれたらしい。
それよりも料理をしたキッチンの方が悲惨だった。
『もうドジっ子では無いはずなんですけど・・・』とはロンドの言葉はか細かった。
遅れて運命も参加した、何故かエルも連れてきたが二人の料理をジト目で食べていた。
祝われるべきレントも甲斐甲斐しく動こうとソワソワとしていたが、カノンに止められていた。
このような光景を見るのも何年ぶりだったか。
涙をこっそり堪えている最中、ロンドが話しかけてきた。
「ソナタさん、少々お時間を頂戴したいのですが・・・」
皆の目を盗み、廊下に出てきた私はロンドの話を聞いた。
「驚いた、君からその名前を聞くとは。
そうだ、アレグロ=バラードは確かに当代の執事長であるモデルト=バラードの兄だった人だ、私も記憶が薄いが。」
ロンドから懐かしい、とも言えないが久しぶりに聞く名前が飛び出した。
聞けばレントとの繋がりを問い質したらしい。
確か私も幼心がつく前に本家を追放されたらしいが。
「ロンドは彼の遺言を受け取りました、『カノン殿下の付き人のレント=バラードを見定めろ』と。」
「何?」
話を聞いていく間に不思議な話を聞いた。
彼がレントが生まれる前後に家を出たのは確かだろうが、カノンの付き人としたのは明確に幼少期。
知るはずの無い情報を何故知っている?
「何者なのだ、その御仁は。」
「ロンドさんもちゃんとは知りません、あの人の手掛かりが現れて自分も期待していたんですが・・・」
ロンドの恩人たる人物、バラード家の不明な事情。
久しぶりに皇室の思い出に思考を回すが、遠き思い出だ。
「分かった、私の方でも調べてみよう。」
「ありがとうございます。」
レントの家、バラード家は代々執事長を務めている名家。
だが、私は知っている。
黒貴族とはあの家からついた名だと。
そしてそれは初代が暗殺者だったからだと。
「モデルト=バラード、元々小さな噂はあった人物だが・・・
何かあるのか・・・?」
小さな呟きは更けていく夜に溶けた。
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「楽しんでる?」
「ええ、楽しいですし嬉しいですよ。」
小さな部屋の小さな立食パーティー。
それでも楽しいと嬉しいという気持ちは本当だった。
「あの運命様のラーメンからこの所、忙しいとしか形容出来ない日々でしたから、こういう催しは素直に嬉しいです。」
「はは、レントはそうだろうね。」
カノンは笑顔のレントを見て、自身も同じ気持ちになっていた。
以前まで何処か気を張っていた身体だったが、目に見えて脱力している。
「けど、本当に良かった。
なんか今まで急いでたイメージがあったからゆっくり出来るようになって嬉しいよ。」
本心からの言葉にレントの笑顔は柔らかくなる。
「ふふ、ありがとうございます。」
「あらイチャイチャしちゃって、穏やかじゃないわね。」
笑いあっていたらシャンパン片手の風雅がやってきた。
「主人と従者の恋愛、罪深いわ。
・・・斬っちゃおうかしら。」
「駄目だよ!?ていうかイチャイチャなんてしてない!」
「冗談よ。」
というと、剣の柄から手を離す。
・・・・・・冗談だったんだろうか。
「風雅、先日は訓練の最中に気絶してしまい申し訳ありませんでした。」
少し頭を下げ軽く謝罪する。
ここは祝いの場、ならば物悲しい雰囲気を出すべきでは無い。
その雰囲気を風雅も感じたのか口を開く。
「貴方の誤解を2つ解いておくわ。
1つはあの訓練はあそこで終わる予定だった。
その後、どうなろうがシドウの知る所ではないわ。
2つ目は貴方を持ち帰ったのは斬だと言うこと。
謝罪や礼は彼にする事ね。」
彼女の言い口に心が痛くなる。
場を壊さない為に軽く謝罪するに留めたのが悪かったのか。
そんなレントの感情をまた察したのか風雅は笑う。
「それにしても、貴方の最後の一撃。
あれは効いたわ。」
風雅はわざとらしく、それも揶揄う目線を向けながら肩を小さく回す。
その様子にカノンが疑問を持った。
「何の話?」
「この子のBLADE発現の話。」
その言葉にカノンは驚きを見せた。
「レント、もうBLADE使えるの!?」
「そうよ、しかもカノンちゃんと同じエルスタニア流剣技を使ったのよ。」
「え!?」
顔が熱い、主人の前で主人の真似事をしたと自慢される。
恥ずかしい気持ちが顔に出てしまう。
「な、何で!?
教えた事、あったっけ!?」
「不敬ながら・・・・・・一度、城壁外に現れた天使を討伐しようと赴いた旅団を追いかけた際に・・・」
今でも鮮明に思い浮かぶ。
青い閃光、白い剣、それが振るわれる度に消えていく眼前の敵。
思えばあの頃の私が危険だからと、旅団として動き回るカノン様に何度も忠言した。
それなのに救うと、私が救うんだと止まらないカノン様と喧嘩してしまった。
今考えても不敬はあの頃から続いていたのかと、今更ながら苦笑してしまう。
「・・・
「あ、いえ殆ど魔剣の力のお陰です!
私は最後の方は殆ど覚えていなくて・・・」
本当だ、魔剣に力を収束させ始めたぐらいから自分の意識というのは何処かへ飛び始めていた。
思えば今までも時折あった。
初めてやる物事では緊張してしまって手が止まった。
その度に意識が一瞬飛べば、上手くできていた。
その際、いつか見た
それに先日の訓練で風雅は言っていた。
『要領が良い、それ故に初見が弱い。』
初見が弱い、
思考が巡る内に自分が分からなくなっていた。
思考の内容もそうだが、内容の一貫性も無くなってきていた。
その時、突然開かれた部屋の扉の音で思考の海から上がる。
扉からはロンドが飛び出してきた。
「カ、カノンさん!カノンさん!
ちょっと早く来て下さい!」
ロンドがカノンの手を掴む。
その様相は何か
「え、あ、ちょっと!?」
引き摺られていったカノンを横目に風雅に目をやる。
「穏やかじゃないわ、シドウ達も行きましょう。」
「ええ、分かりました。」
部屋の中を改めて見渡せば運命やトロイも皆、
レント達が外に出た時、廊下にいたのは。
「おい春夏秋冬!今日はブレイドラインでのパーティーだ!
是非とも遠慮してくれたまえ!」
「おーソナタ殿!今は王位天君と呼んでくれ。
新入りくんがいるんだろう?そっちの方がインパクトが大きいと思わないか?」
「知らん!!」
・・・何とも頓痴気な光景だった。
一番目立つ正面の男は白、ただその印象が強かった。
白で統一された袴、外に向かうとカラフルな紋様が写る。
その横にいるのは先日会ったり回収されたりの斬と、これまた白い着物に黒い羽織を着て目を伏せた女性を左右に侍らせている。
またその後ろでは低身長な女子が二人、こちらを無視して叢裂の頬を引っ張るフードを被った黒と紫の少女。
そして、その
「えーと?春夏秋冬さん、何の御用でしょう?」
「おぉカノン殿!いやなに、新入りくんの歓迎パーティーをやっているとの話を聞きつけてな。
これは私も一献傾けてやらねば志同じくするものとして不義理かと思ってな!」
周りの誰もが不審がっている人物、春夏秋冬なる人はひたすら笑顔で爛漫に答える。
「申し訳ございません、俺達も止めようとしたんですが・・・」
「この子もどうか、と嘆願してきましたので、そのついでとして御館様も付いてきたという感じです。」
側近の二人から説明してくれるが、まだ要領を得ない。
その原因は女性の下で土下座している女性、楓の存在があった。
「この度はまっことに申し訳ございませんでしたぁああ!!!
この楓、お腹を切ってでも謝意を示したいと思いますぅぅう!!」
「あぁ待て楓!やはり責任は上の者が取るもの。
私が腹を割いて詫びよう!!」
「ぴぃえええ!!
御館様、お腹切っちゃうの!?内臓が飛び出ちゃうよ!?」
「ししっ♪それだけじゃないし?
来る前に食べた煎餅の残りカスも腹から飛び出てくるんだし♪」
「紫亜さん、やめてください。
客人の前ですぜ。」
「御館様?これ以上、恥を晒さないで下さい。」
・・・本当になんだろうか。
各々が好き勝手に喋りすぎて焦点が合わない。
取り敢えず、一番の被疑者に声を掛けることにした。
「・・・楓様、私は魔剣が人類史に与えた影響を改めて知って、楓様があのような行動に走ったのも理解しています。
むしろあのように即座に行動出来る事を羨ましくさえ思っています。
ですから頭を上げて下さい。」
本心だ。
確かに事情も知らずに仲間に武器を翳すという凶行は咎められるべきだ。
しかし、自分は初日でそれを行ってしまった、どうしてこの人を咎められようか。
「ふぅえ・・・優しいよぉ・・・
そんな人にウチはなんて事をぉ・・・およよ・・・」
楓はせっかく上げた頭をまた下げてしまった。
彼女の情緒はとても乱高下しやすいタイプなのだと位置づけた。
「で、どうやったら退散してくれるのかしら?
別に祝いに来てくれたのだから、実力行使なんて穏やかじゃないわ。」
風雅が提案を出すが、側近の二人は困り顔だ。
「御館様、どうします?」
輝夜が春夏秋冬へ切り出した。
伺う顔は何処までも春夏秋冬の指揮に従うという顔だが、
「・・・・・・・・・」
「あ、あの?」
レントは困惑していた。
先程まで新入りの歓迎会だからと意気揚々と突撃してきた男が、自分の顔を見るなり顎に手を当て考えに耽っている。
「えーと、千紫のKING様・・・でいらっしゃるんですか?」
「・・・水まんじゅうだな。」
「はい?」
唐突に菓子の名前を吐き出した。
「不格好な形を丸く綺麗なもので包んでいる。
しかし、透明な故に中が透けて見える。」
・・・・・・・・・
「しかして、透明とはいえ濁っていて中には何が包まれているか分からん。
甘い餡か、はたまた苦い蓬、梅が入ってても良い。」
「ただ、一つ言える。」
「精進したまえ、どれだけ不味くとも外側を壊さなければ飲み込めるとも。」
それだけ言い、振り返る。
それが分かっていたかのように二人、そして女性三人も春夏秋冬に続く。
突然やってきて意味深な言葉だけ言い残して、去っていった千紫の面々。
そんな光景にブレイドラインの皆も固まっていた。
その中でエルを抱いていた運命が手を叩き、目を覚まさせる。
「いい具合の時間だし、お開きかな。」
「そ、そうですね!」
「ねぇ、レントさん!
こっちのお皿ってここでいいのかな!」
「ええ、置いて下されば片付けは私がします。」
部屋を借り、パーティー仕様にした片付けを全員で行っていた。
レントとロンドで作ったオードブルの大皿小皿をまとめて持ってきたブルー。
かのヘッポコを自称しても戦士、十数枚の皿程度は苦でもないらしい。
「レントさん?」
「!?あぁ、大丈夫ですよ。
これで全部ですかね、ありがとうございます。」
ブルーを見つめたまま固まってしまっていた。
それは彼女が未だに『黒い牙』である事を拭いきれなかったからだ。
(駄目だ・・・エルスタニアでの事は忘れると言ったのは自分。
その事をカノン様にも言っておいて裏切るのは私の不徳でしかない・・・)
かのエルスタニアと敵対していたブーゲンビリア諸侯同盟。
その中でもエルスタニア国民や兵士を恐怖させていた『黒騎士』。
『旅団』に加入した当時、割れた仮面の下から覗いた青い髪と女性の顔に驚いたのは今でも覚えている。
「?・・・あ!初めて会った時の事なら私は気にして無いよ!」
その言葉にレントは心臓から肩を跳ね上げさせた。
そうブルーは空気や言動を読むのは苦手だが、対人の表情や感情を読むのは得意なのだ。
「そう、ですか。」
「うん!だからこれからも宜しくお願いします!
私へっぽこなので、身の回りの事とかいっぱいやってくれると嬉しいです!」
「・・・自分で言います?」
それでもきっと罪滅ぼしなら、とやってしまうのだろう。
きっと今までロンドがやっていた業務も分けてもらい、皆が自由な時間を持ち、笑顔でやって行ける。
「っ!!」
「ど、どうしたのレントさん!!?お腹、痛いの!?」
「いや、どう見ても抱えてるのは頭だと思うのですが・・・っ。」
また頭痛だ、今度は以前よりも痛い。
前回はカノン様とファミレス前で話した時か。
未来の事を考えるとノイズが走る。
左腕は関係ない。
まるで、
「だ、大丈夫です。
ちょっと休めば本当に元に戻りますから・・・」
「ほ、ほんと?」
ブルーは少し涙目になっていた。
かの『黒騎士』、かの『蒼い咆哮』。
その姿がこれかと、レントは困惑していた。
その涙目のブルーの顔を見る目線の向こう。
キッチンの扉の影。
「ブルーちゃんを泣かせたのは・・・・・・
どこのどいつかなぁ〜・・・??」
「拷問が必要なぁ〜・・・・・・
悪い子はいるかな〜・・・・・・♪」
「ギィやぁアアアアァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!」
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ソナタのダーリン呼びに心が浄化されます・・・
カノンは何なんだ、その『覚悟』は。
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