パーティーから夜が明け次の日。
片付けと
その為、寝坊してしまい運命様の業務の手伝いに遅れてしまっている。
軌道エレベーターの到着、移動の時間がもどかしい。
さすがGARDEN、同じ六層と言えど上層へ上がるのにとても時間がかかる。
エレベーターの扉が開き、上層についた。
目の前の扉の先、そこに待ち侘びている方にどうお詫びしようかと考える。
いやまずは誠意を示す事かと思い、急いでいたが扉にノックをしてから飛び込む。
「失礼します!運命様!
申し訳ございません、今日の執務に遅れてし・・ま・・・い?」
飛び込んだ先、広い窓から光が差し込み部屋全体を照らす空間には運命はいなかった。
どういう事かと部屋を見渡す。
すると、中央のソファに座るでくすくすと笑う女性がいた。
「ふふ、久条くんならまだ来てないわよ。
彼もきっと遅刻ね♪」
金色の長髪、前髪に黒がかった髪を垂らしている。
そしてその頭には
「君がレントくんね。」
「私の名前を?」
「当然よ、すっかり有名人なんだから。」
女性はソファから立ち上がり、レントに手を差し出して来る。
「第四軌道人類史、第六起源魔術教会の鶴喰闇虹よ。
宜しく執事さん♪」
非常に可愛らしい笑顔を向けてくる。
その笑顔よりも頭の上に目線は吸い寄せられていた。
「あ、あの・・・第六起源魔術教会の、KING・・・様?」
そう、彼女の頭には王冠が乗せられていた。
記憶の物よりも黒く長かったが、確かに王冠だった。
「え?・・・っぷ、あはは!
違うわよ!これは私のお洒落だから気にしないで!
私はQUEEN、宜しくBUTLERさん♪」
どうやら闇虹様は今日の
代わりに書類の進捗状況を報告すれば、『あぁはいはい、分かったわ。』といい、運命様の椅子に座り執務を開始してしまった。
私はいつも通り他部署からの書類の分別や整理を担当していた。
・・・闇虹様の手際は凄まじく、正直言って運命様よりも進みが早い。
「正直私もこんな事を早くなっても嬉しくはないけど、早くならないと私自身の生活も守れないもの。」
・・・どれだけ忙しいのだろうか。
そして後に聞く、『GARDENで一番いそがしい人』という異名。
時間にして昼前になった頃。
「それにしても・・・全然帰ってこないわね。
どこにいるのかしら。」
そう運命様が行方不明になっていた。
部屋に居ないのはもちろん、連絡を送っても既読にならず本当に行方知れずとなっていた。
「そろそろ何かしらの連絡はあっても良いとは思いますが・・・」
「駄目ね、私の方もからっきし。」
闇虹も自身の端末を机に置き、嘆息する。
すると両肘をつき、両手に顎をのせ足を小さくバタつき始める。
私より年上の方と思ったが、子供のように見えて仕方がない。
「仕方ありません、お昼にしましょう。」
「そうね、私もお腹ペコペコだもの。」
いつも通り、ウーバーキーティーで済ますために各自注文。
待つ事、数十分。
待つ間も執務を少しづつこなす。
GARDENをまとめあげるトップに集まる書類は膨大と言える。
神域調査報告書、損害等費用申請書、設備点検通知書、ねこナデナデ嘆願書、本日のちびりす報告書
様々な書類を分類出来る事に分けていく。
・・・・・・最後の方はどう分ければ良いのだろう。
闇虹様はそこから更に中身を見て、【承認】【照査】【差戻】に分けていく。
照査と差戻には事項も書いてまとめている。
「こっちはまとめ終わったわ、コピーして返却して頂戴。」
「はい、確かに。」
自分は闇虹様に分けた書類を渡すと同時に、返された書類にテプラを貼り付けたクリアファイルにまとめる。
これが執務の内容、確かに一人でやるには億劫だろう。
その時、キーティが届いたのか扉が開く。
すると、
「ハッハァッハー!来たぞ我が盟友!!
さぁ共に食宴を開こうぞ!!」
・・・びっくりした。
ただただびっくりした。
昼餉が食べられると思って目を向けた瞬間に大声が響き渡ったからだ。
眩しい金髪を二つに結った少女は目線だけで室内を見渡すと知人、引いては親友を見つけた。
「あっれー!闇虹いるー!
運命の部屋で何してるのー!」
「何って、仕事よ仕事。
久理こそなんでここに・・・」
「なにって、アルバイト!
ほら、お届け物!」
そう言い、少女は持っていたビニール袋を闇虹に渡す。
そこで隅に固まっていたレントに気がついた。
「うぇえ!?だれぇ!」
少々オーバー気味に、彼女からすれば素の驚きにビックリしながら後ずさりした。
ビックリしているのはこっちなのだが・・・
「彼が例の魔剣使いくんよ、久理もあの動画を見たでしょ。」
あの動画?
「あー!君があの動画の!」
あの動画!?
「あの、動画とは・・・」
「あら知らない?ならお昼ご飯を食べながら話してあげる。」
聞けば、先日の楓様との戦闘がガーデナーを通して触れ回っているらしい。
現場にいたガーデナーの一人が撮った動画がotter.skyに流れ、とんでもない数字を記録しているらしい。
「ビックリしたよ、あの楓さんと1対1で勝てる人がいるなんてって。」
「別にあれで勝った気をしている訳じゃ・・・
いや、特別勝ちたいという気もありませんが・・・」
皆皆がそれぞれの昼食を食べながら雑談を繰り出していた。
闇虹はサンドイッチを食べながら、
「アルバイトなんて初めて聞いた、久理そんなことしてたの?」
「悪霊さんにも手伝って貰ってるの!
意外と好評だよ?」
「・・・もう!
久理はバーガーとポテトを食べながら会話していた。
レントは焼肉弁当なるものを食べていた。
GARDENに来てから1ヶ月経とうとしているが、今まで食べてこなかったジャンキーや油脂を挑戦的に食べるのが心の中で密かにたのしみになっていた。
「にしても本当に義手なのね、魔剣なんでしょ?」
闇虹が不思議そうな目でこちらの左腕を見ている。
「ホントどんな感性してたら魔剣を義手にしようなんて考えるのかしら・・・」
「・・・まぁ不便は無いので助かってはいますよ。」
それは本当、確かに策略によって義手になったとはいえ不便は無いのは確かだ。
「けど、その意匠の感じ・・・何が引っかかるわね・・・」
義手を見て闇虹は何かずっと思考していた。
聞けば
その時、
部屋の扉が開く。
「あ、久条k」
「%#@r%!!!」
運命ではなく猫型の・・・透けている丸い物体が二匹入ってきたのだった。
「あ、悪霊さん!おかえりー!
ちゃんと配れた?」
猫型の物体はその言葉に理解できない言語で返事すると、久理は納得するかのように頷いた。
「よーしよし、よくやったぞ我が手足、我が友よ!
褒美としてこの黄金に輝きし食物を下賜しようぞ!」
そう言うと二匹に塩の粒が残るポテトをつまみ渡す。
貰った二匹は嬉しいのか笑顔を見せて飛び跳ねている。
・・・塩は霊を退散させるのだとどこかで聞いたが大丈夫なのだろうか。
「はぁ、ウーバー悪霊さんおかえり。
パン一切れ食べる?」
闇虹は運命で無かったのが残念だったのかため息一つ。
持ち直し今も喜ぶ悪霊二匹に可愛さを覚えたのか餌付けをまた一つ。
「その・・・久理様、これは一体・・・」
恐る恐る聞くと久理はにんまりと口角を上げ、ソファの上に立ち上がる。
フカフカなソファの上は不安定だったのか姿勢が崩れそうになったが、持ち直し三指を開き顔に当て高らかに告げる。
「我が名は冥王クウリアンセム!
死の世界の王にして最強の死霊術師!
我が操るは冥界の扉より来たれり悪霊達よ!
さあ恐れよ、崇めよ!
我が刻む冥王の黙示録に戦慄するがいい!」
言い切ると追加で悪霊が二匹現れ、四匹が紫の炎を持ち演出を彩っている。
しかし、
「こーら、ソファに立つなんて行儀悪いよ。」
「もー闇虹!もうちょっといいでしょ!」
頬を膨らませながら久理は座り直し、バーガーを食べ直す。
先程の真剣で畏怖する空気はどこかへ飛びさってしまった。
「死霊術?眉唾物だと想像していたのですが、初めて見ました。」
エルスタニアでもその類の話はあれど、実際に見たなんて話は誰も信じないだろう。
「そう!このクウリアンセム・・・並びに鶴喰久理を崇め奉ると良い!」
久理は自分を知らない故に自分を売るチャンスとばかりに声を高らかにする。
そう言われたレントは久理が主張した場所とは違う言葉が気になっていた。
「・・・
二人は姉妹・・・家族親戚なのだろうか。
そう思い、二人を見比べキョロキョロと顔を振る。
その視線の意図に気づいた闇虹が本日二度目のツボに入った笑いを零した。
「・・・ぷっ、はっははは!!
もう!顔に出すぎ!」
理由も分からず笑われレントは困惑した。
「もう違う違う。
家が同じってだけ、血縁も近いって事もきっとないだろうけど。」
「同じ?」
「そうだよ、第一軌道人類史の人なら貴族制に詳しいよね。」
久理の言葉にエルスタニア帝国を思い出す。
確かに大小含めて多数の家と家名が乱立する国家ではあった。
それこそ国の栄光と歴史の証明だったからだ。
しかし、
「
「・・・はい?」
淘汰された?1つの家に?
まさかそれが鶴喰家だと言うのだろうか。
そしてそれが、どれだけの意味を持っているのか理解しようとしても納得しきれない。
「い、いやいや。
そんな事有り得る訳が・・・」
その言葉に闇虹は小さく笑い、久理は少なくなったポテトをつまみながら言う。
「それが有り得たの。
そしてそれこそ魔術師のみの血族、その総本山『鶴喰』なの。」
「ま、当然白い事も黒い事も内々のみで回せるから蠱毒の壺も同然だったけどね。」
「むしろ黒い事しか見かけなかったよね♪」
二人は笑いながら自身の家について語り合う。
その笑顔と言葉のちぐはぐさに少し恐怖を覚えた。
しかしレントもまだ気になる事があった。
「鶴喰家は魔術師しかいないのですか?」
「そ。そして
そう言い久理は悪霊達を撫でる。
「あら、なら私も見せちゃおうかな。」
すると闇虹は手の平に小さな四角の物体の集合体を顕現させた。
そして、
「『手動演算式 論破展開』」
小さな詠唱を呟いたと同時に久理の目の前のポテトに白い魔法陣が浮かび上がる。
「ひぇあ!?あ、ちょ!」
魔法陣が消え去ると同時に
「頂きー♪」
「ちょっと闇虹ー!!残り少なくなったポテトをガーッて流し込みたかったのにー!」
久理は立ち上がって怒り、闇虹はどこ吹く風でポテトを咥えている。
レントは目の前で起こった現象を自分で噛み砕いていた。
「・・・今のは魔術で浮かしたのですか?」
「ん〜・・・25点かな〜?」
ポテトを久理から取られないように逃がしながら答える。
今の回答が正解から遠いという。
「ちょっ!早く返して!」
「えーいレントくん!パース!」
「は、はい!?」
急にポテトの袋がレントに向かって飛んでくる。
レントはその袋を
すると、
「え、あ、あれ!?」
袋に触れる直前、何故か左手の義手が震えた。
そしてそれと同時に袋が勢いを無視して真下に落ちた。
「あー!ポテトが床に落ちたー!」
久理は床に落ちたポテトに向かい嘆いた。
まぁ数本だけど、と呟いていたが闇虹は違った。
まるで先程のレントの様に、今の現象が理解出来ていないかのようで。
「な、何をしたの?」
「い、いえ何も・・・」
「嘘!じゃあ何で
レントには一切分かっていなかった。
何が起こったのか、何に怒っているのか。
「鉉覇になら分かるかしら・・・
久条くんも何かきっと・・・」
ブツブツと塞ぎこんでしまった闇虹。
その横で泣きべそをかきながら拾ったポテトを悪霊達に差し出している久理。
その状況にレントは全くついていけず固まってしまっていた。
「確かレントくんの腕の魔剣の能力は《
・・・いやいやけど、そんな訳・・・」
脳内で必死に現象の調査をしている闇虹に声も掛けられない。
「んー・・・ダメ!分かんない!」
その声と同時に時計が鳴る。
昼休み休憩の終了の合図で使っている壁掛け時計だ。
「んもー!久条くんも来ないし、未知の方法で《空間魔術》も消されたし!
もうさっさと仕事しましょ!」
ぷんぷんと怒る姿を見せながら、机に戻る。
切替の速さに圧倒されながらも小さく感心する。
しかし、
「ん?闇虹、運命と仕事するつもりだったの?」
久理がキョトンとした顔で闇虹に問いかける。
「
「・・・・・・・・・・・・え?」
「私さー、商店街で作ってくれる料理とか運んでるんだけど、ここに来る途中で見かけたんだよね。」
久理は続ける。
「別に声を掛けた訳じゃないけど、鉉覇と運命は肩組んで楽しそうにしてたよ!
あそこも中々に仲が良いよねって思っ・・・た・・・よね・・・?」
そこで久理も気づいた。
レントは俯瞰できる立場から見ていた。
「な〜る〜ほ〜ど〜・・・
私達に仕事を任せておいて遊びに出かけてる?
しかも相手が私に仕事を押し付ける常習犯??
二人の他にいつも姿を消すウチの
もう・・・・・・もう・・・・・・・・・!!」
そうすると、闇虹は勢いよく立ち上がった。
レントと久理と悪霊達がビクッと体を震わせる。
「もう怒ったんだから!!!!!
レントくん!!久理!!!
手伝って!!!」
「え、うん!!?」
「は、はい!!?」
二人は思わず頷く。
完全に闇虹が作り出す雰囲気に流されている。
むしろこれに逆流する気概は二人には無いのだ。
「あの三人を見つけて、今日という今日こそはとっちめてやるんだからぁああああ!!!」
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ソナタが1番楽しみまである。
見た目カノン、雰囲気甘々。
本質、姉属性。
いっぱいいっぱいだよ。
評価感想お待ちしております。